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『のだめ カンタービレ 第6巻』感想

2004-10-06 18:12:41 | コミックス 感想
すごく切なくて切なくて、そして素晴らしく面白い、そんな第6巻。

■4年生の卒業とSオケの解散
いつの間にかSオケの面々も4年生は卒業なんですが、それぞれが自分達の進路を考えて卒業演奏に臨むプロセスは、Sオケ誕生から死ぬ思いの練習、2度の公演を読者にも想起させ、それがなんとも言えない切なさとして迫ってきます。
読者としても卒業していく彼ら一人一人の演奏を大事に大事に読みたい、そんな気持ちになりました。

■その切ない想いの集大成が
Sオケ屈指のティンパニー奏者である真澄ちゃんの卒業演奏にあたるわけですが、千秋の伴奏による真澄ちゃんの4年間の想いが詰まった演奏は、これまで表現されてきたオーケストラの演奏にも負ける事無く輝いていました。

マンガってすごいなと思うのは、音が聞こえないのに、4年間という記憶はこれまで表現されていないのに、ピアノとドラムのセッションシーンだけで、その迫力・4年間の思いの丈を読者として共感できる、これってほんと凄いなと。
もちろん、この作者の画力・構成力の賜物なんですが。

■表面のクライマックスが真澄ちゃんだとすれば
裏面を飾る千秋にも一つの区切りがやってきました。
のだめやSオケの面々を通じて、感情を開放すること、相手のことを考えること(まだ理解には至っていない)を身に付けた千秋は文字通り学校からの卒業を果たしました。
またそこで新オケにSオケのメンバーを入れないという判断を下すことで、自分の道=高みを目指すことをおぼろげながらも始めていく。
この瞬間、一つの舞台が幕を下ろしたな、そんな感じになりました。

■そうなるとのだめは?
ものすごい才能を持ちながら、将来の夢は幼稚園の先生というのだめ。
この巻はここから次のステージに入るまでのインターバルになるのですが、このインターバルは本当に大事な大事なインターバルになっているんです。

千秋の例を見るまでもなく、才能を世に開花させるためには独力では駄目で、のだめやシュトレーゼマン、Sオケの面々の力を借りることでその才能を世に開花させる準備をすることができました。
つまり、俺が俺がではなく、より高みを目指すのならば様々な力を借りなくてはならないわけですね。

このインターバルでのだめには「周囲が」のだめに目を向けるきっかけを作りました。
後はのだめ自身の問題になってくるのですが、のだめが千秋を高い次元に引っ張りあげたように、今度は千秋がのだめを引っ張りあげることになると思います。
このプロセスをどう描くか?
新学期、エリートコースに入れられたのだめが音楽とどう対峙するのか?
新しいステージの開始とともに、これが楽しみでしかたありません。

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