acc-j茨城 山岳会日記

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山でのあれこれ、便りにのせて


ただいま、acc-jでは新しい山の仲間を募集中です。

南アルプス 甲斐駒ヶ岳(北沢峠)

2019年01月03日 13時43分13秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2018/12/22-24

メンバー:szt(CL),きくりん  装備:冬装備一式

12/22 5:00自宅(つくば)→10:30戸台登山口P→12:47角兵衛沢分岐→15:53長衛小屋BC

12/23 4:40長衛小屋BC→6:15仙水峠→8:33駒津峰→9:31六方石→11:14甲斐駒ヶ岳山頂→12:45駒津峰→15:00 BC

12/24 7:15 BC→8:39丹渓山荘跡→10:53基点P

 

12/22(土) 戸台登山口P→北沢峠(長衛小屋BC) 天気:雨

 前週八ヶ岳に遠征し,ここは最低でもやっつけておかないと思っていた赤岳主稜をコンプリート.これで弾みをつけて今年はどんどん雪や氷のあるところに挑戦したいところ.正月前の3連休に狙いを定めたのは甲斐駒ヶ岳.本来は北アルプスを考えていたけど,3日間とも天気はイマイチな予報.私は以前黒戸尾根から甲斐駒には登っているので,北沢峠から頂上を目指すことにした.

今回はロープを出すようなバリエーションルートではなく,登山道を歩くことがメインになる感じなため余裕があると判断し,つくばを早朝に出発する.実はわたくし戸台に入るのは初めて.気にはなっていたけれど,駐車場までのアプローチの遠さと,駐車場付近から山に取付くまでのいろんな意味での煩雑さが億劫で敬遠していた感があった.それが早速出足でつまずくきっかけに..夏にマイカーからバスに乗り換える仙流荘隣の駐車場を,予定していた戸台の駐車場と間違える.危うく数時間余計に歩くところだった,,あぶねー.

事前に考えていたよりも出発が遅くなってしまったものの,これくらいなら暗くなる前に予定しているテン場まで到着できそうだ.しかし残念ながら天気は雨.テンションは全く上がらない.予報では一応これから雨は上がるようなので,車内にあったコウモリ傘をさして戸台の河原を歩いてゆく.

初日はあいにくの雨.そして甲斐駒は雲の中.

持っている地図では戸台川の右岸をしばらく歩くはずだが,ピンクリボンが左岸を進む感じでついている.それに引き込まれるように進んでいくが,途中2回ほど渡渉することに.その際,傘をストック代わりにするものの,バランスは悪くスマートに流れを渡れずさらにテンションダウン.やれやれである.

角兵衛沢の案内板を過ぎ,熊ノ穴沢の案内板を過ぎたあたりで少しだけ雲が切れて山が見える.後から分かったがこれが甲斐駒だった.この時は天気も悪く,初めて来るところからの眺めとあって山座同定なんぞちっともできなかった.

角兵衛沢の案内板.いずれは鋸岳にも行ってみたいものですね~.

行きで少しだけ見えたおそらく甲斐駒.

丹渓山荘跡.だいぶ古いんですね~.

赤河原分岐を過ぎて丹渓山荘跡の辺りからようやく山の佇まい.さらに高度を上げてようやく雪が現れて冬山らしくなってきた.登攀具も背負っていないので前週に比べれば荷は軽いものの,それでも冬のテン泊装備で斜面を上がるのはツラいよね.

ようやく雪が.先行パーティもいるようでトレースあり.出発のアクシデントが活きた?

途中の大平山荘付近で先行する4人パーティを抜き,予定している長衛小屋のキャンプ場へ移動する.しかし気温が高いため,北沢峠からの林道は融雪してベチョベチョでちょっと歩きづらい.テン場に着く頃には雲はなくなってかろうじて仙丈ケ岳の頂上が見えた.テン場には水が流れ出しており,融雪して水を作らなくてよいのは楽な限りだ.

長衛小屋のテン場.少しだけ仙丈ケ岳が見えますな.

