この物語はきっとレントンとエウレカの出会い、そして最初の旅立ちを描いた第1話~第3話に戻ってくる、僕はそう思って、否、そう信じてこの1年間を、そしてこの最終話を待っていました。
これまで1年間、丁寧に丁寧に積み重ねて紡がれてきた物語は、やっぱりその物語の最後に、巡り巡って物語の最初に戻ってきてくれました。
思えば僕がこの物語に心を鷲掴みにされたのも、この第1話~第3話の展開があったからなのかもしれません。
しかしながら、果たしてそれだけだったのでしょうか。
否、やはりそこには1年間通じて変わらないテーマがあったし、最終話に至る過程において積み重ねられてきた物語、それに感動し、涙してきたんだと思います。
たった一つの台詞に感動しちゃうのは何故か?
たった一つのシーンに感動しちゃうのは何故か?
それは各話単体での感動ではなくて、これまでレントンとエウレカが経験してきたこと、出会ってきた人たちを思い出して、そこに記憶やイメージを投影して重ね合わせて初めてこみ上げてくる感動、そういう種類の感動で、それはそのまま1年分の重みに繋がっている、そう思ったんです。
改めて京田監督はじめ、この物語を世に送り出してくれた方々に感謝したいです。
本当にありがとうございます。
この物語というのはボーイ・ミーツ・ガールの物語であったり、その裏というかその流れに色々な現実の問題を投影して描かれてきました。
しかし、今思うに、最初からこの物語のメインテーマは全く揺らいでいなかったんですね。
家族の絆。
これだったんです。
この最終話を通じて、そしてこの50話を通じて、その物語を収斂させた先、それは家族の絆だったんじゃないか、僕はそう思うのです。
閉塞感に苛まれ、英雄の父親を持ったことで、屈折した思いを持っていた少年、レントン。
何事にも興味を見出すことなく、この世に一人産み落とされた孤独な少女、エウレカ。
その二人が出会い、旅に出て、そして1年間掛けて辿りついた場所、それがこの50話であり「家族」だった。
第2話「ブルースカイ・フィッシュ」でエウレカはアクセルに対してこういうことを言っていました。
なんで嬉しそうな顔してるの?
ん?
この子、凄い無茶なことやったのに。
かもしれんな……
だが、こいつがやりおったことをわし以外に誰が褒めてやれる
世間的には無茶かもしれんが、わしゃあこいつを褒めてやるよ
なんせこいつは、わしの……、家族じゃからな
家族……
お嬢ちゃんも子供を持つようになれば分かるさ
私は……
このときのエウレカは答えることが出来なかった。
それがこの最終話において、こう語ります。
私には大切なものがある
リンク
メーテル
モーリス
そしてレントン
みんな大好き
愛してる
私の大切なもの
私の家族
。・゜・(ノД`)・゜・。
もうこれ以上、何か語ることってありますか……?
ほんとに戻ってきた。
50話掛けて戻ってきた。
ハジマリの場所へ。
もう僕はこれ以上何も書けないんじゃないか、そう思うくらいです。
とはいえ、最後くらいはやっぱり僕も語りたい(笑)。
■全く…、早ぇんだよ……
そうか、それがお前たちが決めたことなんだな
うん、でもホランド……
今、上の世界では
安心しろ まだクダンの限界は起きてねぇ
だが本当にいいのか?
