世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●21世紀、ユーラシアの時代 まず金融秩序への挑戦から

2015年04月01日 | 日記
慨世の遠吠え
クリエーター情報なし
鹿砦社


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●21世紀、ユーラシアの時代 まず金融秩序への挑戦から

以下の国際関係アナリストだと云う北野幸伯氏のコラムは時折読んでいるが、漸く考えを改めたようなので、今回初めて紹介する。今までのコラムを読む限り、ロシア関連情報に強い割には、反ロシアNPO陣営の西側プロパガンダに毒されている傾向の強く、反プーチン評論家だったので、筆者はシカトしていたが、事ことに及んで、視線の方向を変えた様なので、以下に紹介しておく。「プーチンの反逆」と云う言葉自体、プーチンを嫌いなのがよく判る。プーチン好みの筆者も、読後感は、同氏のコラムのあとで、短く述べておこう(笑)。

アメリカ一国主義の世界秩序に親和的な朝日新聞も、流石に酷いと思ったのか、世界の潮流とは言えないものの、底流に常に流れている「アメリカ抜きの世界」の影でも見たように、幾分論調を変えてきている。北野氏のコラムの前に一読しておいてもらおう。21世紀には、20世紀的「半身外交」は通用しないことを肝に銘じるべき時が来ているのだ。安倍の馬鹿は「大いに議論してほしい?」、こいつ何にも判っちゃいないんだね(笑)。知っている事は、金をばら撒き威張ったり、ネトウヨの気分を高揚させることしか出来ないが、最近は大仰な言葉の割に「尻つぼみ」が目立ってきた。


≪ アジア投資銀に48カ国・地域 日米抜き、戦略欠き孤立

 中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創立メンバーの募集が31日、締め切りの期日をむかえた。欧州や韓国がなだれを打って参加したことに、米国の孤立感は深まる。日本にとって、待つのが得か、動くのが得か。
  「米国のオウンゴールだ」。米民主党のベテラン議会スタッフはそう言った。
 米国の孤立は明らかだ。30日から31日にかけても、北欧からフィンランドにノルウェー、スウェーデンが次々と名乗りを上げ、台湾までも申請することを発表した。
 AIIBをめぐっては、米政府内では当初から様々な意見があった。だが、そうした意見を集約し、一貫した戦略を作った様子はうかがえない。元政府高官は「ホワイトハウスの数人の強硬派の意見が強く、財務省や国務省とうまく連携が取れていなかった」と指摘。ある米政府関係者も「最初の段階から、もっと前向きに対応すべきだった」と話す。
 米国はオーストラリアや韓国などに対し、参加の判断を慎重にするよう求めてきた。だが皮肉なことに、米国と最も緊密なはずの英国の参加表明で、主要国が堰(せき)を切ったように中国側に流れた。アジア開発銀行(ADB)関係者は「『一枚岩で対応しよう』と主要国を引っ張る姿勢が米国にみえなかった。AIIBという機関車に主要国が一緒に立ち向かうはずが、日米以外が直前に逃げ出した」と話す。
 AIIBを後押しした背景には、中国など新興国の発言権拡大を狙った国際通貨基金(IMF)の改革が、唯一の拒否権を持つ米国の議会の反発で進ん でいないことがある。2010年にまとまった改革案が通れば、中国の出資比率が6位から、米国、日本に次ぐ3位になるはずだった。
 米コンサルティング会社ユーラシア・グループのイアン・ブレマー氏は「中国主導の枠組み作りが成功すれば、米国主導の従来の国際秩序を弱体化させることにつながる」と指摘する。「問題は、中国が米国主導の従来の基準に追いつく前に大国になったことだ。長期的にみれば、自国の基準を変えなければならなくなるのは米国だろう」(ワシントン=五十嵐大介)

