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交響詩篇 エウレカセブン 第27話「へルター・スケルター」感想

2005-10-23 14:49:00 | エウレカセブン
起承転結で言えば「転」にあたる第3クール、かなり密度濃く始まりましたね。
今回も第2クールの1話目(15話)と同じく設定の確認と、これからの展開を暗示する意味深な伏線が知らないうちにたくさん貼られた気がします。

つか、今回からして異常に密度が濃くて、観ているこっちの「腹がきゅっ」となる感じでした。
チャールズの死から始まった第3クール、「転」だけに予想が付かない展開、かなり仕掛けてくる展開になりそうな感じが濃厚です。

個人的予想ですが、第3クールではアドロック、デューイ、ホランド、チャールズやレイと言ったサマー・オブ・ラブにつながった話を大人達の過去話を交えつつ、レントンが王の息子として本人の意思とは関係なくデューイあたりに祭り上げられる、そういう展開だと面白いかなと思ったり。
もちろんレントンはアドロックという過去と向き合う必要があるとも思っているんですが、さてどうなるでしょうか。
#僕の感想は妄想大好き感想なんであまり信用しないでくださいね(笑)。

■明かされ始めたテーマ部分
作中の表側のテーマとしてはレントンとエウレカ、二人の心の関係性を描く成長物語がありますが、裏側のテーマとしてはサブカルチャーサイドから戦争や世界の構図を投影する意味合いがあって、今回はそこを再確認してくるという構成に、第3クールの最初としてなるほどなと感じました。
#サブカルチャーサイドから見た世界観っていうのは確か制作サイドの公式コメントとしてあった気がしますし。

特にギジェットとジョブスの会話、この短い会話に集約された意味合いは非常にメッセージ性が強くて、それをうまーく表現している(ギジェットとジョブスという配役が素晴らしい)なと思います。


もともとこの世界は難しい有り様をさらけ出していた
ただ誰かが私たちに見てみぬ振りをさせるように仕向け続けてきた結果なんだと思う
君の言う「難しいこと」からね


ああ、分かるそういういろいろ
誰だって面倒くさいもんね


しかし、それでは済まない立場もある
ツケの支払いを済ませるときが来る
間もなく



ギジェットが何も分かっていないようでいて、それでいて本質を突く回答をしているのが何気に素晴らしいんですが、ここの会話というのは特別な設定の会話ではなくて、今の世界の有り様、つまるところエウレカセブンの世界の有り様だけでなく今の僕らの生活している世界の有り様を投影してるんですね。
だから冷静に観察している大人のジョブスと、普通の人(だけども本質は感じ取れている)代表のギジェットの会話になってるんですね。
こういうのをさりげなく表現してくるあたりいつも舌を巻く思いです。

ここは恐らくエウレカセブンの世界の話として考えていくならば、第25話「ワールズ・エンド・ガーデン」のウィルとパイルバンカーの話や、
僕の中でかなりお気に入りエピソードである第9話「ペーパムーン・シャイン」のティプトリーおばさんの


あなたはただ誰かが記したことを読んで知っただけ


ひいては第10話「ハイアー・ザン・ザ・サン」でのレントンの


何も知らなくたって生きてはいける、でも・・・、本当のことか・・・


につながってくる(戻ってくる)んでしょうね。

思い返すに第9話の「ペーパームーン・シャイン」は本当に秀逸だったなと思う回(脚本は佐藤大さん)で、やっぱりシリーズ構成をしている佐藤大さんは物凄い構成力を持ってるなと改めて感心、つか尊敬。
#ちなみに今回の脚本も佐藤大さん。

■隠れているメッセージ性と今後の暗示1
また、今回第3クールの初めの回として秀逸なのは、上記のジョブスとギジェットの会話以外にもあと3つ、世界観と今後の方向性を暗示する台詞を全てサブキャラから語らせているところですね。

