蒼穹のぺうげおっと

-PEUGEOT in the AZURE- マンガ・小説・アニメの感想を書き流すファフナーとエウレカ好きのサイトです

超個人的お勧めマンガ 第2位『よつばと!』

2004-12-15 12:08:00 | コミックス 感想
今回は「超個人的お勧めマンガ」第2位をご紹介いたします。
例によって選定のコンセプトはこちら
■超個人的推薦マンガ 選定コンセプト■
●男女問わず勧めできる作品
●既刊4巻以内であること

このコンセプトに合致してお勧めする今回の作品はこちら

■あずまきよひこ『よつばと!』メディアワーク 第1巻~第3巻 以降続巻

こういうマンガはもの凄く貴重だと思うんですよ。
主人公の天真爛漫な少女よつばちゃんの視点はほんとに曇りがなくって、だからこそ笑えるし、だからこそ世の中がちょっぴり切なく感じるんですよ。
マンガ好きな人はこういうマンガをひとつ持っておいても絶対損しない、ほのぼのしていて大切にしておこうと思ったり思わなかったりする不思議なマンガです。

あずまきよひこと言えば『あずまんが大王』なわけですが、『あずまんが大王』が喜怒哀楽のうち、喜と楽に特化した笑いを(それこそ爆笑のレベルで)提供していたのに対し、この『よつばと!』では爆笑の影に見え隠れする哀もプラスしてきたわけで、あずま視点により一層の深みとそれゆえに大事にしたくなる笑いが散りばめられています。
実はまだ第3巻は未読なのですが、期待票を込めてこの『よつばと!』をお勧めいたします。

でもこの2位には続きがあって、もうひとつセットでお勧めしたい。

■あずまきよひこ『あずまんが大王』メディアワーク 全4巻

何も考えずに笑って幸せになりたい人はこのマンガを読むべし。
そして何度読み返しても面白い。
電車の中で読む人はご注意を、思わず声を出して笑いそうになりますから。
とまあ前述しているにも関わらずあえてここで推薦したいほど面白いんですよ、これ。

作中、受験勉強のストレスで壊れかけたヨミの「シュークリーム分が足りない」の台詞はまさに名言。
いろんなことに応用可能。
例えば癒されたいと思っている人は「マリみて分」が足りないとか(えっ僕だけですか)。
とにかく笑いが欲しい人は『あずまんが大王』と『よつばと!』で「あずまんが分」を補給してください。

次は第1位の発表ですが、皆さんは何だと思いますか?

『よつばと!』第1巻
あずま きよひこ
630円(税込)
Amazonで購入


『あずまんが大王』第1巻
あずま きよひこ
714円(税込)
Amazonで購入


超個人的お勧めマンガ 第3位『おおきく振りかぶって』

2004-12-13 18:07:35 | コミックス 感想
先週予告しました通り、今週から来週にかけて超個人的にお勧めのマンガ、小説の紹介をしていきたいと思います。
今週はまずマンガウィークとして、超個人的お勧めマンガを3本を1日1本のペースでご紹介したいと思います。
選定のコンセプトはこんな感じです。

■超個人的推薦マンガ 選定コンセプト■
●男女問わず勧めできる作品
うちのブログでコメントをくれる人を見るに女性の割合もかなり多いのではないか、という予想のもと、男女分け隔てなく推薦できる作品をピックアップしました。

●既刊4巻以内であること
紹介したいマンガは数有れど、既刊20巻越え等はうかつに手を出せないでしょうから、これから購入できる範囲として既刊4巻程度のものをピックアップしました。

以上2点のコンセプトに基づき選定した「超個人的お勧めマンガ」の第3位は、

■ひぐち アサ『おおきく振りかぶって』アフタヌーンKC 第1巻、第2巻、以降続巻

今年はほんとに良いマンガにたくさん出会えたなぁ、と思っていたのですが、その中でもこの『おおきく振りかぶって』はほんとに秀逸、そして大・絶・賛・したいと思います。
現在単行本が2巻まで出ている高校野球マンガですが、男女問わず、スポーツのジャンル問わず、心からお勧めしたい、そんな作品です。
作画も女性受けすると思いますし、監督も女性。
だからと言って男性読者はどうかと言うとこれもまた唸らせる出来、ストーリー、設定、心理描写どれをとってもまさに男女問わず楽しめる作品です。