大丈夫
俺たち5人ならやれるさ
それにニルヴァーシュを一人にさせるなんてできないもん
全く…、早ぇんだよ……
いい家族を作りやがって
。・゜・(ノД`)・゜・。
すみません、振り返っていきなり泣いてしまいました(笑)。
いや、だって、これは反則だよ。これをホランドから言わせるのは反則、というか泣けるって。
つか、ここが最初に僕が確信したシーンだったんです。
エウレカセブンの大きなテーマ、家族について。
丁度DVD第1巻の第2話「ブルースカイ・フィッシュ」で、アクセルが「家族」について言及したあの何気ない台詞を聞いた後だったので、余計にここがぐっときた、というより衝撃的でさえありましたよ。
ああ、50話観てきて良かった、みたいな。
それでも、それでも、最後の最後までホッとさせないのがこのエウレカセブン(笑)。
この後起こる、デューイの地球を巻き込んだ壮大な自殺劇をトリガーにエウレカとレントンに最大の試練が訪れるわけですよ。
やっぱりここは、ボーイ・ミーツ・ガールの物語。
レントンとエウレカの物語なんですよ。
■会いたいよ、レントン
私には大切なものがある
リンク
メーテル
モーリス
そしてレントン
みんな大好き
愛してる
私の大切なもの
私の家族
何も無かった私に
色んなことを教えてくれた
何も無かった私を
全部受け入れてくれた
私を私でいさせてくれる
私が大好きで
そして一番守りたいもの
リンクと一緒にいたい
メーテルと一緒にいたい
モーリスと一緒にいたい
そしてレントンと……
だけどそう願うことで私の大切なものが失われてしまうなら
そう願うことでみんなの住む星がなくなるのなら
私は願うことをやめよう
でも許されるのなら
もう一度みんなに会いたい
会いたい
会いたいよ
レントン
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
いかん、いかん、これ第50話冒頭のエウレカのモノローグですが、前述の通り、エウレカの「家族」というキーワードが出てきていて、更に、「会いたい、会いたいよ、レントン」に開始早々涙腺決壊。
私の大切なもの
私の家族
何も無かった私に
色んなことを教えてくれた
何も無かった私を
全部受け入れてくれた
私を私でいさせてくれる
私が大好きで
そして一番守りたいもの
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
ああ、やっぱりここ何回聞いても、何回観ても泣いてしまいます。
これ、ほんと第1話のエウレカ観てください。
第2クールの孤独なエウレカを観てください。
第3クールの変わっていくエウレカを観て下さい。
第4クールの……、第4クールの……、。・゜・(ノД`)・゜・。
こんなエウレカを救えるのは、この世でただ一人、「レントン・サーストン」以外にいないじゃないか。・゜・(ノД`)・゜・。
あの日交わした約束は 砕けて散った
そう、またしてもレントンは目の前で大好きな娘を失っちゃった
明日からは別々の道って そんな別れに心の準備ができない
そう、突然の別れなんて、諦めることなんて、できるわけがない!!
行くぞってどこに?
決まってんだろ エウレカのところに、だ
キターーーーーーー!!!!
■レントン・サーストン
レントン いい男になったじゃない
何コレ!!
ニルギリスの『sakura』をバックに登場していくレントン・サーストン。
マジで奮えた。
カッコいいよレントン、カッコいいよレントン!!
ここで、このタイミングでかかる『sakura』も最高!!
今回は間違いなくヒーローは君だよ
レントン・サーストン
聞いてよニルヴァーシュ
お前が俺のうちに落ちてきてから
俺たちは ずっと旅をしてきたよな
色んな人に出会って 別れて
俺にはとても大切な思い出だよ
でも……、この旅にはいつもエウレカがいたんだ
ずっと一緒に旅をしてきたんだよ
なのに、なのに
お願いだよニルヴァーシュ
俺はこんな結末は嫌だ!!
俺の隣には
エウレカが必要なんだ!!
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
この瞬間、全50話が一瞬にしてフラッシュバック。
月光号の格納庫が爆発したのと同じくらい、僕の感動も爆発。
そして現われた「ニルヴァーシュ」。
その姿はアーキタイプがそのまま進化した、そんな形じゃないか!!!
抜かれた。
またしても度肝を抜かれた。
最高だ。・゜・(ノД`)・゜・。
ここまで50話掛けて成長してきた少年の最初を振り返り、そしてその相棒に語りかける。
大好きな娘を取り戻しに行くために。
腰に手をあて、いつでも出撃できるぜ、というニルヴァーシュ。
そのニルヴァーシュとシンクロしているレントン・サーストン。
カッコよすぎる……。
この最終出撃シーン、最高だ。・゜・(ノД`)・゜・。
#電グルの『虹』も最高だ。・゜・(ノД`)・゜・。
そしてレントンの口からこの言葉が。
アーイ、キャーン、フラーイ!!
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
来た。
帰ってきた。
第2話のあの言葉が。
第2話「ブルースカイ・フィッシュ」で、閉塞感に苛まれて言い訳ばかりの少年が、あの時唯一勇気を振り絞って、一目惚れした女の子を助けに行った、そして叫んだあの時の言葉を。
アーイ、キャーン、フラーイ!!