まず1つ目としてはマシューとヒルダ。


テンション下がる話題ばっか・・・

世界中で今群発する大規模な地殻変動の結果
現体制へのカウンターを望む機運が高まってるの


まあ、今までのような地方は地方、中央は中央って政治体制、もうガタガタ

そんなときかよわき大衆が求めるのは虚像でも信念を持った指導者であり「英雄」


これってエウレカセブンの世界の話だけじゃなくて、歴史を見れば独裁者が出現する兆候のことですよね。
銀英伝でも「独裁者は民衆が創る」という言葉があるように、閉塞感を打破できる強いリーダーシップを求めてしまうということですね。
#その結果どうなってしまったかについては、これも歴史が証明していますね。

エウレカセブンの世界に話を戻すと、このあとマシューとヒルダはそういう英雄について「ピンとこない」と言うのですが、ここまでの流れから行くと、王の息子であるレントンが引っ張り出されるんじゃないかと大胆予想。
第3クールとしては過去の大人たちの回想を交えて、ここにいたるまでの経緯を整理しつつ、レントンとアドロックの関係性、ひいてはデューイがレントンを利用する目的で引き込むとか、そういう展開があるんじゃないかなぁ。
やっぱりそういう意味でもう一度レントンとエウレカは引き離されてしまうとか、そういう展開があって新OPのように再び抱き合えれば最高なんですが、どうなりますかね?
#うーん、ちょっと突っ走り過ぎたかな(笑)。
#妄想万歳ってことで許してもらえますか?

■隠れているメッセージ性と今後の暗示2
次に2つ目、ミーシャとケンゴウの会話、これも裏側のテーマ部分として強いメッセージ性を持ってますね。


そんな時代の気分を反映した 閉塞感を突き破るものが欲しい

そんな指導者が打つ手

見えざる敵を明確にし 大衆の目を眩ませる

コーラリアン、そしてヴォダラク

知らないものは怖いもの
その下地は既に織り込み済みでしょ
・・・この世界には



前述のマシューとヒルダの会話の半分はここに落ちてくるわけです。
(報道に働きかけて意図的に)世界の疲弊感を煽っている、マシューとヒルダの会話は一般市民の考えに非常に近いわけです。
#もちろんマシューとヒルダもそこの意図は分かった上での台詞なんですが。
要するにスケープゴートと英雄を用意することで、本質を見えなくさせようとしているんですね。

またこの「知らないものは怖いもの」の部分はガンダムSEEDシリーズのテーマ部分とも合致する部分ですね。
さらに歴史を紐解けば、政治では太古から常套手段として用いられてきていて、そしていまだに使われる手法ですよね。

■隠れているメッセージ性と今後の暗示3
3つ目はハップとストナーの会話。
ここにはギジェットとジョブス、マシューとヒルダ、ケンゴウとミーシャの会話の一部分ずつがそれぞれ集約されてくるところです。

政府が情報のリークをすることで、意図的に「敵」を作り出して民意を誘導している、つまりそれがストナー曰く「本格的な情報戦」というわけですね。
ギジェットとジョブスの会話で「意図的に隠された」部分を、マシューとヒルダの会話で「閉塞感」部分を、ケンゴウとミーシャの会話で「大衆の目を眩ませる」というキーワードをつなげて、最後にこのハップとストナーの会話に集約してきてるんですね。

こういうのを全てサブキャラに、しかもそれぞれ違うテーマを持ちつつ、一つのテーマに落とすあたり、構成の緻密さに本当に驚きます。

またさらに裏側を読み解くならば、ドラゴン桜あたりでも言っていたような気がしますが、知らないことは罪、というか、あまり世の中に無関心でいると、また知ろうとしないでいると、しらないうちに騙されていたり、誘導されていたり、取り残されていたりするわけで、こういうのに危機感を持っている、というのがメッセージとしてあるんじゃないかなと。

