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●ナショナリズムとグローバル経済は水と油 安倍晋三はどちらの意味も判っていない
グローバル経済とグローバル市場の認知は、多国籍企業などの無国籍度を加速している。アップルが税金の支払いを節税しようと、知的財産権をアイルランドの子会社に移転していた問題が米議会で追求されていたが、このような事態は今後も増え続けるに違いない。日本や米国、韓国の企業であろうと、株主の構成を分析すると、どこの国の起業か判別し難くなるのが現実だ。単に本社が日本、米国、韓国にあるに過ぎない事もある。
その企業が、その国内で従業員を雇い、生産していれば、それは株主の如何に関わらず、その国の企業と言えるかもしれない。しかし、製造の殆どを海外に移転してしまえば、どこの国の企業なのか、明確な識別は困難になる。韓国のサムソンが、破竹の勢いで世界制覇に望んでいる姿に、嫉妬の目を向ける日本人も多いが、コアとなる部品の多くは日本製と云う事を考えると、間接的に日本が世界制覇していると云う面も含まれることになる。また、サムソンは株主が外人だらけの韓国の金融機関から借り入れをしている訳だから、欧米の銀行株主の為に稼いでいる面もある。
上述は一つの例に過ぎず、グローバル経済下では、国籍が明確な企業は、限りなく少なくなる傾向を示している。つまり、国内の企業を応援することが「国益」だと単純に言えない時代になっている。ここ10年近くの日本の政治を見ていると、企業がグローバル化の傾向をどんどん加速していると云うのに、企業運営を後押しするのが、政府の務めであり「国益」だと思い込んでいる節がある。小泉、麻生、野田と無国籍の企業保護に躍起となっている。第二次の安倍政権も同様の流れで、企業の保護に熱心だ。
アベノミクスで評価出来るのは、株価を8割も上昇させ、気分を高揚させたことだけだ。後は、公共工事のバラマキ財政出動と寄せ集めのありきたりな成長政策をペーパー化するだけの事である。この自慢の株価上昇も、1,400円以上の大暴落以降、先行きには黒い雲が垂れこめている。安倍首相は、自ら国際セールスマンを自称しているようだが、早い話がODA(棒引き前提の資金援助)をバラマキに行っているだけで、売り込みに行っている訳ではない。彼が海外に飛ぶ度に。国富が失われてゆく、と考えた方が正確だ。朝日は、ミヤンマーでの、ODAバラマキを以下のように伝えている。
≪ ミャンマーへのODA倍増へ 首相、首脳会談で支援表明
【ネピドー=益満雄一郎、五十嵐誠】ミャンマー訪問中の安倍晋三首相は26日、首都ネピドーでテインセイン大統領と会談した。首相は910億円の政府の途上国援助(ODA)を今年度内に供与し、約5千億円の延滞債務すべてを解消する考えを表明した。両首脳は関係強化を盛り込んだ共同声明を発表した。
安倍首相は共同記者会見で、「民主化や法の支配の確立、経済改革、国民和解に取り組むミャンマーの国造りを日本一丸となって応援する」と表明した。テインセイン氏は「新しい支援を決めてくれたことに心から感謝する」と応じた。
首相は新たな円借款と無償資金協力などにより、ODAを910億円とほぼ倍増する考えを表明。ODAを呼び水に民間投資を促し、道路や通信、経済特区などのインフラ開発を進める一方、ビジネスに必要な法整備の支援にも乗り出す意向を伝えた。 両国間の延滞債務を解消する考えも伝えた。うち3千億円強はすでに免除や返済期限の繰り延べを決めている。昨年4月の首脳会談でミャンマーの改革努力を前提条件とすることで合意していた残りの2千億円弱について新たに免除する。
また、両首脳は安全保障の協力強化で一致。ミャンマーは来年の東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国。中国の海洋進出を念頭に防衛当局間の協力も進める。首相は対中関係については「戦略的互恵関係の原点に返ることが重要だ。常に対話のドアはオープンにしている」と説明。北朝鮮問題で日本人拉致問題、 核開発、ミサイル問題の包括的解決をめざす政府方針にも理解を求めた。 ≫(朝日新聞)
最近の政治を眺めていると、「国益」とは「企業の利益」と同義な感覚に襲われる。たしかに、日本経済、日本企業と云う歴然たる分類が可能な時代なら、護送船団方式も、それなりに理屈は通るだろう。しかし、ここまで企業がグローバル化されてゆくと、「国益」=「企業の利益」とは言えないわけだ。また、ODAの資金は国民の血税であるわけだが、謂わば、そのカネを企業への迂回補助金として回している、と見ることさえ出来るのだ。農家への戸別所得補償制度など可愛いものである。
安倍晋三の場合、最近では笑うセールスマン風になってきているが、欧米が注目するように、国家主義者、むしろ国粋主義に近い心情の持主なのは、つとに有名だ。ここが問題なのだ。つまり、ナショナリストとグローバル世界は相性が最悪の組み合わせなのだ。本来、安倍のナショナリズムが本物であるのなら、市場原理主義者を排除するのが理に適っている。しかし、彼の周りで経済を動かしている連中、スケジュール管理している連中は、殆どがグローバリストで市場原理主義者なのだから、意味不明である。筆者が理解するに、安倍晋三は、どちらついても、充分な知識と知見を持ち合わせずに、政治家になったようである。
蛇足だが、今週の株価や長期金利の推移も愉しみだ。そうそう、橋下の三百代言がガイジン連中に通じるかどうかも愉しみだ。ただ、朝日や毎日が、橋下の今日の日本外国特派員協会での記者会見で説明する見解を公表しているが、こんな長ったらしいものを、通訳を通して行えば、会見が時間切れになる可能性さえある。当然、質疑応答時間が確保できない事態も想定できる。言いわけ三昧に、外国特派員を利用したに過ぎず、質疑を回避しようと云う意味合いでの長さなのだろう。正々堂々と卑怯な心根を持った芸人である(笑)。
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