手持ちゼロになっていた森コロ、入荷しました(^o^)。
また段ボールにいっぱい詰まっています。また販売していきますからご要望の方はご連絡くださいね。
ちなみに、同じく底をついた『日本の森はなぜ危機なのか』も注文している。こちらはまだ来ない。もしかしたら在庫切れかもしれない。できれば増刷してほしいのだけど。
本とは連動して売れていくものだと思う。新刊を出さないと旧刊も売れ行きが鈍る。森コロと『森・危機』もその関係にある。執筆時から森コロは『森・危機』の続編に当たる。というか、片や林業の生産現場なら、今度は流通加工の現場だという意識を持っていたから。つまり両方合わせて全体像を描けたと思っている。
それなのに、なぜ出版社が違うかって? ほっといてください。それなりに事情があるんです(?_?)。
ところで昨日は大阪の紀伊国屋書店をのぞいたが、さすがにもう平積みはしていなかった。でも1冊は書棚に並んでいた。本当は書店で売れる方がいいのだけど。でも、身近な書店になければ買いたくても買えない。
私が直販することは、書店の営業妨害なのが、それとも補完関係にあるのか。
「森林と水の関係」に関する、恩田裕一筑波大学教授の論文の評価は、プロの安形氏にお任せします(^o^)。
この世界の研究は、今だ正解が何かわかりにくいですねえ。
ただ私は、その前に中根周歩氏が信用できないのです。素人でも疑問に思うようなマツクイムシ否定論を展開したりした人ですから。
私は、中根氏のマツクイムシ問題に関する学説は知らないのですが、そちらの問題と緑のダム問題は分けて判断すべきと思います。
Aという問題について間違った学説を出していた研究者がいたとして、その人がBという問題についても間違った学説を出すとは限らないからです。
たとえば物理学や数学であれだけの業績を出したニュートンが、化学の方面では錬金術を信じるなど間違い続けていました。
この間の緑のダム論争を私が見てきた限りでは、河川工学者の主張や森林水文学者のこれまでの主張に比べ、生態学者である中根氏の主張の方がはるかに説得的に思えます。(私自身の学問的背景は林学であるにも関わらずです)。森林水文学の従来の「定説」がおかしいことは、最近では、森林水文学者そのものが認めはじめているところです。
生態学者の中根氏は、林学分野の森林水文学者や土木工学分野の河川工学者からは嫌われているみたいですが、それはそもそもの学問的ディシプリンが異なるので、研究のアプローチが基本的に異なるからだと思います。方法論的に異質なので、「自分たちとは違う人間が、土足で縄張りに踏み込んできているぞ」といった感じに見えるのだと思います。
ですので、どうかマツクイムシ問題とは分けて、この問題の真偽を判断していただきたく存じます。
簡単にいって、松枯れはマツノザイセンチュウのためではなく、大気汚染によると発表しました。マスコミは飛びつき、結構時代の寵児になったと思います。農薬散布が問題視されていた背景もあるからでしょう。
ところがそのデータの出所は、ちょっと問題のある実験方法でしたし、何より論文は書かずにマスコミ発表ばかり行うのです。
私もマスコミの一員でありながらナンですが、研究者がマスコミを意識して実験したら危険です。意図的な数値を出すのは簡単ですから。事実、研究者からは総スカンをくらったはず。
今回の恩田教授の例は、ちゃんと論文で出しているようですので、ちゃんと評価にさらされて議論を進めていけばよいかと思います。
>> 生態学者の中根氏は、林学分野の森林水文学者や土木工学分野の河川工学者からは嫌われているみたいですが、それはそもそもの学問的ディシプリンが異なるので、研究のアプローチが基本的に異なるからだと思います。
>>方法論的に異質なので、「自分たちとは違う人間が、土足で縄張りに踏み込んできているぞ」といった感じに見えるのだと思います。
田中さんのコメントにもあるように,この業界は単一分野のディシプリンだけでは「正解がわかりにくい」ということはどの分野の人も分かっている(きた)ことで,だからこそ「自分たちとは違う人間」とのコラボレーションを強く求める傾向があります.だから,中根さんが「異分野」(個人的には全然そうとは思いませんが)の異なる(これもそうとは思わない)アプローチをとるからという理由だけで排斥するという人がいたら,わたしはその人はまともではないと判断しますね.
むしろわたしが中根さんの論説を読んだり,jeconetなどでの論争を端で見ていたりすると,「まず結論ありき」の強引な論理・不十分な実験方法から自説を引き出すバイアスなど,分野云々以前に科学者としてどうよというところが目に付くのです(いや,なかにはかなりスルドイものもあるんですけどね).
ところでTB先の関さんの文章はツッコミどころが満載でどこから手をつけていいやら迷っているところではあります.
あと,恩田さんはもう教授になったんでしたっけ?次に会うのはわたしの結婚式のときなんだけど,その時聞いてみましょう.もう十分教授クラスの業績はあげていますけどね.
そうそう,国交省の言っていることにツッコミを入れたいのであれば,まさにその国交省のサイトにある「緑のダムが整備されればダムは不要か」
http://www.mlit.go.jp/river/opinion/midori_dam/midori_dam_index.html
の一番下のほうにあるグラフ
http://www.mlit.go.jp/river/opinion/midori_dam/midori_dam.html#outflowでしょう.これは太田猛彦さんの研究によるものなんですけど,その後の蔵治さんのさらなる研究によりまったく違った解釈がすでになされていて,少なくとも東京大学愛知演習林白坂流域の流量については渇水流量は雨量の年々変動を強く受けていて森林の影響を云々するのに適当なデータではないということがわかっていますので,そろそろこのグラフはひっこめないと恥ずかしいと思うんですが.
「第2回 愛知演習林シンポジウム
-緑のダム研究の最前線と市民・行政・研究者の協働-」
http://www.uf.a.u-tokyo.ac.jp/aichi/sympo2006.html
あがたしも行きたいのだけど,ちょうどそのころ新居に引っ越しなので無理かなぁ・・・
|むしろわたしが中根さんの論説を読んだり,
|jeconetなどでの論争を端で見ていたりする
|と,「まず結論ありき」の強引な論理・
|不十分な実験方法から自説を引き出す
|バイアスなど,分野云々以前に科学者と
|してどうよというところが目に付くのです
|(いや,なかにはかなりスルドイものも
|あるんですけどね).
の部分についてですが,これにたいして複数のコメントが(メールなどで)ありました.その内容は多岐にわたっており,中にはお互い対立するものもあるのですが,あがたしが知らない中根氏の活動がたくさんあるということがわかりました.もともと,多彩な活動をする人だということは知っていましたが想像以上のようです. 上記あがたしコメントは,その中であがたしが直接その言説に触れることができた部分からのみ述べており,あがたしが触れていない部分からはまた違った印象をうけるということがよくわかりました. ・・・いや体感として「わかった」わけではないのですが,もうすこし中根氏の言説に広く接してみないと上のようなことはうかつには言えないということはよく理解できました.というわけで上記の部分についてはとりあえず発言を撤回します.もちろん,よく調べた上でやっぱり上の見方が正しそうだと再び言うことがあるかもしれませんが,今回は公開の場で軽率な発言をしたことをお詫びいたします.
・・・で,帰省中に「緑のダム」論文の論評は書けるのだろうか?それどころかいまだに故郷に出発できていないあがたしであります.2.5時間で帰らないと年を越してしまいます.
皆様も,よいお年を.