世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

化学兵器が悪と言うなら、原爆は更なる悪 弱者の兵器に難癖をつけるアメリカ

2013年08月31日 | 日記
フォーリン・アフェアーズ・リポート2013年8月10日発売号
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●化学兵器が悪と言うなら、原爆は更なる悪 弱者の兵器に難癖をつけるアメリカ

 今日は“そもそも論”を語ってみよう。金のある国が、己らが抱える産軍複合組織の継続性を維持する為に、定期的に軍需産業が色めき立つ特需を与えなければならない。つまり、何処かで、どうにかして諍いが起きる環境が必要と云う論理、これは概ね当然の自明である。その好例的国家がアメリカであることに異論を唱える人はいないだろう。居るとしても、彼らはその手先か、或いは虚構の平和維持の為と云うプロパガンダを信じている人々に過ぎない。

 百姓一揆で、代官や大名と闘う時、平民は鍬・鋤・竹槍で対抗するだろう。時に、糞尿の袋を投げつけるかもしれない。或いは南蛮入りの目潰しも投げるだろう。時には毒矢を射るかもしれない。筆者の思考経路から行くならば、「化学兵器」が絶対悪で、「核爆弾」の使用が絶対悪でないとしたら、あまりの屁理屈になるのではないのか。オバマが、それほど化学兵器の使用が、人類への挑戦とまで言うのであれば、実際に広島・長崎に原爆投下した謝罪をすべきだ。

 自分の屁は臭くなく、他人の屁は臭いと言っているも同然じゃないか。強者の使用する兵器は善で、弱者が使う兵器が悪だと規定するのなら、つねに軍事的規模を維持する国家しか、マトモに主張を展開できない世界が生まれるだけだ。「テロ」と云う言葉が、アメリカでは諸悪の根源のように思わせる言説が流布しているが、それに踊る国民がアホなのである。そうして、異様に「テロ」に過剰反応を示す。マッチョなヘタレな態度には、“アメリカアズナンバーワン”が聞いて呆れる。

 常々思う事だが、人類の歴史は「怨念の歴史」なのだろう。その意味で、アメリカは覇権国と云う地位と怨念の対象となる被怨念国家である。しかし、その種を播いたのもアメリカなのだから、怨念と云う根本的なものを封じるために、どのような屁理屈をつけようと、怨念の連鎖は止まらない。このアメリカ発の「怨念の連鎖」に嬉々として安倍自民が賛同するのであれば、それは日本への好感度が最も高い中東と云う地域に、日本への怨念を生みだすことになる。英国も不参加を決定。NATOも不参加、ドイツ・カナダも不参加。

 アサド・シリア政権は、やけっぱちな行動を取る可能性は高い。イランも積極的に参加するかもしれない。これほど懐疑に満ちた攻撃が、イスラエルを含む中東に戦火を拡大させるかもしれない。おそらく、その時は、悪と言われる弱者の兵器は総動員される。しかし、戦争なのだから、どの兵器が善で、どの兵器が悪とか云う議論は、バカバカしくさえある。WSJは尤もらしく、シリアの化学兵器使用証拠の信頼性などを検証しているが、己の政権が風前の灯火になった時、窮鼠は猫を食むわけで、そのネズミを悪だと断罪出来る権利は誰にもないのが哲学だ。シリア政権が保有する化学兵器が使われたと立証しても、それをアサド政権が側が使用したと主張すること自体にも無理がある。


