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リタイアーのよもやま話

「1ドル=50円」の現実味

2011-01-22 13:32:29 | 経済

ヤフーのニュースである。

 

○米金融大手4社「見せかけの好決算」

 

○外資ファンドの日本離れ進む

「もの言う株主」が残した宿題 スティールなど退潮、
日本離れ 「もの言う株主」として恐れられ、経営を
揺るがしてきた外資系ファンドが日本での活動を縮小
している。

代表格の米スティール・パートナーズは2010年末、
サッポロホールディングス(HD)株を全株売却し、
今後は日本企業の新たな株式購入を控える方針だ。

背景には日本企業が国際競争で劣勢に立たされ、投資先
としての魅力が薄れてきたことに加え、日本的商慣行の
「株式持ち合い」が買収の壁となっている実情があり、
日本企業が抱える経営環境の功罪を浮き彫りにしてい
る。(フジサンケイ ビジネスアイ)

 


日本の世界的な小型モーターメーカーの日本電産の社長・
永守重信氏は 決算発表の席で「15年までに1ドルが10円に
なっても関係のない企業体質を作る」というニュースが
あって、驚いた。


また、アエラ  2011.1.17には、衝撃的
な記事が掲載されている。


その記事の抜粋である。

 

新興国バブルがはじけ、基軸通貨ドルの最終章へ


「1ドル=50円」の現実味


金融緩和とバブル。

日本、米国、欧州とつづいた経済破綻の連鎖が、いま
新興国で起きようとしている。はじけたとき、ドル体制
は崩れる。

 

米国は、企業業績と株価がリーマン・ショック以前の
水準に戻ったものの、設備投資は鈍く、消費も振る
わない。

失業率は9・8%(11月)と高止まりし、不況の
影が社会を覆う。

中央銀行である米連邦準備制度理事会(FRB)は、
11月、6千億ドルの追加投入を決めた。

総額2兆ドルを超える資金が市場に注がれる。

金融の蛇口を思いっきり開き、国内にマネーを充満さ
せる政策だ。

ところが思わぬ事態が起きてる。

マネーは投資や消費に向かわず、海外に流出したのだ。


米が先導する通貨安


昨年末、中国と台湾のメディアが共催で選んだ、その
年を表す漢字は「漲」。

あふれるほど充満する様を表す字だ。

市場に漲るマネーによって、もとから問題だった不動産
や株などの資産インフレが、ついに生活物資にまで波及
した年だった。

 

