世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

あらためて小沢一郎「生活の党」について思うこと 理念に矛盾はないのだが…

2013年03月29日 | 日記
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●あらためて小沢一郎「生活の党」について思うこと 理念に矛盾はないのだが…

 時の流れとか、時の勢いとかを観察する限り、小沢一郎が率いる「生活の党」の存在感が“風前のともし火”に近いものとなっている感は否めない。潜在的支持はありそうなのだが、その支持が顕在化してない。思い起こすに、理不尽な事件があれこれとあったとしても、政権交代間近の国策捜査時や菅直人との代表選激戦時においても、決して小沢一郎の評価に激しい翳りは見られなかった。しかし、現状における小沢一郎の政治的影響力は、逆風だらけの当時よりも、あきらかに落ちている。マスメディアが意図的に小沢ネタをスル―している影響もあるだろうが、原因をマスメディア元凶説に集約するのは得策ではないように思う。メディア悪玉説と云う逆魔女狩りな思考は、小沢や生活の党の勢い回復の為の、突破口を曖昧にするだけだ。

 政権与党であった民主党内における権力闘争や自分の裁判関係に、多くのエネルギーを費やした事情を考慮に入れても、理不尽な強制起訴で“無罪”を勝ち取った時点から皮肉なことに、小沢一郎を取巻く環境が変わってしまった。筆者の感想に過ぎないのだが、判官びいきの熱が醒めてしまった後遺症のようなものが、小沢の周りでオーラの靄となって漂っているような感じなのだ。当然、そのような雰囲気は小沢自身が一番感じていただろう。故に、民主党離党後「国民の生活が第一」では、存在感ある野党とはなり得ないと判断、日本未来の党との合流を決断し、自らは党職につかない選択をした。

 小沢一郎が先頭に立ち、矢面に立たない急場しのぎの「未来の党」の選挙活動は困難を極め、短期間における内部分裂と支離滅裂な選挙手法で、投票日前に腰は砕けていた。直後の第46回衆議院議員総選挙において、日本未来の党は61議席から9議席と大幅に議席を減らし、小沢一郎の日本政治における影響力に翳り、とマスメディアは欣喜雀躍の態と相成った。現在のマスメディアの露出度から推し量る限り、現状、小沢の影響力が大きく後退した事実は認めざるを得ないだろう。

 夕刊フジによると、小沢一郎の別荘が沖縄県宜野座村に建築中らしく、この4月には完成するという。真偽のほどは不明だが、仮にその別荘が小沢一郎のものである場合、名護市辺野古からの距離も近いことから、辺野古埋め立てにおける沖縄の反対運動との連携も視野に入っているのかもしれない。また、鳩山由紀夫も、東アジア共同体研究所の拠点を沖縄におくことから、その連携も考えられない事はない。小池百合子が沖縄米軍基地問題は、沖縄のメディアとの闘いだと評したが、沖縄がどこかの時点で、日本政治の変革の起爆剤となるのかもしれない。

 報道では≪…小沢氏は現在、「国民生活を立て直す」「原発ゼロで経済成長を実現する」などの政策を掲げる生活の党を率いて、今年夏の参院選での勝利を目指して日々活動 している。ただ、国会議員生活も43年を超えて、その後の「自分の生活」も考えているのか。…≫、と引退が間近のニアンスを含んだ書き方をしているが、小沢一郎は沖縄問題で多くを語ってないが、将来的に沖縄問題の解決、その成り行きによっては「琉球独立」と云う大事にまで至る可能性もあるだけに、本土とは異なる戦いの場を想定しているかもしれない。

 まぁ、そのような近未来な話をする前に、現在の小沢一郎の影響力の回復と「生活の党」の勢力維持に何が必要なのか、考えてみなければならない。現在小沢一郎は、何時も通りの地方行脚に精を出している。3月も間もなく終わるので、4カ月後には参議院選が控えている。人の噂も75日ではないが、先の衆議院選では、民主党の体たらくの印象だけは立派に背負わされてしまった運の悪さも手伝い、大惨敗を喫したわけだが、今度はそこまで環境が悪いとは思えない。また、奇をてらうような戦術に走る気配もなく、昔通りの小沢の姿が甦りつつあり、一定の支持者回帰は計算出来るだろう。