●自信と信頼とチームメイキング、そんなテーマにインスパイアされそして泣かされる
「エースが欲しいか?」
1年生しかいない発足したばかりのチームが臨む初めての練習試合で女性監督の百枝(通称モモカン)はチームメイトにこう問い掛けます。
普通のシチュエーションならエース不在でスカウトでもしそうなところですが、この言葉の意味は全く違う。
主人公のピッチャー三橋は努力しても努力しても自信を持つことができない、そんな卑屈なエースを「自分たちのチーム」のエースにするにはこの試合に勝ってみんなでエースを誕生させるんだという意気込みを盛り上げる一言だったりします。
この後に続けて、キャッチャーで自信家の阿部が三橋を(いろんな経緯があり)理解した上で、チーム全員に俺達のエースを勝たして欲しいと語りかけるシーン、この瞬間チームが一体になっていく感覚が溢れてきてもうたまらないくらいイイんですよ。

信頼が自信を生み、自信がまた信頼を生む、そのグッドサイクルがチーム全体に広がっていく快感と感動。
これを存分に味わって頂きたい。

●この作品には敵がいない
当然野球なので対戦相手がいるわけですが、敵とか悪役という形で存在しているわけではないんです。
最初の対戦相手は主人公三橋の古巣で諸事情から追い出された形になってるんですが、そうした通常では嫌な役にあたる対戦相手にもきちんと心理描写のスポットを当てていて、それぞれがそれぞれの想いに懸けて悩みながら全力を出して臨む姿勢に作者の各キャラに対するそこはかとない愛情を感じます。
そしてこの作品も「チーム」という言葉をテーマとしたひとつの相互理解の物語なのです。

●スポーツと科学
練習は量より質だ、と明言するだけあって練習方法に科学的要素を取り入れてチーム作りをしているのも斬新で良いですね。
集中力を養うトレーニングなんていうのはスポーツに限らず、仕事でも十分活かせるので参考になりましたよ。

お勧め度合いとしては個人的に今年No.1だと思っている『おおきく振りかぶって』。
自信を持ってお勧めさせて頂きます。

次回は「超個人的にお勧めマンガ 第2位」をお届けいたします。
#『おおきく振りかぶって』についてのコメントもお待ちしております。

『おおきく振りかぶって』第1巻
ひぐち アサ
540円(税込)
Amazonで購入


『おおきく振りかぶって』第2巻
ひぐち アサ
540円(税込)
Amazonで購入


『のだめ カンタービレ 第9巻』感想

2004-11-26 12:07:00 | コミックス 感想
「君は何かを手に入れたくて こんなところに来たのだろう?」


のだめがトラウマを克服し、音楽と正面から向き合うことができるのか?
果たしてのだめは「扉」を開くことができるのか?
のだめが自分と極限まで向き合う、そんな珠玉の第9巻。
果たしてその先に見えるものは・・・。

■間に合わなかった・・・
この作者の素晴らしいところは、のだめのトラウマの克服をコンクールで果たすのではなく、更にもう一段深堀させてきたところにあり、そういうところにこの作者の登場人物に対する深い愛情がみえる気がするのです。
ネタバレの配慮もありますので、これ以上突っ込みませんが、燃え尽き症候群に陥ったのだめをどう復活させるのか?第9巻はコレに尽きます。

■扉をあけるのは?
何もしない状態に陥って、しばらく時間を置いて自分を見つめなおす、このプロセスがやはりのだめにも必要で、楽しくピアノを弾くとはどういうことか、これに気が付くことが重要なポイントでした。
今までは自分が楽しく弾くためにピアノに向きあってきたのだめが、おばあちゃんの拍手から観客の拍手を思い出し、初めて自分だけじゃなく周囲に目を向ける、あの喝采を浴びたらもうやめられない、これが重要だったんですよね。
冒頭の「君は何かを手に入れたくて こんなところに来たのだろう?」この問いに対する答えがおばあちゃんの拍手から導かれるというのがほんとにイイ。

