「ノヴィチョーク」という言葉を憶えた。
ロシア語で「新参」という意味らしい。新年度が始まるから新参者も増えるのだが、この新参者はすでに生まれて半世紀が経過している。時はソ連の冷戦時代。ソ連軍が作った神経ガスにノヴィチョークという名を付けたのだ。
その新参者が使われたのではないかと疑っているのが英国諜報機関のMI6。セルゲイ・スクリパルという二重スパイが中部のソールスベリーでこのVXやサリンより強力だと云われるノヴィチョークを嗅がされ重体で発見された事件から2週間。今日はもう一人、プーチンと関連があるロシア人が死体で発見されたというニュースも現れた。イギリスとロシアの雲行きがおかしくなっているのも当然である。
広大な国土を持ち、歴史的にも国際政治的にも謎の多いロシア。指導者が元KGBだということからしてなんとなく怪しい。だが、それがまた興味を引くことも事実だ。
「金沢通りに親近感」という見出しは今日の中日夕刊「世界の街海外レポート」のロシア特派員のコラムタイトルだ。
イルクーツクは極東ロシアの主要都市だが、ここは金沢市と姉妹都市提携をしている。「金沢通り」と名のついた街路は市の中央部を長さ2~3百米伸びていて、兼六園のシンボル「徽軫燈籠」が立っているそうだ。「徽軫」でことじと読む。「琴柱」でことじだろうと思ったが違うのだ。WEBで説明を探すと琴柱と同じ役割をする中国琴の音程調整器具のことらしい。加賀前田の中国学の先生か誰かが格好をつけたのだろうか。
イルクーツクの金沢通りには両市交流の歴史に関する表示板もあるという。両市が交流を始めたのはニノヴィチョークとおなじ冷戦時代の1967年、昨年で交流50年を過ぎたことになる。
「シベリアのパリ」と呼ばれる落ち着いたイルクーツクの街並みに徽軫燈籠はよく似合っているのだろうか。金沢と似ていなくもないと特派員氏もちょっと苦しい。その金沢には残念ながらイルクーツク通りはないのだそうだ。姉妹都市提携というのも、最初はよくても維持発展させていくのはそう簡単ではないようだ。
わが町にも姉妹都市はあったはずだ。市街地開発の最中なのだから、どこかに姉妹都市の名前を持ってくるのも面白いのではなかろうか。イルクーツクの徽軫燈籠と同じような都市のシンボルがあればきっと楽しい。
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