世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●アメリカンデモクラシーの大矛盾 癌細胞摘出手術で全身くまなく癌転移

2014年06月18日 | 日記
アメリカン・デモクラシーの逆説 (岩波新書)
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●アメリカンデモクラシーの大矛盾 癌細胞摘出手術で全身くまなく癌転移

 安倍という「ド!阿呆」の口癖になっている「普遍的価値」と云う言葉、現状の世界情勢を目の当りにしたら、わずかに知性と云うものを持ち得ているなら、到底口には出せない用語である。にもかかわらず、この恥ずかしながら、わが国の内閣総理大臣は、パトリオットミサイルのように連発し、なんら恥じることがない。

 安倍が面従腹背であろうがなかろうが、アメリカ政府の泥縄型の外人部隊再編再構築の罠に、事実上嵌っているのが現実だ。オバマ政権も外交防衛で事実上イニシアティブを失い、ネオコン勢力の矛盾軍事作戦の計画に嵌りこんでしまったようだ。覇権国であるべき、アメリカンの内部が、世界の潮流「カオス」の真っただ中にあり、国内行政力は死守しているものの、国外政策は、完全に破たんしている。しかし、オバマは、ネオコンらが跋扈し、オバマの主張に泥を塗りながら闊歩する状況を追認せざるを得ない立場に追いやられているようである。ここで、オバマがネオコンら好戦族を公に批難すれば、アメリカ自体がなせん模様にならないとも限らず、追認外交に終始している。

 日本に対する米国の外交姿勢などは、まだ負の部分が顕在化していないので、ここで多くの想定問答を繰り広げても、為にする議論になる可能性が高いのやめておくが、イラク・フセインのクウェート侵攻・湾岸戦争以降のアメリカ外交軍事戦略には、どこをどのようにほじくり返しても「普遍的価値(自由と民主主義)」の欠片を見つけることは不可能だ。しかし、安倍は世界中を物見遊山漫遊で豪遊し、この欠片もなくなった米国の「普遍的価値」を連発している。

 まぁ、安倍の外交など、ほぼ論評に値しないので放置しておこう。己が信じる理念と云うか、願望を大声で口走り、最終的には官僚どもの浅知恵の範囲で決着させる「隅田川政治」の顛末に、貴重な時間を割く必要はない。多少割く価値があるのは、唯一の覇権国家らしい、アメリカの論理性のなさの方だろう。前述したように、ホワイトハウスと国務・国防省・CIA・FBIなどの意思疎通がまったくなされていないようにさえ見えてくる。このような覇権的国家のカオスは非常に問題だ。暴力装置が確固たる意図なく、その暴力や陰謀を実行してしまうのだから、キチガイに刃物状態に近いのである。

 フセインが1990年、クウェート侵攻・湾岸戦争に至った経緯が、アメリカと云う国が世界を混沌に引きずり込んだ発端のように思える。勿論、専門筋の解釈ではなく、事実関係だけを追っかけてみれば、と云うことで、遠因はもっと複雑だろうが、考えないことにする(笑)。その11年後、2001年の9月に「アメリカ同時多発テロ事件」が起きた。起きたのか、起こしたのか、その議論も極めて重要なことだが、ここでは敢えて起きたことにしておこう。そうして、この事件のテロ実行がビン・ラーディンのアルカイダによって引き起こされたと云うのが、専らの通説である。

 その後のアメリカでは、「対テロ戦争」と云う美名の下に、あらゆる思惑がらみな勢力が軒を連ね、イラクもイランも北朝鮮も、一束に「悪の枢軸国」とジョージ・W・ブッシュ大統領に言わしめた。911事件後、イラク国営放送が「アメリカのカウボーイがこれまで犯してきた人道への犯罪に対する果実だ」と謂わば正論を吐いたのだが、この論評が、何らかの事情で起きた「アメリカ同時多発テロ事件」で傷を負ったブッシュ?米国民?の怒りを買い、大量破壊兵器を持っているに違いないと云う根拠なき理由で、ビン・ラーディン=アルカイダ(テロ軍団)=イラク・フセイン大統領と云う「対テロ戦争」欧米メディア中心のプロパガンダ下、イラク戦争が一方的にはじめられた。