結果的にのだめは自分で立ち直るわけですが、その陰には江藤先生の想いもあったし、たくさんの人がのだめを支えてくれていたからこそなんですね。
「歴史に名を残す音楽家には 才能だけじゃなく人との大事な出会いがあるものさ」
沁みる一言です。そしてそれが千秋を動かす原動力となるのですから。
#千秋の「扉」を開く鍵となった懐中時計をここで持ってくるのもうまい。

そして結果として千秋は何しに来たんだ、という形にはなりましたが、やはりのだめが思い描く先には千秋がいて、その舞台に立つためには留学という手段を選ぶ、やはり千秋はのだめにとっての鍵だったわけです。
一読者としてものだめの留学決定はホッとしています。

■ハリセン江藤
あんた、いい仕事したよ、ほんとに。
あなたの「変化」、とても素晴らしかったと思います。

■キヨラたん
是非、留学編でもご登場頂きたい。
つか、高齢な音楽評論家に「キヨラたん」と言わせるあなたがすごい。
そして峰よ、キヨラたんは去りますがそれまでビッグな男になっていてください。
僕は君のキャラが大好きです。
R☆S オーケストラの「進化」のエンジンは君にあると信じて疑いません。

■そして千秋の日本最後の公演にあたり
鈴木萌・薫姉妹のR☆S オーケストラへの参加、おめでとうございます。
作者と同じように読者も今までの登場人物を大事に思っています。
R☆S オーケストラの更なる「進化」に期待しつつ、これにて日本編、めでたく終了です。

■前回、第7巻と第8巻は
セットで読んだほうがイイと書きましたが、第9巻まで一気に読んでもかなりイイと思います。
でも、第9巻だけ読むのもそれはそれでのだめの心情だけにフォーカスがあたり、感動をそこだけに合わせることができるので、そういうお勧めをしました。
7~9巻まで一気に読むと感動のポイントが多すぎてね。
ああー、これですっきりして留学編が読めますよ。

『のだめ カンタービレ 第7巻・第8巻』感想

2004-11-08 12:38:00 | コミックス 感想
人間には2種類のタイプがある。
それは単行本を大人買いするタイプか、それ以外かである。
・・・何を言わんとしているかというと、

「のだめカンタービレ第7巻と第8巻は、大人買いしようがしまいが、この2巻は絶対にセットで読むことをお勧めします」

と声を大にして言いたいのです。

前巻の感想でも
千秋の卒業を期に新しいステージに挑むことになる千秋、のだめの二人が楽しみでしかたないと書いたのですが、この第7巻と第8巻はそんな二人の新たな「扉」を象徴する巻になっていて、その「扉」をそれぞれがどう開いていくか、そのプロセスが最大の見ものになっていくのです。

■第7巻は全てが
強力な「タメ」として描かれています。
のだめの当面の課題は天才的な才能を生かすことよりも、音楽とどう向き合うか?これがポイントになっていて、奇しくも天敵的存在のハリセン教師江藤と組むことで、のだめ自身が抱えるトラウマと向き合うことになるのですが、このプロセスが秀逸。

千秋については今回集った仲間たちは全て海外を目指す、もしくは既に海外で学ぶ精鋭たちで、そういった同じ志を持つ仲間の中で、自分のトラウマとも対峙しなくてはならない。

また、第7巻の「タメ」は主人公の二人にとどまらず、オーケストラのメンバーたちにも及んでいて、このオーケストラは今のままいることが許されない前提で編成されているので、気持ちの統一ができずに各人が破綻するという「タメ」を持ってきている。

ここで千秋をはじめ各人が「今度こそ本当の自分の演奏を聴いてもらいたい!!」、「たとえ一年で終わるオケでも この時間が無駄になることは絶対にない」という想いに行き着くプロセスがあるからこそ、この後の第8巻がものすごく面白くなるわけです。

■そして「開放」の第8巻
「さあ 楽しい音楽の時間だな」という千秋の言葉、過去に師匠であるシュトレーゼマンが遺した言葉をそのままに、R☆S オーケストラの公演開始で始まる第8巻。
これはもう圧巻。
まるまる1巻を使った「タメ」があるだけに、この「開放」は素晴らしく感動的。
またこの作品を好きになってしまった、そんな瞬間。

