世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

最後通牒ゲームとアングロサクソンの資本主義 日本人には互酬の原理が似合う

2013年02月14日 | 日記
「知」の挑戦 本と新聞の大学 II (集英社新書)
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●最後通牒ゲームとアングロサクソンの資本主義 日本人には互酬の原理が似合う

 今夜は少々人間的な話をしてみようと思う。ところが、筆者が何の根拠もなく抱く、やせ我慢の精神とか、いなせな生き方に通じる心理学上のゲームがあると云うことを聞かされた。進化人類学においても、サモアなどに残されている風習、互酬はこのゲームの真髄に通じる習慣であり、武士道などにも通じる精神構造を持っているようだ。現在の銭ゲバ一辺倒のアングロサクソン型資本主義とは一線を画した習慣で興味深い。そのゲームの名は「最期通牒ゲーム」と云うのだそうだ。

注:互酬(ごしゅう、英: Reciprocity)は、文化人類学、経済学、社会学などにおいて用いられる概念。人類学においては、義務としての贈与関係や相互扶助関係を意味する。日本語では互酬性という表記も見られる。 カール・ポランニーは、社会統合の主要なパターンのひとつとして互酬を位置づけ、非国家レベルにおける主要な経済形態とした。互酬は対称性を特徴とし、2つの配置における財やサービスの運動によってギブ・アンド・テイクを促進する。
マーシャル・サーリンズは、近親者に多い「一般化された互酬」、等価交換である「均衡のとれた互酬」、敵対関係に多い「否定的な互酬」に分類して分析を加えた。
互酬の例として、マルセル・モースが研究をした太平洋岸北西部のポトラッチ、ダホメ王国のドックプウェ、ニューギニアのバナロ族やアフリカのティブ族の婚姻制度などがあげられる。
ポランニーは、アリストテレスが唱えた相互依存の原理(アンティペポントス)も互酬に含めた。また、ヘシオドスの『仕事と日』は、部族社会の変化によって互酬関係が衰え、孤立した家政が入り込んできた時代を描いているという解釈をしている。
共同体の外部に対する互酬は交易の形をとることがあり、ブロニスワフ・マリノフスキが研究をしたトロブリアンド諸島のクラや、沈黙交易をはじめとする管理交易も含まれる。(ウィキペディア)

 最期通牒ゲームとは、100の報酬を限られた2人の間で如何に分配するかのゲーム。Aには、どのように100を分配するかの提案権を与える。Bには、Aの提案を拒否する権限、拒否権を与える。このゲームの味噌は、Aの提案に対し、Bが拒否した場合は、2人とも100の報酬を全額受け取れない。AはBが受け入れるであろう分配比率を必死で考える。出来る事ならBより、かなり多い分配が欲しいと考える。しかし、Bがその分配率が不公平だと思えば、受け取る報酬がゼロになっても、頭に来て拒否権を発動する。AとBがどの程度相手の性格を知っているかで、答えはかなり異なるが、AはBが受け入れるであろう分配率を検討する。55対45なら受け入れるだろう、否、万が一を考えて50対50にした方が無難と考えるかもしれない。

 答えは様々で、答えによって心理分析がどのようになされるかまでは、筆者は知らない。ただ、いなせな生き方をしている場合、30対70くらいの分配率で、相手に否応なく了解させようとするかもしれない。時には1対99と云う事もあるのだろう。気がついたのだが、この最期通牒ゲームの原理が、国連安全保障理事会にも応用されているのかな?とフト思った。資本主義における経済学上は、高価なものほど価格と云うものは合理的になり、安価なものほど、価格がいい加減なのだそうだ。早い話、マンションを購入する場合、その価格は概ね平準化されており、何処の不動産屋の物件が特別高いとか安いと云う事はないらしい。しかし、輪ゴム程度商品だと、売っているところで、かなり金額の差が出るようである。

 このような経済原則と、最期通牒ゲームは対立する概念でもある。時には、気前の良さを見せつけたければ、高価なものでも、相手方が俄然有利な分配を提案する事もあるわけである。互酬では、時に自分の方が経済的に損な立場になることも厭わず、と云う精神が発揮されることも多々ある。お歳暮のお返しを倍返しするような気分だと思ってくれても良い(笑)。人によっては、その方が経済上、損であっても金銭では評価出来ない得難いものを、得るのである。或る意味では、巡り巡ってと云うような外交交渉でも通用しそうな話である。筆者自身、この最期通牒ゲームと互酬の関係について、充分に理解しているとは言い難いので、こう云う考えも存在する程度の話にしておく。最後に、検索していたら面白いAFPの記事があったので、掲載しておく。注:互酬には必ずしも関係ない。

≪ チンパンジーにも「平等」の概念あり、米実験で証明
【1月16日 AFP】他者と何かを分かち合おうとする意思を試す実験でチンパンジーが驚くほどの公平性を示したとの研究結果が、今週の米科学アカデミー紀要に掲載された。研究チームによればチンパンジーに公平性があると確認されたのはこれが初めてで、平等という概念を持つのは人間だけだとの考え方が誤っていることが証明されたとしている。
 実験は、米エモリー大学ヤーキス国立霊長類研究センターがジョージア州立大学と共同で実施。研究に参加したフラン・デワール氏によると、経済学で使われる心理実験「最後通牒ゲーム」を、2~7歳の人間の子ども20人のグループと、成体のチンパンジー6匹のグループで別々に行った。
 いわゆる「最後通牒ゲーム」は2人1組の片方が一定の金額の分配案を提示し、もう一方が提案を受け入れるかどうかを答えるものだが、今回の実験では2色のメダルを使用。ペアの片方にどちらかの色を選ばせ、もう一方の協力があれば報酬に変えられるというルールを適用し、選んだ色の種類によって報酬をペアの両方に平等に分けるか、選んだ本人に多めに報酬を与えるかを決めた。報酬は子どもにはステッカー、チンパンジーにはスナック菓子を与えた。
 すると、人とチンパンジーで実験結果に違いは見られず、ペアで協力する必要がある時にはチンパンジーも人も報酬を等しく分け合った。デワール氏は「人間はたいてい、相手に半分あげるなど気前よく分配するが、チンパンジーも全く同じだということが今回の研究で記録された」と述べている。
 しかし、メダルを選ばない側が提案された報酬を拒否できないようルールを変えたところ、チンパンジーも子どもも、自分がより多く報酬を得られる色のメダ ルを選んだという。
 研究チームでは、長い進化の過程で物を分かち合うことを学習していくうち、人間もチンパンジーもより公平な結果を選ぶようになったのではないかと推察。 進化論の観点からみてチンパンジーが野生でも非常に協力的なのは、生存するために群れの中での報酬の分配に敏感になる必要があったからだろうと指摘している。≫(2013.01.16:AFP BB news)


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