今宵も劇場でお会いしましょう!

おおるりが赤裸々に綴る脱線転覆の感想記!(舞台やライブの感想です)

モーリス・ベジャール・バレエ団<Aプロ>

2013年03月03日 16時01分59秒 | バレエ/ダンス

モーリス・ベジャール・バレエ団<Aプロ>
2013/03/02 @東京文化会館
【出演】ジュリアン・ファヴロー 他
【芸術監督】ジル・ロマン
「ディオニソス」(組曲)
【振付】モーリス・ベジャール 【音楽】マノス・ハジダキス 【伝統音楽 美術】横尾忠則
「シンコペ」 
【振付】ジル・ロマン 【音楽】チェリ・オシュタテール&ジャン=ブリュノ・メイエ(シティ・パーカッション)
「ボレロ」 
【振付】モーリス・ベジャール 【音楽】モーリス・ラヴェル
※演奏は特別録音


バレエならば、つねづねぜひ一度は観てみたいと思っていたのが、「ボレロ」。
もともとラヴェルのボレロが大好きで、pp(ピアニシモ)の始まりから最後のff(フォルテシモ)までの高まり・・・あの高揚感には思わずぐっと前のめりになってしまいます。
(いや、もしかしたら楽譜にはffffくらいfが並んでいるのかも。)

…って、はいはい、劇場で「前のめり姿勢」はダメですね~。
でも、今回のお席は大丈夫!
友達が取ってくれたお席は五階の最前列。天井桟敷の一番前ではあるけれと、椅子の配置で後ろには誰もいません。
この場所は落ち着いて観られてすごくよかったな~!
それに、ほらね! ここみたいに、四階だろうが五階だろうが、劇場の作りによっては高さがあってもちっとも恐くないのよ。
ようするに傾斜の問題なのね。高所恐怖症じゃなくて、傾斜恐怖症かも。
子供の頃、家の階段の傾斜がきつくて、あの時に転げ落ちてお尻を打った記憶がトラウマになっていたりして

なんて話はともかくとして。
この舞台、三つの演目で終演まで二時間半とは、思ったよりも長くかかりました。
だって、ボレロが15分くらいでしょ? 二回の休憩が合計30分だとして、あとの二つ、「ディオニソス」と「シンコペ」はそんなに長いのか?? と、開演前には思ったものですが・・・・
体感時間としては、すごく短く感じられました。
どちらの演目がそれぞれ何分だったか計り忘れましたが、どちらも時間が短く感じられて、劇場内に二時間半もいた気がしません。
バレエに限って言えば、ということですが、私にとって体感時間が短く感じられる舞台はそれだけ面白かったということ。
このようなコンテンポラリー・ダンスは、物語を楽しむというより、ダンスそのもので表現されるものが感覚的に楽しめるかどうかなんですね。
それだけに好き好きが分かれてしまうのですが、感想を聞かれても、「なんかよく解んないけど、面白かった」に尽きてしまいます



「ディオニソス組曲」はまず、影の使い方が面白く、ライトの角度がそれぞれの役や場面に工夫されていました。
一人で踊っているその背にぴったりと張り付くような影を上のほうから見ていると、まるで二人が踊っているようにも見えます。
影ダンサーとのシンクロを見ているようです。
それにある場面では、舞台全体が淡く青いライトに照らされ、浮かび上がる影も濃い青となり、やはりそれがダンサーにぴったりと寄り添う姿に見えました。
この演出は私には珍しいものでした。

そして、何よりも男性の群舞がエネルギッシュで面白い!
ドレープのきいた独特の赤いパンツはヴェルサーチのデザインだとか。
女性ばかりも良いけれど、男性アンサンブルってパワーがあって好きなんですよね。
時々はこういうのが観たいです。

それというののも・・・・
なんていうか、演劇ばかりの物語を見ていると(って、だから実生活の話じゃなくて、舞台を見続けると)、時々男性全体が「集団として」嫌いになっちゃうのね(笑)
もちろん男性も女性と同じで、好きも嫌いも個々によりけりで、すごく好きな人もいるんだけど、物語ばかりを見ていると、世の中の大抵の諸悪の根源が男性特有の攻撃性や破壊性ありきで、他人を妬めば奪うし犯すし、殺害するし略奪するし、すぐに世を拗ねるし、・・・かと思えば、美女にはすぐに一目ぼれして舞い上がって甘やかして我を無くすし(笑)・・・という、そういうマイナスの面がこれでもかと続くので、時々うんざりしちゃうのね。
そりゃ~、女性の特質性にも悪いところはあるんだけど、世の中全体にしても個々にしても、もの凄く他者を不幸に陥れてしまうほどの力のある女性というのは珍しいから、そういう女性は特別であり、あくまでも個のレベルに見える。

と、話は脱線したけど(笑)
でも、たまにこういう男性ばかりの群舞だとか、男声ばかりの合唱などを聞いたりすると、「ああ、やっぱ男って好きだなぁ~」などと思う(爆)
男性の力強さ、そのエネルギーが集団で良い方向に向かっているときの、あの何ともいえない魅力は、やっぱり女性にはないものよね~!