■加盟拡大、中国に制約も
 各国が雪崩を打つように参加表明した流れをつくった英国。英紙フィナンシャル・タイムズによると、当初、日米との関係に配慮する英外務省は反対していた。だが、オズボーン財務相が、商業的な利益が外交上の懸念にまさると閣僚らを説得したという。
 英国側が期待するのは、国際市場で増え続ける人民元取引を取り込むことだ。英王立国際問題研究所のロデリック・ワイ氏は「(金融街シティーがあ る)ロンドンの競争力につながるのも期待の一つだろう」とみる。ルクセンブルクなどとの、AIIBの欧州拠点の誘致合戦もささやかれる。
 新興国の代表格「BRICS」から参加したロシアは当初、中国の影響力が強まりすぎることへの警戒があった。だが、中国の突出した経済力は無視で きない。IMFや世界銀行が米欧主導になっていることへの不満も、共有している。中国が進める「シルクロード経済圏」構想に参加するためにも、AIIBに加わったという見方もある。
 思惑通りの展開に見える中国だが、「本当に難しいのはこれから」(国際金融筋)との声もある。参加国が増えればその分、中国の発言権は薄まるからだ。
 参加国には、銀行の運営に高い透明性を求め、中国の独走にブレーキをかける動きもある。オーストラリアは「理事会の権限が確保され、一国が銀行を 支配できないこと」を正式参加の条件とする。中国の楼継偉財務相は、運営の仕方について「西側の規則が最良とは思わない」と述べており、「中国流」の運営にこだわりをのぞかせる。(ロンドン=寺西和男、モスクワ=駒木明義、北京=斎藤徳彦)

■日本、米の動向を様子見
 31日午前、麻生太郎財務相は閣議後の会見で、AIIBへの参加について「極めて慎重な姿勢を取らざるを得ない」と述べ、改めて不参加の方針を示した。
 AIIBへの参加をめぐっては年明け以降、財務省のもとに、中国・米国双方から水面下で接触があった。中国側が参加を要請する一方、米国側は直接 的に不参加を求めてきたわけではないという。「別に要請はなかったが、『そうだよな』で(話は)終わった」(麻生財務相)という。
 財務省のある幹部は「米国とこじれると何をされるか分からない。それは避けたい」と明かす。中国の経済成長に伴い、米中は安全保障分野だけでな く、経済分野でも覇権を争う。その米国とたもとを分かち、日米で主導するADBのライバルのもとに走る選択肢はそもそも取りえなかった。
 政権は当面、参加表明国がAIIBの設立協定を結び、組織の運営や出資比率などが決まる6月末までは「様子見」の姿勢だ。不参加の場合、AIIB の融資を受けた案件の入札で日本企業が不利な扱いを受けかねない、との懸念もある。経済同友会の長谷川閑史代表幹事は31日の会見で「インフラビジネスが不利になることだけはないようにしていただきたい」と注文をつけた。
 米国が突然態度を翻して参加に転じ、日本がはしごを外されないとも限らない、との見方も政府内にはある。「米国が入るなら日本が入らない選択肢はない」(官邸幹部)と、「半身」の姿勢だ。
 安倍晋三首相は31日午前、自民党の外交部会の幹部に対し、AIIBに対する日本のスタンスについて「大いに活発に議論して欲しい」と指示したという。同日午後には官邸に財務省の山崎達雄財務官や浅川雅嗣国際局長らを呼んで話を聞いた。    
  ◇  
〈アジアインフラ投資銀行(AIIB)〉 中国が提唱し、今年12月末までの設立をめざしている。本部は北京に置き、拡大するアジアのインフラ需 要に対応することを目的にしている。昨年10月の設立覚書には中国やインド、東南アジアなどの21カ国が調印した。その後、英国やドイツなど欧州の主要な 国々も参加を表明。これまでに48カ国・地域が創立メンバーに手を挙げている。法定資本金は1千億ドル(約12兆円)で、出資比率は各国の経済規模などを もとに話し合うと言われている。4月中旬に創立メンバーが確定。5月ごろに設立協定策定の最終会合があり、6月末までに協定署名のための閣僚大臣会合が開かれる。 ≫(朝日新聞デジタル:ワシントン=五十嵐大介 ロンドン=寺西和男、モスクワ=駒木明義、北京=斎藤徳彦)


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≪ パワーシフト~欧州が米国を捨て、中国についた日

  AIIB参加に動いた欧州諸国の思惑
  3月12日、全世界に衝撃が走った。英国はこの日、米国の制止を振り切り、中国が主導する「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)への参加を表明したのだ。米国は、「もっとも緊密な同盟国」の「裏切り」に動揺した。しかし、それは「始まり」に過ぎなかった。

■欧州が米国を捨てて中国についた!
  歴史に見る世界のパワーバランスの変遷
 その後、英国に続いてドイツ、フランス、イタリア、スイス、ルクセンブルグが、続々とAIIBへの参加を決めたのだ。これは、「欧州が米国を捨て、中国についた」ことを意味する。
 中国への評価が極めて低い日本では、それほど重視されていないこの出来事。しかし、世界的には「歴史的大事件」といわれている。今回は、冷戦後の現代史を振り返りながら、世界のパワーバランスがどう変化してきたか見てみよう。