≪ シリア化学兵器使用の証拠はどの程度信頼できるものなのか
 情報の専門家は30日、シリアが今月21日にダマスカス郊外で化学兵器による攻撃を行ったとする米国政府の情報分析について、信頼できる可能性が高いとの見方を示した。
 2000年から04年まで米中央情報局(CIA)副長官を務めたジョン・マクローリン氏は米政府の分析について、「非常に強力な評価」と述べた。 同氏によると、「情報コミュニティーでは徹底的に議論されないかぎり、『high confidence(強い確信)』とは言わない」という。情報機関は調査結果の確信の度合いを高・中・低で表す。
 特に03年にイラクに関する情報活動で失敗して以降は「強い確信」という言葉が「安易に使われる」ことはないとマクローリン氏は言う。しかし、同 氏は政府の分析結果の中に、米政府はシリアによる化学兵器の使用を強く確信しているが、それを確認するには至っていないというただし書きがあることを指摘 した。
 マクローリン氏によると、慎重な扱いが求められる情報は、確認されたり議論の余地のない証拠が得られたりすることがめったにないという。同氏はシ リアの場合、物理的なサンプルかシリアの政権関係者の自白が証拠である可能性があると話している。不確実な「要素は常に存在しており、今回のケースではわずかながら」そうした要素があると述べた。
 05年の国家情報局(DNI)創設後に情報分析の見直しを担当したトマス・フィンガー氏は政府の分析について、証拠が裏付ける事態を誇張したり過小評価したりしないように慎重に言葉を選んだもののようだと述べた。
 フィンガー氏は「政府は決定的な証拠があるとは主張していないようだ。状況証拠や論理に基づいた判断だ」と述べた。「政権は多くの情報を入手して いること、そのかなりの部分に信ぴょう性があると考えていること、情報は一貫していて筋が通っていて、事態の論理に合致すること、政権が別の説明も検討し たこと。これらのことと矛盾しない言葉が選択された」という。
 それでもシリアの化学兵器使用に関する主張は説得力があるとフィンガー氏は言う。米政府は分析に基づいて判断を行う一方で、主張は「状況(証拠)以上のもの」に基づいているという。
 また、政策立案者は情報だけに基づいて対応を決めるべきではないとくぎをさした。 「このプロセスを動かすのは情報コミュニティーではない。情報コミュニティーの役割は政策決定者に情報を提供することだ。証拠が十分に確かなものであるかどうかを判断するのは政策担当者である」とフィンガー氏は述べている。
 フィンガー氏は今回のケースでは、分析は単独で政府に何らかの行動をとらせるようなものではないとの見方を示した。
 それでは、シリア政府が化学兵器を使用したとする米政府の主張の証拠の確度はどのくらい説得力があるものなのだろう。ウォール・ストリート・ジャーナルは米政府が挙げた証拠について独自に評価を行った。

 証拠:シリアの高官が8月21日の政権による化学兵器の使用に言及し、国連調査団が証拠を見つける可能性について懸念を表明した通信記録がある。
 強みと弱さ:政権の関与を直接的に示唆する証拠。しかし、傍受内容は公開されなかった。

 証拠:攻撃が行われる前に化学兵器の担当者が化学兵器を合成する区域でガスマスクを着用して活動していることがわかった。
 強みと弱さ:具体的で、政権の関与を示しており、人的情報活動、通信、映像に基づいている。しかし、状況証拠だ。
 証拠:衛星からの映像やその他の詳細が開示されない種類の情報によると、政権が支配している地域からのちに化学兵器による攻撃が報告された地域に向けてロケット攻撃が行われた。
 強みと弱さ:信頼できる視覚的な証拠ではあるが、状況証拠である。また、政権の報告書では視覚的な証拠以外の証拠について説明していない。

 証拠:情報活動によると、シリアの化学兵器担当者は8月21日午後に活動をやめるよう指示を受けた。
 強みと弱さ:政権の指示を示しているが、情報活動の性質が説明されておらず、単独で評価することはできない。

 証拠:100本のビデオ映像に神経ガスにさらされたときの症状と一致する身体症状が映っている。反政府勢力にはこれほど多くのビデオ映像をねつ造する能力がない。
 強みと弱さ:視覚的な証拠ではあるが、神経ガスによる症状とは断定できない。

 証拠:現地のソーシャル・メディアで化学兵器による攻撃について報告され始めたのは8月21日午前2時30分で、化学兵器が搭載されたロケットについて複数の報告があった。
 強みと弱さ:現地の目撃談は一連の事態のタイミングと一致している。しかし、証拠は自己申告に依存しており、物理的な確証に基づくものではない。

 証拠:ダマスカス地区の3つの病院が神経ガスの症状と一致する症状のある約3600人の患者を受け入れた。
 強みと弱さ:医療専門家による目撃談だが、物理的な証拠ではなく自己申告に依存している。 ≫(WSJ日本版抜粋)

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