世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●資本主義迷走 投資家優等生・バフェット氏の苦境が示すもの

2019年02月26日 | 日記

●資本主義迷走 投資家優等生・バフェット氏の苦境が示すもの

日経がさらりと書いた記事が気になった。

資本主義の投資家とは、企業の価値を、現在の利益と将来展望を見定め、積極的に投資をしていくのが、いわゆる資本主義の投資家だ。

しかし、金融資本主義の投資家は、株式の時価総額評価で、投資基準を決定しているため、“今だけ金だけ自分だけ”と云う経営者を生む素地があり、到底、企業の存続や、授業員の生活や、地元への貢献度など目もくれない状況を呈する結果を生んでいる。

著名なヘッジファンドなども解散しているようだが、彼らでさえ追いつかない強大なマネーが、世界を駆け巡り、何の目的で、誰が誰の為に企業経営をしているか、正確に答えられる者はいなくなりつつある世の中になったようだ。

企業経営者は、あまりにも潤沢な資金と云う毒が回り、企業の本来の価値である純利益の変動に鈍感になり、ストックオプション制度の影響なのか、自社の株式の価格を上昇させることに尽力する。

企業の業況に応じ、適切な純利益を出せているかどうかへの、関心が酷く薄れ、企業経営者の仕事が、本業を疎かにしたマネーゲームに取り込まれているきらいは否めない。

このカネ余りと云う状況を、世界に強くもたらしているのが、わが国の日銀の異次元緩和であることは決定的だ。

米・EUもそれなりに金融緩和、溢れるマネーに貢献してきたが、手じまいの方向に向かっているが、黒田日銀だけは、引き締めの意志を示そうとしていない。

これはひとえに、ファシズム的手法で政治的に日銀を動かそうと云う、安倍政権の新自由主義的考えの所為だが、政府と日銀が一体化することは、極めて危険な行為で、いつの日か破綻することは目に見えている。

溢れるマネーに溺れてしまった企業に出来ることは、内部留保を貯めこんで、ファシズム政権が破綻する時の為の生き残りの資金にしようと考えているのは当然だ。

マネーというものは、実に不思議だが、世界最大の機関投資家が、日本のGPIFであるとか、銀行や郵貯に貯金している金も、世界中を駆け巡るマネーになっていることだ。

つまり、我々がマネーの一部だと云う認識を持つ者はわずかだが、マネーの正体というものは、摩訶不思議な正体不明の悪魔のような存在なのだ。

このようになったモンスターのようなマネーは制御不能であり、出来ることは、蛇口を締めるしか、方法はない。

バフェット氏の場合、自分自身の年齢の問題など、個人的理由もあるかもしれないが、構造的に、同氏のような正攻法の投資手法が意味を持たない瀬かになったと云うことだ。

バフェッ氏が古臭いと云う意味ではなく、既に我々が学んだ資本主義は終わっていると云うことなのだ。

ゆえにとは言わないが、資本の原理や、企業の原理が通用しない世の中になってしまったことを意味している。

ここまで来ると、プチ経済学者・竹中平蔵レベルでは、対応すること能わずになる。

その所為かどうか判らないが、アベノミクスの破綻を目して、生活保護水準の“ベーシックインカム”などに言及している。

こういう発言を、エクスキューズ発言という。

いずれにせよ、資本主義の資本と金融マネー(金融資本)は相対的関係にあったが、いま現在、マネーの一方的勝利になっている。

やはり、この状況を脱するためには、破綻するしか、とめる手立てはないのかもしれない。


 ≪バフェット氏、封じられた大型買収 カネ余り価格高騰 手元資金12兆円、株主還元にカジ
【ニューヨーク=宮本岳則】
米投資会社バークシャー・ハザウェイを率いる著名投資家ウォーレン・バフェット氏(88)が毎年恒例の「株主への手紙」を公表した。カネ余りによる価格高騰を受け、大型M&A(合併・買収)に慎重な姿勢を示した。約12兆円に膨らんだ手元資金の一部は株主に返す方針だ。バフェット氏の苦境は、割安な企業を探す投資家の受難の象徴でもある。


 
バフェット氏は長期的に有望な会社は値段が高過ぎて買えないという=ロイター


「長期の展望があるビジネスを買うには価格があまりにも高すぎる」
 
株主への手紙は1年に1度、公開される。保険や鉄道、エネルギー関連など大型M&Aで長期の成長を遂げてきたバークシャー。時価総額は約5000億ドルと世界で5本の指に入る。
 
市場の関心は手元資金の使い道だ。バフェット氏は16年に米金属部品メーカーを320億ドルで買収して以来、大型買収から遠ざかっている。今回の手紙でも「永久に保有できるビジネスに余剰資金を使いたいが、展望は明るいとはいえない」と慎重な言葉が並んだ。
 
買収価格の高騰はカネ余りの産物だ。競合する買収ファンドや事業会社が低金利を受けて多額の資金を借り入れ、大型買収に動く。膨張するマネーが、企業の本源的な価値を超える水準まで買収価格を押し上げてきた。

バフェット氏のようなバリュー投資家は、個別の調査を通じて割安に放置された企業を買収したり、株式の一部を購入したりしてきた。だがカネ余りで多くの企業の株価が上がり、有望な投資先を探すのが困難になっている。昨年は有力なヘッジファンドがいくつか閉鎖になるなど、投資家の受難は深まるばかりだ。

「自社株買いを数年かけて大規模に実施することになるだろう」

バークシャーでは近年、手元資金を買収にいかせず、株主の視線が厳しさを増している。バフェット氏は昨年に方針を転換すると、18年7~9月期に9億ドル、10~12月期に4億ドル分の自社株を購入した。自社株買いの強化はバフェット氏の手詰まりを映す。

「すべての国が繁栄すれば米国はもっと豊かになるだろう。私たちは海外での大型投資を望んでいる」 :バフェット氏は名指しを避けながらも、トランプ米大統領の政治姿勢や「米国第一主義」を暗に批判した。バークシャーの成功は米国経済の成長のおかげとしたうえで、「米企業や個人が『自分だけでなし遂げた』と主張するのは傲慢だ」とも指摘した。

「新しい時価評価は純利益に気まぐれで、荒っぽい変動をもたらす」 バークシャーが同時に発表した18年10~12月期決算は最終損益が253億ドルの赤字だった。前年同期の325億ドルの黒字から一転して赤字に転落した。

米国では17年12月以降に始まる会計年度から、企業が保有する上場株の評価損益を純利益に反映させる会計基準が適用された。米会計基準のトヨタ自動車は持ち合い株の評価損などで、19年3月期通期の純利益予想を引き下げた。 

 


バークシャーは投資目的で米アップルや米コカ・コーラなど上場株を約1727億ドル(18年12月末時点)保有する。昨年10~12月期は世界景気の減速懸念で投資先企業の株安が直撃した。この評価損で276億ドルを計上し、巨額赤字を招く主因になった。

過去の買収先の不振も業績を下押しした。バフェット氏は主に米食品大手クラフト・ハインツへの投資で30億ドルの減損損失が発生したと明かした。「クラフト」の商標など一部無形資産で減損処理を迫られたためだ。

同社にはバフェット氏の後継者候補の一人とされる人物を取締役として送り込んでいる。バフェット氏の目利き力に疑問符が付けば、「投資より還元」の圧力が強まりそうだ。

一方、保険やエネルギーなど傘下の事業会社の動向を映す同期間の営業利益は前年同期より71%増えた。バフェット氏はかねて保有株の時価評価に懐疑的で、手紙でも「営業利益に注目してほしい」と株主に訴えた。
 ≫(日本経済新聞)


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