蒼穹のぺうげおっと

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ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 第12話 「蒼穹ニ響ケ」 感想

2010-03-24 00:49:05 | ソ・ラ・ノ・ヲ・ト
蒼穹に響く、空の音。


終わりに向かっていく世界の中で、人々の心に響いて、戦争を止めたのは、空から降ってくる音だった。

蒼穹に響き渡るアメージング・グレイス。

有無を言わせぬ説得力に感動。

時として音楽は理屈を超えて共感を生み、カナタというキャラクターが持つ特性である、人々の本心であり素直な心を呼び覚ます効果を持って、戦争を止め、命を守った。

論理力や説得力というのは、共感を与える手法として最も効率的で理解しやすいから利用されるのですが、論理や説得を超えてダイレクトに共感を得る、それが音楽であり芸術であり、熱意なんですよね。

世界が終わりに向かおうとする中、音楽も芸術も喪われていく中、それでも人々の心に音楽は届いて、皆が思っていたこと、兵士ですら思っていたこと、それは戦いの無い世界だった、ということ。

これまでカナタの素直な心が引き出してきた皆の本心。

それが両国の大軍を前にして、空から降る音=ソラノヲト、として全ての兵士に対する共感を生む。

いやいや、素晴らしいラストでした。

実はストーリーに関する感想についてはほぼ前回の感想で語ってしまっていて、個人的にもはや言うことなし、の満足感なんですよね。

特にラストで桜の散るシーンなんていうのは、数回前からずっとこの物語は季節とともに物語が進行しているので、厳しい冬を越えて春を予感させるラストが見れれば大満足、と言ってきただけに感無量なところがあるのです。

フィリシアが賭けたのはリオの存在だったし、そのリオが(輿入れを決意して)戦を収めた。
その大前提となったのが、カナタのソラノヲトだったし、そこに至るにあたり、5人の想いが結実したハーモニーがこの結果を生んだ、ということにも丁度そうなったら良いなと感想を書いてきたところであったので、僕としてはもう言うことなし。

その中で、一番気になっていたのは炎の乙女の伝説。

これは双方の話が合わさって、初めて真実を伝えることだったのかもしれないですね。

ヘルベチアにとっては悪魔、ローマにとっては天使。

きっとこの砦でも、アイーシャと同じように捕虜になった人がいたのでしょう。
その傷を治すために5人の乙女は血まみれになりながらも介抱したのでしょう。
※それが水掛祭りで赤い液体を振りまく直接の要因になったのでしょう。

ヘルベチアから見れば敵国の兵士、ローマから見れば自軍の兵士、それがそれぞれ悪魔と天使となぞらえられた。

その天使(悪魔)を巡って、恐らく今回と同じシチュエーションが起こった。

残念ながらローマの捕虜は斬首され(ひょっとしたら5人の乙女も身を散らしたかもしれない)、残念な結果となった。
#クモは雲ではなく蜘蛛=タケミカヅチのことだったのね。

けれども、それを引き金に起ころうとした戦争は、トランペットから奏でられたソラノヲトによって鎮められた。

というのが伝説だったんですね。
#あの川の下にあった化石のようなものは実際の兵器かもしれないし、意図的なミスリードだったのかもしれないですね。
#アイーシャが天使としてなぞらえられた、という時点でやられた!という感じ、ありましたけどね。


最後のシーンでリオが復隊してくるのは、ローマ王のご褒美というか、視聴者へのご褒美のようなものだったのかもしれないですね。

本当に春のシーンで終わりを告げて良かったと思います。
それを一番、望んでいたので。


アニメノチカラというTV東京系のこの枠は、オリジナル作品で挑む、という気合が第1弾からしっかりと伝わってきました。
原作付きのアニメ化も僕は大好きですが、やはりこの次どうなっていくんだろう、と毎回・毎回、リアルタイムで次の1週間を楽しみにする楽しみ方、というのはやはりオリジナルアニメだけの特権だと思います。

それをこうしたしっかりした世界観の中で、女の子の日常を真面目に丁寧に描く、という気合、これが僕はとても好きでした。

静かで丁寧な作品というのは、商業的にどうなのか?というのがありますが(いや、商売なので成功させなきゃいけないのは大前提なんだけど)、こういう作品はずっと残っていって欲しいな、というのが、実は僕の最初から最後まで一貫した感想だったのかもしれないです。

あ、あと忘れるところでした。
タケミカヅチの起動から走破まで、これはかっこよかった!!
いやー、しびれる。
それでまたその動きが丁寧なんだよね。豪快で。
この辺もこの作品のある意味真髄ですよ。

で、最後に広がる蒼穹。
これで心もさわやかに。


ということで、5人の乙女の季節と共に語られた素敵なお話、堪能いたしました。
制作スタッフの皆様、ありがとうございました。
次回作も期待しています。

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