■第8巻は2部構成
になっていて、前半部分はこのR☆S オーケストラの「開放」にあたるんですが、その前半部分のエピローグとも呼べる千秋のトラウマからの「開放」が地味にイイ。
過去ときちんと向かい合うことによって、そのトラウマを乗り越えるわけですが、その鍵はやはり「のだめ」で、千秋の世界への「扉」を開くことになる、これがイイ。
のだめとしては千秋のそばを離れたくないはずなのに、音楽の神が呼んでいるという表現にもあるように千秋を世界に向かわせる、この表現がほんとにイイ。
これはほんとエピローグとしても秀逸だわ。

■そして今度(後半部)はのだめが
過去のトラウマと向き合うことと、音楽に対して正面から向き合うことをコンクールに出場するというイベントを通じて同時進行するところが熱い。
また「音楽と正面から向き合う」という言葉を、シュトレーゼマンと千秋のそれぞれから同じ言葉で語られるのがこれまた熱く、そのきっかけを掴んだのだめが魅せるパフォーマンスは感動を呼ぶだけでなく、彼女をひとつ上のステージに上げた感じなんですよ。
のだめが本当にトラウマを乗り越えられるのか?
これもまた大きな「タメ」となって第9巻へ引き継がれるわけです。
読者泣かせですな。

■この作品には敵がいない
第5巻の感想でも書いたのですが、この作品にはほんとに敵がいないんですよ。
彩子しかり、大河内しかり、嫌な役回りをやるキャラには必ず自分を見つめ直すチャンスが与えられていて、そして大きく「変化」していく。
今回はその役回りを、千秋やのだめの天敵として描かれた教師、ハリセン江藤が演じるのですが、彼が魅せる「変化」も秀逸で、この作者の力量にリスペクトせずにはいられないのです。
「オレはこんな生徒を持った経験がないんや どないして教えたらええんかわからん」と呟いて最後まで付き合う江藤先生の姿に大きな「変化」を見たのは僕だけではないはずです。

■そして何気にカッコイイのが峰
落ちこぼれとして登場し、その後たゆまぬ努力の賜物で天才たちに喰らい付いていく峰がカッコイイ。
彼女をウィーンに戻す配慮や、何より彼の音楽に対する情熱が素晴らしい。
オーケストラのメンバーは固定ではないし、それぞれの活躍のステージがある。
でも何人いなくなろうとも、情熱を持って「進化」させようとする、進化したオーケストラを続けようとする峰の熱意が一番カッコイイ、そう思えるのです。
そしてその想いは第9巻に結実していくわけで、9巻までイッキに読んだ方がいいのかな・・・。

■僕が今一番お勧めできる
マンガなので、是非買うもよし、借りるもよし、マンガ喫茶いくもよし、ちょっと読んでみてくださいよ。
なんかやる気になっちゃいますから。
そんなマンガです。

『PLUTO(プルートゥ) 第1巻』 感想

2004-11-01 22:24:22 | コミックス 感想
各所で話題になっている手塚治虫先生原作、浦沢直樹先生の『PLUTO』第1巻を読みました。
ミステリーとしても、人間(ロボット)ドラマとしても秀逸な良作ですよ、これは。

僕は通常版を読んだのですが、これはこれから購入を考える人は豪華版を購入することをお勧めしたいですね。
というのも僕は今非常に原作の鉄腕アトム「地上最大のロボット」が読みたくて仕方がなくて、そしてそれは豪華版に収められている、というわけなのです。
『MONSTER』を読むだけでも浦沢先生がいかに手塚先生の作品をオマージュしているかが分かるのですが、その浦沢先生が手塚作品に挑むのですから見てみたいのは一読者として必定というものです。
また、それを読みたくなるほどこの『PLUTO』の出来は良かったですよ。

■ロボットを通じた「人間臭さ」
アトムの世界観は「人間とロボットの共存」をテーマに語られるのですが、その先に見えるのはロボットの中にみえる「人間臭い部分」であったり、分かり合えないと思っていた異種族(人間とロボット)が理解しあう「相互理解」であったりと、ロボットを通すことで人間って愚かだよな、でも人間って面白いよな、実は結構素晴らしいよな、なんて人間讃歌的な表現だったりするのではないか、そんなことを思いました。
これが浦沢先生版『PLUTO』でも惜しみなく描かれていて、泣きそうになります。