 1991年12月25日、ソ連が崩壊し、戦後長くつづいた「冷戦時代」「米ソ二極時代」は終わった。これは、米国による「一極時代」の到来を意味 していた。一方、欧州も新しい時代を迎えた。欧州は冷戦時代、西半分を米国に、東半分をソ連に支配されていた。しかし、ソ連崩壊で、西欧と東欧が一つになる道が開けたのだ。

  「怖い東の白熊(ソ連)の死」。これは、世界から欧州の脅威が消滅したことを意味する。つまり、もはや米国に守ってもらう必要はない。そして、欧州の指導者たちは、大きな野望を抱いた。「もう一度、欧州に覇権を取り戻そう!」。
 
 どうやって?著名なフランスの経済学者ジャック・アタリは、こう言っている。「通貨統合・政治の統一・東欧やトルコへのEC(=現在のEU)拡大。これらが実現できれば、欧州は二一世紀米国をしのぐ大国になれるだろう」。かつてのように欧州の一国だけで覇権をとることは、不可能。しかし、西欧と東欧が一体化し「一つの国」になれば、「米国から覇権を奪える」というのだ。

 ■イラク戦争を巡って米欧が対立
   その後、米国の標的はプーチン・ロシアに
 そして実際、欧州は着々と計画を実行していった。1999年1月1日、「ドル基軸通貨体制」を崩壊させる可能性のある通貨「ユーロ」が誕生した。

 衝撃は、さらに続く。2000年9月24日、イラクのフセイン大統領(当時)は、「石油代金として今後一切ドルは受け取らない」「今後は、ユーロで取引する」と宣言。そして、同年11月、実際に決済通貨をかえてしまった。
 
 フセインをそそのかしたのは、欧州覇権を目指したフランスのシラク大統領(当時)だったといわれている。米国は激怒し、「フセインはアルカイダを支援している」「大量破壊兵器を保有している」などとイチャモンをつけ、イラクを攻撃しようとした(米上院情報特別委員会は06年9月8日、イラク戦争に関する 報告書を発表。上記2つの理由は根拠がなかったことを公式に認めた)。

 フランスは、志を同じくするドイツ、そしてロシア、中国を巻き込み、国連安保理でイラク戦争に反対する。しかし、米国は、安保理を無視してイラク戦争を開始、フセイン政権を打倒した。

 毎日新聞06年4月17日付は、この一連の出来事についてこう報じている(太線筆者)。 <イラクの旧フセイン政権は〇〇年一一月に石油取引をドルからユーロに転換した。
 国連の人道支援「石油と食料の交換」計画もユーロで実施された。 米国は〇三年のイラク戦争後、石油取引をドルに戻した経過がある>

 イラク戦争を巡る「欧州の乱」をなんとか力技で平定した米国は、次にプーチン・ロシアを標的に選んだ。米ロは03年、「イラク問題」「ユコス問題」「グルジア・バラ革命」、04年「ウクライナ・オレンジ革命」、05年「キルギス・チューリップ革命」などで、ことごとく対立。原油高がつづきイケイケのプーチンは07年6月、「ドル体制をぶち壊して、ルーブルを世界通貨にする!」と宣言した。

<米露“破顔一笑” 「ルーブルを世界通貨に」プーチン大統領ますます強気 [サンクトペテルブルク=内藤泰朗]ロシアのプーチン大統領は10日、出身地サンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムで、同国の通貨ルーブルを世界的な基軸通貨とすることなどを提唱した。>(2007年6月12日産経新聞)
 結局、米ロ対立は、「実際の戦争」に発展する。 それが、08年8月に起こった「ロシア―グルジア戦争」である(03年の革命で政権についたサアカシビリ・グルジア大統領(当時)は、親米反ロ政治家として知られている。現在は、反ロ国ウクライナの大統領顧問を務める)。

 ■沈む米国、浮上する中国
   リーマンショックが一大転換期に
 幸いこの戦争は長つづきしなかった。翌月、「リーマンショック」から「100年に1度の大不況」が起こったからだ。世界的経済危機で、米国は沈ん だ。ロシアでは、「08年で一つの時代が終わり、09年から世界は新しい時代に突入した」といわれる。米国とロシアは和解し「再起動時代」が到来した。
 では、09年から世界は、どんな時代に入ったのだろうか?ロシアでは、「米一極時代が終わり、多極時代になった」という。そういう言い方もあるだろうが、世界では別の表現が流行した。そう、「G2時代」、つまり「米中時代」という言葉だ。