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
レントンは変わった。凄く成長した。
でも、変わらない。レントンは変わらない。
最初から大好きな女の子を助けに行くときに叫んだ言葉「I can fly!!」。
今も大好きな女の子を助けに行くときに叫んだ言葉「I can fly!!」。
もうここで終わってもイイと思った(笑)。
カッコいいよ、レントン・サーストン。・゜・(ノД`)・゜・。
僕らは今、ケンゴウが言ったように、君の旅立ちを見送るよ。・゜・(ノД`)・゜・。
■桜舞散る空に
バイバイなんて言うなよ
一人で行こうとするなよ エウレカ
来てくれた……
本当に 来てくれた……
約束しただろ
俺は絶対君を守るって
君とずっと一緒にいるって
けどわたし……もう戻れない
君がこの星を守るために コーラリアンでなくなることを選ぶんだったら
俺も人間であることをやめる
俺は君と出会えたこの星が大事だし
この星に生きるみんなも大切だ
でも俺はそのために 君を失いたくない
……似合ってるよ
……レントン
一つになろう エウレカ
君を 一人ぼっちになんかさせないよ
うん
レントンと一緒なら 耐えられる
そして、50話をかけて辿りついたレントンとエウレカのキス。
なんて、美しいシーンなんだよ。
#泣き顔のエウレカがまた可愛い!!
もう拍手しかないじゃないか。
この二人に拍手しかないじゃないか!!
そ・し・て、二人の気持ちが一つになって発動した光。
あの虹色の光。
大きな、大きな、桜の木が、桜の花びらが舞い散った。
桜舞散る空に。
ここで気が付いた方がいらっしゃるだろうか?
ここまで真・ニルヴァーシュが登場してからコクピットが映るとき、かすかに聞こえる音に。
これはイヤホンをしていないと気が付きづらいのだけれども、かすかに聞こえるのです。
親になったことがある人ならあるいは知っているかもしれない音。
あれは胎児の心音、胎動の音を非常にスローにした音だよ。
少なくとも僕にはそう聞こえたんだ。
その胎動を打ち破って、桜を咲かせながら出現したニルヴァーシュ。
そのシーンはまるで、そのシーンはまるで、
新しい生命の誕生の瞬間じゃないか。・゜・(ノД`)・゜・。
希望と言う名の光を持って。・゜・(ノД`)・゜・。
ああ、これまでずっと1年間見続けてきて良かった。
本当に良かった。
僕はこのシーンが観たかったんだ、きっと。
新しい生命の誕生のシーンが。
もう、……満足だ。
月に描かれたハートマークに爆笑しつつ。
この後、OPを彷彿とさせるレントンとエウレカの二度目のキス。
ああ、どうか、この二人に祝福を。
どうか、この二人に祝福を。
桜舞散る空に。
■エピローグ
ビッグバーグを食べる
それが家族の絆を確かめたときのサーストン家の慣わしだ
さあ食べよう
早くしないと月が昇っちまうからな
。・゜・(ノД`)・゜・。
お願いです、どうか皆さん第1話「ブルーマンデー」を見てください。
このビッグバーグの味を、意味を味わってください。
この物語はきっと第1話から第3話に戻ってくる、ずっとそんなことを言ってきましたが、ここでも戻ってくるなんて不意打ちもいいところ。
つか、こんな不意打ちなら大歓迎だ。
なんて、美味そうなんだ(笑)。
そして、昇った月を見て爆笑しつつ、メーテルが呟いた言葉にまたやられる。
星に願いを……か。
このタイトル……、最高じゃないか!!
1年間、こんなに楽しんだ作品は有りませんでした。
全てが完全か?と問われたら、そうではないと思うし、またそういう作品って果たしてあるのかな、とも思います。
けれども、僕は第1話から第50話までずっと観続けてきて、僕個人の趣味の問題や考え方、感じ方に起因するところは多いのだけれども、本当に楽しかった。
こんなに楽しませてもらっちゃっていいのかな、とも思ったくらいに。
いろんなことも考えました。
だから、ここからは僕個人のエピローグ。
■親の目線から
僕はやっぱり、このエウレカセブンが大好きで、それはきっとメッセージ性が温かかったからだと思うんです。
レントンもエウレカも、ともにたくさんの人に助けられてここまで来た。
そして辿りついたのが、家族。
こんな小さな家族がいる一方で、大人の事情でその家族すら普通に暮らすことをままならなくさせている社会に、ホランドが叫ぶこの台詞にぐっときちゃうんですね。
子供にあんな決意をさせて
エウレカは姿形を変えてまでして
これが
これが大人のやることかぁ!!
