世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●グローバル経済と金融経済の限界点 日米政局を眺めて

2016年04月08日 | 日記

 

インドと日本は最強コンビ (講談社+α新書)
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講談社


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●グローバル経済と金融経済の限界点 日米政局を眺めて

安倍官邸と日銀黒田は、目を白黒させていることだろう。対ドル108円台で、なぜ日経平均がプラスに転じたのか理解不能だが、GPIFの損失が増えるばかりではないかと、少々心配になる(笑)。7日NY為替市場では107円台まで円高に振れている。米経済に陰りが見られ、FRBの金利引き上げも躊躇するとなると、今後とも円高基調は当分続くことになる。海外のファンドも続々と、日本株の「アンダーウエート」に舵を切っている。株式市場好転の材料が見当たらないのだから、当然の帰結である。

日本の安倍1強局面も、経済政策の失政とともに、脆くも壊れる方向に動きだしている。筆者の記憶が正しければ、安倍に対峙する姿勢を鮮明にしたのは、日本共産党・志位和夫の「国民連合政府構想」が端緒だろう。小沢一郎の「オリーブの木構想」もあったが、組織的に日の目を見たのは、志位の決断が大きい。無論、その背中を押すように、小沢一郎が存在した意義も大きい。少し古い記事だが、朝日は以下のように伝えている。

≪ 参院選「5野党プラス市民、国民で戦う」 共産・志位氏
■志位和夫・共産党委員長
 参議院選挙が3カ月後に迫ってまいりました。日本の命運がかかった大事な選挙です。安倍首相は先日の自民党大会で、「この選挙は『自公対民共』の対決だ。決して負けられない」と危機感をむき出しにしました。ただ、この安倍さんの発言を訂正しておきたいと思うんで すよ。戦いの構図は「自公」対「民共」ではなくて、「自公とその補完勢力」対「5野党プラス市民、国民」ではないでしょうか。
 五つの野党の党首が集まり、党首会談を行いました。「野党は共闘」の市民の声に応えた画期的な合意であると考えるものであります。私たちは参院選の全国32の1人区すべてで野党共闘の態勢をしっかりつくり、32すべてで自民党を打ち負かしたいと決意しております。前哨戦ともなります4月24日投票の衆院北海道5区の補欠選挙。ここは野党5党で気持ちのいい、筋の通った選挙協力の態勢ができました。
 政府与党が、野党共闘が脅威になってきまして、「野合だ」と言ってますね。あの自民、公明に「野合だ」と言われたくありませんよ。市民の声に応えて野党が動いたんです。それが野合であるはずがないじゃありませんか。野党は安保法制廃止、立憲主義回復という大義で、結束しております。立憲主義を取り戻すというのは、民主政治の土台を再生する仕事です。これ以上の国民的大義はないのではありませんか。(京都市での街頭演説で)  ≫(朝日新聞)


志位和夫は、主に理念で野党連合を説明している。正直、守銭奴化したエスタブリッシュ層や生活者にとって、政治理念が票の掘り起こしにまで繋がるかどうか、不確かさがあった。しかし、上述のように、アベノミクス失敗を、安倍晋三が認めるかどうか別にして、市場が見限っているのだから、答えは明白だ。株価の上昇以外、これと言って、日本経済全体を押し上げる結果は見当たらない。その唯一の拠りどころが急速に値を下げているのだから、残された道は“法螺ッチ”のみになった。

正直、無知蒙昧ゆえに、日本経済はまだまだ成長するとか、TPPを閣議決定することで、GTPを14兆円押し上げる‥等と云う経産省の“法螺ッチ”に騙され、嘘を嘘で塗り固めたわけだから、化けの皮が剥がれるのは時間の問題だった。安倍や、その取り巻き連中に、世界の歴史が大転換期に至っていることに気づく者はいなかったろうから、安倍が“捕らぬ狸の皮算用”の言説に嵌ったとしても、驚くに値しない。日本人全体にも、成長が善、縮小は悪と云う「空気感」が存在しているだろうから、多少の同情はないでもない(笑)。

或る意味で、政治家に嘘をつくことを強要している国民がいるのも事実だ。嘘でもイイから、元気溌剌なことを言え。勇敢を称えよ。国家観を持つ国民を育てなければならない。所謂、全体主義思想に被れた日本会議のような連中がいるのも事実である。しかし、彼らは押しなべて無教養で、無節操で、暴力的だ。民主主義と云う政治体制すら、全体主義の為に、どのように利用すればいいかを考える人々だ。八百万の神の枠内で、神社も仏閣も、日本人には意味がある。しかし、靖国神社を核とする、現在の神道の流れは、国民を敵に回すだろう。神に仕える宮司と権力に仕える宮司の選別は不可避である。

少々話が逸れたが、経済成長が望めないのには、先進諸国の文明の過度な発達がある。実体経済から、金融経済へ、そして、マネーが流れるフロンティア地域開発で、BRICSも成長したが、彼らは、自分たちの事情を重視して、日本のように、従順につき従うことを拒否してる。フロンティア地域開発すべき場所がなくなったことも大きいだろう。ゆえに、意味不明で見ることが出来ない、無限にも思えるグローバル経済と云うモンスター市場を創ってはみたものの、それをハンドリングするパイロットが不在なのである。つまり、操縦能力を持たないロケットに乗り込み、運転するのは誰だ?と騒ぎまくっているのが実情だ。

