劇団天然ポリエステル 旗揚げちゃった公演
「五月雨式~夜桜は散りたがった~」
脚本・演出/高原フヒト
塩塚玲、岡雄一、竹島由華、田老優雅、小島菜奈子、池田美友紀、菅原賢人、若松宏枝、大久保裕太、他
私の一番若い知人が、お仲間達と作り上げた劇団の旗揚げ公演です。
ここ数年、私は結構な数の舞台を観ていると思う。
だからって上から目線なつもりだったわけじゃないの。
でも、正直言って、いつもみたいに舞台で感動をもらおうとかは、最初あまり思っていませんでした。
「旗揚げのお祝いだから行かなくちゃ!」な、応援的な気持ちだったんです。
でも、ごめんね。私、間違っていました。
感動させていただきました。大きな嬉しい誤算でした。
いつも私が出掛けるのは比較的大きな劇場ばかり。
二階席があって、豪華なセット、豪華な衣装、有名な俳優さん、力のある俳優さん揃いのキャストで、名のある演出家さんが、大きなスポンサーを得て作り上げています。
でも、だからって、いつもいつも感動するとは限らない。
実際、年に数回ほどは観劇中に寝てしまったり、「なんだかなぁ~」と心の中で余計なことを考えたり、また、作品はともかくとして個々の俳優さんの力量のみで楽しませてもらったり…と、まあ、それは好みの問題は多々あるものの、大きな舞台だからって必ず心の琴線に触れるような作品ばかりを観ているとは限りません。
でも、今日の彼らの手作りの舞台を観たら、感動って、もっとこう、ほんとうは簡単なもので、ようは人の「心の琴線に届くかどうか」なんだと思いました。
このホンは好きです。
誰にもお薦めできるのかどうかなんて知りません。
つまり、私は「私好み」ならそれでいいのよ(笑)
だからこの脚本はよく出来ていると思います。
物語は現代から源氏物語へ一気にワープします。
冒頭は「俺はもてたい!」と叫ぶ青年あり(笑)
正直だ! 青年よ、それで良いのだよ。「もてたい」は男の生きるエネルギーだ!
だけどねぇ…なんで、もてたいの? なんて、わからないわけじゃないけど、
それでもてたら、どうだっていうの…?
な、わけで、いきなりその青年は「源氏物語」の光の君になってしまいます。
女性達と次々と浮名を流した光の君は、それでも彼の寂しさは癒えず、ただひとりの女性…つまり亡き母の面影ばかりを追いかけています。
それでまあ、その光の君を取り巻いて、いろいろな存在が絡むわけなんですけどね、
…と、ストーリーなんか私は最初から書くつもりがないので、いきなり省略しちゃうんですけど(笑)これの下敷きとなる「源氏物語」には登場しない幻のような存在があったり、光の君の部下にあたる惟光がかなり私的ツボな人であったりして面白いです。
そして、人の悲しみ、恨みやつらみ…あらゆる心の痛みを受け止めて、枝をもがれるように傷を負う桜の木がある。
その桜の元にひっそりと咲いていたナズナの精と惟光の関係も興味深かったです。
最後のほうで、桜の木に向かって言う言葉に(うろ覚えなので正確ではありませんが)
もうそのように何もかも人の心を受け止めて傷つかなくても良い、あなたは美しいのだから、そこにいるだけで良い、それだけで美しい。…というような台詞がありました。
私はその場面で涙がこぼれました。
五十人も入れば一杯になるような、小さな芝居小屋で、若い俳優さんたちを間近に涙を流すのは恥ずかしかったのだけど、その涙は止められませんでした。
そう、桜は美しい。
でも、桜はあるがままに咲いているだけで、ほんとうはそれを美しいと思う人の心こそが美しいのでしょう。
それがテーマというわけではないけれど、そんなことを思いました。
呪子、呪代(ノロヨ)たちの「目に見えない存在」も良かったです。
この二人にも泣けました。寂しい魂は寂しい魂に取付くのね。
生きている人間達もそうかもしれないけど。
あんまり褒めてばかりいると嘘くさいので、強いて言わせてもらうなら、
惟光がラストのイイ所を持っていったのがナイス!だったので、
惟光がどうして光の君の孤独に寄り添おうとするのか、その辺りがもっと浮き上がって見えれば、より私好みになったかも。
あくまでも私好みってことで(笑)
とにかく、旗揚げしたばかりで、まだ未熟な部分はあるものの、良い舞台を見せてもらいました。
身内感覚のお世辞じゃなくて。
この演目は好きだから、今後もっと練ってもらって、いつかまた、できたら桜の季節に合わせて観させてもらえたら嬉しいです。
その時は、もうちょっとだけ衣装がそれらしくなるといいわね?(笑)
若者たちよ、期待してるよ! がんばれ~!!