僕はこのエウレカセブンを観ているときの視線って親の目線になっていることが多かったな、というかほぼ親の目線で見た来たな、と改めて思います。
今ね、いろんなことが世界で起きてるじゃないですか。
世界レベルで見なくても、悲惨な事件ってたくさん身近でも起きてるじゃない。
9・11以降、何か見えちゃったというか、今まで見えてなかった部分が、不安定さが見えちゃった、そんな気もします。
僕ら親って、子供に何をしてあげられるんだろうね。
普通に安心して家族で暮らせる、これ以外に何があるんだろうね。
だからホランドが親の立場として、同じ大人の立場としてこの怒りの台詞を吐く、これにシンパシー。
僕らはどんな親父になっていくんでしょうね?
それはまた10年後に振り返ってみたいもんですね。
■記憶というものは決してそれ単体で存在せず
音楽とか映画とかその中身がっていうよりもその時の記憶って言うかさ、その時の人と人との関係を思い出すことが多いだろ?
そう、つまり記憶というものは決してそれ単体で存在せず、それを取り巻く環境に支配されているというわけだ
誰の言葉か知ってるか?マシュー。
しらねぇよ
全く学がねえなぁ・・・オレの言葉だよ。
この言葉を覚えている人はいるでしょうか?
そう、この言葉は記念すべきエウレカセブン第1話「ブルーマンデー」で最初に語られた、ストナーの言葉です。
全てはここから始まりました。
思えばこの作品、僕はずっと感想を書いてきたわけですが、決して一人でここまでこれたわけではありません。
ブログをやめようかなと思ったことも何度もあるし、もう無理と思うことも何度もありました。
でも、そのたびに色んな人が声を掛けてくれました。
特にこの「交響詩篇エウレカセブン」については、本編感想よりもコメント欄のほうが毎回バイト数が多いというほど、たくさんの方々にコメントを頂いてきました。
そしてその都度、みんなでああじゃないか?こうじゃないか?こうだったら面白いよね!ここは凄かったよね!!と、色んな話をしてきました。
実はこれが何より楽しかった。
多分、ここまでこの「交響詩篇エウレカセブン」を楽しめたのは、作品そのものが持つ面白さはもちろん、こうやって色んな人と会話をしながらいろんな意見を聞くことができたからだと信じて疑いません。
本当に、皆さんのおかげです。
この場を借りて、お礼申し上げます。
本当にありがとうございました。
私事で恐縮ですが、4日前に息子が生まれました。長男です。
エウレカセブンという作品が「家族」をテーマに持って、最後にそこに帰着してきた。
しかもこのタイミングで。
これは他人事ではない、とさえ思えます。
ストナーが最初に言ったように、「記憶というものは決してそれ単体で存在しない」もので、この1年の記憶を思い出すとき、それはきっとエウレカセブンを通じての記憶であったり、その中で語られたことであったり、皆さんと会話してきたことだったりするに違いない、今はそう思います。
1年間、本当にありがとうございました。
■最後に
この作品をここまでのレベルで作って頂いた制作スタッフの皆様には一視聴者として本当に感謝しております。
毎回毎回本当に大変だったとは思うのですが、京田監督はじめ、スタッフの皆様の気合と情熱と努力は、少なくともこのブログには隅々まで届いております。
緊急特番で佐藤大さんが仰っていたコメントが興味深く、マラソンのゴールを目指したんじゃたどり着けなかった、でも1つの電柱目指して必至に走った、というのが何よりの表現だったんじゃないかと。
特に最終話の作画は凄まじく美しく、ホントにこれが最終話なのか、と思うくらいに。
スタッフロールを観て納得。吉田健一さんはじめ、ほんとに凄い仕事してます。
そしてそれらを全部束ねていた京田監督。
DVDの他のスタッフの方々のインタビューとかを読んでいると、皆さんが京田監督を盛り立ててるような雰囲気があって、それが凄く好きでした。
#事実は違うかもしれませんが(笑)、少なくとも僕はそんな雰囲気が好きでした。
またこのスタッフでの次回作、たとえ同じスタッフでなくとも、きっとそれは応援すると思います。
1年間ありがとうございました。
オシマイ!!
