Ruby の会

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能「放下僧(ほうかぞう)」~金沢観能の夕べ’14・初日

2014-07-18 | 能楽

 7/5(土)、金沢へ「マンドリンコンサート」に出かけた日、引き続きその日から始った「観能の夕べ」を観に能楽堂へ向かった。駅百番街の八兆屋でランチをしっかり食べたので夕食は後でと言うことになり、シャトルバス(土日は100円)に乗った。6時開場だが、暑いのでロビーで待ってもいいと言われ、中に入る。開演は6時半。

 さて、「放下僧」は謡のお稽古でもやっており、仕舞も何度か見ているので、お能も観たように思われ記憶が曖昧だった。ブログに書こうとネットで画像を探していたら、なんと金井先生がシテを務められた舞台写真が見つかった。2009年8/16(日)、高岡青年の家能舞台、とあるではないか。お囃子に瀬賀先生、住駒先生、野尻先生、地謡には山崎先生も見える。当時は、高岡能楽会の行事で「定例能」が催されていたのだ。私が観ていないのはお盆のお墓参りのせいか? と言うわけで、↓の写真はすべて高岡能楽会HPとようこ姫さんのブログからお借りしました。

 「観能の夕べ」は、石川県立能楽堂で毎年7月と8月の土曜夜に開かれる。狂言一番、能一番だけで1,000円。金沢の人たちは夕涼みがてら観に来られるのだろう。子どもさんも来ていました。
 狂言は「鬼瓦」、能は「放下僧」。金大教授の杉山欣也先生の解説がわかりやすく、見所をいくつか紹介してくださり有り難かった。舞台が「瀬戸の三島神社」で横浜にあるのが可笑しいと笑わせておられた。(瀬戸=愛知、三島=静岡、横浜=神奈川)

 能「放下僧」: シテ(兄):寺田成秀   ツレ(弟):藪克徳  
          ワキ(利根の信俊)平木豊男   
間狂言(従者):炭哲男
          大皷:飯島六之佐  小鼓:住駒俊介  笛:吉野晴夫
          地謡:高橋右任 他  

 「放下」とは、遊狂の雑芸者のこと。僧や侍姿で漂泊したと言われる。その放下僧と放下侍に扮した兄弟が親の敵を討つ話。平家物語でも源氏物語でもなく、「曽我兄弟」のような史実もない。が、見所満載の面白いお能だ。

 ↓ 弟、牧野の小次郎が出て仇討の決意を語り、殺生を渋る兄を説得します。中国の故事を例に仇討は親孝行だと言う弟を前に、兄も仏戒を捨てる決意をします。(下の写真は高岡の舞台で、金井先生親子が兄弟の役) この写真の左後に後見が2人おられるが向かって右が藪克徳さん。血気盛んでやんちゃな感じの弟役がピッタリだった。ちなみにこの能はシテもツレも直面(ひためん)で面(おもて)をつけない。

  (中入り)後、二人は、放下僧と放下侍に扮し登場する。兄は手に団扇を、弟は弓矢を持っている。折しも、敵である相模の住人、利根の信俊は三島神社へ参詣している。         

 ↓ 境内で放下の芸にやんやの声が聞こえ、信俊の従者が二人を招き寄せる。信俊は顔を隠しながら、団扇や弓矢について尋ね、異形(いぎょう)や宗体(しゅうてい)について禅問答を始める。         

 ↓ 途中、弟が血気にはやり弓矢を引こうとするのを兄と従者が止める。  

  信俊が次々に要求するまま、兄は曲舞(くせまい)・鞨鼓(かっこ)舞・小歌と芸づくしを披露する。↓は、鞨鼓の舞、中の舞によく似た囃子だが、少し短い。      

  次に、兄は小歌を歌う。この「小歌」は仕舞でもよく舞われる有名な部分で、節回しが面白い。
 ↓は、ネットで見つけたメロディを音階で表したもの。チョッとお借りします。声をだして歌ってみてください。

   ♪ ラ~ラ~ラ~ラ    ラ~ラ~ラ   
              \ /                                                                                                                                        
                レ         レ~レ~レ~レ    レ~レ~レ ♪
                                    \ / 
                                      ラ  
                                   

