世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

円安も株高も春の淡雪 あっという間に海外マネーと共に融けてなくなるのだろう

2013年02月12日 | 日記
資本主義という謎 (NHK出版新書 400)
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●円安も株高も春の淡雪 あっという間に海外マネーと共に融けてなくなるのだろう

 以下は、おそらく長谷川幸洋氏が書いたコラムだと思うが、相当安倍晋三を評価した内容になっている。彼が市場原理に親和的考えの持ち主なので、このような論調になるのは当然だ。しかし、筆者からみると、大きな視点が抜け落ちているように思えてならない。長谷川氏は、日本経済には、まだまだ成長の糊代が残っていると云う立場だから、このような考えが生まれるのだろう。非常に闘争的でアグレッシブなのだ。そして、強者の論理なのである。

 長谷川氏のコラムでもアベノミクスの弱点に僅かに触れているが、その僅かに触れている部分が日本経済の死角なのである。浜田教授を内閣官房参与に迎え入れ、経済政策を世界標準に改める意図を明確にした点を評価しているが、クルーグマンや浜田の経済政策は過去の経済政策論になりつつある点をネグっている。世界の政治リーダーは表向き、現状の金融緩和な世界経済に肯定的だが、先進諸国の経済成長の限界が来ている以上、現状を維持する為には、金融政策以外に手立てがないと白状しているようなもので、本音のところでは、僅かな成長の下で、如何にして共生の道にソフトランディングさせようかという、哲学的政治の世界に入っている事実を度外視している。

 長谷川氏は、その表向きの世界の顔の世界に追いつけると歓んでいるわけだが、追いついた頃には、世界はクルーグマンの経済政策からの脱却に向かって動き出すような気がする。つまり、離された距離は年齢のように、いつまで経っても縮まらないのである。経済に特化して物事を考えると、聡明な長谷川氏のような人でも、勘違いに陥る典型のようなコラムになっている。クルーグマンや浜田の経済政策によって、米国では99%の貧困層が生まれたわけであり、日本の6割の貧困層を8割に伸ばすような話に過ぎない。

 現在既に行われている世界的金融緩和のマネーが、リスクの取れる株式へのシフトに多く振り分けられただけで、株高は世界的傾向であり、特に日本市場が特定されている話ではない。日本の株高も上昇の原動力は海外のマネーであって、実施もされていない日銀のインタゲを伴うデフレ脱却金融緩和が、現在買い材料として囃したてられているだけで、次なる有利な儲け先が見つかれば、いつでも逃げてゆく投機資金なのである。こんどのG7やG20に於いては、急激な各国の為替政策に歯止めをかける議題が提案が検討されているわけで、甘利や竹中が公言するように、世界各国が現在の円安を容認している動きにはなっていない。

 また、同氏が最もコアとして主張している、規制改革、民間の自由な競争原理にしても、TPPが絡むわけで、当然資本の自由化が盛り込まれているから、韓国のように外資に支配される国家経済の枠組みが成立する。正直な話、日本の企業が海外資金だけを有効に活用できる等という芸当は成り立たないわけで、あらゆるもの、あらゆる分野がグローバル化、すなわちアメリカ化する事になる。そして、企業は利益を生み、株主還元に注力し、よりコスト削減を実行するのだから、国民にとって悦ばしい事が起きる確率は低くなる。自分は勝ち組だと云う自意識のある人々には楽しい経済構造かもしれない。

 学者やエコノミストが「中国の安い輸入品のせいだ」とか「人口減少が理由だ」などと唱えたと批判するが、特に彼らの言い分が間違っているわけではない。経済のグローバル化はそう云うものであり、グローバル化、市場原理を強めれば強めるほど、その傾向は顕著になるだけだ。金融政策と規制改革の強化とは、日本と云う国家が世界の金融資本を相手にノーガードで殴り合い勝とうと云う話だ。勝てる筈もない、勝ったとして、勝利の美酒を長く味わう事はない。既存の産業に替わるべき産業構造を提示しても、先進諸国の成長は鈍化するのは必定で、鈍化する経済成長の中で、日本がどのように独自の国家構造を持つかが肝である。長谷川氏の言い分は、日本の電力会社に関しては自由競争の導入は歓迎する(笑)。