 中国は、世界的に景気が最悪だった09年、9%を超える成長を果たし、「ひとり勝ち」状態になった。同国のGDPは2010年、日本を越え世界2 位に浮上。現在は、すでに10兆ドルを超えたとされている。つまり、中国のGDPは、世界3位日本の2倍になっている(もちろん、統計上のウソを指摘する声もあるが)。

 そして、軍事費も米国に次いで2位。世界は、事実として、経済力(=GDP)、軍事費世界1の米国と2位の中国を軸に回っている。しかも、「衰退する米国」「浮上する中国」というトレンドがはっきり見える。残念ながら、これは厳然たる事実なのだ。

 ■英国の“裏切り”でシリア戦争を断念
   失墜した米国の威信
 このように、長期的に衰退の方向がはっきりしている米国。悪いことに、オバマ政権は、没落をますます加速させるような言動を繰り返している。たと えば、米国のバイデン副大統領は2013年8月27日、「シリアを攻撃する」と宣言した。理由は、シリアの独裁者アサドが、反アサド派に対し「化学兵器を 使用したから」。
 
 ところが、この根拠、イラク戦争時と同様「ウソ」だった可能性がある。こちらの記事を熟読していただきたい(太線筆者)。
<シリア反体制派がサリン使用か、国連調査官 AFP=時事2013年5月6日配信 【AFP=時事】シリア問題に関する国連調査委員会のカーラ・デルポンテ調査官は5日夜、シリアの反体制派が致死性の神経ガス「サリン」を使った可能性があると述べた。
 スイスのラジオ番組のインタビューでデルポンテ氏は、「われわれが収集した証言によると、反体制派が化学兵器を、サリンガスを使用した」とし、「新たな目撃証言を通じて調査をさらに掘り下げ、検証し、確証を得る必要があるが、これまでに確立されたところによれば、サリンガスを使っているのは反体制派だ」と述べた。>

 国連の調査によると、化学兵器を使ったのは、なんと「反アサド派」だというのだ。もちろん、アサドが化学兵器を使った可能性が全くないとはいえない。しかし米国は、この国連報告を完全に無視し、「アサド派だけが化学兵器を使った」と世界的プロパガンダを展開した。

 プーチンは、米国が「戦争宣言」をするずっと前から、「化学兵器を使ったのはアサドではなく、『反アサド派』のほうだ」とあちこちで語り、国際世 論に影響を与えてきた。そのせいか、バイデンが「シリア攻撃宣言」をしたわずか2日後の8月29日、英国は「シリア攻撃断念」の決定を下す。

 常に米国の戦争につき合ってきた英国の「裏切り」。世界では、「米英の『特別な関係』の終わりか?」と騒がれた。「誰も一緒に戦ってくれない」ことを悟ったオバマは同年9月10日、シリア攻撃を止める決定を下した。

■ウクライナ問題でも、米欧に亀裂
  欧州の本音は「米国にはつき合いきれない」
 シリア問題でバラバラになった米国と欧州は2014年3月、ロシアの「クリミア併合」によって、再度一体化する。米国は、欧州と日本を巻き込み、「対ロシア制裁」を強化しつづけている。一方で中国はロシア側についたので、世界の対立構造は「欧米日 対 中ロ」になった。

 ところが、強固にみえる米国と欧州の結束に、ほころびが見えている。
 政府軍と「親ロシア派」の内戦状態にあるウクライナ。昨年9月の停戦が(予想通り)破られた後、今年2月11日に、二度目の停戦合意が実現した。これを仲介したのが、ロシア、ドイツ、フランスである。なぜドイツとフランスは、ウクライナの停戦を望んだのか?

 答えは、米国が「ウクライナに殺傷能力のある武器を提供する」方針を示したこと。米国が最新の武器を提供すれば、ウクライナ軍は強くなるだろう。すると、ロシアはバランスをとるために親ロシア派に武器を渡し、戦いはどんどんエスカレートしていく。そして最終的に、ロシアと欧米NATO軍の戦争に発展しかねない。

 しかし、戦場になるのは米国ではなく欧州である。それで、いままでオバマに従ってきたドイツとフランスは、慌てて和平に動いたのだ。「停戦合意」直前の2月9日、メルケル首相はワシントンでオバマと会談している。ここでも、「好戦的な米国」「停戦を求めるドイツ」という考えの違いが明らかになった。
  <ウクライナ>政府軍に武器供与検討 米大統領、独首相に毎日新聞 2月10日 (火)11時37分配信【ワシントン和田浩明】オバマ米大統領は9日、ホワイトハウスでドイツのメルケル首相と会談した後に共同記者会見し、ウクライナ東部で支配地域を広げる親ロシア派武装勢力に対する政府軍の防衛力強化を支援するため、殺傷能力のある武器の供与を検討中だと明言した。

