5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

半田混声合唱団を聴く

2014-11-16 21:39:46 | 音楽
知人のYY氏から「自分が歌うコンサートに来て欲しい」とかなり強引に誘われて今日は半田に出かけた。地元のアマチュア合唱団「半田混声合唱団」の定期演奏会である。

入り口で貰ったプログラムには「結成50周年記念」とあった。半世紀継続というのは立派。昔から経済的にも文化的にも豊かなこの町だからということか。現代のご贔屓筋はやはり年配層、広いホールは7割方の入りといったところだろうか。

市長の挨拶などあって、コンサートが始まった。客が入ったせいかホールはライブになり音響効果もイイ。これなら歌っている方はキモチよかろう。

最初は50周年記念に委嘱された「団歌」だ。「さあ歌おう、共に生きる喜びを、今日この日この時を、命の限り愛を込めて」と始まる長~い団歌である。「ああ吾ら半田混声合唱団」というフレーズだけが何度も繰り返され、コマーシャルを聞いているようだ。

中声部が多く員数バランスは良いようでちょっと安心できる。指揮者のトレーニングが巧みなのかもしれない

次は「ふるさとの四季」と題した童謡や唱歌のメドレー。おなじみの曲ばかりだから破綻なしと云いたかったが、男声(テノール)のパートがちょっと弱そうだ。若手の新人団員が多いとプログラムにあるから経験不足もあるのだろう。地声で歌っているせいかソットヴォーチェになると突然崩れる。

それにソプラノとテノールが一人づつ、ソロパートを歌ったが、残念乍であった。合唱でこそ聴けるがソロは辛い。口先で地声で歌ってはいけない。

次は「富山の三つの民謡」の混声曲だ。有名な「おわら」「こきりこ」「むぎや」と続く。民謡パートを合唱アレンジで聴くのは面白いと思った。変拍子などもあって、外国人のコーラスの隠しダマに使えそうだ。だが、作曲者はどうしても「説明」をしたかったらしい。頭と中と尾にはそんな冗長なブリッジがくっついている。邪魔だと思う。

続いてこんどは本場の正調「こきりこ」が聴けた。ゲストは越中五箇山の「こきりこ保存会」だ。もちろんささら踊り付きである。そもこの半田合唱団が富山の山奥を尋ねて両者の交流が始まって今年で28年にもなるという。合唱アレンジが良かったのは、こんなエピソードの結果なのだ。

休憩を挟んで、二部は男性合唱から始まった。エキストラも入れて男声が30人以上揃うというのは立派だ。これも50年の歴史のなせる技ということか。

「雪明りの路」という伊藤整の詩集から取った6曲が組曲になっている。男と女の物語、いわゆる叙事詩というのか、それにしても詩文が長い。これを無伴奏で歌うのは楽ではなさそう。地声でビブラートを利かさずに歌うとすれば、歌が不安定になるのは判っているはず。それでもやりたいのだろう。近頃の歌詞は長くなくては駄目なようだ。

ちょっと苦しい男声合唱が終り、最後は「和泉式部日記」の和歌を歌う合唱団顧問指揮者の作曲作品。

物語の地の部分は女性による朗読、ピアノのほかフルートの助奏もついている。五七五七七を繰り返し歌うのは、キリスト教のミサ曲に倣った感じもする。この作曲家はドイツ留学経験があるようだから、そうした作曲技法も承知しているのだろう。初めて聞いたがユニークだと感じた。合唱団もこちらの方が歌いやすかろう。

先にも書いたが団員はバランスよく員数が確保されているようだ。指導者(トレーナー)が女性だからか女性のメンバーが強いのかもしれないが、それが合唱団にはプラスに働くのだろう。男性メンバーは女性の呼びかけに乗って団活動に参加してくるのだ。YY氏もそんな鼻下長族のひとりである。団員たちと仲良くできれば、今後も参加して歌いたいと思っているだろう。

アンコールは東日本大震災チャリティーソングの「花は咲く」だった。TVで耳タコの「感動を誘わせる」ところがあまり好きな曲ではないのだが、合唱アレンジは巧みだと思った。アンコールだから懸命に練習したのだろうか。

プログラムに挟まれていたアンケート用紙。「各ステージの感想をお聞かせください」とあって(感動した・よかった・普通・わからない)に○をつけよという指示がある。「感動した」なんて項目、昔のアンケートにはなかった。

「感動」の押し付けは、野暮である。











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