世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

自民党政権公約を読む 安倍政権の皮算用 “自公+維新” を企てている

2012年11月22日 | 日記
小沢でなければ日本は滅ぶ 「政治の悪霊」と戦い続ける男
クリエーター情報なし
イースト・プレス


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自民党政権公約を読む 安倍政権の皮算用 “自公+維新” を企てている

 安倍自民党が政権公約をまとめたようだ。一回読むと、成る程と云う感じにもなる。二度読むと、随分腰の引けた公約だよな~と思う。三度読むと、こりゃ駄目だ、「なにもしません、出来ません」と言っているだけだと気づく(笑)。全方位の支持を取り付けようと云う心根が露わになった、娼婦のような“つくり笑顔”を彷彿とさせる公約となってしまった。右派政治家の風上にも置けない変節である。又、このような腰砕け公約を臆面もなく公表した舞台裏は、維新の会を意識した布石と読み解くのが妥当だろう。維新も“船中八策”から大幅に変節し、安倍自民との親和性に配慮している。

 どうも通り相場になっている自公民+維新の枠組みから、民主党排除の可能性が強くなった、安倍自民党の政権公約だと思われる。現在の民主党内閣が幾ら松下政経塾出身者主体だとしても、強力な支持母体である“連合”を足蹴にするわけには行かない。変節が著しい連合だとは言っても、流石に安倍自民党の政権公約を目の当たりにして、連立も可なりとは行かないであろう。結論から先にいえば、自民党と維新の連立は本決まりのような按配だ。公明にもウィングは拡げているが、維新の伸び一つで決める腹だろう。公明も自民党や維新の裏切りがあるかないか、注意深く観察しながら、両睨み半身で衆議院選を戦うことになりそうだ。

 安倍晋三よりも、維新の代表・石原と云う似非右派の方が右派らしい言説を垂れ流している。「シナになめられ、アメリカの妾で甘んじてきたこの日本を、もうちょっと美しい、したたかな国に仕立て直さなかったら私は死んでも死にきれない。だから老人ながら暴走すると決めた」等と言っているようだが、“オマエこそが言行不一致の、米国戦争屋ヘリテージ財団の妾じゃねえのかよ!”とついつい品のない言葉づかいをしたくなる。橋本に至っては衆議院選に関し「惨敗したら、もうこういう挑戦はやめる。2度も3度もできない」、「カネもなく、力もなく、組織もなく、看板もない。そんな日本維新の会が国政に挑む。皆さんの力だけで、我々は這い上がっていく」等と、唯一風頼りだと白状している。それはそうだろう、あれだけ“船中八策”をズタズタにしたのだから、維新などと云う名前を汚しただけのお騒がせ政党に過ぎない。

 まぁ維新の会はデタラメ新党であり、マスメディアが空想で産みだした政党であり、そこに“架空の風”を吹きかけたのだから、最終的に、胡散霧消が落ち着きどころである。ただ、有権者の中に、この“架空の風”に惑わされる者が多くいるのか、いないのかと云う丁半勝負の世界であり、正直、筆者も賽の目がどちらに転ぶのか、見当がつかない。何故なら、日本人の政治への関心と理解力が、どの程度なのか定かではない為である。マスメディアの世論調査の維新の会への支持率のバラツキを見る限り、“架空の風”が実態として吹いているかどうか定めかねている様に見える。おそらくマスメディアは、野田の電撃的年内解散で、ダメージを受けた小沢一郎と云う評価だが、最もダメージを受けたのは橋下の維新の会である。150議席確保の勢いから、50議席そこそこに変わり、2週間後は20議席と云う最終の読みになる可能性が出てきた。

  このマスメディアが面白半分に作り上げた“架空の風”の罠に嵌ったのが、維新に参加した前衆議院議員である。まぁ彼らは一応、国会議員だったのだから自己責任の範囲であり、好きに落選すれば良いだけのことだ。しかし、なけなしの預貯金を吐き出す“架空の風”に踊ってしまった素人集団は、供託金まで没収され、その後の人生設計まで狂わせる結果になると思うと、些か気の毒でもある。

 そうそう、安倍自民の政権公約の話だが、一つとして実現可能な公約がないと云うか、ピント外れと云うか、「なにもしません、出来ません」風味の政権公約である点を指摘しておこう。先ず経済成長重視は良いとして、その打開策が無茶苦茶である。マイナス成長が証明されている日本経済を名目3%成長させると云う嘘八百には驚かされる。あの破竹の勢いだった中国経済も失速気味で、5%成長に接近していると云うのに、失われた30年近い日本の経済構造で、3%成長と云う目標は荒唐無稽と云うものだ。そこに、産業構造改革など、明確な構造変革のビジョンが示されれば、それを無碍に否定は出来ないが、今まで同様の産業構造を抱えて、30年間出来なかった事が出来ると云う神経が信じられない。多分、何ひとつ経済のことが判らないのだろう。

