森林ジャーナリストの裏ブログ

表ブログに書けない、書く必要もないドーデモ話をつらつらと。

耐震偽装問題と認証

2005-12-15 17:38:33 | 時事ネタ

世間は、耐震偽装問題に揺れている。連日テレビもこの問題。

ただ、私が興味を持ったのは、偽装そのものよりも、それを検査する会社がいい加減だったことである。審査自体が信用ならなくなったらいかなる建築確認も認証も意味をならなくなる。

森林・木材の世界では、認証が大はやりだ。森林施業や木材産地、強度、ついでにウッドマイルズのような環境も含めて、みんな第3者機関が審査するから信用できる、という前提である。どんな立派な審査基準を備えていようと、ちゃんと審査しなかったら、あるいは大甘の審査だったら、どうなるのだろう。

日本にもFSCやSGECといった森林認証をとった木材が出回りだした。外材も産地などを表記する動きも進んでいる。だが、それを信用できなければ……。
認証自体も、本当に効果あるのかわからなくなっている。認証とっても価格が上がるわけでもなく、量が売れるわけでもない。

いっそ審査が正しいかどうか審査する機関をつくるか。


入荷!

2005-12-14 12:11:48 | 出版後の反響

手持ちゼロになっていた森コロ、入荷しました(^o^)。

また段ボールにいっぱい詰まっています。また販売していきますからご要望の方はご連絡くださいね。

ちなみに、同じく底をついた『日本の森はなぜ危機なのか』も注文している。こちらはまだ来ない。もしかしたら在庫切れかもしれない。できれば増刷してほしいのだけど。

本とは連動して売れていくものだと思う。新刊を出さないと旧刊も売れ行きが鈍る。森コロと『森・危機』もその関係にある。執筆時から森コロは『森・危機』の続編に当たる。というか、片や林業の生産現場なら、今度は流通加工の現場だという意識を持っていたから。つまり両方合わせて全体像を描けたと思っている。

それなのに、なぜ出版社が違うかって? ほっといてください。それなりに事情があるんです(?_?)。

ところで昨日は大阪の紀伊国屋書店をのぞいたが、さすがにもう平積みはしていなかった。でも1冊は書棚に並んでいた。本当は書店で売れる方がいいのだけど。でも、身近な書店になければ買いたくても買えない。
私が直販することは、書店の営業妨害なのが、それとも補完関係にあるのか。


林業で食えない、からこそ

2005-12-13 01:31:09 | 政策・行政関係

現在は、「林業では食えない」時代だと言われる。
だから所有者は森林に興味を失い、山を下り、別の仕事に就く。山は荒れる。改革意欲もない。……これが悪循環しているのだ。

しかし、これをプラスに見ることはできないか。

山は持っているけど、仕事は別にあって、食い扶持はそちらで稼いでいる。
森林から無理して利益を上げる必要がない。損さえしなければよい。

こうした山主は、現代の森林管理の仕事(植林、下刈り、間伐など)の経費は、8割以上が補助金で行われることを知らないことが多い。だから、森林に手を出したら莫大な金がかかって自腹を切らないといけないと思っている。
しかし、自己負担は約2割。それくらいなら間伐材収入で埋め合わせることも可能な場合もある。間伐後に残った木の価格が上がることで相殺する手もある。もちろん施業を工夫して低コストにする努力も必要だし、間伐材を高く売る方法も考えるべきだ。

そんな山主を口説いて管理を請け負えばよいのだ。そして山主の負担はゼロに近くしたら満足してもらう。そして、請け負い側は仕事をするわけだから、当然収入になる。

「林業で食えない山主」は、林業事業体から見れば、カモ、いや宝の山だ。所有者に還元せずに自分たちの仕事を得られるのだから。


環境税

2005-12-12 15:23:39 | 政策・行政関係

自民党が、環境税の来年度導入を諦めたようだ。

自治体の森林環境税ほどではないが、国が二酸化炭素の排出量に準じて税金を課す環境税は、その増収分が森林整備に回るのではないか、という期待を持っている声がある。二酸化炭素吸収に森林が一役かうからだ。
森林関係者は、税金投入だけにすがっている気がする。福島の講演で質問が出た3人は、みんな国からもっと補助金が出ないか、ということばかりだった。

