オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下 | |
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●米軍の傭兵化、集団的自衛権容認 米軍の下僕強化、オバマが喜ぶと思い込んでいる
おそらく、日本と云う国を考える時、人々は様々な側面から国家を考える事が出来るが、常に引っ掛かると云うか、思考の大前提に敗戦国としての国家と云う立場と、その敗戦の結果齎された、日米関係の主従的関係性を無視して語ることが出来ない。筆者は、このような国中全体が思考停止な状況は、敗戦後の日本の最大の特長だと捉えている。そして、21世紀に入っても、この日米の主従関係的発想に基づく、知識人の論調はなんら変わっていない。チョムスキー曰く“エリート大学は最も従順な生徒を選択し、体制順応者を生産する”の言う通り、既存勢力の思うがままと云う人材を輩出し、その人材が70年近く日本を支配してきている。
彼らの思考には、対米自立等と云う言葉は存在せず、常に体制従順者の性癖から抜け出す者はいない。それが日本の支配層を形成している以上、彼らの考えから、日米関係からの脱却等と云う荒唐無稽な発想は浮かんでこないのは自明である。少なくとも、安倍晋三の心情は日本の真の独立の筈なのだが、日米同盟と云う、今にも壊れそうな掌の上で、右往左往している。指の間から零れ落ちる不安を抱え、滑りの生まれた指の間で手足をばたつかせている。蜘蛛の糸ではないが、仏が天井から眺めていれば、なんとも滑稽で哀れな姿に見えるに違いない。
日本の政局で今問題になっている、財政問題、TPP自由貿易協定、原発エネルギー問題、集団的自衛権の解釈問題、沖縄普天間移設問題等々、そのすべてが、米国との関係性の中で語られている。つまりは、アメリカ様がどのように思うか、それを忖度するのが民主主義、資本主義だと云う矮小化された枠内だけの議論になるから、常に堂々巡りが繰り返される。ゆえに、日本の政治は常に退屈だ。あきらかに、日米同盟の枠内だけの自由な発想なのだから、太い鎖のついた首輪を、自ら、自らの首に掛け、絶対に鎖の長さ以上の自由は行いません、望みませんと、誓いを立てているようだ。
筆者とて、米国、中国、ロシアのどの国が好きかと聞かれた、即座に米国がいいと言うだろう(笑)。国外退去を命じられ、選択に3カ国が示されたら、米国を選択するだろう。しかし、好きや嫌いで、国際情勢の変化についていけるなら、この世などチョロイものである。しかし、どう考えても、米国の鎖の範囲で生きていける世界ではなくなっている事実関係を考えると、自明的日米同盟の範囲で生きる事への恐怖の方が強い。自明性にのめり込めば、案外思考停止の範囲で論を語れば良いので、気楽である。論理の破綻も生まれにくいので、体制順応系エリートは、概ねこの世界から抜け出そうとはしない。小沢一郎にしても、日米同盟基軸を語る。おそらく、口先だけだと思うが、建前上日米同盟が基軸の上で云々という発言になる。多分、筆者が政治家でも、鳩山由紀夫並にヤケクソな発言はしないだろう(笑)。
しかし、日本の政治家の3、4割程度は、右派左派云々は別にしても、糞アメリカから、本当は独立したい、と望んでいる部分はあるのだろう。ただ、中々公言する勇気がない(蛮勇とも言うが)、どうやってアメリカの干渉から逃れようか、そう云うテクニックに溺れ、結局虻蜂取らずになっているようだ。今回の安倍首相の靖国参拝見送りにせよ、集団的自衛権における経緯にしても、すべて日米同盟忖度政治の選択であり、過去の自明性から一歩も抜け出していない。法制局何するものぞ!とは元気だが、アメリカ様のことは忘れておりませんの姿勢である限り、到底「政治主導」等と云う言葉が使えるわけもない。
特に今回の安倍政権が姑息に走る「集団的自衛権」の解釈変更も、米軍の傭兵として、奮闘努力するのであれば、それは善しとする、と云うオバマ政権のメッセージがあるのだろう。間違っても、その範疇を逸脱することを認める米国であるわけがない。自主独立を目指す集団的自衛権の行使であれば、中国やロシアとも、同様に軍事同盟を築く何らかのメッセージがない限り、ただひたすらに下僕度を高め、米軍の傭兵として3Kな軍事行動を押しつけられるに相違ない。誰が考えても、原爆落としたアメリカ人(アングロサクソン)が、日本人を尊重する筈もない。オバマは肌は黒いが、変質的アングロサクソンだと思っておくべきだ。
現在のエジプトの騒乱を見ても判る事だが、アメリカは世界中に、自分達の価値感を押しつけ、他国に干渉し、内乱を誘発させ、時に直接的に過激に行動し、世界中を戦禍に巻き込んでいる。曲がりなりにも、選挙で選ばれた政権がイスラム寄りだからといって、軍事クーデターを容認して、軍事費の援助までしているわけだ。にも拘らず、現軍事政権の暴挙は許しがたい等と、どの面下げて公言出来るのか?この厚かましさが、アメリカの言うところのデモクラシーなのであれば、そんな糞な制度は少なくとも国連が求めている民主主義ではないだろう。世界史に類を見ない「二枚舌デモクラシー」である。戦勝国の歴史改竄は東京地検特捜より、罪は十二分に重い。
世界の怨みを一身に受けても、さもありなんな国家である。国内テロを呼び込んでいるのは、アメリカ自身ではないか。その癖、イザとなるとヒステリックに大使館を閉鎖して見せたり、意味が判らん。こんな国の尻馬に乗り、地獄の果てまで、尖兵として自国の兵隊を戦場に送る政治家がいるのが、日本と云う国だ。これは、21世紀の国家的殺人触発判断であり、米国自体が、本当に歓ぶかどうか、それさえも定かではないのだ。この安倍政権の政治判断は、時と場合によると、逆にオバマの逆鱗に触れる危険すらあるのだから、笑って済ます話ではない。まぁ筆者は笑っていられるが、米中露戦勝三ヶ国から不快に思われるリスクを抱える事になりそうだ。
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オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史: 3 帝国の緩やかな黄昏 | |
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