 TPPに対する姿勢も笑わせてくれる。経団連のご機嫌取りと“維新連携”が視野にある為に、ドデカイ但し書き付きでTPP参加を容認している。TPPの原理原則を根本的に無視して、TPP参加容認だと云う。“聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加に反対する”以上、それは原則“反対”と云うことなのだ(笑)。数値目標は受け入れない、皆保険は守る、食の安全は守る、政府調達・金融は日本の特性を堅持する。つまり、反対だと言っている。ただ、経団連、維新との辻褄合わせとして、“TPP参加容認”と云う文言を挿入したに過ぎない。

 大胆な金融政策で、日銀を怒らせてしまった安倍は日銀法改正から“日銀法改正を視野に”とトーンダウン。財務省OBが日銀総裁になったと、時間軸の勘違いに気づいたようである(笑)。しかし、金融緩和に軸足を置いた経済浮揚政策は、過去30年間一日の如く行われていた訳で、もう一国の金融政策で経済浮揚のカンフル剤にすらならないことは証明済みである。FRB自体もお手あげなのが現実だ。本来、産業構造改革を主張しない事には、根本的に日本の経済の浮揚はないのだが、リアルな経済を動かしているのが、既存の産業であり、その産業ではない異種の産業が、日本経済の中心に据えるべき、と云う主張は、実は政党政治では、無理な注文でもあるのだ。ここが政治の難しいところだ。既存の産業の基礎票がないと落選する。しかし、その産業に頼る構造では国家経済の浮揚はない。

 このジレンマは、全政党に言える。この産業構造改革を主張する政党は正論を語っているのだが、多くの候補が落選する事を自明としている政党と云う皮肉も含まれる(笑)。自然発生的に国民の間に、どうも産業構造を変えない限り、少子高齢化の課題も解決しないし、経済が活性化するわけがないと云う「空気感」が生まれるまで、政党がこれを主張するのは難しいということだ。安倍自民の公約には、その他に尖閣諸島への警察又は海保の常駐を検討とか、教育改革を唱えるが、無視して良い公約だろう(笑)。

 原発政策も玉虫色で、原発をどのようにするか、福島の放射能汚染された国土をどう処理するのか、発電構成を御用学者お得意の“ベストミックス”でお茶を濁し、公約らしい約束をまったくしていない。TPPも有耶無耶だ。出来ることしか書かないじゃなく、なにも出来ないけど勢いで勝つだろう。そんな心根丸出し、あいかわらずの自民党体質丸出し政権公約となった。集団的自衛権行使が可能な憲法解釈変更とか、国防予算の拡充とか、日教組と全面対決とか、勇ましい言葉も羅列されているが、石原の加わった維新との連立が視野だと判るだけで、公明党との連立は反故にしそうな勢いになっている。公明党も石原慎太郎を咥えこんだ維新は想像していなかったに違いない。

  安倍自民党の今回の右傾化が鮮明な政権公約は、“似非男文化”を看板とする“障子破り石原慎太郎”との波長整合性に力点が置かれてところが注目だ。この辺は、前述の“架空の風”の誘いに乗ってしまった前衆議院議員同様、安倍自民が、マスメディアが創作した、橋下と石原の“架空の風”に惑わされ、堅固な支持母体を持つ公明党を袖にする危険な賭けに出たようにも解釈できる。まぁ公明党は、自民が政権を取れそうなら騙されたフリをするだろうが、形勢逆転となれば、あっさり安倍自民を見限ることになるだろう。

 あまり自民党の話をしてもつまらないので、その他のことも少し話しておこう。先ずは、東京都知事選の話だ。生活が遅まきながら宇都宮支持を表明した。宇都宮と仙谷の関係密が幾分引っ掛かっていたので、多少の躊躇いは理解できるが、あれだけ反原発で旗幟を鮮明にする宇都宮を支持する以外選択はなかったと思われる。現時点で、独自候補は無理なのだから、妥当な線と言える。猪瀬も出馬表明したので、石原都政継続の容認か否かの選択となった。個人的には、衆議院選よりも面白い感じもする。松沢・笹川その他は番外地、猪瀬と宇都宮の実質的一騎打ちと見る事が出来る。

 鳩山由紀夫が政治の一線を退き、第三の人生を歩むと宣言した。もう引退以外の選択はなかっただろうから、それで鳩山は良いだろう。しかし、政党の資金を振り回し、強権統制する民主党と云う政党は何なのだろう。未だに、赤い奴や黒い奴、日和見な奴がとぐろを巻いているのに、政策への反対を認めないとは、どこに自由主義が生き残る隙間があるのか?それでいて自由主義・市場原理主義を標榜するのだから、どうにも判らない。安倍自民以上に不条理な政党になったものである。日教組とパナソニックが同じ飯を食べている、これは如何に?である(笑)。その頂点にいる男は、故永田議員を見殺しにし、党創設者を追い出したのだから、“人”と言わず、何と呼べばいいのだろう?その男が内閣総理大臣だと云うのだから、げに怖ろしき日本の政治であり、民主党と云う政党の存在である。おそらく、1年程度で右派と左派に分裂するのではなかろうか。

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