蒼穹のぺうげおっと

-PEUGEOT in the AZURE- マンガ・小説・アニメの感想を書き流すファフナーとエウレカ好きのサイトです

『マリア様がみてる レディ、GO!』感想

2004-09-27 22:24:01 | マリみて
来週・再来週あたりになると運動会・体育祭の季節なんですね。
本書でも丁度そういう季節、つまりテーマは体育祭でした。

祐巳の妹をいつ決めるのか、誰になるのか?が読者として目下の最大懸案事項なわけですが、それにしても学園祭まで引っ張りますねぇ。

■紅薔薇のつぼみとして
前巻『涼風さつさつ』のラストで紅薔薇姉妹の磐石振りを発揮したので、今回は予想通り祐巳が紅薔薇のつぼみとして、上級生としてどう成長していくか、にポイントが傾倒してきましたね。
それと切っても切れないのが妹探しになってくるわけで、妹探しという大きなテーマをバックグラウンドに今後も色んなイベントが消化されていくのでしょうね。

■この作品の一番大きなテーマとして
どうやって理解し合えるか、ということに尽きるのですが、今回そんな中で手強い相手が可南子。
彼女は瞳子が言うように「自分を憐れんで」自分の世界を作ってしまい、憧れ先行で勝手に人物像を描き、自分の理想と違えば拒絶とまさに相互理解の対極に位置しています。
十二国記で言えば『風の万里 黎明の空』の鈴そのものです。
この対極に位置した可南子をどう崩していくか、これを読んでいくのが楽しくて。
何事も一歩踏み込む祐巳の姿勢がこの壁を崩していくのはいうまでもないのですが、第1巻から読んでいる読者としては「たくましくなったなぁ」なんて娘の成長を見る親の視点になっていたりしたます。

■崩したからと言って
妹候補が絞られたかというとそうではなくて、今の時点では瞳子、可南子ともにスタートラインに立った状態でしょうか。
この巻では可南子の変化だけでなく、瞳子の変化も見ていてかなり面白かったのですが、可南子には父親という伏線がまだ消化されておらず、この時点では伏線有りということで一歩リードなんですかねぇ。
可南子が祥子さまに嫌われている点については『チャオソレッラ』のエピローグに譲りますが、このネタでまだ引っ張るんでしょうね。
これは多分作者自身が「まだ機が熟してない」と感じているのではないでしょうか。
もっと世論よ盛り上がれ、みたいな。

■でもこの中でもう一つのテーマというかイベントといえば
やはり由乃さんが体育祭で令ちゃんと並んで走れるようになったことだと思うんですよ。
手術でスーパー由乃になったとは言え、初めてまともに参加する体育祭ですからね、ご両親、祐巳だけでなく読者としても涙ぐましいシーンでしたよ。ほんと。
そういう意味では令ちゃん視点で今回の体育祭をやって欲しいんですよね。
また黄薔薇絵日記とかやってくれないかなぁ。

■あと
既刊の感想も2つとなりましたが、出来れば10月1日までに既刊の感想は書き終わりたい。
けど、最大の敵は中間決算。新刊発売に間に合わないかもしれない・・・(泣)。

ハガレン 第50話 感想

2004-09-27 14:12:44 | ハガレン
これまでこの世界で信じられていた「等価交換」という考え方が崩れた今回ですが、色々と考えさせられることがありました。

錬金術で再現しようとする物体と同じ構成物質を準備したとて、それを再構築するには+アルファの力が必要になる。
この+アルファが人の「死」であり、錬金術師の「門」を通じて錬金術は行使されるとホーエンハイムが語りました。

■ふむふむ
これはうろ覚えですが、人間が死ぬ瞬間体重が21g少なくなると言われていて、そのエネルギーはプール一杯の水を一瞬で蒸発させる力があるとか。
#ヤンサンの山田○司『絶望に効くクス○』をちろっと読んだだけなので、間違っていたらゴメンなさい。
「賢者の石」の生成方法は大量の人の「死」が必要になりますし、それを結晶化した「賢者の石」が膨大なエネルギーを持つというのも頷けるところ。
だから敢えて扉の向こう側の「死」が必要という設定は必要なかったのではないかと思ったりもしましたが、この辺深く突っ込むところではないと思っていますので流します。

人の「死」のエネルギーが扉のある空間にプールされていて、それを引き出して錬金術を行使するってことですかね。
なんとなく納得。

■「親が子供に向ける愛に代価や見返りを必要としない」
これもホーエンハイムの言葉ですが、これに対してエドは
「努力しても報われないということが肯定されるべきではない」的発言をします。
正反対の意見のようにもとれますが、私としてはこれはどちらも正しい考えだと感じました。
物理や数学ってね、正しい答えを見出すために仮定を作って問題を解いていくと思いますが、それで得られた答えはやはり一つの真実だと思うのです(想定に過ぎない答えもありますが一般論で)。
だけど、世界はその一つの答えだけで構成されているわけではなくって、色々な要素やそれこそ答えが複合的に関係して構成されていると思うんですよ。
つまり、答えではあるが全てではない。
エルリック親子の会話を経て、1児の娘の親としてそう思った次第。

■最終話へ向けて
個人的にはホークアイ中尉がかなりヤバめな気がしています。
ウィンリィとの会話で「ある人を守るために」的発言が最終話に帰結しそうで怖い。
マスタングの危機的状況にその危険度が比例していて心配。
また、このクーデターに「大義」が無いことも気がかり。
勝ってるときは支持されるからなぁ(この場合支持されるのはブラッドレイね)。

エド・アルの兄弟については体を取り返せないという最後は有りだと思うのですが、この雰囲気でいくとアルが危ない。
エドの肉体的損傷を賢者の石の力を利用して回復させるという気はしますがその後が読めない。

個人的には「等価交換」とはひとつの答えだが全てではないという思いに至って、エド・アルの兄弟が再び旅に出るという最後を期待しています。
#しかしあの脚本家は普通で終わりそうにない・・・。