蒼穹のぺうげおっと

-PEUGEOT in the AZURE- マンガ・小説・アニメの感想を書き流すファフナーとエウレカ好きのサイトです

劇場版 『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイドMOVIE大戦2010』 感想

2009-12-20 22:28:21 | アニメ 感想
『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイドMOVIE大戦2010』観て来ました。

子供と一緒に観て来ましたが、いやー、これは凄い映画でした。
かなりボリュームもあり、作りも3部構成になっていて、見ごたえ十分でした。

ディケイドって本当に凄い企画だったなぁと、改めて思い知らされた作品でした。

子供の視点と、親の視点ではさすがに観る視点が違っていたのだけれども、観終わってからうちの娘に「どっちも(ダブルもディケイドも)一度死んだキャラが復活するお話なんだね」と言われ、おおそういう見方もあったか、と少々感心しましたよ。
※ダブルとディケイド、どちらも第1話のシーンに戻ってきている等、色んな演出がされているので、そういう比較も面白いと思います。

さて、個人的に、超・熱いと思って観てしまったのが、


何故、ディケイドは世界の破壊者で、全ライダーと戦わないといけないのか?


という問いに今回の映画では見事に答えてくれたと僕は思うんですよね。


それは、ディケイドという仮面ライダー単体ではなく、全ライダーに脚光を当てる、そして(視聴者の、ファンの)隠れた願いである、ライダーv.s.ライダーの戦いが観たい、誰が一番強いのか?あの組み合わせならどんな戦いになるのか?という願望を実現させるためのシステム、それが「ディケイド・システム」だったからだと思うのです。

だからディケイドは全ライダーの世界を巡って、(少なくとも平成ライダーの世界で)それぞれのライダーと戦うことで、皆の記憶に埋もれてしまった、もしくは子供が成長する段階で観るのを辞めてしまった(子供も大人も含めた)視聴者が観ることの出来なかったライダーの世界を見せていく必要があったわけです。

仮面ライダーには熱狂的なファンもたくさんいて、僕の後輩なんかは若いのに「平成ライダーは認めません」という昭和ライダーの熱狂的ファンだったりするのですが、こういった自分の好きなライダーの世界を大切にしている人もやはりいて、また自分が見てきた時代のライダーは特別、という思いも必ず存在しているんじゃないかと思います。

そういったファン(かつてのファン含む)に対して、今まさにいろんなライダーに脚光を当てるためには、既存のライダーの世界(観)を一度破壊しないといけない。

一度破壊することで、全てをつなげることも出来るという超・裏技、何でもあり!を炸裂させることが受け入れられる。

そうなっちゃうと、僕なんかは正直、ディケイドありがたくて、子供と一緒に見たライダーや、スカイライダー、スーパー1、ブラックなど自分が大好きだったライダーを復刻版で見れる&それが平成ライダーと戦うんだから、毎回超・楽しみでしたよ。


つまり、幅広い年代層まで広がったファンに対して、既存のライダー観念を一度ぶち壊し、そしてつなげる、これが「ライダーシステム」ならぬ「ディケイド・システム」だと思うんですよ。


これが世界の破壊者としての意味。



で、そこから更に感動してしまったのが、この先。


ディケイドは今回一度あるライダーによって破壊されてしまうのですが、そこからが熱い。


鳴滝さんはたぶん前述の熱狂的昭和ライダーファンに代表されるようなオリジナル至上主義の代弁者だと思うんですが、ディケイドに対して、「お前の世界は無い」と言うわけですよ。

これも一理あって、ディケイドは各ライダーの世界を渡りあるくわけで、自分の「ディケイドの世界」というディケイドオリジナルのシナリオを持ち合わせていない。

常に他人の世界を題材にして言ってみればパロディとして世界を成立させている。

だから司は自分の写真を撮ったことがなく、その記録もない。


し・か・し!!


司たちが世界を旅してきた意味はなんだったのか?

