今宵も劇場でお会いしましょう!

おおるりが赤裸々に綴る脱線転覆の感想記!(舞台やライブの感想です)

「ムットーニ ワールド」からくりシアター 八王子夢美術館

2009年05月31日 21時44分05秒 | 美術館/博物館/展覧会
それは部屋でなく一冊の本なのです。

静かな音楽の前奏が始まるとともにゆっくりと開いたその表紙は、
それはでも、物語の開く扉でもありました。
開かれた本の奥に若い男が佇んでいます。翼ある者。
その姿、その顔はどこか憂いのあるようではなかったか…。
いつかどこかで私の見た誰かではなかったか…。
薄い紗の向こうはまるで夢の中のようにとても近くありながら、
手を伸ばしても決して届かない。
誰もが訪れることができ、誰も本当には踏み込めない世界なのです。

歌が流れます。それが哀しい歌なのかどうか私にはよくわかりません。
哀しいのは、切ないのは、今の私の心だから。自分の心が重なってしまうから。

歌に重なって、静かな声が聞こえます。
『詩人は自らの歌の囚われ人』

その本の中に佇んだ翼ある男の前に、うす布を一枚隔て
まるで鏡を見るように真っ直ぐに女性の姿が現れます。
彼女は詩人の作った歌の「君」なのです。
歌の中に生きる「君」にされたとき、彼女は
『歌の精霊となった』
歌の中で永遠に生き、永遠に愛されて…繰り返し、変わらぬままに…。
けれども二人は近くにいながら届かず、互いに触れることもできません。
そして…

自らの歌の囚われ人である詩人と、その歌に住む精霊の
瞳と瞳が合った時、
『物語は閉じる』

《作品「スピリット オブ ソング」》
* * * *

八王子の夢美術館へ「ムットーニ ワールド」からくりシアターへ行ってきました。
二月に行ったプレビューよりももっと充実した展示になって、とても見応えがありました。
このムットーニの世界は、マイミクさんたちにお薦めです!
私は栗本薫さん(中島梓さん)のファンであり、中川晃教さんのファンで、マイミクさん達はその関係で出会った方々がそれぞれに四割であわせて八割。残りの二割の方たちも音楽や舞台がお好きな方たちですから、きっとこのムットーニ氏の世界はお好きなはず。

でね、(と、急に口調がいつものように軽々しくなりますが)
私は栗本さんのファンにあっきーを薦める気はないし、あっきーファンに栗本さんを薦めようと思ったことってないのよね。世界観がやっぱ違うもの。
まあ、それぞれに既に好みって定着しているだろうし。
だけど、このムットーニ氏の世界は何故か、その二人の両方に重なるところがあると思う。
「全ての旅人、夢追い人へ」と始まるムットーニ ワールド。
その電動仕掛けの人形は、光と闇のゆらめきの中で、音楽と口上も加わって
不思議な夢の世界に生きています。
上記に書いた感想は「スピリット オブ ソング」という作品だけど、
これは初めて観ましたが、前にも観た「カンター・デ・ドミノ」と同じくらい好きだわ。
なんか涙が出るのよね。
そうねぇ、ひとことで言うならば、
普段私の日記を読んでくださっているあなたならば
「いかにも、あらぱんが好きそうな世界だよね~!」ってな世界です(笑)
百聞は一見にしかず。ぜひぜひ体験してほしいです!
あっきーファンは今週から「女信長」が始まるので日程はキツいですが
7月5日まで開催しています。
そして! これを観に行くならば、絶対に金曜・土曜・日曜の、14時または16時に
間に合うように行ってくださいね! 
この時間だけがムットーニ氏の口上付きです。
これを聞くと聞かないとじゃと楽しみが全然違います!

ところで!!
ムットーニ氏、つまり武藤さんの口上を聞きながら鑑賞する時は、武藤さんがそれぞれの作品のそばに立ち、それぞれ作品を紹介してから始まります。
一番前で観ようとすると、武藤さんとはむちゃくちゃ近いです。
作品をより近くに観てもらうために「みなさん、もう一歩前に出てください」と言われます。
それで、ある作品の時に一番前にいた私と武藤さんとの距離は約1メートル。
これで真正面で見詰めないでくださいよ、もうっ!!…と思わずたじろいでいたら、
何を考えてんだか、武藤さんはそちらから一歩を詰め寄る! その距離は60cmくらい?
うわっ!ちかっ! やめてぇ~! なんでアタシだけ~??
けれども真後ろには他のお客さんいるし、ジーっと見詰められて、私いったいどうしたらいいのよ! と落ち着かないことといったら。
もうそれで十分に普通でいられないのに、このムットーニ氏、私の反応を見て面白いのか、
さらにもう一歩近づく。
その距離、な、なんと30cm!! そして、真正面で長々と見詰め合う二人(爆)
もう、ちょっとぉ~、かんべんしてよぉ~! と心の中で泣きが入るけど
目を反らしたら負ける…じゃない、失礼かもって思うし、せっかくだし(笑)
私もじっと見つめ返しましたけどね、
特に親しくもない男性と、こんな至近距離で真正面で見詰め合うことって普通はありません。ってか、普通はやっちゃいけないよ、犯罪すれすれよ!!
あ~、ほんとうにあせりました。遠くで見ていた友達は笑っていたらしいけど。
でも、武藤さんって、もう50歳をいくつか過ぎたお兄さまなんだけど、間近でアップを見ても充分なくらいに、よく見ると整ったお顔の、わりとハンサムなお兄さまなんだわ。
だから私のほうは恥ずかしいのさえ我慢すれば、なかなか役得だったのかもって思わなくもないけれど、逆にこっちの顔は間近に鑑賞されるようなご面相じゃないので、向こうが勝手に近づいたにも関わらず、なんか申し訳ないしで、もう息も絶え絶え。
蛇に睨まれた蛙になった気分だったわ(泣)
もうっ!ほんとにいい歳して、ムットーニ氏はいたずらっ子な方です。

話が長くなったついでに余談だけど
その帰りに聖蹟桜ヶ丘のスーパーでストッキングを買った帰り、
スピリチュアル・アートの「いざら けい」さんに偶然お会いしました。
もう催し物はすっかり終った時間だと思ったのに、まだお片付けの途中でした。
で、「お疲れさま」と声をお掛けして、ちょうど例のピアス「心の中はいつも無限」を
付けていたのでお見せすると、「ああ、やっぱり似合う。エレガントだ」と褒めてくださいました。
あ、褒めたのはご自分の作品のことか(笑)
まあ,いいわ。病も気から…って、ぜんぜん意味違うしぃ~!!

なんだか、マルチな才能豊かなお兄さま方に、妙なサービスをしていただいた気分(?)の一日でした。