「サ・ビ・タ~雨が運んだ愛~」
2012/10/20マチネ 青山円形劇場
【出演】
ドンウク……駒田一
ドンヒョン……佐々木喜英
ユ・ミリ……戸松遥
植物の妖精……横山達夫、堀越眞夏、黒沼亮
「いまさら感想記」第一弾(笑)
この日はマチネで「サビタ」、ソワレで「星めぐりのうた」を観たのでした。
その合間に友達とお茶していたのがついのんびりしすぎて、あわてて渋谷駅を走ったのよね~。
この作品は2008年が初演、2010年に再演しています。
私はそれぞれ一回ずつ観ているので、今回で三回目。
その初演と再演の時に、ドンヒョンを演じたのが、「星めぐりのうた」に出演していた山崎育三郎くんだったというのが何とも感慨深かったです。
こうやって、舞台はそれぞれに受け継がれていくのね。
ドンヒョンは育三郎くんから佐々木喜英くんへ、そして、ヴォルフガングはあっきー(中川晃教さん)から育三郎くんへ。
好きな舞台のキャストが変われば、ファンはがっかりします。
そのがっかりな気持ちとは、もう二度と観られない、生の舞台…あの人が演じるあの役、あの時間を愛おしむ気持ちに他ならないけれど、必ずしも悲しむことはないと思うんですよ、私はね。
思い出は、胸の中で生きている。
それに、ご贔屓さん達が頑張ってくれている限り、きっと次の舞台がある。
次の舞台がまた次の舞台のきっかけになり、そうこうするうちに、その流れがあってこそ観られるという舞台もあるし、あっきーと育ちゃんのように、思いもかけぬ共演に巡り合わせたりもするんですから。
とはいえ、やっぱり育ちゃんの花柄ワンピース姿が見たかったなぁ~っ!
なんて、寂しく思っちゃうのは仕方ない。
いやいや、でも佐々木喜英くんのドンヒョンもなかなかキュートでしたよ!
この人、歌いながらの表情がすごく良いのね。
初めて拝見しましたが、話が進むに連れてどんどん良く見えてきました。
ユ・ミリ役の戸松遥さんは、ものすごく元気ではっちゃけてました!
この方、とても人気ある声優さんだそうで、何といってもファンのお兄さん達の熱い視線がすごかったです~!!
この劇場は、円形劇場というだけに、舞台は円形で、客席は360度ぐるりと舞台を囲んでいます。
ということは、客席どうしが良く見えるんですよ。
で、ついついそのお客さん達の顔を見ていると、明らかに戸松ファンというのがわかります。
だって、戸松さんのファンの方達は目がハートになってキラキラしているの。ほんとうに幸せそうです!
すごいなぁ~、役者さん達って、いつもこんなふうな視線を浴びているのよね?
それって、どんな気分なんだろう。
とか(笑)
私も他人から見たら、あんなふうにキラキラした視線を飛ばすことがあるんだろうか?
とか(爆)
客席を見るだけでも面白かったですが、この舞台、その円形劇場に変わって、ますます面白くなっていました。
兄弟二人のピアノの場面は、円形劇場ならではの演出で、今までは客席に背中を向けていたのが、ここでは二人が回る回る(笑)
妖精さん達の活躍で、一層に、とても良いシーンでした。
そのラストなんですけど、たしか初演の時にも書いたけど、この三人ってそれぞれに失業していて将来の不安は解消されていないし、状況としては何もハッピーエンドじゃないんですよね。
でも、「願いをひとつ言ってください」というユ・ミリに、ドンウクが言うんです。
「願いは…もう叶いました」と。
心配していた弟が帰ってきて、心が通い合ってそばにいる。
一番の幸せって、こういうことかもしれないな…。
たとえ何があっても、そばにいてくれたら笑顔でいられる人がいるということ。
そして、「今この時がずっと続いていて欲しい」と思える、おだやかな時間が、一秒でも長くあること。
たぶん、そういったささやかなものが、人の「一番の幸せ」なんでしょうね。
お兄さん役の駒田一さんが面白いし、何よりも温かくて愛情いっぱいで、ほんとうにハートフルだったこの舞台、
見終わった後の幸福感といったら、去年観た中でもダントツでした。