たとえ借り物の世界でも、ディケイドが存在し、世界を壊し、仲介していった事実は、視聴者にもしっかりと残っている。

これこそディケイドの世界そのものであって、全てをつないだから終わりではなく、まだまだこれからもディケイドたちの旅が続く限り、彼らの世界もまた続いていくのだ、ということに他ならないのではないかと思うんですよ。


それが象徴的に表現されたのが、ディケイドが消滅してしまった後、夏海たちが必死にカメラを探し、ネガを現像し、感光していても写真を手に取り、その存在を願う。

復活したディケイド版平成ライダーたち(司と共に旅をしたメンバー)が、ディケイドがいたからこそ今がある、と思いを馳せる、そして願う。


そこで復活するヒーロー。


通りすがりの仮面ライダー。


仮面ライダーディケイド。


これは熱かった。マジで。


ディケイド・システムは世界を破壊して、創り直すことだったけれども、その過程に生まれてきた物語はディケイドの世界のものであり、やはりディケイドの世界も存在してるんですよ。

そして、ヒーローというものは、願えばそこに(自分の中に)現れる、そういう存在だからこそ、作品として、キャラクターとして、ライダーとして必要とされたディケイドが復活してくるというのはもはや自明の理なのではないか、くらいに勝手に思ってましたよ(笑)。

いやー、ほんと面白かったです。

あと、何気に切ないのはタックル。

これはパンフレットにも書いてあったけど、タックル自体は正史のライダーでは敵に倒されて志半ばで退場しちゃうわけだけど、その後ストロンガーは何事も無かったかのようにラスボスをやっつけて平和になるという、誰もタックルを思い出さない、そういう終わり方に、制作スタッフが「オールライダーなのに、改造もされてるのに、タックルが忘れられているのは不憫だ」という熱い思いのもと、今回登場させたのは、物語の展開のさせ方としても非常に上手かったなと、改めて唸ったのでした。

3部構成にしているのも上手くて、第1部ディケイド、第2部ダブル、そしてどちらもいいところで双方の画像がカットインしてきて、第3部のムービー対戦のタイトルが出てくるあたり、かなり熱かったですよ。

互いに諦めない、というシチュエーションで、


通りすがりの

二人で一人の


仮面ライダーだ!!


というシーンは熱い。


いやー、ほんと、吉川晃司もかっこよかったしね!!
※僕の年代では吉川晃司は紛れもないスターだったんです。ほんとにかっこよかったのよ、昔(いや、おやっさんとしてもだけど)。

そういう意味でダブルは、きちんと師匠役を出す、まさに仮面ライダー的なノリは健在なんだよね。

スカルのカードをダブルに渡すあたりも憎いよね。

というわけで、

『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイドMOVIE大戦2010』

非常に面白かったです。

またディケイド、観たいなぁ。

ちなみに、僕はスカイライダーとスーパー1とブラックが好きなんだけど、ブラックはディケイドTVシリーズで堪能したから良かったけど、今回のスカイライダーは冒頭めちゃくちゃ凄いCGで空かっとんでます。衝撃&超・嬉しい。

でも、その後すぐやられる!!ぎゃー!!
スーパー1なんて見せ場も無い!!ギャー!!
※唯一、あの右腕だけが残る、という演出は憎いけどねー。
※フォームチェンジを最初にやったライダーはスーパー1だと思うんだけど、違うかな?

劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー コレクターズパック [Blu-ray]