初日はここで行動終了.結局ここに泊まったのは我々を含めて4パーティ.我々以外はみんな仙丈とのこと.まぁ今回は,いずれ仙丈に来る時の偵察かな?小屋に寄った人からの情報では,明日は午後から崩れるとのこと.きくりんの携帯の天気予報でも午後は良くないと.しからば明日は午前中勝負.今宵は腹を満たして寝るだけと,この日も早めの就寝で長時間の睡眠をとるのだった.

 

12/23(日) 長衛小屋BC→甲斐駒ヶ岳→BC 天気:曇り/雪・風

今回の山行は天候が悪い冬の環境下で行動することが主目的.とはいえ,ここまで来たらせめて素晴らしい展望は望めなくとも山頂まで到達したいところ.ならば,早立ちして頂上を目指しましょうということで,当日は3:00に起床し4:40にはBCを出発する.

BCより.4:40出発です.傘も凍ってます.

前日甲斐駒には雲がかかっており,間違いなく雪だろうと思っていた.登山道はもちろんトレースなどないが,樹林帯では大したラッセルでもなくツボ足で登山道の目印を頼りにズンズン進む.それでも,新雪には抗いがたくコースタイムは遅れ気味.

仙水峠には6:15.辺りは真っ暗です.

仙水峠を過ぎ駒津峰への登りで夜が明ける.そして登山道の雪は少しずつ増え始め,ところどころ樹林帯が切れて風が吹きつけるポイントも増えてくる.事前の予定では駒津峰辺りでアイゼンでも履くかと思っていたが,こうも風が強いと立ち止まってもたもたしているだけで体力が消耗する.ということで,風がよけられそうなところでストックをデポし,アイゼンをつけてピッケルも準備する.

駒津峰への登山道を上から.雪が増えてきましたよ~.

駒津峰への登山道を下から.風も強く視界も悪いですよ~.

駒津峰に到達したのが8:33.BCを出たのが4:40だから4時間近く経っている.う~ん,やっぱりかかるな~.それもここまで体力のあるきくりんが,主にラッセルをしてこの時間.私一人ならとっくに帰っているかも.いやこのコンディションでここにいないか.なんてしょーもないことを考えながら,まだまだ引き返すには早すぎるので登山道を進む.

山頂に上がるにはいったん下って登り返す形になるが,駒津峰からの稜線でグッと雪の量が増えてくる.それまでは脛程度の深さが,膝はズッポリ埋まっていしまい前に移動するのも一苦労.せっかく持ってきたんだからと,ここでアイゼンを履いたままわかんを履く.アイゼン+わかんというのも初体験のため,装着するのに四苦八苦.それでもなんとか身に着けて,雪の上に乗ってみればあら不思議.体が沈まないじゃありませんか!ってわかんなんだから当たり前か.

それでもそれまで雪の中でもがいていた苦しみから解放され,山頂到達が達成できそうな手ごたえをここで感じる.

確かこの時はわかん装着済みのはず.だいぶはかどったよね.

ちょっと雲が切れた瞬間に山頂方向を撮影.天気が良いと気持ちいいんだろうねぇ.

六方石の手前で七丈小屋から山頂を越えてきた単独の男性とすれ違う.スゲー,この天気と雪の中を単独か~.しかもわかん履いてないし.どれだけ強いんだ?と感心する.まぁ,人は人,わたしはわたし,今日は計画通り進めるだけです.

9:31,六方石付近.展望などありません.

六方石を過ぎ,夏道と直登ルートの分岐に到達.山頂を越えてきた単独の人はどうやら夏道で来たみたい.ここで少し迷ったが,計画通り直登ルートを登ることにしてわかんを外し,アイゼン&ピッケルでちょっとした岩稜のある直登ルートを登ってゆく.

直登ルートを登るきくりん.頼もしい限りでした.

直登ルートでも登山道の目印が途切れることはなく,慌てなければ前進は可能.風が強く,駒津峰からの稜線に比べれば雪の量は減ったものの,前日の雪の影響か場所によってはラッセルを強いられる.トップを交代しながら進むが,そのほとんどはきくりんが担って高度を上げてゆく.きくりんのパワーが頼もしい限りだ.

夏道との合流地点に10:52到着.ここら辺では風が一層強くなる.上を見てもここが山頂からどのくらいの位置にいるのかちっともわからない.12:00になったら引き返すことを確認し,上を目指して歩いてゆく.ただ引き返すときにはここがポイントになるので,お賽銭や周囲の目印となるものを確認する.