が、私はあまり期待していない。おそらく大半が財政赤字にまわされるのではないかと想像していた。
なぜなら、数年後に国債発行額が1000兆円を超えて、赤字国債の発行ができなくなる可能性があるからだ。そうなると、予算規模が半減する。その中で増税しても森林に回ってくるほど余裕はないだろう。それどころか各種の補助金・地方交付税が半減か7割削減くらいまでやる可能性がある。

いまのところ国民は、比較的森林には甘くて税金投入を許しているが、自分が飢えているのに森林に金をばらまくとは思えない。そのとき日本の林業はどうなるのか。

早く林業は自立しないと、時間はあまり残っていない。


もちつき大会

2005-12-11 23:54:52 | 森林資源

今日はもちつき大会。杵を振るい、たくさんの餅をついた。

すると参加者の中から提案があり、みかん餅もついた。みかんを餅米とともに蒸して、そのままもち米とともにつくのだ。するとみかんの香りが立ち込め、黄色に染まった素敵な餅が出来上がった。

そこで思い出した。かつて某山村で素敵な柚子餅をいただいた。柚子が餅に練り込んであり、香りとともに甘い味が絶品だった。こんな餅は食べたことがない。絶対に売り出したら売れると思った。

実は先日訪れた福島でも、蕎麦とともに食べた小鉢が絶品だった。野菜の炊き物もキノコの煮つけもねっとりした舌触りの刺身こんにゃくも、何から何まで舌を直撃した。
野菜の炊き物もキノコの佃煮も、すべてが新しい味である。こんな味が山間地に残っていたなんて。東北の山間部に、これだけの滋味が隠されていたことにショックを受けたほどだ。山村の資源は、まだまだある。食文化も貴重な資源となるだろう。


スギの価格ヒノキの価格

2005-12-10 17:22:07 | 林業・林産業

スギは安くて、ヒノキは高い。スギでは採算が取れないからヒノキを植える……。

よく聞く話である。事実、スギ材の価格は外材を下回っているが、ヒノキはかろうじてまだ高い。それでも随分下がったので苦しいそうだが……。

ところが、「木材革命」を読んでいると、かつて(昭和40年頃まで)スギとヒノキの価格差はなかったそうである。これは驚きだ。
同じ価格の木材と見れば、生長のよいスギの方がよいに決まっている。

それが現在のような価格差がついたのは、外材のためだそうである。主にベイツガなどはスギ材の代用として入ってきた。そして価格は安く、大経木が揃っている。しかも当時の国産材は、殿様商売が続いていた。このためスギは没落した。

それに対抗する差別化商品として登場したのが、ヒノキである。外材にもベイヒと呼ぶヒノキに似た木材があるが、こちらは量があまりなく、価格も高め。だからヒノキの価格は多少は維持できたというのだ。

何も古代ではない。ほんの数十年前に価値観の逆転が起こっていたのである。

こうなると、再びスギが人気を呼ぶことも夢ではない。
とくに木の「温かみ」「手触り」に注目すると、冷たいヒノキより柔らかく温かいスギだろう。仕掛け次第で復権するかもね。

 

 


里山の人工林

2005-12-09 15:49:18 | 森林資源

里山と言えば、雑木林。なかには里山林という言葉もある。私も、しばしば里山と雑木林を同義語的に使っている。

しかし、里山にも人工林はある。いや、面積的にはかなり広い。里山には棚田や畑、草原なども含むが、森林部分に限れば、3分の1から半分近いのではないか。竹林より多いかもしれない。

なぜなら、薪や木炭の需要が落ち、農業も斜陽化した際に、どんどん植林したからだ。薪が売れないのなら、スギを植えれば高く売れる。そんな意識が強かった。だから雑木林を伐採して植林するだけでなく、農地にも植えた。さらに家を処分して町に出る際に庭や住宅跡などにもスギを植えた。