 このように、欧州では、「米国に従っていると、また欧州が戦場になりかねない」「つきあってられない」というムードがひろがりつつある。

 ■英国は米国の要請を一蹴
 「AIIB」に走った欧州の思惑は?
 ここまで、米国衰退の長期的流れと、それを加速させるオバマ政権の失策について見てきた。その結果が今回の「AIIB事件」である。

 AIIBは、習近平が2013年10月に設立を提唱した。表向きの目的は、「アジアのインフラを整備すること」である。アジア、中央アジア、中東 など、すでに31ヵ国が参加を表明している。インド、ベトナム、フィリピンなど、中国と領土問題を抱える国々も参加していることに注目する必要がある。

 しかし、一番の問題は、「親米」であるはずの欧州諸国の動きだ。既述のように、既に英国、ドイツ、フランス、イタリア、スイス、ルクセンブルグが参加を表明している。しかも、「米国の制止を無視して」だ。

 ロイター3月24日付に、「AIIB問題で欧米に亀裂、中国「小切手外交」の勝利か」という非常に興味深い記事がある。
 少し抜粋してみよう。 <いち早く参加を表明した英国のオズボーン財務相は議会で行った演説で、AIIBが英国に もたらす事業機会を強調した。「われわれは、西側の主要国として初めてAIIBの創設メンバーに加わることを決定した。新たな国際機関の創設の場に存在すべきだと考えたからだ」と述べた。この演説の前には、ルー米財務長官が電話で参加を控えるようオズボーン財務相に求めていた。>
 米国のルー財務長官の要請を、英国が「一蹴した」ことがはっきり書かれている。つまり欧州諸国は、中国の影響力拡大を阻止したい米国よりも、アジアへのインフラ投資による「儲け」を重視した。米国のパワーが衰えを象徴するできごとである。

  <中国国営の新華社は論評で「ドイツ、フランス、イタリア、そして主要7ヵ国(G7)のメンバーで米国の長年の同盟国でもある英国の加盟は、米国が掲げる『反AIIB』の動きに決定的な亀裂を生じさせた」とし、「負け惜しみは米国を孤立させ、偽善的にみせる」と批判した。>(同上)

 ここまでで、「米国の衰退は長期的トレンド」であること、そして「オバマ政権の失策が没落を加速させていること」をご理解いただけただろう。

 世界における「パワーシフト」は確実に起こっている(一方で、中国経済の成長率は年々鈍化し、外資が逃げ出しているという現実も確かにある。実際、この国の経済的繁栄は「終焉間近」という意見が多い)。

 そして問題なのは、すでに十分強力なこの大国が、「きわめて反日的である」という事実なのだ。日本は、「米国の衰退」と「中国の浮上」という現実をしっかり認識し、行くべき道を慎重に見極める必要がある。 ≫(ダイアモンドONLINE:国際―ロシアから見た「正義」・反逆者プーチンの挑戦・北野幸伯)

 
以前のコラムに比べ、随分と時代の流れを組み入れたコラムに出来上がっている。ただ、同氏が、コラムニストとして、このような世界の大きな枠組みで、コラムを書いた視点はなかったのに、変わった。つまり、それほど、中国のAIIB構想は、アメリカにとって、破壊力のあるものと云うことだ。英国はじめ欧州各国が雪崩を打ったのは、実利もさることながら、唯我独尊、アメリカの国益のみで、Wスタンダード世界制覇につき合うのにウンザリ、もう沢山だと云う意思表示の一種である。

この国際アナリストはオバマ嫌いのようだが、今のアメリカでは、誰が大統領になろうと、五十歩百歩。その凋落を止めることは不可能だ。21世紀の世界は、痩せても枯れても、世界一の飛び抜けた軍事力を抱えた軍産複合体の勢力を静かにさせるかが問題であって、経済に見るべきものは少ない。知財の優位性も、一国主義で包括的な網をかけ、有利な戦いの場を作ってきたのだから、その網が外されれば、たいして相対的に強いわけでもない。ただ、それでも大国には違いないのだから、大人しく衰退してくれることを祈ると云うか、ジワジワ知らせ、内向き国家になって貰うことである。

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1 コメント

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世界はEU圏が (おじん)
2015-04-01 08:59:40
10年後、経済は、「EU」が支配。
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