■ノース2号
これは泣けた・・・。
これは切ない・・・。
もうこれが読めただけでも十分満足という出来です。
ノース2号が人間を理解しようとするプロセスと、それを拒絶する老音楽家が変化していくプロセスは秀逸で、それだけにこの物語をより一層切ないものにしたと思うのです。
いや、まじで良かった。

■浦沢版アトム
第1巻の最後のカットは浦沢版アトムが登場するのですが、これがまた第2巻が待ち遠しくなるわけですよ。

■こんな時代だから
最近の世情をみるに、十二国記の言葉を借りれば「国が傾いてる」という表現がはまりそうなくらい悲しいことが多いですね。
人間同士でも分かり合えないことが多いんですが、この『PLUTO』ひいては『鉄腕アトム』の世界はロボットがひたむきに人間を理解しようとしているんですね。
こんな時代だからこそ、このひたむきな「理解しよう」とする姿勢に心打たれるのかもしれません。

『PLUTO』お勧めです。

昨日までに購入したもの 7冊

2004-10-27 12:13:00 | コミックス 感想
二ノ宮知子『のだめ カンタービレ 第7巻~第10巻』
浅暮三文『ダブ(エ)ストン街道』
西尾維新『新本格魔法少女 りすか』
『月姫 読本 Plus Period』

丁度今、奥さんと娘が里帰り中なんで、好き放題やってます、つか買いすぎ?
期間限定の自由を手に入れているうちに、と思ったらあれよあれよという間に・・・。
しかもそれぞれジャンルが全然違うし。
しかも1冊妙なのが交じってるし・・・。
では、以下それぞれ購入の言い訳です(言い訳すんのかよ)。

■『のだめ カンタービレ 第7巻~第10巻』
「のだめ」はですね、僕が21世紀になって出会ったマンガの中で最高レベルのマンガだと思っていて、普段あまりこういうこと言わないんですが、今最もみんなに読んで欲しいと思っている作品です。
クラシック音楽を題材にした珍しいマンガですが、クラシックを知らなくても全然平気です。
これほど面白く、感動的で、前向きなマンガはそうはないですね。
既に10巻までの感想は書いたので、感想はまた後日アップしますが、第6巻までの感想は過去ログ(カテゴリはコミック感想)にあるので興味がある方は見てみてくださいね。

■『ダブ(エ)ストン街道』
これ前から欲しかったんですけど、書店に置いてなくてネットで注文しちゃいました。
第8回メフィスト賞受賞作です。
紹介文の一文にやられて、それ以来本屋を覗くとちょっと探していました。
「タニアをみかけませんでしたか。僕の彼女でモデルなんですけど、ひどい夢遊病で。ダブエストンだかダブストンだかに探しにきたんです。迷い込むと一生出られない土地なんで心配で。王様?幽霊船?見ないなあ。じゃ急いでるんでお先に」
これだけの紹介文だったんですが、これが気になって気になって。
通勤時間が楽しみです。

■『新本格魔法少女 りすか』
西尾維新は実は食わず嫌いしてました。
それがこないだたまたま手持ちの小説を切らせたところに『ファウスト Vol.3』を購入したんで、そこで初めて西尾維新作品を読んだ次第。
『りすか』と『零崎』の2本立てで『零崎』は残念ながらちょっと僕の趣味ではなかったんですが、『りすか』は結構僕のツボにはまった感じがありました。
#演出として主人公の強さを引き立たせるために人があまりにも簡単に、そしてたくさん死んでしまう作品が実は僕は苦手なんです。
で、この『りすか』は読後感も良かったし、西村キヌの挿絵も気に入ったんで続き(正確に言うと前)が読みたくなって、勢いで購入。

■『月姫 読本 Plus Period』
これを購入したのは深いようで浅い理由がありまして・・・。
僕は月姫のゲームやったことないんです。そもそもゲーム自体やらない。なのに何故?