最新の画像もっと見る

11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
年末のご挨拶もかねて (戦闘勇者)
2009-12-22 00:54:29
久しぶりにコメント致します。
ディケイド(以下DCD)編もW編も期待通りの出来で大変満足してる戦闘勇者です。
両者共にエンタメとしてもメタフィクションとしても良質で熱かった!(『お前の罪を数えろ!』がキーワードのWの前にホントに「自分の罪=倒したライダーのカード」を数える士とか、「最高の偽者」DCDの「最後」の敵であり、「最高の本物=ハードボイルドを目指す」Wの「最初」の敵が「最悪の偽者」という辺りが特に)
本気で語ろうと思ったら周辺のネタも含めて同人誌一冊創れそうな位気に入ってるので、待った甲斐がありました。
※余談ですが、ココ10~20年位のウルトラマン→ライダー→ガンダムの順にテーマを掘り下げていく様子を見てると、バンダイかクリエーターsideでグル組んでるのじゃないかと思うことがよくあります。バトルロイヤルを描いた『仮面ライダー龍騎』の終盤に、それをマクロ化したかのような『ガンダムSEED』を出したのなんかもう狙ってるとしか思えないです(笑)。
そして『消えるガンダム』のサブタイトルに龍騎を連想して「イザークが死ぬ!?」と思ったのも良い思い出です(実際に消えたのはブリッツでしたが・・後にニコルも消えましたし)。
返信する
ちなみに (戦闘勇者)
2009-12-22 01:50:00
私はBlack~RXのどストライク世代(当時小学校低学年)なので、TV版で本物の光太郎が出た時はフィーバーしまくりでした。
そしてRXの視聴経験があるか無いかを探る一番のポイントは前編で「RXたった一人で怪人四人を相手するのか!?」と思うか、「バカな!怪人たった四人でRXさんの相手だと!?」と思うかではないかと(爆)。キラさん&ストフリが良心的に思える程のチートですからねぇ(笑)。

>最初のフォームチェンジライダー
特訓や再改造による外見の変化(前者はスカイライダー、後者は1号・2号等)を除けば、ストロンガーのチャージアップが最初ではないかと思います。
タックルについては仮面ライダーSPIRITSでも扱われていますが、「志半ばで倒れてライダーになれなかった」としたDCDと「もう十分戦ったからライダーになる必要はない」としたSPIRITSで真逆の回答をしてるのが面白いです。それでも「忘れられた」タックルに対して、DCDスタッフも村枝先生も思う所があるという根っこは同じなのが熱いです。
返信する
Unknown (imapon)
2009-12-23 19:28:25
はじめまして。
ディケイドに熱が入らなかったのですが、放映中のWは面白いと思ったので息子と初めて劇場版を見ました。
ディケイド・システムについてまったく同感です。これは40周年企画として良く考えられたシステムなんだと感心いたしました。
燕さんの熱い文に反応してコメントさせていただきました。

返信する
ライダーキック! (こばやし)
2009-12-24 00:54:36
仮面ライダーものは、あまり記憶がないのですが、そこそこ知っていて、殺陣専門の人たちの列伝をマンガで読んだりしていたので、それなりに興味はあり、なんだか評判がいいので、行ってみました。
ストーリーがよく練られていて面白かったですねー。でも、一番のつぼはショッカー軍団の「服装がたるんどる!」「キー!」そして雑魚キャラなんだけど壮絶に吹っ飛ばされる戦闘員たちでした。カッコイイよ戦闘員!書いてて思い出しました。『とらドラ』の文化祭のシーンだ。あの作者も同世代だからツボが同じなんですね。

小学生の時かな?ファミコンでそのゲームはクリアできなかったのですが、最後の敵は鏡のライダー?だったんですよ。強くて倒せませんでした。ライダーvsライダーはそこが原点?!そして一番強力な技はやはり「ライダーキック!」。今回もラストはそれで決めてて爽快でした。

子連れの中、恥ずかしいかと思ったら、年頃のお姉さんが一人、一番後ろの席で観劇。感激しました。サブカル万歳!
返信する
俺、参上! (クウラ)
2009-12-25 01:56:56
ファフナーの事を教えてあげようと思って、コメント書いてたら直前でうpされてた件。orz
(ゆっくりした結果がコレだよ!!)