現在の日本政治の中で、世直しに効果的人物は誰かと聞かれれば、安倍ではないのは確実だが、岡田でもないだろう。小沢は嫌う奴が多いので無理だろうが、その小沢と意見の一致を見た志位和夫が一番、適任者に見えてきてしまう。日本共産党の主義主張が、日本国民に、そのまま受け入れられることはない。おそらく、大義を置き、と言っているが、半ば放棄に近いのだ筆者は受けとめている。共産党員を刺激しない便法だろう。しかし、世界の流れにも、社会主義の価値の再考という機運は強くなっている。社会主義と共同体のイデオロギーには重なる点も多い。

まだまだ、世界においても、日本においても、紆余曲折を経るだろうが、我々は、民主主義と社会主義の融合体制が主流になって行く流れを、注意深く見ていると目撃できる。便法的面もあるが、保守であった小沢一郎と日本共産党の志位和夫のスクラムも、そういう流れを感じる。民進党の岡田が時代の風を感じているかどうか、筆者には判らない。ただ、自民党の村上誠一郎が義兄に当たることことから、安倍自民の敗北度如何では、ひと花咲かせる可能性もゼロではないだろう。トランプ現象とは肌合いが違い過ぎるが、反ワシントンでは共通する。それにしても、米大統領選のバーニー・サンダース議員の奮戦ぶりは目を見張る。これから、アメリカを動かす若い連中の支持が多いと云う点も、時代の風を感じる。以下の記事とコラムを参考に掲載するので、世界の風を感じていただければ幸いだ。


≪ 民主のサンダース氏、勢い強調 最近7勝
【ワシントン西田進一郎】米大統領選に向けた民主党候補指名争いは、5日のウィスコンシン州予備選でバーニー・サンダース 上院議員(74)がヒラリー・クリントン前国務長官(68)を破った。サンダース氏は同日夜、次戦の舞台となるワイオミング州で演説。最近の8予備選・党員集会で7勝したことに触れ、「ほとんどが圧倒的な数字での勝利だ」と勢いを強調した。
 ウィスコンシン州での出口調査で、サンダース氏は、若者(18歳から44歳)の73%、白人の59%の支持を獲得し、これまで同様の強みを発揮した。一方、クリントン氏を「正直で信頼できる」と答えた人は58%にとどまった。「そうではない」と答えた人は39%で、うち9割以上がサンダース氏に投票したといい、「信頼性」が依然としてクリントン氏の弱点になっている。
 次の焦点は、19日に行われるニューヨーク州予備選。代議員291人を抱えるクリントン氏の地元だ。直近の世論調査の支持率でサンダース氏は、クリントン氏に約10ポイント差にまで迫っている。
 予備選・党員集会の結果で得た代議員数では、クリントン氏との差を詰めつつあるサンダース氏。今後は、個人の意思で投票先を決めることができる連邦議会議員など「特別代議員」の大きな支持の差をどう解消するかがカギになる。 ≫(毎日新聞)


≪ コラム:米民主党指名争い、サンダース氏にまだ勝機あり
 




[29日 ロイター] - 米大統領選で民主党候補指名を争うバーニー・サンダース上院議員に撤退を求める声が、権力層から雨あられのごとく降り注いでいる。

「バイバイ、バーニー」と題した社説をワシントン・ポスト紙は早々と掲載し、数多くのニュースキャスターなどに同調した。一方、米政治情報サイトのポリティコは、民主党議員たちが水面下でサンダース氏に撤退を促していると報じている。

オバマ大統領でさえ、今こそヒラリー・クリントン前国務長官を支持する時だと、富裕層の献金者に暗に訴えた。(大統領、すでに彼らはそうしていますよ)
 
こうした「サンダース降ろし」の一部はクリントン陣営が広めたものだが、大半は全くの愚行と言える。サンダース氏が今、撤退するなどあり得ない話だ。
 
サンダース氏が民主党候補指名を獲得するチャンスはまだある。西部6州のうち5州で圧勝したばかりだ。それに、サンダース氏はただの候補者ではない。信念そのものなのだ。単に大統領になるというだけでなく、国を変えるような政治革命を起こせるムーブメントを巻き起こしたいと考えている。

それは、政治から大金を引き出すことと、サンダース氏の掲げる政策を通すことの両方を達成するのに十分強力な政治運動であることを意味する。サンダース氏の支持者たちは、民主党全国大会などを通して、そのような努力を同氏が前進させることを期待している。
 
確かに、サンダース氏が指名を獲得する可能性はほとんどないかもしれないが、比較的知られていなかった民主社会主義者の同氏が立候補した当時と比べると、その可能性ははるかに高くなっている。