そんな里山の人工林が、すでに大きく育っている。もともと傾斜がなだらかで日当たりもよい、地味も肥えている場所だ。よく育っている木が多いだろう。

今後、里山の人工林から木材生産をすることを考えられないだろうか。
奥山よりはるかに都会に近く、道も整備されている。作業も楽だ。これはもっとも林業に有利な地域ではないか。

欠点は、一カ所に十分な量がまとまっていないことかな。しかし、木材の価格が上がれば手を出す人が現れるだろう。儲かるぞ

ちょっと、先走りすぎ(^o^)。

 


講演会の販売

2005-12-08 00:57:52 | 出版後の反響

奈良県内の林業事業体対象のセミナーで講演

森コロほか拙著を持参した。車だから重さを気にしないで済むので、段ボール箱に入るだけ。15冊あった。もちろん全部売れると思っていない。ただ、会場について参加人数は40人足らずとわかり、これは2、3冊売れれば御の字だな、と感じる。購入は参加者の1割以下というのが通常のパターンだからだ。

案の定というか、開催前に興味を持つ人は少なく、売れたのは1冊だけ。坊主でなくてよかった、とほっとする。

さて、本番はしゃべくりまわった。林業のことを真っ正面から話すのは、結構興奮するのである。しかも奈良県内だけに身近というか、かなり辛辣?激情?あけすけ?な話題を口にして、 林業の将来展望を語った。話しているうちにどんどん早口になり、それでも時間が足りなくなり、事例を削るつもりが逆に余談を付け加えて膨れ上がり、ノリにのって熱弁を奮った。外材の没落から合板業界、建築業界、木材輸出に新月伐採、ウッドマイルズ、soundwood(s)、チェンソーアートまで縦横無尽。

すると、終わってから売れるのである。本が。どんどん売れる。

残った分も主催者が勉強用に購入してくれることになり、完売!


テレビ番組化

2005-12-07 10:06:34 | 出版後の反響

ここんところ、テレビ局からの問い合わせが相次ぐ。

まずNHKから問い合わせがあり、昨日は某民放地方局からもメール。
『だれが日本の「森」を殺すのか』を番組化したいという。

すごい! と言いたいところだけど、まだ構想段階です

今後どのように展開するか楽しみにしておこう。いつぞやも『田舎で起業!』で同じような話で出演依頼があり、打ち合わせまでしたのに流れたことあるからねえ。

ただ、地味で興味を持つ人は少ないと思われる林業・木材業界をテーマにそのような動きが現れたことは歓迎したい。
(森林なら興味を持つ人はそこそこいるのだけど、森林問題を詰めて林業に触れたとたん関心を失う人が多い。さらに林業問題は木材問題と突っ込むと、いよいよ引いてしまう。厭味な言い方をすると、世間はイメージとしての森林が好きなだけか、と思ってしまう。)

しかし、世間の関心を引かないと番組として成立しない(これは出版も同じ)のだから、どのように構成するか思案のしどころだろう。
とりあえず、期待します。


改めて、木材の中国輸出

2005-12-06 15:48:03 | 林業・林産業

訪れた九州とは何の関係もないが、木材の中国輸出について。

どうやら来年早々に第4弾が出航しそうだ。まだ本決まりではないが、そんな情報が入ってきた。もともと10月ごろを予定していたのに遅れている。

その理由は、まず鳥インフルエンザ。2回目の時、この鳥インフルエンザの流行で日本が中国産鶏肉の輸入をストップしたところ、報復に木材がやられた経緯がある。検疫でわざと止めるのである。だから慎重になる。
小泉首相の靖国神社参拝。中国側は政治的にピリピリしており、危険な臭いがする。
円高。数カ月で10円も上がると、輸出するにはいいが、製材したものを逆輸入するには不利。その兼ね合いがある。
値段交渉。中国だけではないが、常に値下げ要求がある。
国内のさや当てもあるようだ。木材輸出を快く思わない勢力があり、何かといちゃもん付けてくる。輸出するなら出荷しないというお馬鹿な山元もいるらしい。