もともとは奈須きのこの『空の境界』を読んだことに端を発していて、これがかなり面白くて、次に奈須作品を読めるのはないのか?と探したところ、佐々木少年の『真月譚 月姫 第1巻(コミック)』が発売されたのでそれを読んだんですよ。
これもまた面白くて、もっと奈須作品プリーズってところに前述の『ファウスト Vol.3』を購入し、『DDD J the E』を読み、これもなかなか面白くて、もっと読みたいなーと思って書店のレジ待ちしていたら、目の前にあったのがこの『月姫 読本 Plus Period』だったという次第。
完全に衝動買い、そしてその衝動買いが一番高くついた・・・。

ガンパレの時もそうなんですが、ゲームやらずに関連商品に手を出している僕は多分ほんとのファンの人からみたら外道だろうな・・・。
そんな僕なんですが、『月姫 読本 Plus Period』はゲームを知らない僕でさえ結構満足できる内容で、楽しんでしまいました。
#佐々木少年の『真月譚 月姫』はやく2巻出ないかな・・・。
#つか、月姫欲しくなってきた。けど、今これって買えるの?

しかも『空の境界』の設定資料集とかもついていて、これは期待していなかっただけに満足度アップでした。
なるほど・・・、こうやって奈須きのこ(と竹内崇)ワールドは構成されているのか・・・、と感心しきりで。

ああ、もっと奈須きのこ文章プリーズ、今はそんな感じ。

今回の記事は完全に僕の言い訳なんで、このうちいくつかはちゃんと感想書いてアップしようと思います。
いつになるかは分かりませんが・・・。
では、ごきげんよう。

『のだめ カンタービレ 第6巻』感想

2004-10-06 18:12:41 | コミックス 感想
すごく切なくて切なくて、そして素晴らしく面白い、そんな第6巻。

■4年生の卒業とSオケの解散
いつの間にかSオケの面々も4年生は卒業なんですが、それぞれが自分達の進路を考えて卒業演奏に臨むプロセスは、Sオケ誕生から死ぬ思いの練習、2度の公演を読者にも想起させ、それがなんとも言えない切なさとして迫ってきます。
読者としても卒業していく彼ら一人一人の演奏を大事に大事に読みたい、そんな気持ちになりました。

■その切ない想いの集大成が
Sオケ屈指のティンパニー奏者である真澄ちゃんの卒業演奏にあたるわけですが、千秋の伴奏による真澄ちゃんの4年間の想いが詰まった演奏は、これまで表現されてきたオーケストラの演奏にも負ける事無く輝いていました。

マンガってすごいなと思うのは、音が聞こえないのに、4年間という記憶はこれまで表現されていないのに、ピアノとドラムのセッションシーンだけで、その迫力・4年間の思いの丈を読者として共感できる、これってほんと凄いなと。
もちろん、この作者の画力・構成力の賜物なんですが。

■表面のクライマックスが真澄ちゃんだとすれば
裏面を飾る千秋にも一つの区切りがやってきました。
のだめやSオケの面々を通じて、感情を開放すること、相手のことを考えること(まだ理解には至っていない)を身に付けた千秋は文字通り学校からの卒業を果たしました。
またそこで新オケにSオケのメンバーを入れないという判断を下すことで、自分の道=高みを目指すことをおぼろげながらも始めていく。
この瞬間、一つの舞台が幕を下ろしたな、そんな感じになりました。

■そうなるとのだめは?
ものすごい才能を持ちながら、将来の夢は幼稚園の先生というのだめ。
この巻はここから次のステージに入るまでのインターバルになるのですが、このインターバルは本当に大事な大事なインターバルになっているんです。

千秋の例を見るまでもなく、才能を世に開花させるためには独力では駄目で、のだめやシュトレーゼマン、Sオケの面々の力を借りることでその才能を世に開花させる準備をすることができました。
つまり、俺が俺がではなく、より高みを目指すのならば様々な力を借りなくてはならないわけですね。

このインターバルでのだめには「周囲が」のだめに目を向けるきっかけを作りました。
後はのだめ自身の問題になってくるのですが、のだめが千秋を高い次元に引っ張りあげたように、今度は千秋がのだめを引っ張りあげることになると思います。
このプロセスをどう描くか?
新学期、エリートコースに入れられたのだめが音楽とどう対峙するのか?
新しいステージの開始とともに、これが楽しみでしかたありません。