全有権者の半数近くはまだ票を投じていない。サンダース氏は今後もたくさんの有権者と対話を重ねる。同氏はすでに15の予備選と党員集会で勝利し、勢いは増している。
 
ブルームバーグの最新世論調査によると、サンダース氏は初めて、クリントン氏を僅差で上回った。他の全国調査でも、大差をつけてリードしていたクリントン氏との差が縮まり続けていることが一貫して示されている。
 
サンダース氏支持者の大半は熱心であり、特に同氏は若者の関心を喚起し続けている。彼らはサンダース氏の選挙活動を盛り上げたいと躍起になっている。2月の献金額は、サンダース氏が4300万ドル(約48億2000万円)で、クリントン氏の3000万ドルを上回った。サンダース氏を支持する約200万人の小口献金者が、クリントン氏の裕福な献金者よりも多くの献金を集めたということだ。実際、クリントン氏の献金者の7割以上は大口献金者で、その額は頭打ちになりつつある。
 
サンダース氏に懐疑的な人たちは、同氏がクリントン氏に西部で完全に勝利するには、55%対45%というようなほぼ互角の戦いで勝つだけではだめだとこぼしていた。だがふたを開けてみれば、サンダース氏はワシントン、アラスカ、ハワイ、アイダホ、ユタの各州で70%以上の得票率で圧勝した。クリントン氏のリードを徐々に詰めているのだ。

一方、クリントン氏は実質的にすべての大口献金者や熟練の選挙ブレーンたちから支持されている最有力候補と目されているが、確実に勝利を手にしたとは言えない。全有権者の半数以上が同氏を好ましくないと答え、同氏より下位なのは共和党候補指名争いでトップの不動産王ドナルド・トランプ氏だけだ。
 CBSが1984年に調査を始めて以来、大統領選候補者でこれほどまでに否定された人は他にいない。

米国民はクリントン氏の誠実さと信頼性を疑っている。同氏の強みは経験と当選する可能性にある。しかし複数の世論調査の結果は、どの共和党候補に対しても、 クリントン氏よりサンダース氏の方が善戦している。その主な原因は、サンダース氏の方が無党派層に人気があるからだ。これに加え、クリントン氏は、国務長官時代の私用メール問題など枚挙にいとまがない。

サンダース氏にもまだ望みはある。同氏 の支持率が伸びるなか、クリントン氏の人気は落ちる一方だ。サンダース氏の支持者たちは同氏の選挙戦に資金を調達し続けるだろう。そのような状況で大統領選から撤退する候補など普通はあり得ない。トランプ氏と共和党候補指名を争うオハイオ州のジョン・ケーシック知事やテッド・クルーズ上院議員は、サンダー ス氏の状況をうらやましく思うだろう。

サンダース氏は「政治革命」を起こすのがいかに困難であるかを分かっており、幻想など抱いていない。本当の闘いは始まったばかりだ。

繰り返すが、なぜサンダース氏がここで「のろし」を降ろさねばならないのか。同氏の声がこのように多くの大衆に届く機会は二度とないだろう。支持者を得て、市民活動を活性化し、メッセージと政策を広めているというのに。
 
その努力はすでに実っている。大統領候補が大口献金者に頼る必要のないことを、サンダース氏は証明してみせた。今後の大統領選では非主流派の席も用意されるだろう。

サンダース氏は議論をかき立て、クリントン氏に自身の立場を調整したり、サンダース氏のレトリックの一部を使い回したりすることを余儀なくさせている。貿易、ウォール街、法人税逃れとCEOの報酬、刑事司法、最低賃金と労働組合、政治とカネなどについて、サンダース氏は選挙活動(「Black Lives Matter」や「Fight for $15」のような運動も)で新たな見方を示している。
 
サンダース氏が大統領選にとどまる時間が長ければ長いほど、クリントン氏は自身の新しい一般大衆向け公約を捨てるのがますます困難になるだろう。
 たとえクリントン氏のリードをしのげなかったとしても、サンダース氏は事実上、クリントン氏と同じくらい多くの代議員数を獲得して、民主党全国大会に行くことができる。そこで、大銀行の解体や均衡のとれた貿易、崩壊しそうなインフラ再建、医療制度、学費無料の公立大学などをめぐり、議論を戦わせることができるだろう。
 
全国大会が終わっても、サンダース氏と支持者たちは、大胆な改革のために闘い、腐敗を暴き、改革を求める運動や候補者を支持することができる。サンダース氏は、今回の大統領選だけで終わらない新しいエネルギーを解き放ったのだ。

党の総意支持者はその失敗にがくぜんとし、民主主義社会の官僚は神経をとがらせ、ウォール街の献金者は落ち着かないだろう。だがそれに慣れるしかない。サンダース氏が大統領選から撤退する理由など少しもないのだから。昔のゴスペルソングにあるように、前途は険しい。だが、もう引き返せないところまで来ている。それにサンダース氏は、全く疲れてなどいない。

*筆者は進歩主義的な米シンクタンク「Institute for America’s Future」の設立者。姉妹団体「Campaign for America’s Future」の共同ディレクターも務める。
  ≫(ロイター:コラム・Robert L. Borosage)

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