acc-j茨城 山岳会日記

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ガンガラシバナ

2017年09月14日 01時33分00秒 | 山行速報(沢)

2017/9/8-9 今早出沢-ガンガラシバナ

2017/9/7

停滞。
室谷林道が崩落の為、通行止めと知る。
手持無沙汰なので、徒歩で偵察。
なるほど、これは自己責任という奴だ。

2017/9/8

秋雨前線の南下に伴い、今日も朝から停滞ム-ド。
朝方に待機していた釣り人は早々に撤退していた。

午前9時半。
独り、鉛色の空を見上げる。

予報は回復傾向なのが唯一の救いだ。
これから入渓して、今早出が増水だったとしても、あと二日ある。
当初計画の割岩沢は諦めるとして今早出は充分行けるだろうと荷をまとめ出立。

一の俣沢は、小滝は随所に、大滝は3カ所ほど。
いずれも、巻き道が明瞭にある。
とはいえ1か所巻き路を見誤り、嫌な高巻をしてしまう

源頭の雰囲気から左岸に幕営適地。
ちょうどそこに流れ込む小沢に赤布があった。
小沢に入ると二分されており、左を行く。
泥のズルズル道をトラロ-プに助けられながら行くと、今早出への乗越。
踏み跡は明瞭なので、迷うことはない。

あとは下り。
向かって右方向へのトラバ-スしながら下っていく。
要所に赤布もある。
一際水流の多い沢が、アカバ沢。
水線を忠実に下り、今早出にはナメで出合う。

さて、このころには目論見通り青空も覗くようになり、心配していた水量も杞憂に終わる。
20分ほど進んだ小さな滝場から、まずは今宵の食糧調達。
1時間ほどで目標に達し、納竿。

しかし、そのころから不穏な暗雲。
アカバ沢出合の幕場まで戻ろうか思案するが、近くの小高い河原に幕場を求めた。
最初は小雨程度だったものの、だんだん雨は強くなる。
せっかく薪も集めたが、それどころではない。
いざというときの逃げ場は確保し、あとは様子を見守るほかない。

幸い増水することなかったが、濡れ鼠となった遡行服はすでに着替えており、これから焚火をする気力もなく寝袋の人となった。


2017/9/9

カラリと秋の空。
昨日のような憂慮はない。
今日は今早出の最深部まで気持ちのいい遡行をするだけだ。

 

滝場や瀞、釜は多くの水量を湛えているものの、そのほとんどはヘツリで越えられる。
1か所泳ぎがあったが、ギリギリ足が着くか着かないかくらいのもので、岩場のホ-ルドを頼りに遡る。

横滝は右岸を小さく巻ける。
その上の滝場も右岸巻き。
あとは、困難な場所はない。

正面にドシリと重靭な岩峰。
幾重にも積み重なった岩層。
広角に広がる岩壁。
そして一筋の水線。
遠く、流音が響く。

-ガンガラシバナ-
この地を知ったのはいつのころだったか。
「ハナ」というのは地元で「岩」の事を指すが、「ガンガラシ」の語源由来は不明。

歩けば歩くほど、その先が気になる。
でも今日はココまで。そう決めて、佇む。
孤独は深まれば深まるほど、自由だ。
爽快感があると言ってもいい。

一方で自由は厳しくもある。
自然の摂理に晒されたとき、人はどれだけ生き残ることができるだろうか。

そして、来た渓を戻る。
夏の日差し。蝉の声。
心地良き不自由を求めて、来た渓を戻る。


sak