■交響詩篇エウレカセブン DVD第10巻
これまで1年間、丁寧に丁寧に積み重ねて紡がれてきた物語は、やっぱりその物語の最後に、巡り巡って物語の最初に戻ってきてくれました。
思えば僕がこの物語に心を鷲掴みにされたのも、この第1話~第3話の展開があったからなのかもしれません。
しかしながら、果たしてそれだけだったのでしょうか。
否、やはりそこには1年間通じて変わらないテーマがあったし、最終話に至る過程において積み重ねられてきた物語、それに感動し、涙してきたんだと思います。
たった一つの台詞に感動しちゃうのは何故か?
たった一つのシーンに感動しちゃうのは何故か?
それは各話単体での感動ではなくて、これまでレントンとエウレカが経験してきたこと、出会ってきた人たちを思い出して、そこに記憶やイメージを投影して重ね合わせて初めてこみ上げてくる感動、そういう種類の感動で、それはそのまま1年分の重みに繋がっている、そう思ったんです。
改めて京田監督はじめ、この物語を世に送り出してくれた方々に感謝したいです。
本当にありがとうございます。
この物語というのはボーイ・ミーツ・ガールの物語であったり、その裏というかその流れに色々な現実の問題を投影して描かれてきました。
しかし、今思うに、最初からこの物語のメインテーマは全く揺らいでいなかったんですね。
家族の絆。
これだったんです。
この最終話を通じて、そしてこの50話を通じて、その物語を収斂させた先、それは家族の絆だったんじゃないか、僕はそう思うのです。
閉塞感に苛まれ、英雄の父親を持ったことで、屈折した思いを持っていた少年、レントン。
何事にも興味を見出すことなく、この世に一人産み落とされた孤独な少女、エウレカ。
その二人が出会い、旅に出て、そして1年間掛けて辿りついた場所、それがこの50話であり「家族」だった。
第2話「ブルースカイ・フィッシュ」でエウレカはアクセルに対してこういうことを言っていました。
なんで嬉しそうな顔してるの?
ん?
この子、凄い無茶なことやったのに。
かもしれんな……
だが、こいつがやりおったことをわし以外に誰が褒めてやれる
世間的には無茶かもしれんが、わしゃあこいつを褒めてやるよ
なんせこいつは、わしの……、家族じゃからな
家族……
お嬢ちゃんも子供を持つようになれば分かるさ
私は……
このときのエウレカは答えることが出来なかった。
それがこの最終話において、こう語ります。
私には大切なものがある
リンク
メーテル
モーリス
そしてレントン
みんな大好き
愛してる
私の大切なもの
私の家族
。・゜・(ノД`)・゜・。
もうこれ以上、何か語ることってありますか……?
ほんとに戻ってきた。
50話掛けて戻ってきた。
ハジマリの場所へ。
もう僕はこれ以上何も書けないんじゃないか、そう思うくらいです。
とはいえ、最後くらいはやっぱり僕も語りたい(笑)。
■全く…、早ぇんだよ……
そうか、それがお前たちが決めたことなんだな
うん、でもホランド……
今、上の世界では
安心しろ まだクダンの限界は起きてねぇ
だが本当にいいのか?