 勿論、劇的に変化をもたらすことは望むべき状況ではなく、ベストで現状の維持と考えるべきだろう。ただ、安倍相場が、株式など市場経済の好調に支えられ、景気の「気」で経済を牽引しているように見せかける演出が、どこまで続くかと云う問題がポイントにある。輸出製造業への追い風である円安も、今後も円安に向かう傾向より、円高に戻る傾向の方が過激な動きを示していることから、85~95円/ドルのレンジで推移する可能性が高まっている。株式相場も、予想通り12500辺りを抜け出せずもがいている。どちらかといえば、外国勢の売り越しが目立ちだしたので、下降トレンドに入る可能性の方が高そうだ。

 幾ら経済界が安倍政権の景気の「気」の持続の為に、定昇やボーナス満額回答などを出したからと云って、海外の投機筋につられた株高が好調を維持する保証はない。海外投機資金は、日本国内の小細工に関係なく、自らの利益の為に動くわけで、国内の機関投資家が腰を据えて株式市場に参入してこない限り、息切れする可能性の方が高いだろう。筆者は、安倍政権の景気の「気」の持続を、今後4カ月間継続する事は難しいだろうと見ている。その時期が4月から5月に到来する可能性はあり、そこが安倍政権の勢いの潮目になるだろうと見ている。

 市場原理主義とマネタリズムが牽引する経済政策など、本来あり得ない妄想である。実物経済における市場の飽和が生まれ、金融空間の市場経済でしか利益の出なくなった先進諸国の資本主義では、経済政策をやればやるほど、悪い方向に向かう事は、既に証明済みなのである。目先で国民を騙すと云う小手先経済政策は、経済を悪化させると同時に、国家財政の命まで縮めようとしている。しかし、21世紀の先進諸国の経済の行き詰まりとか、BRICsから追われる日本とか、深く経済のことなど考えない人々には、株高で自分の懐まで温かくなるような錯覚に陥る。その株価が歴然と落ちてゆけば、アベノミクスは失敗なのだ、と短絡的に思い込む事も予想される。

 このような状況の中、理想的な事を言えば、そろそろ「続・日本改造計画」を出版すべきではないかと考えている。筆者の想像だが、小沢一郎が書き直したいと考えている部分は、GDP重視の経済成長を、今後も日本が追求すべきかどうか。経済に関し、異なる価値観を提示し、今後の日本人の生活の絵図を描き切れずに困惑しているのではなかろうかと想像している。政治家としては、「成長」と云う言葉を弄して政治活動をしたいわけだが、筆者などは、自立と共生の中では、特別GDP偏重の経済成長が国民を豊かにするわけではない、と云う哲学的言及をしても良いのだと思っている。

 たとえば、1人当たりのGDPひとつとっても、為替を80円レベルで見た場合、アメリカが48,000ドルだが、日本も47,000ドルなのである。正直、非常に豊かなのである。ドイツや英国でも40,000ドルに達していないのだ。問題は経済成長で国民の生活を豊かにする古臭い経済学からおさらばして、護送船団方式の中央集権を排し、地域ごとの特性を生かし、国家の経済構造を変革していかなければ、徐々に疲弊の道を辿り、最終的には国民の資産である3000兆円の富が底をつく。そう云う理論構成で、GDP成長神話からの脱却も試みて貰いたいものである。

 上記は、筆者の考えを押しつけているのだが(笑)、量より質の経済観念に日本人を立ち向かわせる政治家は、極めて21世紀的政治家と、筆者などは考えるし、理解する国民も多いような気がする。しかし、それを知らしめるためには、確固たる書物が必要である。それが「続・日本改造計画」であるべきだ。現状の政治状況を考えると、一気呵成に小沢一郎が復権できる状況とは思えないのだから、長期戦を覚悟すべきだ。「日本改造計画」執筆時とは、今の世界も日本も、隔世の感がある。是非、「続・日本改造計画」で、小沢一郎が考える「自立と共生」の姿や、富の価値感まで語る渾身の本が出版される事を望んでいる。

 直近の政局には大きく影響しないだろうが、それで良いのだ。怪しげなヌエのような勢力とと選挙協力などしても、また民主党の二の舞になる。「続・日本改造計画」を上梓して、現在の支持層である世代だけでなく、若者層に影響を与える哲学を語るべきだろう。筆者の感覚から察するに、小沢の若者への観念には、成熟国家で生まれ育った人々への思いやりが幾分欠けているような心配はある。この辺は、20代の精鋭の社会学者も出てきているのだから、彼らの考えを、教えを乞うように聞く耳を持って貰いたい。

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