森林ジャーナリストの裏ブログ

表ブログに書けない、書く必要もないドーデモ話をつらつらと。

スギの価格ヒノキの価格

2005-12-10 17:22:07 | 林業・林産業

スギは安くて、ヒノキは高い。スギでは採算が取れないからヒノキを植える……。

よく聞く話である。事実、スギ材の価格は外材を下回っているが、ヒノキはかろうじてまだ高い。それでも随分下がったので苦しいそうだが……。

ところが、「木材革命」を読んでいると、かつて(昭和40年頃まで)スギとヒノキの価格差はなかったそうである。これは驚きだ。
同じ価格の木材と見れば、生長のよいスギの方がよいに決まっている。

それが現在のような価格差がついたのは、外材のためだそうである。主にベイツガなどはスギ材の代用として入ってきた。そして価格は安く、大経木が揃っている。しかも当時の国産材は、殿様商売が続いていた。このためスギは没落した。

それに対抗する差別化商品として登場したのが、ヒノキである。外材にもベイヒと呼ぶヒノキに似た木材があるが、こちらは量があまりなく、価格も高め。だからヒノキの価格は多少は維持できたというのだ。

何も古代ではない。ほんの数十年前に価値観の逆転が起こっていたのである。

こうなると、再びスギが人気を呼ぶことも夢ではない。
とくに木の「温かみ」「手触り」に注目すると、冷たいヒノキより柔らかく温かいスギだろう。仕掛け次第で復権するかもね。