『のだめ カンタービレ』第5巻 感想

2004-10-04 12:02:59 | コミックス 感想
これは面白い!面白い!面白い!ほんとに面白い。
うーん、こんなマンガがあるとは世の中広いです。
男女問わず、ジャンル問わずお勧めできる作品です。

今回は才能の方向性をどう持っていくのかという問題提起を文化祭を通してなされた巻なのですが、これに至る構成がまた見事でした。

■今回はSオケすら前座に過ぎなかった
前夜祭で公演された峰率いる「Sオケ」の(演奏する前から)伝説のパフォーマンス?は千秋が言うとおり「お前ら本領発揮だよ」と読者としても全く同じ感想で、「Sオケ最高!」「やっぱりSオケはこうでなくっちゃ」といたく感動したものです。
しかし、今回はそんなSオケのパフォーマンスさえも前座に過ぎなかったとは・・・。

■しかし千秋&シュトレーゼマンのAオケさえ・・・
これも前座に過ぎなかったのではないでしょうか。いやー、めっちゃ贅沢だー。
Sオケのパフォーマンスは千秋に「魅せる」とはどんなことか?というテーマを開眼させたわけですが、この「開眼」からシュトレーゼマンとの演奏を通じて「没頭」「楽しむ」「切なさ」に辿り着くプロセスが秀逸。
これこそが千秋に欠落していた部分だったので、その入り口に到達した意味は大きいですね。
またその扉を開いたのはのだめ達Sオケの面々とシュトレーゼマンであるというのが熱い。
このシーン、音が聞こえないマンガという世界でここまでの感動を与えられるのはほんと凄いことですよ。
#逆に音が無いからこそ成立する感動なのかもしれませんが、作者の画力・構成力には頭が下がります。

■ここが本命
千秋の公演に感銘を受けたのだめが我を忘れて練習した曲を千秋と連弾する部分が一番熱い。
SオケもAオケもここに到達するための前座だったと考えると、ものすごい贅沢をしている気分になります。
そして何より、ここがのだめという才能のかたまりに対する問題提起になっていること、これが秀逸。

■これでいいのか
千秋が演奏に没頭して気絶したのだめに対して呟くラストシーンですが、これは読者全員の意見の集約であるともとれます。
#つか、そういう展開をさせているのが凄いと思うんです。
のだめの夢の中でシュトレーゼマンが囁く言葉「もっと音楽と正面から向き合う必要があります」この言葉に、今後どうのだめが向き合えるかがポイントなんですよね。

■やっぱりこれを引き出せるのは千秋しかいない。
既に千秋自身は(シュトレーゼマンという触媒はあったにせよ)のだめによって、「自分は不幸だ」という自分だけの殻から他者を受け入れ、自分の感情を「開放」していく術を知らぬ間に身に付けることが出来つつある。
これに対してのだめの才能を「開放」する鍵は千秋しかいない。
#僕はブリーチやエア・ギアでは「解放」という言葉を好んで使いますが、のだめでは「開放」という言葉をあえて使いたいです。
こう思うからこそ、「これでいいのか」で終わるこの巻はにくい。
あー、もう次が読みたい。

■この作品にも敵がいない
嫌な女キャラの彩子や伝説の迷指揮をやってしまった大河内でさえ、今回スポットを当てて復活させている。
こういう手法は見事だなと。
基本的に皆音楽に対して情熱を持っているから、自分を見つめなおし、音楽に対して謙虚になって、自分の気持ちを「開放」させることによって、一度落ちたキャラも「脱皮」させているんですね。
こういう敵だ味方だ、善だ悪だという絶対的二元論に陥らない、変化・進化を肯定的に描いている点、それが僕がこの「のだめ」を面白くて仕方ないと感じるポイントの一つなんだと思います。

『のだめ カンタービレ 第4巻』 感想

2004-09-29 13:11:27 | コミックス 感想
最寄の書店で4巻だけ売り切れていたのですが、無事補充されておりました。
もちろん即購入です。

■今回はオケから少し外れて
個人にフォーカスを当てた感じの4巻でした。それにしても面白い!