というわけで、無名の彼らだけど、演出・キャストの名を最初に書いといたからね、
将来有名になっても、ちゃんと私を呼んでね(笑)
「五月雨式~夜桜は散りたがった~」
脚本・演出/高原フヒト
塩塚玲、岡雄一、竹島由華、田老優雅、小島菜奈子、池田美友紀、菅原賢人、若松宏枝、大久保裕太、他
私の一番若い知人が、お仲間達と作り上げた劇団の旗揚げ公演です。
ここ数年、私は結構な数の舞台を観ていると思う。
だからって上から目線なつもりだったわけじゃないの。
でも、正直言って、いつもみたいに舞台で感動をもらおうとかは、最初あまり思っていませんでした。
「旗揚げのお祝いだから行かなくちゃ!」な、応援的な気持ちだったんです。
でも、ごめんね。私、間違っていました。
感動させていただきました。大きな嬉しい誤算でした。
いつも私が出掛けるのは比較的大きな劇場ばかり。
二階席があって、豪華なセット、豪華な衣装、有名な俳優さん、力のある俳優さん揃いのキャストで、名のある演出家さんが、大きなスポンサーを得て作り上げています。
でも、だからって、いつもいつも感動するとは限らない。
実際、年に数回ほどは観劇中に寝てしまったり、「なんだかなぁ~」と心の中で余計なことを考えたり、また、作品はともかくとして個々の俳優さんの力量のみで楽しませてもらったり…と、まあ、それは好みの問題は多々あるものの、大きな舞台だからって必ず心の琴線に触れるような作品ばかりを観ているとは限りません。
でも、今日の彼らの手作りの舞台を観たら、感動って、もっとこう、ほんとうは簡単なもので、ようは人の「心の琴線に届くかどうか」なんだと思いました。
このホンは好きです。
誰にもお薦めできるのかどうかなんて知りません。
つまり、私は「私好み」ならそれでいいのよ(笑)
だからこの脚本はよく出来ていると思います。
物語は現代から源氏物語へ一気にワープします。
冒頭は「俺はもてたい!」と叫ぶ青年あり(笑)
正直だ! 青年よ、それで良いのだよ。「もてたい」は男の生きるエネルギーだ!
だけどねぇ…なんで、もてたいの? なんて、わからないわけじゃないけど、
それでもてたら、どうだっていうの…?
な、わけで、いきなりその青年は「源氏物語」の光の君になってしまいます。
女性達と次々と浮名を流した光の君は、それでも彼の寂しさは癒えず、ただひとりの女性…つまり亡き母の面影ばかりを追いかけています。
それでまあ、その光の君を取り巻いて、いろいろな存在が絡むわけなんですけどね、
…と、ストーリーなんか私は最初から書くつもりがないので、いきなり省略しちゃうんですけど(笑)これの下敷きとなる「源氏物語」には登場しない幻のような存在があったり、光の君の部下にあたる惟光がかなり私的ツボな人であったりして面白いです。
そして、人の悲しみ、恨みやつらみ…あらゆる心の痛みを受け止めて、枝をもがれるように傷を負う桜の木がある。
その桜の元にひっそりと咲いていたナズナの精と惟光の関係も興味深かったです。
最後のほうで、桜の木に向かって言う言葉に(うろ覚えなので正確ではありませんが)
もうそのように何もかも人の心を受け止めて傷つかなくても良い、あなたは美しいのだから、そこにいるだけで良い、それだけで美しい。…というような台詞がありました。
私はその場面で涙がこぼれました。
五十人も入れば一杯になるような、小さな芝居小屋で、若い俳優さんたちを間近に涙を流すのは恥ずかしかったのだけど、その涙は止められませんでした。
そう、桜は美しい。
でも、桜はあるがままに咲いているだけで、ほんとうはそれを美しいと思う人の心こそが美しいのでしょう。
それがテーマというわけではないけれど、そんなことを思いました。
呪子、呪代(ノロヨ)たちの「目に見えない存在」も良かったです。
この二人にも泣けました。寂しい魂は寂しい魂に取付くのね。
生きている人間達もそうかもしれないけど。
あんまり褒めてばかりいると嘘くさいので、強いて言わせてもらうなら、
惟光がラストのイイ所を持っていったのがナイス!だったので、
惟光がどうして光の君の孤独に寄り添おうとするのか、その辺りがもっと浮き上がって見えれば、より私好みになったかも。
あくまでも私好みってことで(笑)
とにかく、旗揚げしたばかりで、まだ未熟な部分はあるものの、良い舞台を見せてもらいました。
身内感覚のお世辞じゃなくて。
この演目は好きだから、今後もっと練ってもらって、いつかまた、できたら桜の季節に合わせて観させてもらえたら嬉しいです。
その時は、もうちょっとだけ衣装がそれらしくなるといいわね?(笑)
若者たちよ、期待してるよ! がんばれ~!!
というわけで、無名の彼らだけど、演出・キャストの名を最初に書いといたからね、
将来有名になっても、ちゃんと私を呼んでね(笑)