≪ 週のはじめに考える 「アベノミクス」は本物か
 金融市場が株高円安に沸いています。「アベノミクス」の効果であるのは間違いないでしょう。でもこの先、息切れリスクはないのでしょうか。
 株価は先週末、週間ベースで十三週ぶりに下落しました。それでも昨年と比べれば様変わりです。この間、円安も進んで自動車や電機など輸出関連製造業はじめ企業業績は急速に回復しています。
 株高円安の背景には、米国の株価上昇や長期金利上昇がもたらしたドル高の裏返しという側面があります。必ずしも日本側だけの事情ではありません。
◆鍵を握るのは金融緩和
 それでも、安倍晋三首相が唱えたアベノミクスは市場に好感されました。野田佳彦前政権が昨年十一月に衆院解散を表明した直後から株高が始まったの は、市場が安倍自民党の勝利を一足先に織り込んで動いた結果と言えます。
 アベノミクスとは何か。おさらいすると、まず大胆な金融緩和、拡張的な財政政策、それに成長戦略から成っています。いわゆる三本の矢ですね。
 金融緩和と拡張的財政政策の組み合わせは景気を刺激します。これは経済学の教科書に必ず書いてある基本の話で、実は議論の余地はありません。
 「そんな簡単な話なら、なぜいままでできなかったんだ」と思う読者もいるでしょう。実は、まさにそこが日本の経済政策が抱える核心の問題でした。 日銀は金融緩和を言いながら徹底せず、物価安定目標の設定にも及び腰でした。
 景気停滞の根本にあるデフレも金融緩和の不足が原因だったのに、多くの学者やエコノミストが「中国の安い輸入品のせいだ」とか「人口減少が理由だ」などと唱え、メディアもそれに悪乗りした状態でした。ちなみに本紙はこの十年ほど、一貫して金融緩和の重要性を指摘しています。

◆世界標準の経済政策を
 それらはノーベル賞をとったクルーグマン・プリンストン大学教授や浜田宏一エール大学名誉教授ら世界一流の学者からみれば、およそ世界標準からかけ離れた珍説です。なぜ日本で、そんなトンデモ論がまかり通ったのか。
 それには財務省や日銀の影響が大きかった。学者やエコノミストにとって財務省や日銀は研究対象だったり会社の重要な取引先だったために、正面から敵に回すような議論をしにくかったのです。
 今回、安倍政権は浜田名誉教授を内閣官房参与に迎えた例が示すように、経済政策を世界標準に改める意図を明確にしています。2%の物価安定目標や大胆な金融緩和はその象徴です。
 これまで拡張的な財政政策は何度も実行されましたが、成果は挙げられなかった。なぜかといえば、肝心の金融緩和が伴わなかったからです。麻生太郎政権によるリーマン・ショック後の大型財政出動が典型的です。
 では、アベノミクスに死角はないのか。実は懸念材料もあります。まず肝心な点ですが、大胆な金融緩和はそもそも、まだ始まっていません。「これからやる」と宣言しているだけです。
 先の政府と日銀の共同声明はたしかに2%物価安定目標と金融緩和を盛り込みましたが、緩和の実行は二〇一四年からなのです。それも中身がきわめて乏しい。
 本当に緩和を徹底するためには、白川方明総裁が退任した後「次の総裁」が大胆に中身を見直す必要があります。だから次の総裁が非常に重要です。もしも従来の財務省・日銀路線を引き継ぐような総裁になれば、その瞬間に株価は失望売りで反転下落し、円相場も再び円高に戻りかねません。市場が世界標準を目指す「アベノミクスの失速」とみなすかもしれないからです。  それから成長戦略。
 ここにも大きな落とし穴があります。霞が関の役所は補助金や減税を特定産業にばらまく政策が大好きですが、なぜかといえば、そこに利権が発生するからです。しかし途上国ならいざ知らず、日本のような成熟した先進国で、そんな産業育成政策がうまくいったためしがありません。
 鍵を握るのは規制改革です。「こうすれば必ず経済成長する」という魔法のつえはありません。民間企業が自由に参入し自己責任で競争する。そのための環境を整える。それが政府の役割です。

◆規制改革が真の戦場に
 農業や医療・介護、電力、子育て支援、働きやすい雇用環境など、既得権益を握る勢力を排して、真に国民経済全体の観点から規制を見直さねばなりません。  議論を始めれば、さまざまな抵抗と衝突するのは必至です。まさに改革の戦場になるでしょう。壁を乗り越えて、息の長い成長につなげられるかどうか。アベノミクスは始まったばかりです。≫(東京新聞)


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