5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

動く新聞広告

2009-11-27 21:43:34 | 社会
iPodタッチの愛読紙「産経 NewsView」を見ていて正直びっくりした。

2頁目の「総合欄」、記事下の3段は広告のため空欄になっているのだが、昨日(11月26日)はちょっと違った。社説を読み始めると、空欄だったはずのところに映像が写り、しかも動き出したのである。

どうやらハリウッド新作映画の予告トレーラーらしく、《2012》とタイトルがが出ている。スポンサーはSONYピクチャーズ、「世界の破滅」「60億を救えるか」とセンセーショナルなキャプションの予告編を最後まで眺めてしまった。画質は粗いが途中でスタックすることもない。

トレーラーが終わると、こんどは《産経新聞アプリ実験広告》と書かれた選択メニュウ画面が現われた。「予告編、Appストア、映画館検索、公式サイト」とあり、動画、ゲーム、検索、Web頁と、iPhoneで操作可能なソフトへ誘導される仕組みになっている。

4頁目は「全面広告」。上10段は記事のスタイルで見出しだけが読める。曰く「新聞広告のクリエイテブが飛躍」「産経新聞にムービー視聴も」「世界が注目する新メディア」などと、《アプリ実験広告》のPRである。下3段は、ホンダのコンパクト・ハイブリッド車《インサイト》の広告。青い小型セダンがくるくる廻って、グラフィックの楽しさが印象的だ。

クリックをすると、新聞記事の上をさっきのセダンが横切り、選択メニュウ画面に誘導するのは《2012》と同じである。ここでも「インサイトのWEB、カタログ請求、販売店を探す」の3メニューで、それぞれ、Net、電話、ナビというiPhone機能に特化した宣伝に繋がる。

WEB上での動画の埋め込みは、すでに一般的でさほど目新しくもないが、新聞段組の記事下広告のスタイルで、オブジェクトを「動かす」手法には、なかなかのインパクトを感じた。「静止した」新聞が動き出したのだから、その意外さに驚かされるのである。黒白画面だった新聞に始めてカラー写真が掲載されたとき、オオッ!と思った感じに似ている。

「鳩山家の資産」「社保庁分限免職」「北朝鮮の食糧不足」「米大統領とCOP15」「情報監視衛星打ち上げ」といった2頁の記事の下に、「2012年の暮れには世界が滅亡する」というパニック映画の動く予告編が写るというのは、いかにもリアルでインパクトあり。

今日の産経には、この実験について、コラムを載せているが、それによると、仕掛けは広告会社の電通によるもののようだ。「電子広告配信の新手法を積極的に展開し、さまざまな高機能携帯電話へも拡大したい」ということは、紙メディアだけでは広告収入の確保が難しくなりそうだから、ここらでデジタルメディアにも既得権を得ておこうということなのだろう。

最近は、書籍販売のアマゾンが開発した《Kindle》という電子書籍リーダーの日本販売も始まった。こうした携帯リーダーが発展してゆけば、新聞の配信は最も大きな可能性を持つといわれている。比較的大きな画面で、好きな時間に安価に読めるメリットは大きい。こうした「動く」広告が導入されるとすれば、それこそ「停まってしまいそうな」新聞の概念を180度以上変えるきっかけをつくるかもしれない。楽しみである。


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