リーマン・ショック後の世界を支えたのはアジア・
中南米・中東などの新興国だった。

中核を担ったのが中国。潤沢な資金を公共事業に投じ
ニケタ成長を達成したが、そこに金融緩和の米国から
資金が流れ込み、インフレに火がついた。

沿岸都市ではバブルに沸き立っている。マネーの蛇口
をギュツと閉めてしまうと、日本で起きたような
「バブル崩壊」になりかねない。

放置すれば投機が過熱し、ハイパーインフレを起こす
おそれがある。12月、中国人民銀行は重い腰を上げた。

景気刺激に軸足を置いた「適度な緩和」を「穏健」へと
切り替えた。インフレは収束するのか。


グローーバル化で世界はつながったが政策は国家単位。

一国の政策がいきなり他国を脅かす。

「いま起きているのは、低金利の米国で資金を調達し、
利回りの高い新興国に投資する動きです。

ドルを外貨に替えるのでドル安に振れる。

世界を通貨安競争に誘い込んでいます」

JPモルガン・チェーース銀行債券為替調査部長の佐々木
融氏は指摘する。

自国通貨を安くして輸出を仲ばす。他国で儲けて富を持ち帰
る。そんな「近隣窮乏化策」を米国が先導している。

身勝手といわれようが米政府にとって国内の景気回復が
最重点課題だ。来年は大統領選挙がある。


ドル基軸通貨の終焉


「米国はドルの価値を弱めて不況から抜けようとしている。

今年はドルを基軸とする通貨体制が新たな秩序に向かう
始まりになるだろう」

そう予言するのは三井住友銀行チーフスラテジストの
宇野大介さんだ。

米国の衰退を象徴するのがバーナンキFRB議長が進める
金融緩和だという。

「バブルであいた穴を、再びバブルを起こして埋めよう
としている。

投資家や企業はりリーマンでンョツクで生じた損を途上国
バブルで取り戻そうとする。

新興国ブームで当面の業績は回復するが、バブルがはじ
ければ2008年と同じことが起こる」

身の丈を超える借金で贅沢な暮らしをしている米国は、
金融バブルを起こして利ざやを刈り取る狩猟的なビジネ
スモデルに頼ってきた。

この構造が持続的ではないことは、リーマン・ショック
で立証されたのに、まだ抜け出せないでいる、と宇野さ
んは指摘する。

同志社大学大学院教授の浜矩子さんも「ドル基軸通貨の終
焉」を予想する。

抜きんでた政治・経済・軍事の力で「ドルならば安心」
という信頼を得てきたが、その時代は終わり、「ドル離れ」
が世界で始まっているという。

安くなる通貨を持っているのは危険だからだ。

遡れば1971年のニクソン・ショックから迷走は始ま
った。

全1オンス=35ドルと決めていたドルと全の交換を一方的
に停止し、ドルは裏書きがない通貨になった。

保有する全の量で制限されていたドル札の発行が、この瞬間
から無制限になり、ドルの垂れ流しが始まる。

以来、相場は変動しながら、だらだらとドル安が続いて
いる。

今や全との交換は1オンス=1400ドルを超え、ドルの
交換価値は40年で40分の1に縮んだ。


実質は1ドル110円


貿易で稼がなくても、輪転機を回せば世界から商品やサービス
を買える便利な国となった米国は、カネがかかる軍備や戦争も
ドルの力で可能だった。

その結果、世界最大の借全国に。返済は不可能と見られている。


日米の貿易収支(右のグラフ)を見ると、10年ほど前まで、
米国の赤字は日本の黒字とほぼ均衡していた。

「つまり、米国の借金は日本が一手に引き受けていた。

日本が米国情を買っていればドルは安泰だった。

最近は中国やロシアの比率が急増し、これらの国が
米国の政策に拒否権を持つようになった」国際金融
に詳しいアナリスト三国陽夫さんはいう。

ウィキリークスで流出した機密情報から、クリントン
国務長官が中国の意向に配慮する発言をしていたこ
とも明らかに。

金ヅルを握られると国際政治の力関係まで変わる。

ではドルの相場はどうなるのか。


宇野さんも浜さんも「1ドル=50円も不思議ではない」と
いう。

80円の円高で産業界から悲鳴が上がっている現状で、1
ドル=50円は現実離れした感がある。

しかし、早稲田大学大学院教授の野口悠紀雄さんは「正
常な円ドルレートは1ドル=60円程度」と言う。

グラフの円ドル相場を見ると市場の相場と実質実効為替
レート指数は関いていることが分かる。

円とドルのインフレ率に差があるからだ。

1ドル=79円をつけた95年と比較すると、ドルは約25%
インフレが進み、ドルの購買力は当時の4分の3になった。

円は、ほぼゼロインフレ。ドル価値の下落を加味すれば
今の実質レートは110円あたり。円高とは言えない。

野口さんは「為替介入があまりなかった95年当時の相場が
本物で、今に直すと60円程度。

これまでが行き過ぎた円安だった」という。


強い円で発展市場ヘ


そうであれば1ドル=50円は現実味を帯びてくる。


日本企業は耐えられるのか。

企業買収を調査しているレコフデータによると、日本
企業による海外での企業合併・買収(M&A)は昨年、
371件。前年に比べ、件数で24%、金額で26%増えた。

うちアジアでのM&Aは139件で、全体の4割近い。
 
強くなった円で、発展市場に打って出る企業は少なくない。

「円安を追い風に中国や韓国の企業と価格で競争する
という商売はもう成り立たない。まねができない技術や
サーービスを高くても買ってもらえる企業が残る」と
三国さんはいう。

野口さんもこう言う。「いまの産業や企業がそのまま
の形で残ることはない」
       

以上。

 

なんとも恐ろしい記事である。


この中で、下記のような文章がある。


「いま起きているのは、低金利の米国で資金を調達し、
利回りの高い新興国に投資する動きです。

ドルを外貨に替えるのでドル安に振れる。

世界を通貨安競争に誘い込んでいます」

JPモルガン・チェーース銀行債券為替調査部長の
佐々木融氏は指摘する。

自国通貨を安くして輸出を仲ばす。他国で儲けて富を
持ち帰る。

そんな「近隣窮乏化策」を米国が先導している。

身勝手といわれようが米政府にとって国内の景気回復が
最重点課題だ。来年は大統領選挙がある。


このアメリカの姿勢が、諸悪の根源のようだ。


この記事の中に

身の丈を超える借金で贅沢な暮らしをしている米国は、
金融バブルを起こして利ざやを刈り取る狩猟的なビジネ
スモデルに頼ってきた。

このような文章があるが、この「身の丈を超える借金で
贅沢な暮らし」がアメリカの本質的病弊であろう。

もっとも、アメリカの建国そのものが、新天地を求めて、
移り住んできた人々によって作られた国だし、いわゆる
アメリカンドリームの期待をになわざるを得ないところ
があるのは、アメリカの辛いところだろう。


