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リタイアーのよもやま話

将棋プロの「直観」解明

2011-01-21 22:46:22 | 科学

ヤフーのニュースである

 

将棋プロの「直観」解明=脳の特定部位活発に
―人工知能に応用も・理研など
理化学研究所などは、将棋のプロ棋士が次の手を直観
で選ぶ際に、脳の特定部位が活発化することを突き止
めた。

人間により近い人工知能の開発などに応用できる可能性
があるという。

研究成果は21日付の米科学誌サイエンスに掲載された。

 プロ棋士は、長い訓練や対戦経験を基に状況を瞬時に
判断し、思考ではなく直観で次の手を打つとされ、
その仕組みが研究されてきた。

理研・脳科学総合研究センターの田中啓治副センター長
らの研究チームは、羽生善治さんらプロ棋士11人、高段位
アマ8人、中段位アマ9人の3グループに対し、将棋やチェス
の盤面、人の顔や風景などの画面を12秒間に24コマのペース
で繰り返し見せ、脳活動を機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)
で測定。

プロ棋士が将棋の盤面を見た時だけ、脳の頭頂葉にある
「楔前部(けつぜんぶ)」と呼ばれる領域が強く活発化
した。

さらにプロとアマ17人ずつに対し、盤面を1秒見せた後、
2秒以内に四つの選択肢から選ぶ詰め将棋を解かせた結果、
プロ棋士が直観的に問題を解く時だけ、大脳基底核の領域
「尾状核(びじょうかく)」が活発化した。

次の手を長考させる問題では、大脳皮質の活動のみ活発化。

アマ棋士は両問題で尾状核の活動が見られなかった。

 二つの領域の活動に、強い相関関係があることも分か
った。

田中副所長は「プロ棋士の直観力の源は、二つの領域を
結ぶ神経回路に存在する可能性が高い。

こうした結果は、複雑な情報システムの安定的な運用や、
人間に近い人工知能の開発につながる可能性もある」と
話している。 


以上。

面白い、研究だと思った。

将棋士の書いた本は、よく読んでいる方である。

その中で、面白いと思ったのは、超一流の棋士に
なるためには1万時間の修行を要するようである。

今回の実験で、知られることになった能力は、やはり
1万時間かかって習得された能力であろう。

もっとも、才能があっての1万時間ではあるはずだが。

このような話が、子どもの頃に解っていたなら、もう
少し、何か努力のしようもあったのにと思ったりして
いる。

なにしろ、田舎過ぎて、訓練ということばが、実際的
に生活のどこにもなかったし、よくこれまで生きて
これたなと思わんこともない。

それからすると、中学3年の時に、「四当五落」の
の精神で、無我夢中になった経験というのは、生きて
いるかも知れない。

テンションが上がれば、できなかったはずのものでも
できるようになる。という思い込みが、いつしか、
わたしの信条にもなってきたから。

 


大腸がん:転移抑制遺伝子、京大グループ確認

2011-01-21 22:26:58 | 科学

最近のニュースである。

 


大腸がん:転移抑制遺伝子、京大グループ確認 治療法確立
に期待

京都大大学院医学研究科の武藤誠教授らの研究グループが
「Aes」という特定の遺伝子が大腸がんの転移を防ぐこと
を確認し、18日の米科学誌「キャンサー・セル」(電子版)
に発表した。

新たな治療法の確立や転移の予防につながることが期待される。

研究グループは、大腸がんが転移した肝細胞にAesが見られ
なかったり、Aesが大腸がん細胞で働いている患者には転移
があまり見られないことに注目。

マウスを使い、Aesを大腸がん細胞で強く働かせた場合、
通常と比較して転移する病巣数が肝臓で約4分の1、肺で約
7分の1に減ることを確かめた。

逆にAesを働かせないと、病巣数は2倍に増え、転移が促進
されていた。

また、細胞の発生や分化、増殖に関係する作用「Notch
シグナル」ががん転移の引き金となっていることも解明。

Aesがこのシグナルを阻害していることを突き止めた。

 

 


「辛抱強さ」の仕組み解明=ラット脳で特定物質活発
-沖縄の研究機関

沖縄科学技術研究基盤整備機構(沖縄県恩納村)は、
ラットが餌や水を待ち続ける「辛抱強さ」が脳内で生成
される仕組みを解明したと発表した。

12日付の米科学誌ジャーナル・オブ・ニューロサ
イエンスの電子版に掲載された。
 
衝動行動を抑える神経伝達物質セロトニンの脳内での分泌に
着目した成果で、そううつ病などの解明や治療につながる
ことも期待されるという。

同機構の銅谷賢治研究員(脳科学)らのグループは、雄の
ラットが餌や水をもらう際に、すぐに出る場合と時間差で
出る場合で、脳内のセロトニン活動の違いを比較。

個体差をなくすため、実験では同じラットを使った。

その結果、餌がすぐに出た場合と4秒間待った場合を比較
すると、我慢した場合の方が脳内のセロトニン濃度が高か
った。

また、餌をもらえる場所で2~20秒間待たせた際の脳内
のセロトニン活動を比較。

同じラットで、餌を最後まで待てた場合と待てなかった場合
を比べると、餌を待ち始めた直後は両者で差はなかったが、
餌をもらう直前では、餌を待てたときは待てなかったときと
比べ、セロトニン活動が2倍超も活発になっていた。