大丈夫
俺たち5人ならやれるさ
それにニルヴァーシュを一人にさせるなんてできないもん
全く…、早ぇんだよ……
いい家族を作りやがって
。・゜・(ノД`)・゜・。
すみません、振り返っていきなり泣いてしまいました(笑)。
いや、だって、これは反則だよ。これをホランドから言わせるのは反則、というか泣けるって。
つか、ここが最初に僕が確信したシーンだったんです。
エウレカセブンの大きなテーマ、家族について。
丁度DVD第1巻の第2話「ブルースカイ・フィッシュ」で、アクセルが「家族」について言及したあの何気ない台詞を聞いた後だったので、余計にここがぐっときた、というより衝撃的でさえありましたよ。
ああ、50話観てきて良かった、みたいな。
それでも、それでも、最後の最後までホッとさせないのがこのエウレカセブン(笑)。
この後起こる、デューイの地球を巻き込んだ壮大な自殺劇をトリガーにエウレカとレントンに最大の試練が訪れるわけですよ。
やっぱりここは、ボーイ・ミーツ・ガールの物語。
レントンとエウレカの物語なんですよ。
■会いたいよ、レントン
私には大切なものがある
リンク
メーテル
モーリス
そしてレントン
みんな大好き
愛してる
私の大切なもの
私の家族
何も無かった私に
色んなことを教えてくれた
何も無かった私を
全部受け入れてくれた
私を私でいさせてくれる
私が大好きで
そして一番守りたいもの
リンクと一緒にいたい
メーテルと一緒にいたい
モーリスと一緒にいたい
そしてレントンと……
だけどそう願うことで私の大切なものが失われてしまうなら
そう願うことでみんなの住む星がなくなるのなら
私は願うことをやめよう
でも許されるのなら
もう一度みんなに会いたい
会いたい
会いたいよ
レントン
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
いかん、いかん、これ第50話冒頭のエウレカのモノローグですが、前述の通り、エウレカの「家族」というキーワードが出てきていて、更に、「会いたい、会いたいよ、レントン」に開始早々涙腺決壊。
私の大切なもの
私の家族
何も無かった私に
色んなことを教えてくれた
何も無かった私を
全部受け入れてくれた
私を私でいさせてくれる
私が大好きで
そして一番守りたいもの
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
ああ、やっぱりここ何回聞いても、何回観ても泣いてしまいます。
これ、ほんと第1話のエウレカ観てください。
第2クールの孤独なエウレカを観てください。
第3クールの変わっていくエウレカを観て下さい。
第4クールの……、第4クールの……、。・゜・(ノД`)・゜・。
こんなエウレカを救えるのは、この世でただ一人、「レントン・サーストン」以外にいないじゃないか。・゜・(ノД`)・゜・。
あの日交わした約束は 砕けて散った
そう、またしてもレントンは目の前で大好きな娘を失っちゃった
明日からは別々の道って そんな別れに心の準備ができない
そう、突然の別れなんて、諦めることなんて、できるわけがない!!
行くぞってどこに?
決まってんだろ エウレカのところに、だ
キターーーーーーー!!!!
■レントン・サーストン
レントン いい男になったじゃない
何コレ!!
ニルギリスの『sakura』をバックに登場していくレントン・サーストン。
マジで奮えた。
カッコいいよレントン、カッコいいよレントン!!
ここで、このタイミングでかかる『sakura』も最高!!
今回は間違いなくヒーローは君だよ
レントン・サーストン
聞いてよニルヴァーシュ
お前が俺のうちに落ちてきてから
俺たちは ずっと旅をしてきたよな
色んな人に出会って 別れて
俺にはとても大切な思い出だよ
でも……、この旅にはいつもエウレカがいたんだ
ずっと一緒に旅をしてきたんだよ
なのに、なのに
お願いだよニルヴァーシュ
俺はこんな結末は嫌だ!!
俺の隣には
エウレカが必要なんだ!!
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
この瞬間、全50話が一瞬にしてフラッシュバック。
月光号の格納庫が爆発したのと同じくらい、僕の感動も爆発。
そして現われた「ニルヴァーシュ」。
その姿はアーキタイプがそのまま進化した、そんな形じゃないか!!!
抜かれた。
またしても度肝を抜かれた。
最高だ。・゜・(ノД`)・゜・。
ここまで50話掛けて成長してきた少年の最初を振り返り、そしてその相棒に語りかける。
大好きな娘を取り戻しに行くために。
腰に手をあて、いつでも出撃できるぜ、というニルヴァーシュ。
そのニルヴァーシュとシンクロしているレントン・サーストン。
カッコよすぎる……。
この最終出撃シーン、最高だ。・゜・(ノД`)・゜・。
#電グルの『虹』も最高だ。・゜・(ノД`)・゜・。
そしてレントンの口からこの言葉が。
アーイ、キャーン、フラーイ!!
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
来た。
帰ってきた。
第2話のあの言葉が。
第2話「ブルースカイ・フィッシュ」で、閉塞感に苛まれて言い訳ばかりの少年が、あの時唯一勇気を振り絞って、一目惚れした女の子を助けに行った、そして叫んだあの時の言葉を。
アーイ、キャーン、フラーイ!!