アメリカ国民は、資本によって、「身の丈を超える借金で
贅沢な暮らし」を覚えさせられ、疲弊している。


新自由主義ということで、アメリカ国民は、自らの国内資本
に見捨てられ、格差社会を押しつけられ、瀕死のありさまで
ある。何ともむごい国家にてなり果てたものだ。

もっとも、これが、国民生活の向上と、それによる労賃の
上昇による資本の競争力の低減が、新自由主義の誕生の
その原因となっているようだから、事態は皮肉である。

ともかく、目立った産業もなくなった国、金融バブルを起
こして利ざやを刈り取る狩猟的なビジネスモデルにしか、
頼れない。

 

問題は、

リーマン・ショック後の世界を支えたのはアジア・
中南米・中東などの新興国だった。

中核を担ったのが中国。潤沢な資金を公共事業に投じ
ニケタ成長を達成したが、そこに金融緩和の米国から
資金が流れ込み、インフレに火がついた。


投資家や企業はりリーマンでンョツクで生じた損を途上国
バブルで取り戻そうとする。

新興国ブームで当面の業績は回復するが、バブルがはじ
ければ2008年と同じことが起こる」

この記事のこの内容が気になるところである。

これが、ショートしてしまえば、世界はアウトでは、
なかろうか。

そうでないことを願いたい。


「円安を追い風に中国や韓国の企業と価格で競争する
という商売はもう成り立たない。まねができない技術や
サーービスを高くても買ってもらえる企業が残る」と
三国さんはいう。

野口さんもこう言う。「いまの産業や企業がそのまま
の形で残ることはない」
       
という指摘は、昨日の高村薫氏のコメントとそっくり
同じである。

このよう提言が重なると、明治維新ってこのような状況
ではなかったかと思ったりする。

廃藩置県で、これまでの社会がひっくり返った武士階級
の心情が、まるで今のわたしたちの心情と同じでは。

管首相は、は、TPPを黒船と言ったような気がしたが、
本当の黒船は、「いまの産業や企業がそのまま
の形で残ることはない」という歴史が訪れようとして
いることだ。

このようなことを鑑みた場合、今社会の大きな社会
問題となっている、就職難というのは、全くの時代
錯誤の騒ぎとしか言えない。

当人に対して、冷たい発言かも知れないが、彼らの
内定を獲得しようとしている企業そのものが、風前の
灯火の有り様のようだからである。

これは、幕藩体制が崩壊した社会状況と次元は同じ
ではないか、武士階級の社会が消える。

そして、新撰組は、その沈みかけた船に乗ろうして、
必死になり、近藤勇は、喜劇を演じてしまった。

現代の「新撰組」から、抜け出せるようにしなければ
ならない現実だが、だれもどうしていいのかわからない。


高杉 晋作の辞世の句について、
「おもしろきこともなき世におもしろく」こうも
言われているようである。
 
野村望東尼が「すみなすものは心なりけり」という下の
句をつけたと言われている。

高杉 晋作は、司馬遼太郎の小説で読んだが、この句
の意味合いがずーっと理解できなかったし、何が
魅力なのか分からなかったが、今の社会が、このよう
な緊迫した状況だということかと思うと、この句の
意味合いが、実感できるようになった。

それにしても、アメリカが国内産業をなんの憂いもなく
捨て去り、インターネットでなんとかなると考えた
ようだが、今となっては、そのインターネットが亡国
への道を切り開いた一因でもあるようだ。

しかし、記事にあった話だが

「円安を追い風に中国や韓国の企業と価格で競争する
という商売はもう成り立たない。まねができない技術や
サーービスを高くても買ってもらえる企業が残る」と
三国さんはいう。

野口さんもこう言う。「いまの産業や企業がそのまま
の形で残ることはない」

という提言があるだけでも、まだ、かすかにアメリカ
よりは救いがあるのかも知れない。

 

新興国バブルがはじけ、基軸通貨ドルの最終章へ

「1ドル=50円」の現実味

このタイトルが現実とならないように、このことから
身を守る術なんて、わたしには、思いつかないので。

病床の父親と、老いた母親の天寿が全うされるまでは
ぜひともそう願いたい。