もっとも、これらは付随したことだろう。最大の要因は、やはり中国側の木材需給バランスだ。日本材を本気で求めるか、きわどい見極めがいる。一種のにらめっこだ。どちらが先に動くか。

幸い国内でも国産材の需要が高まっている。焦ることはなさそうだ。


SGEC認証材が出荷

2005-12-05 10:37:09 | 林業・林産業

九州の旅は、林業にはあまり関係ないことなので話題にならない。

そこで今日の朝刊奈良版に載っていたニュース。
奈良県川上村村有林は、緑の循環認証制度の認証SGECを受けているが、木材を初出荷したそうだ。

林業県である奈良は、実は森林認証制度については後進県だ。SGECを取っているのは川上村だけだし、FSCも取っているのはナシ。大規模所有者が興味を示さないからだろう。

この際認証制度の善し悪しは言わないが、世間では木材もトレーサビリティを要求されつつある。この場合、もっとも効果的なのが森林認証を取ることだ。国も、今後は素性のわからない木材は購入しないことを宣言した。奈良県は、いよいよ危ない。

だいたい吉野材など奈良県産材をうたっている木材も、本当の産地はどこかわからないありさまだ。この調子じゃ、先はない。


蕎麦と木材

2005-12-02 12:12:17 | 森林資源

12月に入ると、新蕎麦の季節だ。

実は、生駒には今年になって次々と蕎麦屋がオープンした。
それも手打ちの看板を掲げた店である。価格は安くはないが、蕎麦にはマニアがいるから、一定の客はつくようである。

最近、各地で蕎麦による地域起こしが行われている。山村で、蕎麦の栽培が盛んになってきたからだろう。蕎麦は基本的に手入れがいらない。種子を播いて、数カ月後には収穫できる。

もともとは焼き畑の作物だった。
山を焼いて、粟、稗などを播き、2年目、3年目は蕎麦という過程が多い。よりやせた土地でも育つからだろう。蕎麦の後は、いよいよ放棄…と思われがちたが、実はそこで木の苗を植えた。すると20年後にはそこそこの太さの木が収穫できる。木を収穫(伐採)して、また火を入れる。

これが焼き畑の周期だ。 つまり木材も焼き畑の産物であり、粟や蕎麦と同列だったのである。 つまり森林の産物である。

ちなみに福島で訪れた山都町の宮古そばは絶品だった。あそこにかなう蕎麦や山の幸はそうないのではないかと思わせた。やはり東北の奥深い食文化が背後にある。
付け刃の蕎麦の産地は、よほど頑張らないと一過性で終わってしまうように思う。

さて、生駒の蕎麦屋巡りをするか。


森の職人-炭焼き

2005-12-01 17:20:56 | 森林資源

林業関係の職人とは、何になるだろうか。

今度仕事で「匠」、つまり職人の取材先を探さなくてはならない。
どうせなら森林関係はないかと考えるのだが、あまり適切なのが思い浮かばない。

木工職人はもうやった。それなら炭焼きか。
炭焼き職人はたくさん取材したが、あえて匠と選ぶ「何か」を持っている人はいるだろうか。

先日訪れた加賀の蒔絵職人のところで、研ぎ炭を見た。実際使っているところも見せていただいた。
研ぎ炭をご存じだろうか。炭の中でも価格は10倍20倍する。1キロ2万円なんて話も聞く。
使い方は文字通り研ぐ、研磨用。IC基盤やレンズ、日本刀なども研ぐが、一番の用途は漆工芸で、塗った漆を磨くこと。これで余分な漆を剥がし、表面の輝きを出す。その柔らかさが炭でないと出ない。この研ぎ炭がなくなると、日本の伝統工芸が消えるとさえいわれる。

これは面白い。しかし、研ぎ炭をうまく焼ける人は、日本にただ一人。80を超えたおじいちゃんなのである。しかも焼くのは春先だけ。ちょっと取材できない。

誰か面白い炭を焼く人を知らないだろうか。