世界経済を破綻させる23の嘘
ハジュン・チャン[著]
田村源二[訳]
徳間出版
読んでいて、
「わたしたちは市場任せにできるほど利口ではではない」
という箇所があった。
○限定合理性
市場参加者はかならずしも自分が何をしているのかよく
わかっているわけではない。
人間というのは、能力に限界があって、自分に直接かかわる
ことでも、きちんと理解することができないときがある。
専門用語を使わせてもらえば、わたしたちは〈限定合理性〉
しかもちえないのである(経済主体は合理的であろうとしても、
認識能力の限界によって、限られた合理性しかもちえない)。
世界は非常に複雑で、それにしっかり対処することなど、わたし
たちの能力ではとてもできない。
したがってわたしたちは、立ち向かわなければならない問題の
複雑さを減じるために、意図的に選択の自由を制限する必要が
あり、通常はそうしている。
政府の規制、とくに現代金融市場のような複雑な領域への規制が、
効果を発揮することが多いのは、政府が優れた知識を持っている
からではなく、政府が選択を制限することによって、当面の問題の
複雑さを減じ、不都合なことが起こる可能性を小さくしているから
である。
ここである。
この文章を読んで、ふと、思うことがあった。
じつは、わたしたちの生活も人生もすべて、この「限定合理性」の
連続だ。
ということである。
ずーっと、わたしの頭の中に、適当な言葉がなくて、説明できない
もやもやしていたものが、巣くっていたが、やっとその、もやもや
を説明できる言葉に、出逢った。
わたしたちの生活は、次々と立ち現れる「限定合理性」に、対応
して生きていく人生である。
日常的には、「思い違い」「勘違い」または「偏見」等の背景を
もとに、「不測の事態」「想定外の事態」等という形で現れる
と思っている。
この本の中では、
合成の誤謬ーある人々が特定のビジネスで成功できても、
他の多くの人がそこに参入すると、そのビジネスでは成功
できなくなる。
のことも書かれていたが、
結局、わたしたちの人生は、これら「限定合理性」、「合成の誤謬」
の連続に翻弄されて生きている。
高速道路を無料化すれば、フェリーがそのとばっちりを受けた。
公共事業を削減したら、豪雪への対応ができなくなった。
区画整理をしたら、従来の町並みがシャッター通りになった。
歯医者が多くなりすぎ、コンビニよりも増え、歯医者が倒産
している。
大学を卒業したが、その学歴を必要とする仕事が無くなった。
最悪なのは、若い頃は、核家族で、楽しんだが、老いては、
孤独死を潔く、受け入れる覚悟をしなくてはならなく
なった。
わたしたちの生活も人生も、「限定合理性」と「合成の誤謬」
に翻弄されて生きている。
頭のもやもやしていたのは、すっきりしたのだが。
絶句してしまう。
不都合な真実だ。
ハジュン・チャン[著]
田村源二[訳]
徳間出版
読んでいて、
「わたしたちは市場任せにできるほど利口ではではない」
という箇所があった。
○限定合理性
市場参加者はかならずしも自分が何をしているのかよく
わかっているわけではない。
人間というのは、能力に限界があって、自分に直接かかわる
ことでも、きちんと理解することができないときがある。
専門用語を使わせてもらえば、わたしたちは〈限定合理性〉
しかもちえないのである(経済主体は合理的であろうとしても、
認識能力の限界によって、限られた合理性しかもちえない)。
世界は非常に複雑で、それにしっかり対処することなど、わたし
たちの能力ではとてもできない。
したがってわたしたちは、立ち向かわなければならない問題の
複雑さを減じるために、意図的に選択の自由を制限する必要が
あり、通常はそうしている。
政府の規制、とくに現代金融市場のような複雑な領域への規制が、
効果を発揮することが多いのは、政府が優れた知識を持っている
からではなく、政府が選択を制限することによって、当面の問題の
複雑さを減じ、不都合なことが起こる可能性を小さくしているから
である。
ここである。
この文章を読んで、ふと、思うことがあった。
じつは、わたしたちの生活も人生もすべて、この「限定合理性」の
連続だ。
ということである。
ずーっと、わたしの頭の中に、適当な言葉がなくて、説明できない
もやもやしていたものが、巣くっていたが、やっとその、もやもや
を説明できる言葉に、出逢った。
わたしたちの生活は、次々と立ち現れる「限定合理性」に、対応
して生きていく人生である。
日常的には、「思い違い」「勘違い」または「偏見」等の背景を
もとに、「不測の事態」「想定外の事態」等という形で現れる
と思っている。
この本の中では、
合成の誤謬ーある人々が特定のビジネスで成功できても、
他の多くの人がそこに参入すると、そのビジネスでは成功
できなくなる。
のことも書かれていたが、
結局、わたしたちの人生は、これら「限定合理性」、「合成の誤謬」
の連続に翻弄されて生きている。
高速道路を無料化すれば、フェリーがそのとばっちりを受けた。
公共事業を削減したら、豪雪への対応ができなくなった。
区画整理をしたら、従来の町並みがシャッター通りになった。
歯医者が多くなりすぎ、コンビニよりも増え、歯医者が倒産
している。
大学を卒業したが、その学歴を必要とする仕事が無くなった。
最悪なのは、若い頃は、核家族で、楽しんだが、老いては、
孤独死を潔く、受け入れる覚悟をしなくてはならなく
なった。
わたしたちの生活も人生も、「限定合理性」と「合成の誤謬」
に翻弄されて生きている。
頭のもやもやしていたのは、すっきりしたのだが。
絶句してしまう。
不都合な真実だ。