オーケストラの素晴らしさは何となく読者に伝わったかな、ならばもう一段上の素晴らしさを伝えるためには、個々人のレベルアップが必要だろう、そんな作者のテーマが見えた気がします。
つまりRPGで言えば経験値稼ぎのターン相当しますが、それだけに終始することなく、レベルアップのその先に見えるもの(プロとか留学とか)を今回示唆してきましたね。
こういう自然な振りがとても上手くて、読者も自然と乗せられてるみたいなそんな感じです。

■千秋とのだめ
千秋はのだめを介すことによって劇的に進化しているんですけど、この二人が離れたならばどうなるのか?
シュトレーゼマンの過去話でもあるように、別離で才能を開花させるのか、それとも逆か?
ふたりの場合後者のような気がしますが、当面は留学というイベントをちらつかせながらのだめの埋もれた才能をどう世に出していくか、千秋サイドでは千秋の中でののだめのポジションがどう変化していくか、この辺目が離せないっすね。
二人でいることでのだめは「世間」に千秋は「才能」を開花させていくでしょうから。

■天才でも不断の努力
峰が千秋、沙悟浄に触発されて「脱皮」していくプロセスは秀逸でしたねぇ。
不断の努力、熱いねこれは。

■番外編
そうか、そうやってのだめの才能は世の中から埋もれていったのか。
でも、ああだったから今の「型にはまらない」のだめがいるわけで、個人的にはすごく好きなエピソードでした。

帰りに5巻買って帰ろうかと思ったのですが、今日はほらアレ読まないといけませんから。
では、ごきげんよう(書くとこ違う)。

『のだめカンタービレ 第3巻』感想

2004-09-24 11:56:55 | コミックス 感想
水曜日、関東地方は突然の大雨で帰りに足止めを喰らいました。
ならば書店に寄って『のだめ』の第3巻・第4巻でも購入して喫茶店で雨がやむまで時間潰そう、なんて有意義だなんて思って書店に行ったところ、第4巻だけ売り切れ・・・。
他の巻は山積みなのに、第4巻だけ・・・(泣)。
という訳で今回は第3巻の感想です。

■Sオケ最高!
ラストの定期公演本番で魅せるSオケのパフォーマンスはこの一言に尽きました。
マンガという媒体で音楽を表現するのは難しいと思いますが、これはそんなことを微塵も感じさせない、むしろマンガであるからこそオーケストラが一体になっていくシンクロ感が出せている、そんな感覚に陥りました。

特に峰→千秋→峰→ヴァイオリンチームへのアイコンタクトからナポレオン(仮名)が決まり、それからSオケが波に乗っていく表現はほんとうに秀逸。
いいもの見せてもらいました。
読者も観客席から拍手、そんな感じです。

■宇宙アメ
Sオケのパフォーマンス大成功に至るまでには、きちんとしたテーマや伏線が消化されていて、それがあるからこそあの演奏が感動的になるわけですが、今回のもうひとつのテーマはやはり千秋でした。
千秋が指揮者を目指す上で絶対的に欠けているのが、周りの力を引き出す能力なんですが、これは指揮者としては致命的でシュトレーゼマンがSオケを千秋に預けたのはこのテーマに気が付く事ができるかを試す意味合いが大きかったと思います。

この辺をドラ○もんのパロディーのような「ごろ太」を通じて
「人間は一人では生きていけない」=「オーケストラは一人ではできない」
というテーマを提示して、
千秋が音に酔って倒れる瞬間に峰が腕を掴む瞬間を「宇宙アメ」という助け合いの象徴で表現する流れはこれもまた秀逸。

■変化の連鎖
このマンガは構成が素晴らしくて、第3巻の冒頭の試験勉強から全てが繋がっています。
千秋は自分のレベルで他人が何故できないのだ、と他者を理解することを拒否するスタンスから入ってたのですが、のだめや峰と接することで、環境が異なれば得意分野も異なるし、何故できないのかを理解するようになってくるわけです。
コンバスの桜にしても、「問題は環境でなく自分自身にある」と理解してから行動を起こして上達していくし、Sオケの面々も得意分野のプライドを千秋に崩されることによって更に上達するわけで、変化の連鎖が起きているんですね。
この連鎖が定期公演の演奏に収斂していくプロセスがほんとうに秀逸だなと。

あぁー、いいもの読ませてもらいました。
次は変化から進化に期待です。