5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

消えゆく市場

2018-10-17 22:06:31 | 社会

大小のチェーンスーパーが日本人の購買スタイルを変えてもうどれほどになるのだろうか。〇〇市場という昔のスタイルで商いを続けるところもあるのだろうが、我が町にはそれはもうない。中型スーパーが数店、市内の各地域に分散して限られた購買者を奪い合う流通戦争の最中である。

韓国観光のユーチューブを時々観るが、メガマート隆盛のソウルにも依然として〇〇市場というオールドファッションは生き残っているようで、活き活きとした売り買いの光景を見ているだけで楽しくなる。

中日夕刊の「世界の街海外リポート」では北京特派員氏が「消えゆく市場の熱気」と題した寄稿をしている。

近頃の北京市政府は都市環境改善という名目で、小店舗が並ぶ市場を次々と閉鎖しているのだという。

特派員氏が取材したのは、西城区という市街の中心部にある「官批市場」。「官批市場」は「官園批発市場」の略。「批発」とは日本語だと「卸売り」ということだから、大型の卸売り市場ということになる。

三階建ての大きなビルに入っており、洋服や雑貨を中心になんでも揃うプロアマ混在の北京庶民の買い物の場として親しまれてきたところだ。屋根付きで食堂やFF店舗もあるから、雨や雪の日でも楽に買い物ができるのだ。

この大型市場が9月末で閉業となった。閉店セールに客が集まるのは日本も中国も同じ。パンを頬張りながら忙しそうに動き回る店員たち、ぎゅうぎゅう詰めの大プラ袋を両手に抱えた買い物客たち。特派員氏が取材した日も場内は立錐の余地のないほどの混みあいを見せていたという。

すでにネット通販が浸透した中国人の購買スタイルだが、依然として商品を手に取ってから買いたいという、自分の皮膚感覚を重視するショッパーたちも生存している。道端に荷物と一緒に座り込んだ女性に「たくさん買いましたね」と訊ねると「買い物する場所がなくなっちゃう」と淋しそう。

昔ながらの市場の閉鎖を惜しみ、近代的なショッピングモールに物足りなさを感じるのは、外国人の勝手な感傷だけではないと特派員氏は短文をまとめた。

東京では旧い築地が閉鎖されて新しい豊洲に市場機能のほとんどが移動したわけだが、魚介の買い付けは豊洲に行くが、その他関連する食材などは存続する築地場外市場で買い整えるのだという調理のプロたちも多いということを、今朝のモーニングTVがレポートしていた。

築地市場と官批市場。世代交代の波は容赦なく庶民の生活スタイルに変化を強いてくる。ふたつの市場の跡地にはいったいどんな「夢」が立ち上がってくるのだろう。




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