世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

TPPでナショナリズム消滅 農業自由化、農地は外資に買われ、最後は中国企業に!

2013年02月22日 | 日記

 

米中冷戦と日本 激化するインテリジェンス戦争の内幕
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●TPPでナショナリズム消滅 農業自由化、農地は外資に買われ、最後は中国企業に!

 アベノミクスの問題点は百万遍と語られているので、今夜は特に多くは言及しないことにしよう。この演出に満ちた経済浮揚のシナリオは、日本や日本人に関係のない力(原動力)によって行われていると云う点だけつけ加えておく。おそらく、このままではグローバル資本主義や金融資本主義の衰退に不安を抱いた勢力の資金による演出と云う見方が、最も当を得ていると言えるだろう。為替の動きや、株式市場における今回の動きは肉食的粗っぽい動きである点に注目すべきだ。

 事実、為替、株式市場に注ぎ込まれた資金の多くが海外の資金である事は事実として公表されている。日本のGDPの伸び悩みの一番の原因は「貿易立国神話」が日本人に根強く存在している所為だと思われる。一時、輸出立国として世界に君臨した事もあるが、世界中の不興を買い、プラザ合意以降はおとなしいものである。戦後を見ただけだが、日本のGDPに占める貿易依存度は常に20%を切っている。どうして、そんな国が貿易立国と云う神話を、国民に教え込んだのか不可解である。

 円高だろうが円安だろうが、一長一短があるわけで、どちらが日本経済に有利か不利か、トータル的にはどちらとも言えないのが真実だ。ただ、印象的に世界のソニー、トヨタという象徴的言葉が、国民の心を鼓舞する効果はあったのだろう。その所為か、ヨーカドやイオンが過去最大の利益を出したとか云う話には物語性が不足なのだろう。つまり、「脱亜入欧」欧米に追いつけ追い越せと云う掛け声の為には、貿易立国を神話化する方が都合が好かったのだろう。つまり、円安により儲かるところもあり、損するところもあると云うまだら模様で、平均すれば結局同じじゃないか!と云う、お粗末な話なのである。ただ、貿易赤字国への歴史的転換は、我が国の将来に大きな影を落とすことになる。この辺は、本気で考えておかないと大変酷いことになりそうだ。

 実生活の主体者である国民には、円安は厳しいものになる。生活必需品の殆どが輸入に頼っている現状では、4,5月から猛烈な値上げラッシュに襲われ、度肝を抜かれることになるのだろう。丁度、その頃から参議院選も具体的姿が現れるわけで、候補者への影響はかなりのものになるだろう。労使間の賃上げも具体化せず、給料は据え置きで、値上げラッシュに見舞われるわけだから、庶民の悲鳴は今からでも充分聞き取ることが可能だ。「生活の党」などは、この辺に着眼した主張を今からしておくことが大化けに繋がるような気がする。

 ところで、安倍晋三が訪米した。勿論、ハーグ条約の締結程度を手土産にして目先を誤魔化そうとしても、ご都合主義(リアリスト)のオバマが満足するわけがない。しかし、二期目の米国大統領の手腕と云うもの、常に色褪せたものになるわけで、特に必死こいて縋りつく相手だとも思わないが、安倍にしてみれば、対オバマとの会談を日米同盟翳りへの立て直しに見立てたい気持ちはあるだろう。しかし、にも拘らず、「強固な日米同盟」を印象付けるため会談後に共同記者会見を行いたいとした日本側の要望をホワイトハウスは蹴っている。つまり、ハーグ条約締結は土産じゃねえ!と叱られたわけである。

 沖縄の普天間基地の辺野古移設問題は、何度日米で同意しても、地元沖縄が“ウン”と言える状況にないことは双方確認済みである。下手に強行すれば、日本と米国両政府への沖縄の怒りが爆発し、民族独立運動に繋がる怖れもある。15年決着を見ない問題が、坦々と今後も継続すると考えておくのが妥当だ。米軍にとって危険一敗の普天間使用でも、軍事的に極度の不都合があるわけではない。どちらかといえば日本の防衛族の望でさえあるのだから、普天間移設問題が土産になる筈もない。

 土産が少なそうなので、唐突に“集団的自衛権行使”に言及するほど安倍もバカじゃないだろう。原発継続の意思は固まっているとしても、前につんのめって土産に出来る話ではない。そうなると、残された土産は「TPP」に絞られる。安倍晋三はTPP交渉への参加問題は、完全に聖域なき関税撤廃なのか確認したい。その上で、日本の国益を最大化できるようにしたいと言っているが、なんてことはない、一つでも例外が認められるなら由しとする言い訳なので、コメと砂糖を例外とする事で内諾を得、TPP交渉参加をオバマに提示するような気がする。後の市場はすべて開放。市場原理と規制改革(規制撤廃)に弾みがつくのだろう。