お子様に囲まれてライダー映画を見に行ったクウラです。こんばんわ。

結局、鳴滝さんの正体はおあずけなのですねぇ。
TV最終回の映画の予告が1秒たりとも本編で使われなかったので、まだ何か隠し玉があるのかな。。とか、思ってみたり。

今年は珍しく映画いっぱい見たなぁ。
夏と冬のディケイド、エヴァ3回、ワンピ・・。



全部キッズ向けかよ!!
返信する
DCD System (燕。(管理人))
2009-12-28 17:32:24
■戦闘勇者さんへ
DCDもWも映画としての出来が非常に良くて大満足でした。
3部構成にしたのも非常に良かったと思いますね。
上映時間がしっかりと長いので子供たちが若干飽きてきそうになるタイミングでDCDとWが合流。
大人としても非常に熱い展開に燃えましたね。
戦闘勇者さんがRXがドストライクであったように、僕はスーパー1だったりと、各世代によって贔屓のライダーが異なる、というのもライダーものの特徴だと思います。
DCDシステムは本当によく出来てるなと思いますよ。
自分の贔屓の昭和ライダー、親の世代になってみる平成ライダー。
この常識の枠を超えたバトルロイヤル、これが観たかったんだ、という僕らの密かな願望直撃ですよ。
最近のDSのCMもそうなんですが、親と子で一緒にやるゲームが増えてるんですよ。
これって商売上も上手いんですが、コミュニケーションツールとしても成立していて、この辺が素晴らしくもあり、ありがたいなと思うところです。
返信する
Wも面白いですよね (燕。@管理人)
2009-12-28 23:53:54
■imaponさんへ
初めまして&コメントありがとうございます。
Wはうちの子供たちと一緒に毎週楽しみに観てるんですよ。あのマフラーがかっこいいですね。
ディケイドは最初色モノかと思って油断していたのですが、あれはあれで凄い企画だったと改めて思います。
僕自身も平成ライダーに最初は身が入らない?感じだったのですが、ディケイドのおかげでクウガとか観ちゃおうかなと思ったり。
昭和ライダーとか平成ライダーとか、そういうカテゴリをぶち壊す、というのがディケイドの基本理念だったと思うので、僕はそういう意味で上手くはめられた口からなと思います(笑)。さすが世界の破壊者。
返信する
ショッカー (燕。@管理人)
2009-12-28 23:58:53
■こばやしさんへ
ショッカーの皆さんは凄いんですよ。
前作の映画の方がショッカーの皆さんが文字通りぶっ飛んでて凄かったですが。
感想に書くのを忘れたのですが、大ショッカー(今回の映画ではスーパーショッカー)というのは、そもそも仮面ライダーってあれだろ?怪人軍団がいて、そいつらを倒す話なんだろ?というカテゴライズされた敵役イメージを逆手に取って、そう思うなら全部一緒にしちゃうよ?みたいなノリもあったんじゃないか、くらいに思ってるんですよね。
逆転の発想。
実はその怪人軍団の中にも個性豊かなキャラがあり、思惑があり、というのが分かってくるわけですが、しかしながら仮面ライダーにショッカーのような位置づけがなければ、それはそれで成立しないという非常に重要なファクターなのでした。
返信する
答えは聞いてない (燕。@管理人)
2009-12-29 00:02:15
■クウラさんへ
タイミングって重要だよね♪
つか、俺、参上!ってクウラさんのキャラに合ってるな、とふと思いました。
鳴滝さん、マジで正体分かりませんでしたね!
個人的予想はライダー原理主義者だと思ってるんですけど。
>夏と冬のディケイド、エヴァ3回、ワンピ
あと、マクロスFも観てね!!
僕としてはあと東のエデンも観たいのね。
返信する
俺の太さに家族が泣いた(爆) (戦闘勇者)
2009-12-29 00:04:18
>燕さん
燕さんはスーパー1世代ですか!変身能力に関して比較的ネガティブな原因の多いライダーの中ではかなりポジティブなのが印象的ですね。そして私の中では「メカライダー」というより「拳法ライダー」としての印象が強かったり。p.s.「超忙しい」という割にはディケイド絡みの映画には皆勤賞(『超電王』含む)で、平成ライダー隊の特攻隊長も務めてくれる電王(というかモモタロス)に癒されてました。アンタ良い奴だ(笑)
>こばやしさん
お久しぶりです。私個人としては良くも悪くも「コアなファン向け」だと思っていたので、余り見てない方からの「良かった」意見は何となく安心しました(笑)。戦闘員がお気に入りということで通ですね!ちなみに夏の劇場版では、『どうせ勝てないのなら派手に散って来い!』とばかりに肉弾幸・・もとい人間ミサイルにされてました(汗)。こんな所で現実社会の厳しさを思い出させなくても(笑)
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。