そんなわけでして、最近そこはかとなく男嫌いになりそうだったのが、「やっぱり私は男が好きだ(女も好きだけど)」と確認できて良かったです。

って、なんだ、この感想は!
いや、それくらい魅力的な群舞だった、ってことで。



二幕目の「シンコペ」は、後で気がつきましたが、これはジャベさんじゃないのね。ジル・ロマン氏の振付でした。
ジル・ロマンさん、カテコで登場してくれましたが、むちゃくちゃ素敵なんですけど~
小柄ですけど、立っているだけでシルエットがよくて、繊細そうで、ほんと素敵!

なんて、我ながらこの女、いい加減にバレエに関してもっとましな事が言えないんですかね~?
え~、だって、バレエのいろはも知らずに、かと言ってお勉強もせずに、毎回ただ「ぼぉ~っと」観ているのが好きなんだもの。
まあ、でもいいのよ。難しいこと考えたり言ったり書いたりできなくても、ちゃんと右脳で感じているから。
(↑以上、いかにも多重な一人会話

で、「シンコペ」ですが。
フライヤーによると、
「シンコペーションという音楽用語でおなじみのこの言葉。医学用語では"卒倒、気絶"、あるいは"心臓停止"を意味します」
ということで、人間が意識喪失になったとき、(あるいは、死の間際?)に何を想像し、思い出すか、その瞬間に思いをめぐらせたという作品です。
それだけに、「よく解らないけど面白い」度が増していて、感動というのとはちょっと違うけれど、ユーモラスでもあり楽しかったです。



そして最後は「ボレロ」。

これが観られて本当に良かった!

観終わったあと、「もう一回やって! もう一回!」と、何度でも観たかったです。

これを踊ってくれた、ジュリアン・ファブローさんは「(ボレロの踊りは、毎回違って)同じであることは絶対にありません。」とインタビューで答えてましたが、これにはいくつもの解釈があり、ダンサーもそれぞれが自分の解釈や独自のヴァージョンを発展させながら踊るのだそうです。
モーリス・ベジャール氏は「死に向かうこと」と解釈していたようですが、これは観る者によってもそれぞれの解釈がありそうです。
私はむしろ「誕生」を感じ、胎内や出産を連想しました。
でも、命の高まりとして見るならば、やはりその終焉は死であり、「死に向かうこと」と言えるのでしょうね。

とにかく、息を飲み、思わず前かがみで、食い入るように観てしまいました。

ただ、ひとつ残念なのは演奏が生のオーケストラではなかったこと。
まあね~、何よりもバレエを観に行ったのだし、生オケで残念な目に合うよりは、ずっとこのほうが良いと言えなくもないですが。
でも、あのピアニシモのスネアドラムが、最後には空気を震わせて肌を震わせてくれるような、あの鳥肌の立つような生の演奏で聴けたなら、もっと凄かったかもしれません。
なんて、D席しか買えないくせに、贅沢言い過ぎかしら??

よし! 次にそういう機会があったら、今度は思い切ってC席を奮発しよう!(笑)





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2 コメント

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Unknown (タラサ)
2013-03-05 09:50:00
私は3月4日に同じプロを観てきました。感動をまたここで共有できて嬉しいです。
ボレロはダンサーのロールシャッハ・テストと言われていますが、ダンサーによっていろいろな解釈が可能な作品に変貌するから不思議ですね。例えば、最盛期のパトリック・デュポンが踊った時はまるで指揮官が兵士を統率するように見えました。ジュリアンは、本人も「とにかくベジャールの振付に忠実に」とインタビューで話していましたが、他界して久しいジョルジュ・ドンがだぶって見えてくるようでした。本人も観客もドンの死を意識するようになってからのドンのボレロは、まさに死へ向かう儀式でした。ドンのボレロに始まり、かなりの回数の舞台を見てきたのですが、「また、あの時間に浸りたい」という麻薬のような作品でもあります。
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Unknown (おおるり)
2013-03-07 23:51:23
タラサさん

コメントありがとうございます!
お返事が遅くなってごめんなさい。

タラサさんのお話で興味がわいて、ジョルジュ・ドンの「ボレロ」を動画で見てみましたが、なるほど、彼の踊りには確かに死に向かっているようにも見えます。
それと同時に、やはり私にはエロス(生の本能)を感じます。
その命に呼応しているかのような周りのダンサー達の踊りも魅力的ですね。

もともと「ボレロ」という曲自体に脳内麻薬を作り出す力があると思いますが、ドンの踊りはさらにかき立てられるものがあると思いました。
生で観たら、どれほど興奮したことか!

一方、パトリック・デュポンの踊りはタラサさんが仰るように、支配的で、まるで周りを統率しているようです。
私はデュポンの「ボレロ」を見ていて胸が苦しくなってしまいました。
ちょうど今の私は他人にコントロールされるのが苦しいと思っている時なので、少し過敏になっているせいかもしれませんが。
これもまた、見るほうのロール・シャッハなのでしょうね。

「ボレロ」はほんとうに、動画で見ていてすら、見れば見るほどに奥が深く感じられて、魅力的な作品だと思います。
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