 結局、多勢で無勢な一方的戦争の対象国家となり、悪漢・フセイン大統領は、アメリカが主張する正義のために殺害された。フセイン・バース党が束ねていた群雄割拠のイラクと云う国家に腕を突っ込み、イスラエルの宿敵を妥当し、軍産複合勢力の懐を潤したわけだが、公式なアメリカ政府の「対テロ戦争」は、盲腸に出来た癌細胞を摘出する手術を施術した結果、全身にくまなく癌細胞を撒き散らす重大な問題を惹起した。この癌細胞は、血液やリンパ液を通じて、各所に点在し、孤立し無力感に囚われていた少数民族や、民族意識に火をつける重大事を惹き起こしている。

 アメリカン・デモクラシーと云う、デモクラシーもどきな価値観を「普遍的価値」などと、口にすること自体が無教養なのである。フセイン、ビン・ラーデインを抹殺して、なにが改善したのか?筆者にも、改善どころか、より一層の混迷を創出しただけにしかい見えない。凶暴と言われるアフリカ象でさえ、自分の死期を知った時点で、群から去る知恵(習性)を持っている。アメリカと云う20世紀のマンモスには、アフリカ象の知恵すらもないのだろうか。一切の歴史もなく、ネイティブ・アメリカンを駆逐し、移民で成り立つ人工国家がユダヤ人の金と浅知恵に翻弄され、とどのつまり、世界中に癌細胞を撒き散らしているのだから、無力感に襲われても、不思議はない。

 「対テロ戦争」とかデリバティブ取引とか、無いものを在るかのように見せる金融資本主義が如何に愚かで、人間性を失った暴走であるのか、世界の知性は強く警鐘を鳴らし、死期の近づいたマンモスをホスピスに入院させ、静かな余生を送らせる努力を惜しんではならない。まだ、合衆国の解体によっては、幾つかの州が国家となり、南米大陸のように生きながらえる選択も残っている。もうアメリカには、マネーに対抗出来る人々はいなくなったのだろうか?嗚呼、こんなコラムを書くと、酷く疲れる。最後になったが、筆者の見方とは180度異なり、アメリカの普遍性に土下座した朝日新聞の社説を洒落で掲載しておく。


 ≪(社説)イラク緊迫 分裂の回避へ全力を
 中東のイラクが、またも内乱の危機に直面している。
 政権をにぎるイスラム教シーア派に対し、スンニ派の武装組織が争いを挑んでいる。  混乱のなか、クルド人勢力も油田都市の掌握に動き始めた。
 国家の分裂を食い止めるにはどうすればいいのか。米国はじめ国際社会は早急に行動を起こさねばならない。
 武装組織は、国際テロ組織アルカイダ系の過激派である。国内第2の都市モスルを瞬く間に制圧し、さらに首都バグダッドをめざし南下している。
 マリキ首相率いるイラク政府は空爆などで反撃を始めた。
 問題の根深さをうかがわせるのは、現地から報じられる避難民の声である。
 モスルから50万人が逃げ出したが、その多くが恐れるのは、必ずしも武装組織ではなく、むしろ政府軍の反撃だという。
 スンニ派が多い都市や地域では、政府軍は「シーア派軍」としか見られていない。武装組織が地元にすんなり受け入れられた土壌もそこにある。
 それは、この8年間、政権を担っているマリキ氏が自らのシーア派優遇に走り、国民の統合に失敗したツケといえる。
 内戦に手を焼いた米軍が悟った教訓は、スンニ派の協力なしに国の安定はないことだ。
 奪われた都市を力で奪い返すだけでは、また報復の連鎖に陥りかねない。マリキ政権は、穏健なスンニ派との融和策を打ち出し、どの宗派も共生できる国家像を示さねばならない。
 一方、いまのイラクの混乱は、となりのシリアから伝染した病理ともいえる。
 3年以上にわたる内戦で、アルカイダ系組織はシリアに広い支配地域を得た。そこで武器や財力を蓄えた末に、イラクへも版図を広げようとしている。
 戦乱を放置すれば、荒廃はやがて地球規模で飛び火する。アフガニスタンで犯した過ちを国際社会は再び繰り返すのか。
 それを防ぐ最大の責任は米国にあることは言うまでもない。大義のない戦争でイラク社会と中東の秩序を一変させた混沌(こんとん)が今も尾を引いているのである。
 米軍がイラクを撤退して2年半。この間、オバマ政権は中東への関与からほとんど手を引いてきたが、このまま傍観を続けるようであれば、大国のご都合主義のそしりを免れない。
 イラクの治安回復とシリアの停戦に向け、米国は本腰を入れるべきだ。国連やアラブ諸国、イランなどとも協調し、中東情勢のこれ以上の流動化を止めなくてはならない。 ≫(朝日新聞デジタル:2014.6.16社説)

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