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
レントンは変わった。凄く成長した。
でも、変わらない。レントンは変わらない。
最初から大好きな女の子を助けに行くときに叫んだ言葉「I can fly!!」。
今も大好きな女の子を助けに行くときに叫んだ言葉「I can fly!!」。
もうここで終わってもイイと思った(笑)。
カッコいいよ、レントン・サーストン。・゜・(ノД`)・゜・。
僕らは今、ケンゴウが言ったように、君の旅立ちを見送るよ。・゜・(ノД`)・゜・。
■桜舞散る空に
バイバイなんて言うなよ
一人で行こうとするなよ エウレカ
来てくれた……
本当に 来てくれた……
約束しただろ
俺は絶対君を守るって
君とずっと一緒にいるって
けどわたし……もう戻れない
君がこの星を守るために コーラリアンでなくなることを選ぶんだったら
俺も人間であることをやめる
俺は君と出会えたこの星が大事だし
この星に生きるみんなも大切だ
でも俺はそのために 君を失いたくない
……似合ってるよ
……レントン
一つになろう エウレカ
君を 一人ぼっちになんかさせないよ
うん
レントンと一緒なら 耐えられる
そして、50話をかけて辿りついたレントンとエウレカのキス。
なんて、美しいシーンなんだよ。
#泣き顔のエウレカがまた可愛い!!
もう拍手しかないじゃないか。
この二人に拍手しかないじゃないか!!
そ・し・て、二人の気持ちが一つになって発動した光。
あの虹色の光。
大きな、大きな、桜の木が、桜の花びらが舞い散った。
桜舞散る空に。
ここで気が付いた方がいらっしゃるだろうか?
ここまで真・ニルヴァーシュが登場してからコクピットが映るとき、かすかに聞こえる音に。
これはイヤホンをしていないと気が付きづらいのだけれども、かすかに聞こえるのです。
親になったことがある人ならあるいは知っているかもしれない音。
あれは胎児の心音、胎動の音を非常にスローにした音だよ。
少なくとも僕にはそう聞こえたんだ。
その胎動を打ち破って、桜を咲かせながら出現したニルヴァーシュ。
そのシーンはまるで、そのシーンはまるで、
新しい生命の誕生の瞬間じゃないか。・゜・(ノД`)・゜・。
希望と言う名の光を持って。・゜・(ノД`)・゜・。
ああ、これまでずっと1年間見続けてきて良かった。
本当に良かった。
僕はこのシーンが観たかったんだ、きっと。
新しい生命の誕生のシーンが。
もう、……満足だ。
月に描かれたハートマークに爆笑しつつ。
この後、OPを彷彿とさせるレントンとエウレカの二度目のキス。
ああ、どうか、この二人に祝福を。
どうか、この二人に祝福を。
桜舞散る空に。
■エピローグ
ビッグバーグを食べる
それが家族の絆を確かめたときのサーストン家の慣わしだ
さあ食べよう
早くしないと月が昇っちまうからな
。・゜・(ノД`)・゜・。
お願いです、どうか皆さん第1話「ブルーマンデー」を見てください。
このビッグバーグの味を、意味を味わってください。
この物語はきっと第1話から第3話に戻ってくる、ずっとそんなことを言ってきましたが、ここでも戻ってくるなんて不意打ちもいいところ。
つか、こんな不意打ちなら大歓迎だ。
なんて、美味そうなんだ(笑)。
そして、昇った月を見て爆笑しつつ、メーテルが呟いた言葉にまたやられる。
星に願いを……か。
このタイトル……、最高じゃないか!!
1年間、こんなに楽しんだ作品は有りませんでした。
全てが完全か?と問われたら、そうではないと思うし、またそういう作品って果たしてあるのかな、とも思います。
けれども、僕は第1話から第50話までずっと観続けてきて、僕個人の趣味の問題や考え方、感じ方に起因するところは多いのだけれども、本当に楽しかった。
こんなに楽しませてもらっちゃっていいのかな、とも思ったくらいに。
いろんなことも考えました。
だから、ここからは僕個人のエピローグ。
■親の目線から
僕はやっぱり、このエウレカセブンが大好きで、それはきっとメッセージ性が温かかったからだと思うんです。
レントンもエウレカも、ともにたくさんの人に助けられてここまで来た。
そして辿りついたのが、家族。
こんな小さな家族がいる一方で、大人の事情でその家族すら普通に暮らすことをままならなくさせている社会に、ホランドが叫ぶこの台詞にぐっときちゃうんですね。
子供にあんな決意をさせて
エウレカは姿形を変えてまでして
これが
これが大人のやることかぁ!!
