Ruby の会

シニアライフ~能楽・ボランティア・旅行・食べ歩き・演劇などを綴っています

観能の夕べ

2008-08-25 | 能楽
 7月、8月は毎週土曜日の夜、金沢の能楽堂で「観能の夕べ」と
言う催しがある。8回はあるわけだが、これがなかなか行けない。
 今年は太鼓の先生から鑑賞券を一綴りいただいたが、観たかった
16日の特別公演「満仲」も行けず友達にあげた。

 謡を習っているからと言っても、お能を見るチャンスは数少ない。
 高岡では、瑞龍寺の「燭光能」、「薪能」、宝生、観世、和泉流の
「三派合同公演」だけ。後は「青年の家」の能楽堂で、先生方の記念
の会などに演じられる。

 23日、ようやく時間がとれ、友達とJRで出かけた。演目は、狂言
「梟山伏」、能「海人」である。
 「海人」を見たかった理由の一つは「太鼓もの」だという事(太鼓
の入らない能はたくさんある)。しかも、その中の「早舞」を今春に
お稽古したばかりだ。

 もう一つ「海人」に惹かれる理由は、泉鏡花の「歌行燈」に登場
するからだ。鏡花は金沢の能楽師の家系に生まれており、妹が
高岡に嫁いでいる。
 以前、生涯学習センターの講座で、米田憲三先生が「鏡花文学と
高岡」との内容で「義血侠血」(滝の白糸の話)について話されたが、
その後鏡花の作品をかなり読んだ。

 「歌行燈」の中に、旅の宿で若い芸妓が「海人」の「玉の段」の
仕舞を、2人の老能楽師の鼓と謡に合わせて舞う場面がある。
 我が子を大臣の世継ぎにするとの約束で、海底の竜宮へ珠を
取りに行った海女が、胸を抉って珠を隠し戻ってきて息絶える様子を
再現する舞である。悲しみの中にも、子のため命を捨てた母の愛情
が強くたくましい。

 能、そのものについてはよく分からないので、単純にストーリーに
興味を持って観ている。
 シテの母(海女)の霊と、子方の大臣が対面する場面が切ない。
右手で面を隠すような「泣く」所作が何度もあった。
 後半、後シテは龍女となって現れ早舞を舞う。ここで初めて太鼓が
登場。いい席に座り、撥さばきがよく見えて満足。

 シテは女性で、子方と同じ姓の方である。もしかして親子か祖母と
孫かな?次のお稽古日に先生に聞いてみましょう。

 狂言は、登場人物の3人とも梟に取り付かれ、奇妙な動作と声を
発する様がなんとも言えずおかしかった。

 能楽堂前からライトアップバスに乗り、駅のホームで鈍行電車を
待ち高岡に着いたら10時を過ぎていたが、金沢への小旅行だった。