仕事でもそうですが、アンテナは常に高く、自分が何をしたいかを常に考えておかないと、流されて取り残される、そういうのは現実としてありますからね。

それにしてもストナーの台詞は意味深で、最終話までストナーがいるのか心配になりましたよ。
最終話ではストナーのフィルムだけが真実を伝えるとか、そういうエンディングもありそうでちょびっと怖いですね。
#ザンボット3のラストとかトラウマだしな~、自分。


さて、大分長くなりましたが、やはり今回はチャールズとホランド、そして今後はレイですね。

■チャールズ
ある程度覚悟はしていましたが、やはりとても好きなキャラだっただけにショック、そしてありがとう、冥福をお祈りします。
彼のポジションとしては、レントンに父親の役目を果たす、そして色々なことを違う角度から父親の立場で教えていく、という点にあったと思うので、やはり彼の作中役割としては最期の死まで教えていくということで着地点だったのですね・・・(涙)。
#第二機動部隊の心得第7条と第5条がきちんと伏線になっていたとは、これがまた切ないですね・・・。

レントンは作中で本人が語っていたように、現時点ではこの現実をまだ受け入れることが出来ていないようなので、チャールズの役割としてはもう少し続きそうです。
再び出会うであろうレイと、レントンがどう向き合っていくのか、少年の成長への試練はまだ続きますね。

チャールズとレイの夫婦リフ、今回が最期となりましたが、この二人のリフはやっぱりカッコよかったです。

■レイ

チャールズ・・・気は済んだ・・・

。・゜・(ノД`)・゜・。

ここが一番切なかった・・・。

ファーストガンダムでもランバ・ラルが散って、その後ハモンさんのカウンターがあったように、やはりレイも再びこういう形で登場してくるんでしょうね。
できればレイには今回のキーワードにもなっていた「ママ」の部分、母親の部分を作中で表現してはくれないだろうかと、散ってしまうことになるかもしれないが、そういったところを残してはくれないかと、淡い期待を寄せてしまいます。
憎しみよりも愛で終わって欲しいところです。

■ホランド
今回は最初のカットで営倉入りするところから上手いなぁと感じていたのですが、子供たちを安全圏に退避させるというのがすぐに分かりました。
今はまだ完全に吹っ切れていないし、これからどうなっていくのかもまだ分かりませんが、第3クールではホランドの浮上が描かれるはずだと期待しています。
ここまで落として来た理由、それがきっと最終回まで引っ張られる気はしているのですが、既にこの時点で最終局面付近で壮絶にカッコよく、そして壮絶に切ないホランドが見えてくるんじゃないかなぁ、とそんな気がしました。

■新OPとED
僕はですね、実は何気に第2クールの「少年ハート」好きだったんですよ。
2番の歌詞とかかなり良くて、「DAYS」とともにヘビーローテーション中です、今でも。

・・・で、新OP。これも慣れたらぐっとくるのかな?
歌詞部分はかなり良いなぁと思うのですが、一番気になってしまったのは作画。
これ、本編よりも作画崩れてませんか?ちょっと悲しいぞ(笑)。
枚数が足りてない気もするし、何より最終カットがいただけないよ~(涙)。
何とかなりませんか、制作の偉い人(懇願)。

・・・で、新ED。これ個人的に凄く好みでした。
こちらは作画も素晴らしいし、曲の雰囲気もいい感じ。
#ピンクでまとめられているのもとってもイイです。

本編で活躍がない分アネモネ大活躍(笑)。
いやー、タルホさんと二人ですっごくいい雰囲気でした。
シャボン玉を飛ばしているメーテルという構図もとっても良かったです。
つか、作画がほんとにこちらは素晴らしくて、何度も見直してしまいました。


さて、起承転結でいくと「転」にあたる第3クール。
もう簡単な予想では追いつかない、そんな気がする大波乱の予感がひしひしと伝わってきます。
どんな結果が来ようとも、レントンとエウレカ、この二人が手をつなぐ、この部分がやっぱりキーポイントなんで、どんな展開になっていくのか楽しみに待ちたいと思います。


交響詩篇エウレカセブン
DVD第5巻
2005/11/25発売
第15話~第18話を収録