夏道との合流地点に10:52到着.

夏道との合流地点より直登ルートから登ってくるきくりんを写す. 

夏道との合流地点より上部を写す.山頂がどこらへんか全く分からず.

時折風に煽られながらも淡々と山頂を目指す.冬にこんな天候で何やってんのかなぁと思いつつも,とある人が山頂は区切りとして必要だと言っていた言葉が頭の中によぎる.少しずつ空が広がる感じがして,祠のようなものが見えはじめたと思ったらそこは山頂だった.

さすがにこの天気では何も見えない.ここに長居は無用ということで,数分滞在し記録用の写真を撮ってそそくさと下山する.

11:14山頂到着.きくりん,あなたがいなかったらここまで来られなかったよ.

せっかくだから記念撮影.このうしろは晴天ならとっても眺めがいいようです.

夏道との分岐まで下り,念のため持ってきていたGPSで来た道を確認しそのまま来た道を下る.登山道の目印が要所で確認できるためヒヤリとする場面は全くと言っていいほどなかった.ただ帰り道ではトレースは消えかかり,厚い手袋越し&ゴーグルの曇りによってGPSの操作も手間がかかる.強風の厳しい環境下では,こういうことでもたもたしているのが命とりだなと実感する.

少し晴れ間が切れた瞬間に駒津峰方面を撮影.あれを登り返せばあとは下るだけ. 

駒津峰への登り返し.ここはラッセルしたかいもあってわかんをつける必要なし.

帰りの駒津峰には12:45.ここら辺の風も強烈でした.

駒津峰を過ぎ,樹林帯に入ってデポしたストックを回収すれば,アイゼンも外して後は気楽に下るだけ.下れば下るほど空気が濃く暖かくなってくるように感じ,危険な領域から抜け出しつつあることを実感する.こう感じるのってわたしだけ?

仙水峠を過ぎた辺り.ここで13:58.下るのって早いよね.

15時にはBCに到着してみれば,長衛小屋のテン場では雨..せっかく山頂まで行ったのに標高2,000mで雨とは...七丈小屋から甲斐駒を越してきた単独の人も,ここで泊まるようだ.仙丈に向かったパーティはみんなテントの中.我々も空腹を満たすべくテントの中に潜り込むのだった.

 

12/24(月) 北沢峠→戸台登山口P 天気:晴れ

前夜は雨であったがテントに雨が流れ込むような事態にはならなかったが,残念ながら私の寝袋は自分の汗と上着の湿気を吸ってびしょびしょ.一度シュラフカバーのみで寝てみるがさすがに寒くて眠れない.仕方なくもう一度びしょびしょの寝袋にくるまって眠りにつくが,深い眠りに就けないまま朝を迎える.早く行動したいものの朝になるとテン場には風がピューピューと吹きつけており,暗い中ヘッデンを点けて動く気もしない.ということで,予定通り7時過ぎにテントを撤収し戸台まで向かう.

宴の後?前日の雨と朝の冷え込みのおかげでいろんなものが凍り付いてしまいました.

下りはアッという間.赤河原分岐には9時前に着き,どんどん上着を脱いでゆく.天気は良いが寒気が入っているせいか入山時より寒さを肌で感じる.帰路は白く染まった甲斐駒を眺めつつ,目印を頼りに往路で左岸を歩いたところも右岸の踏み跡をたどる.そして靴を濡らすこともなく11時前に戸台の駐車場に到着した.

所々で顔を出す甲斐駒.

よく探せば右岸を歩けた.右岸をたどれば渡渉はなし.

戸台駐車場付近より甲斐駒や駒津峰.歩き始めから眺められれば確かにテンション上がるよね.

戸台の駐車場には平和な空気が漂っていました.

下山後は仙流荘の日帰り入浴で汗を流す.料金は¥500とお徳ナリ.下山が早いこともあったので,つくばまでは下道でのんびり帰り,高速代を浮かすのでした.だってこれからも遠征したいからね~.

良き相棒に恵まれて,悪天の3,000m級の環境を体験でき山頂まで踏めました.パートナーって大切だね.

szt