世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

安倍の“積極的平和主義”は米軍追随で理解容易 小沢の“自立と共生”は難しい

2013年10月19日 | 日記

 

パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い (講談社文庫)
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●安倍の“積極的平和主義”は米軍追随で理解容易 小沢の“自立と共生”は難しい

 安倍首相の臨時国会における「所信表明演説」は、NHK他のマスメディアが国民を“勘違い情報”に導き、プロパガンダ報道が着実に定着したものを拾いだして羅列、演説文に作り上げていた。全体に流れている精神は、プロパガンダ報道で定着に成功し、国民の多くが“都合のいい勘違い”をしている事項を掻き集めて、所信に替えて語っていた。全体としては、マスメディアが既に報道し、誤誘導の効果が出ているものを主体に構成しているので、印象的には間違いだらけの所信には思えないのが味噌である。

 ただ、旗色が必ずしも明確になっていない項目は、オマケで語っているだけで、時にはスル―した重要項目も存在する。安倍晋三が世界を俯瞰的に駆けずり回ったそうだが、金をバラ撒くシーンは数限りなく目撃したが、世界の首脳たちからアベノミクスが羨望の目で見られた事実は存在しないし、注目なんて浴びていないし、存在感そのものがナッシングされているシーンの方が目立つくらいだ。幾つか具体的数字等も語ったが、都合のいい数字の拾い読みであり、その数字の中身には言及していない。正社員数が減り、派遣等々不安定な有効求人倍率が増えたなどは、典型的レトリックだ。

 怖ろしいことは、三本の矢への評価を≪この道を、迷わずに、進むしかありません。≫と強調している。“もう、今さら後には引けない”と云う玉砕に近い心情で、国家を導こうとしているようである。更に、≪日本は、「もう一度、力強く成長できる」。そして、「世界の中心で、再び活躍することができる」。そうした未来への「希望」が、確実に芽生えています。≫、と強調し、世界の潮流になりつつある、資本主義の行き詰まりを無視して、20世紀と同じ目標が、21世紀にも通用すると云う、時代錯誤な認識が露呈している。

 東日本大震災の復興や福島原発問題は、オマケでツケ加えた後、更にアベノミクスの推進を≪成長戦略の実行≫で、日本経済が≪新しい成長の幕開け≫にしていくと云うのだが、20世紀的経済概念で、アメリカ経済を模範とした言い草を聞いていると、こりゃ酷いことになりそうだと、チョッと考えれば判る話を、恥じらいもなく、朗々と語るのだから、安倍晋三は只者ではない(笑)。今さら、経済で世界一とか云う言葉を口にすること自体憚られる時代において、考えたら、そうなると云うのだから凄い。そして、≪この道を、迷わずに、進むしかありません。≫となるのだから、小沢一郎でなくとも、怖い話だ。

 時代錯誤の成長戦略の披露に長々演説の主体を置き、旗色が未だ鮮明ではない「社会保障改革と財政再建」は、実行不可能な夢を官僚の文章を借りて語ったに過ぎない。此処でも、聞き捨てならない馬鹿を言っている。≪明治人たちの「意志の力」に学び、前に進んでいくしかない。明治の日本人にできて、今の私たちにできないはずはありません。要は、その「意志」があるか、ないか。 「強い日本」。それをつくるのは、ほかの誰でもありません。私たち自身です。  皆さん、共に、進んでいこうではありませんか。≫と、如何にも明治維新の“脱亜入欧”が正しかった認識に立っている。アメリカ式の走狗度合いを深めようとしているだけの馬鹿である。

 憲法改正や集団的自衛権にも深く言及しないように努めたようである。≪国際協調主義に基づき、積極的に世界の平和と安定に貢献する国にならねばなりません。「積極的平和主義」こそが、わが国が背負うべき21世紀の看板であると信じます。≫、この語った意味を充分理解できる人はいるのだろうか?アメリカの覇権的軍事行動が世界の平和に資する行動なのかどうか、日米韓政府以外は認めてはいないだろう。今、米軍の行動への疑念の方が優勢な世界情勢の中で、国連主導ではなく、米国主導の軍隊と行動を共にするのが、「積極的平和主義」だとなると、平和が訪れるどころか、否応なしに日本国内でも、今後テロの脅威は、社会的不安を惹起するだろう。

*安倍のこの所信表明に対し、小沢一郎も疑問を投げかけている。朝日は以下のように伝えている。

≪「軍備を拡大するのが強い国なのか」生活・小沢代表
■小沢一郎・生活の党代表
 臨時国会が召集され安倍晋三首相の所信表明演説があったが、この国をどういう国にしたいのか、ほとんど示されなかった。日本を強い国にしたいと言ったが、彼が一体どういう意味を込めているのか、さっぱり分からない。憲法9条を改正し、軍備を拡大するのが強い国なのか。日本の将来を考えた時、非常に不安なもろさを感じる。
 私はいつも「自立と共生」と言う。自立と、憲法改正してでも強い国家にすることは違う。自立とは、基地問題であれTPPであれ同盟国としてアメリカとしっかり自分の意見を戦わせ、対等の立場でより良い合意を求めることだ。ちょっと異質なものを感じて、心配でならない。私どもは個別の問題を主張しながら、日本のかじ取りがおかしな方向にいかないよう存在感を持って働いていく。 ≫(朝日新聞:沖縄市内での講演で)

 安倍晋三の場合、自分が何処に向かって走っているのか、おそらく殆ど自覚していないだろう。どのような結果を導くか、すべてが都合よく行った結果しか見ていないのだろう。小沢一郎は「このまま行ったら、日本は悲劇だよ」と云う言葉はまさに正鵠だ。しかし、安倍の演説が判りにくいのは歴然たる事実だとして、小沢一郎が民主主義の“必需背景”として、個人の「自立」を強調するのだが、この国民夫々の自立と云うものが、現実社会では、不可能と思えるくらい難しい。この事を、小沢一郎に堂々と議論する人間がいないのは寂しいことだ。その補完的意味合いで、“共生”という言葉がつけ加えられているのだが、この“共生”も、都会生活者にはピンとこない言葉でもある。筆者は、個人の感性として、小沢一郎が政治家として好きなのだが、今後も、このコラムを通じて、この小沢一郎の「自立と共生」の言葉を考えて行こうと思う。

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