僕はこのエウレカセブンを観ているときの視線って親の目線になっていることが多かったな、というかほぼ親の目線で見た来たな、と改めて思います。
今ね、いろんなことが世界で起きてるじゃないですか。
世界レベルで見なくても、悲惨な事件ってたくさん身近でも起きてるじゃない。
9・11以降、何か見えちゃったというか、今まで見えてなかった部分が、不安定さが見えちゃった、そんな気もします。
僕ら親って、子供に何をしてあげられるんだろうね。
普通に安心して家族で暮らせる、これ以外に何があるんだろうね。
だからホランドが親の立場として、同じ大人の立場としてこの怒りの台詞を吐く、これにシンパシー。
僕らはどんな親父になっていくんでしょうね?
それはまた10年後に振り返ってみたいもんですね。
■記憶というものは決してそれ単体で存在せず
音楽とか映画とかその中身がっていうよりもその時の記憶って言うかさ、その時の人と人との関係を思い出すことが多いだろ?
そう、つまり記憶というものは決してそれ単体で存在せず、それを取り巻く環境に支配されているというわけだ
誰の言葉か知ってるか?マシュー。
しらねぇよ
全く学がねえなぁ・・・オレの言葉だよ。
この言葉を覚えている人はいるでしょうか?
そう、この言葉は記念すべきエウレカセブン第1話「ブルーマンデー」で最初に語られた、ストナーの言葉です。
全てはここから始まりました。
思えばこの作品、僕はずっと感想を書いてきたわけですが、決して一人でここまでこれたわけではありません。
ブログをやめようかなと思ったことも何度もあるし、もう無理と思うことも何度もありました。
でも、そのたびに色んな人が声を掛けてくれました。
特にこの「交響詩篇エウレカセブン」については、本編感想よりもコメント欄のほうが毎回バイト数が多いというほど、たくさんの方々にコメントを頂いてきました。
そしてその都度、みんなでああじゃないか?こうじゃないか?こうだったら面白いよね!ここは凄かったよね!!と、色んな話をしてきました。
実はこれが何より楽しかった。
多分、ここまでこの「交響詩篇エウレカセブン」を楽しめたのは、作品そのものが持つ面白さはもちろん、こうやって色んな人と会話をしながらいろんな意見を聞くことができたからだと信じて疑いません。
本当に、皆さんのおかげです。
この場を借りて、お礼申し上げます。
本当にありがとうございました。
私事で恐縮ですが、4日前に息子が生まれました。長男です。
エウレカセブンという作品が「家族」をテーマに持って、最後にそこに帰着してきた。
しかもこのタイミングで。
これは他人事ではない、とさえ思えます。
ストナーが最初に言ったように、「記憶というものは決してそれ単体で存在しない」もので、この1年の記憶を思い出すとき、それはきっとエウレカセブンを通じての記憶であったり、その中で語られたことであったり、皆さんと会話してきたことだったりするに違いない、今はそう思います。
1年間、本当にありがとうございました。
■最後に
この作品をここまでのレベルで作って頂いた制作スタッフの皆様には一視聴者として本当に感謝しております。
毎回毎回本当に大変だったとは思うのですが、京田監督はじめ、スタッフの皆様の気合と情熱と努力は、少なくともこのブログには隅々まで届いております。
緊急特番で佐藤大さんが仰っていたコメントが興味深く、マラソンのゴールを目指したんじゃたどり着けなかった、でも1つの電柱目指して必至に走った、というのが何よりの表現だったんじゃないかと。
特に最終話の作画は凄まじく美しく、ホントにこれが最終話なのか、と思うくらいに。
スタッフロールを観て納得。吉田健一さんはじめ、ほんとに凄い仕事してます。
そしてそれらを全部束ねていた京田監督。
DVDの他のスタッフの方々のインタビューとかを読んでいると、皆さんが京田監督を盛り立ててるような雰囲気があって、それが凄く好きでした。
#事実は違うかもしれませんが(笑)、少なくとも僕はそんな雰囲気が好きでした。
またこのスタッフでの次回作、たとえ同じスタッフでなくとも、きっとそれは応援すると思います。
1年間ありがとうございました。
オシマイ!!
■交響詩篇エウレカセブン DVD第10巻