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いまさらレベル7と世間は騒ぎ、菅窮地 日米同盟原発推進戦略に過ぎない
昨日から、保安院の福島原発事故の評価が唐突に、レベル5から7に引き上げられた事実で、菅直人や枝野官房長官が質疑で窮地に陥っているような雰囲気を醸している。マスメディアも愉快犯のように、一見菅政権を叩いているフリをしている。馬鹿政治家の多くも、この世論受けする論調に、提灯をつけているようだ。 はじめからレベル7だった福島原発事故を「5」と過小評価したのはケシカラン論が主流で、日本国中を駆け巡っている。
しかし、チョット待ってくれ。福島原発において現在進行形で起きている事故の事実と自己評価が3であるか、5であるか、7であるかは、実はたいした問題ではないことを考えておく必要がある。レベルが1でも無限大でも、放射能が原発から漏れたのは事実であり、今後も漏れる危険がまったく排除されていない、と云うのが事実だと云う事だ。
極論すれば、レベルなぞ、どうでも良いのだ。 要は、炉心の破損や原子炉溶解で放射能を撒き散らす危険のある塊を冷やし続ける為の手立てが持続可能であるか、現実的かどうかの問題であり、御大層な「レベル評価」が炉心を冷やしたり、閉じ込めたりしてくれるわけではない。こんな評価基準は何らかの思惑で公表されるものであり、それ以上でも、それ以下でもない。
科学的根拠でいえば、IAEAやフランス、ロシアがチェルノブイリとは相当に違う福島原発事故である、と云う判断が妥当なのだと思う。チェルノブイリ並の大惨事に至っているとは、まったく思えない。7に向かう可能性はあるが、未来リスクを含めて評価と云うのは奇妙である。
これに対して、日本政府が一人相撲を取っているのかと思いきや、米原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長が上院の公聴会後の記者会見で「事故が深刻であることは明らかであり、決定に驚きはない」と発言している。この日米とIAEA・仏露の評価への温度差が何を意味するか、考える必要があるだろう。概ね日米対欧露と云う対立図式だ。
IAEAやフランスが原発推進国なのだから、今回の日本政府のレベル7評価に冷や水をかけられた、とみる向きもある。 しかし、IAEAや仏露だけが原発推進国なわけではなく、日米も同様に推進国である。つまり、フランス・ウクライナ・スウェーデン・韓国・ドイツ・日本・米国・ロシア等々、多くの国が原発推進国家なのだから、フランスやIAEAを引き合いに、原発推進勢力だから、レベル7評価に消極的だと云う論は成立しない。
昨日の拙ブログ【レベル7の引き上げの怪 「東電救済に税金を使え」経団連・米倉会長】で言及した、「レベル7」からの脱出に成功した日米の原子力研究者の勝利を劇場化している疑いの方が濃いのだ。既に、テレビは完全に「福島原発事故」が劇場化されている。原子炉の核心部分の処置がどうこうなる事に関する情報と云うより、枝葉末節とは言わないまでも、その準備段階の作業を、「大変だ!予断を許さない。しかし、***の献身的努力や原発技術者の頭脳により、問題を解決、確実に解決に向けて歩を進めている」と云ったサスペンス仕立てにした報道が目につく。
当然のことだが、そのような原発事故解決劇場を固唾を飲んで観ている、洗脳国民の多くが、ハラハラドキドキ、一つの危機を乗り越えるたびに安堵のため息をつく。しかし、番組製作者は、これでもかこれでもかと、次々と観衆を引き込む危機を演出する。まさに、福島原発事故解決サスペンス劇場と云う皮肉な筆者の見方を、封印する気にはなれない。
しかし、その最終的結果が、「レベル7」にまで至った福島原発を孤軍奮闘、4基共に見事に「冷温停止」に至らせた原発担当内閣総理菅直人の名声は高まる、と菅直人本人が思っている事は間違いない。勿論、名声が上がるとは思えないが、本人はそう思っているだろう。オバマ米国政権も、それで良いと思っているようだ。少々無理があるが、今さら原発反対運動に火がつくより好ましい事だ。相対的選択だと言えるだろう。心もとないが、菅と云う男とつき合うしかないと腹を括った感じだ。
WHOも「レベル7」への引き上げに異論は唱えないものの、現時点で新たな被曝リスク回避のあらたな措置は要らないと明言。つまりは、WHOとしては、レベル評価の埒外に居るので、その適格性に言及しないだけだと言っている。しかし、会見では「大量の放射性物質が飛び散る原子炉爆発も起きていない点を挙げ、事故評価が同じレベル7のチェルノブイリ原発のケースとは異なる」と説明している。
早い話が、何故か目茶苦茶に大袈裟な評価を下したと云う事だ。保安院が中心となりレベル評価を変えたのだろうが、菅直人と事前の打ち合わせなしに発表するわけもないので、レベルを7にしてしまった方が都合が良い、幾つかの思惑があったのであろう。
その一つに、東電の行く末を決定するであろう原子力損害賠償法(原賠法)を何事もなく適用するかどうかが、今後の重大な焦点でもある。昨日述べたように、徹底的に原子力損害賠償法(原賠法)適用一本槍で解決すべしの経済界に対し、菅政権がどのように対応するかも見物である。 レベル7と想定外が対になっている感じだ。流石に原子力損害賠償法(原賠法)だけで、東電救済の適用では、国民の受けが悪過ぎると考えたのか、以下のような新たな賠償も検討しているようだ。
しかし、このような賠償制度を作ろうと、見た目は電力各社の負担金増のように見えるのだが、借金返済の繰り延べを容認するようなものでもある。永遠にぐるぐる回すので、エンドレスに繰り延べが続く。つまり、体のイイ国家による電力会社救済である。手段が姑息になっただけだ。菅直人らしくてお似合いだ。(笑) また、特別会計を通して、エネルギー対策費として交付金を年間数千億円交付するのも政府の自在だし、ほとぼりが冷めたころ合いを見て、電力料金に反映させるも自由自在である。つまりは、国策エネルギー政策を、独占的民営化と云う奇妙な矛盾する電力政策させている現状は、半端にと云うか、裏取引の如く、電力と官僚と政治と経済界が癒着に繋がり、且つブラックボックス化している。
これをバサバサと切り刻める政治家はOZAWAだけだろうが、気合は入っているだろうか? “国破れて山河あり” “虎は死して皮を留め 人は死して名を残す” 解説も不要ですし、引用した意図の解説も語りますまい。
≪ 他の電力会社にも負担させる福島原発の賠償原案
東京電力の福島第一原子力発電所の事故による被災者に対する賠償策の原案が12日、明らかになった。 米スリーマイル島の原発事故の賠償制度を参考に、東電以外の電力各社も加わった「共済制度」の仕組みを創設する。各社には保有する原発1基あたり 300億~500億円の負担を求める案を軸に検討する。東電の負担額は2兆~3・8兆円とし、電力各社の支払い上限を超える部分は政府が全面支援する。賠償制度の実現に向け、政府は特別立法の制定も視野に入れる。
政府と東電は近く賠償案の本格検討に入る。原案では東電は同社の毎年の利益から1000億~2000億円を15年間払うほか、保有する原発17基 分の負担金5100億~8500億円程度を支払う。東電以外の電力各社も国内に37基の原発を保有しており、基数に応じて負担金を拠出する。電力9社の合 計は1・1兆~1・8兆円程度となる。≫(読売新聞)
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