 いまだ、己を貧乏人だと認識できない輩の多い日本の国民は、市場原理の世の中で、自分も勝者になれると錯覚しているのだから手に負えない。経団連幹部でもないのに、円安が輸出競争に勝てる。株も持たずに、株が上がったと歓んだり、笑い話にもならない低脳国民の国家である。殴られても、蹴られても、唾を吐きかけられても、己の矜持をまっとうする心掛けなら立派なのだが、それはなく、己は勝者になれると思い込んでいる多くの貧乏人が居るのが日本なのである。ボロは着てても、心は錦なのかね~(笑)。

 TPPは農業が狙いではなく、医療・薬品・医療機器・医療保険、各種共済制度、特許著作権分野が、アメリカ金融資本の狙いと云うのが、論者の共通認識のようだ。勿論、その通りだろうろうが、農業漁業も結構危ない問題を抱えているようだ。特に注意を要するのが、企業の農漁業への参入である。これは、想像以上に重大な危機を我が国に与えると考えている。安倍は「産業競争力会議」において、農業分野における発想を超え、大胆な対策を講じたい、と発言した。竹中平蔵らは農地を持てる農業生産法人への出資規制撤廃を模索しているのだ。つまり、JAに替わる大規模農業生産法人を外資でも参入できるようにしようと画策している。

 あの悪名高き野中広務の全土連(全国土地改良事業団体連合会)が絡む話だが、野中がいなくなった全土連の力は弱体化し、JAのパワーも弱体化したわけだから、抵抗勢力も怖くない。そこで起きるのが竹中らの策謀なのだが、農業生産法人(××農業協同組合)のような法人に企業を参入させる。サラリーマン化した農業従事者をジワジワ締め上げ、農地を手放す機運を盛り上げる。そうする事で、ジワジワと法人が所有する農地が増える。その法人を、或る日、突然外資がM&Aで買い取る。買い取った農地では、遺伝子組み換え作物が栽培され、モンサントの農薬と種子が幅を利かす。

 こうなると、日本の農地はモンサント(住友化学・米倉爺)などの独壇場。隣で有機栽培なんてやっている農家はギブアップ。大地水空気に境界線はない。有機栽培そのものが絶対に成り立たなくなる。さらにもっと怖ろしい事態が想像できる。それは株式会社となった農業法人は、何時いかなる時も株式を何者かに譲渡できるわけだから偉いことである。三井物産からモンサントやデュポンに売られ、挙句には、台湾の企業が買ったり、中国の企業が大株主になる日も想定可能だ。よもや、IBMのThinkPadが中国資本Lenovoに売却された衝撃をお忘れではないと思う。

 グローバル化による金融資本の自由化は、風が吹けば最期には桶屋が儲かると云う、『ある事象の発生により、一見すると全く関係が無いと思われる所・物事に影響が及ぶこと』であり、決してこの論はコジツケではない。現実的事実関係に沿って想像を廻らした結果、農業法人の企業参入障壁の撤廃は、自由競争経済では、何処の資本に譲渡されるか不確かな、安全保障上も極めて憂慮すべき事態を引き起こすのだろう。北海道の水源を中国資本が買い漁っているなどと騒ぐくらいなら、ネトウヨよ、この程度の杞憂を働かせて貰いたいものだ(笑)。故にと云うわけではないが、GDPの80%以上を占める内需に依存する産業構造を構築するのが、我が国の安全保障なのである。

 アメリカと中国の立場の逆転もあり得るし、他の第三国がのし上がることもあると云う想定をする必要もある。たしかに、GDPを稼ぐには輸出入を肥大化させるのが早道なのだが、外交防衛能力が優れているとは思えない国家は、外国からの影響が少ない内需産業で、国民の文化的生活水準を守ると云うイデオロギーが如何に大切か考えるべきである。小沢の中央集権から、個性豊かな地域主権の国家を目指し、唯我独尊的自立の精神で、列強の他国と対峙することが求められる。

 野田のバカ野郎が、気の狂ったような解散さえしなければ、森元首相とプーチン会談のホップ領土決着を民主党政権で行い、いい勝負の出来る解散総選挙も可能だったと云うのに、トドノツマリ、またしても安倍自民党にプレゼントを贈る嵌めになったようだ。本当に万死に値する野田佳彦だよ。あんな男を抱えたまま、海江田は党再生を叫んでいるようだが、絶対に無理だ。橋下にまで、早く分裂した方が良いなどと言われる始末だ。日本維新の会も分裂したら~くらいのことを即日発言するようでないと喧嘩には勝てない。


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