銅谷研究員は「餌を最後まで待つときはセロトニンが多く
分泌していた。

こうした辛抱強さの仕組みは、依存症治療法や人間により
近いロボットの開発にも応用できるのでは」と話している。


以上。


最近、科学の進歩は、すごいなと感心している。


ついこの前の話だが、西洋人と日本人では、インシ
ュリンの出具合が違うというニュースもあった。


わたしたちが、子どもの頃は、遺伝子といっても、
細かいことは、ブラックボックスだったような記憶
がある。

ところで、ゲノムの解析技術の進歩に思うことがある。

結局、病気も気質も遺伝子レベルで確定しているという
ことか、ということである。


特に、「『辛抱強さ』の仕組み解明=ラット脳で特定物質
活発」のようなニュースが出てきたりすると、何事かを
達成する能力なんて、本人の努力以前の要因があるのか
なんて思われてしまう。


大体、体質的に睡眠を多くとらないと、体調が整わない
人もいるようだ。このようなことだと、すでに活動
できる時間の量で、ハンディを抱えてしまっている
ことになる。

漫画家水木しげる氏もテレビの話だが、そのようだ。

ただ、彼の場合は、大成したから、見事である。

 

昔、わたしが中学の3年の頃、どいうわけか、受験
勉強にはまってしまった。

学習雑誌に、「4当5落」なんて言葉があったから、
これを真に受けてしまった。

ナポレオンが3時間しか寝ないなんていう話も、
何かで、読んで、これもまた真に受けてしまった。

だから、中学3年の1年間は、目茶苦茶睡眠時間を
減らして、受験勉強の突貫工事であった。

もちろん、こんな思いで受験勉強している生徒なん
ていなかったはずだから、3年の時だけは、成績
は、みるみるうちに、向上した。

その時に、とんでもないこと気づいた。

同級生には、8時間寝ないと、眠くてしようが
ないという生徒もいることに。

その時に、また、思ったのだ。

成績の良し悪しは、必要とする睡眠時間の長さ
で決まる?なんて。

もっとも、この目茶苦茶な睡眠の反動は、大きな
ものがあったが。

この話は余談だったが、アルツハイマーとかあっ
たりして、やはり、遺伝の問題はいろいろと思う
ことがある。

結局、どこかで、自分の意志とは関係ない生得的
な何かが、その本人の運命を大きく左右している
ということである。

それと同時に、人はえてして、認めたくないこと
であるが、人は宿命に拘束されているのではという
思いである。

そして、人間は本質的に不平等であり、人が、
人生に置いて、獲得しうるものは、本人の知り
うることのできない何かに委ねられていると
いう不条理の存在を突きつけられているような
気がしてきてならないのである。

科学も進歩したが、知りたくない真実も突きつけ
られているような気がしてやまないものがある。

 

 


路上生活者や失業者は、この国の明日を映している。

2011-01-21 21:24:32 | 読書

アエラ 2011年1月17日号


にこのような記事があった。


以下、抜粋。


平成雑記帳 第173回 高村薫


路上生活者や失業者は、この国の明日を映している。
未来は、産業構造を変えてゆけるかにかかっている。


~途中カット~

さて、昨年末に閣議決定された税制改正大綱では、
法人税の5%減税が決まった。

政府の説明では、これで企業の海外移転に歯止めが
かかり、競争力を回復して雇用も守られるというの
だが、そもそも減税の恩恵を受ける黒字企業は国内
に二割もない上に、経団連も雇用拡大をさっさと
拒否してみせた。

日本の製造業の没落は法人税の多寡ではないし、
中長期的に見れば通貨安競争に敗れた結果でもない。

いま起きているのは、もっと大きな産業構造の変化
であって、トヨタやパナソニックのような大企業とて、
ふつうの車やテレビの製造で世界と競争しようとする
こと自体、もはや時代錯誤なのだ。

従って、企業に求められているのは高品位の技術の
蓄積を利用してまったく新しいものを創り出す意思
と気概なのだが、どちらにしても派遣労働が必要な
製造ラインのようなものが、これからの目本に残る
余地はない。

つまり、派遣切りに遭った人びとの未来は景気回復
にかかっているのではなく、私たちの社会がいかに
産業構造を変えてゆけるかにかかっているのである。


新しい産業構造を担うのは、先端産業を除けば地場
産業と農林業になるが、折しも昨年末、環太平洋
経済連携協定(TPP)への参加の是非が問題と
なったように、国内産業の保護によって得られる
利益より大きな利益を求めて、当面はますます自由
貿易枠を広げてゆく動きが加速するだろう。

さてこんな時代に、たとえば産業振興のためなら、
企業減税よりも科学技術振興予算や教育予算の拡充の
ほうが、よほど実があるとは言えないだろうか。

浅薄な思いつきだけの政治にいったん背を向けて、
私たちの未未にほんとうは何か必要なのか、私たち
自身が考えるときである。

以上。


国内の企業が、どんどん外国に進出していっている。
アメリカの二の舞になるかと戦々恐々である。

しかし、このような見識もあったのだと、感服して
しまう。


この文章の中である話。

「さて、昨年末に閣議決定された税制改正大綱では、
法人税の5%減税が決まった。

政府の説明では、これで企業の海外移転に歯止めが
かかり、競争力を回復して雇用も守られる」

このへんのことなんて、詳細について考察すること
なんてなかったのだが、なんとも、見事な分析で
ある。

これで、雇用の確保なんて言われて、多くの国民が
騙されてしまう。

なんとも情けなくなってしまう。


ところで、

「つまり、派遣切りに遭った人びとの未来は景気回復
にかかっているのではなく、私たちの社会がいかに
産業構造を変えてゆけるかにかかっているのである。」

このところ、見事な視点ではなかろうか。

これらの提言が、小説家の提言である。

こういうと、怒られるかも知れないが、それも女性
である。

プロの政治家、経済人、見習ってもらいたいものだ。

「目から鱗が落ちる」思いである。