 兄弟が信俊の隙を見て討ち取る場面は、信俊が退場し編み笠を置いていく後で網笠めがけて刀を振り降ろします。芸づくしの間の三人三様の心の動きを、謡と囃子で盛りたてます。これはやはり実際に見ないと面白さはわかりませんね。 

 終演後駅までタクシーに乗り、またまた百番街でお蕎麦を食べてから電車に乗りました。


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (なは)
2014-07-19 17:26:20
清姫様
マンドリンを楽しんで、またいそいそと能楽堂へ行きましたね。貴女のお陰様です。
7月8月の観能の夕べは金沢の方たちが浴衣を着たり子どもさんを伴ったり楽しんでいられるのが素敵です。
「放下僧」は謡で何度も聴きましたがお能になるととても楽しいですね。
良く分からないながらも楽しみました。
良い写真が沢山あって、お能を思い出しています。最後の「編み笠」を退治する場面は良くできている!と感心します。
難しいお能を解説してくださってありがとう!
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Unknown (清姫)
2014-07-19 23:59:06
なはさん
お土産をありがとうございました。
それと今日は電話をありがとうございました。
昨日、寄ったけど車がいっぱいで、延期してしまいました。シールも受け取らなくちゃなりませんね。来週行くことにしました。
「放下僧」は面白い能でしたね。楽しかったです。
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Unknown ()
2014-07-20 00:14:10
すぐ忘れてしまう私が覚えているくらいですから、印象に残る「能」でした
なはさんも喜んでおられるようですね
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Unknown (清姫)
2014-07-20 00:24:03
姫ちゃん
5年前ですね。やはり面白かったのですよ。私まで観たと錯覚していました。なぜ観なかったのかなァ~。お盆だから、お墓参りで忙しかったのかしら?
わかりやすいストーリーで、動作も大きく動きがあるからでしょうね。芸が次つぎ披露されますしね。
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Unknown (千葉matsu)
2014-07-20 08:37:26
先日は有難う、あなたの多趣味多芸に感心します。今度の東京楽しんで行って下さい、ところで東京駅も大手町に温泉が出ました、時間待ちにお風呂もいいね。上野もいい故宮博物展素晴らしい、私は台湾で見ました、上野公園口に降りると、文化の匂いがします、文化会館、博物館、美術館、芸大、旧岩崎邸、寛永寺、西郷さん、不忍池、一日中楽しめるね。少し前に京都建仁寺国宝[風神、雷神]図、その前は国宝円空仏の彫刻、東京の近くに来たお陰で時々楽しんで馬す。東京駅左手切手会館行きましたか?六階中庭に出ると鉄道ファン必見の風景が見られます、皇居方面に向かって歩いて五分和田倉門中庭に噴水広場オシャレなカフェもあります。来るの楽しみに待っています。
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Unknown (風子)
2014-07-20 08:43:05
清姫さん
金沢はいろいろ楽しめる所ですね。
「放下僧」は題名はブログのおかげで知っていましたが内容まで覚えていませんでした。
次から次芸が披露される楽しみな演目ですね。
最後、編笠めがけて刀が振り下ろされるのも、血を見るのが嫌な私には良い終わり方だと思いました。
この終わり方は昔から同じなのかしら?とふと思いました。
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Unknown (清姫)
2014-07-20 15:16:10
千葉matsuさん
先日来いろいろお世話になりありがとうございます。東京、ますます詳しくなられましたね。
大手町に温泉って、中央口にお風呂屋さんができたのですか?KITTEはまだ行ったことがないのです。昔の中央郵便局は何度か入ったことがありますが。6階中庭が必見なのですね。
台北へ行った時、ちょうど台風が来ていて故宮博物院は閉館中だったのですよ。だから上野で見ておこうと思って。29日は上野、30日午前は学生時代の友人と会うことになり、東京駅はいつ行こうかな?31日息子が空いていればチョッと寄りたいし。ああ、忙しい、ですね。ともかく楽しみにしています。
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Unknown (清姫)
2014-07-20 15:21:08
風子さん
能の演目、ずいぶん覚えられたのではありませんか?「放下僧」はストーリーが単純なので、舞や小歌、地謡、お囃子が充分楽しめて面白いお能だと思いましたよ。
最後の敵を討つ場面、昔からではないでしょうか。来週山崎先生に聞いてみます。お能は写実を嫌うからではなかったかな?義経と静御前の別れの場面で、義経が子方なのもそんな理由もあるのではなかったかしら?
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