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韓国時代劇最新ファイル2020 (COSMIC MOOK) |
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見つかった相手が悪かった。グムに恨みを持つウィ・ビョンジュですから。
そして、被害者が司憲府の者ですから、司憲府の役人たちが仲間の仇を討とうと感情的になるのも仕方がありません。
ウィ・ビョンジュは、グムが呟いた言葉を聞いていました。
“子供だったのか?”
と、グムが犯人を取り押さえた時、思わず口をついて出た言葉でした。
なぜなら、犯人は両班の格好をした幼い少女だったからです。
だから、ウィ・ビョンジュは、グムが犯人じゃないことを知っています。しかし、グムが犯人について何も供述しないのを良いことに、このままグムを追求し、あわよくば世弟の座を追おうと考えたのではないでしょうか。
宮中では、グムが殺人事件の現場に居合わせ、犯人の疑いをかけられているという話があっと言う間に広まり、大騒動となりました。
景宗も意味が分からず、ショックを受けました。
司憲府でグムの取り調べが始まりましたが、そこに義禁府の者がやって来ました。義禁府は王直属の司法機関です。
王命を持ち、グムの引き渡しを要求しました。
こうなると、義禁府と司憲府の間でプライドの争いが始まってしまうのも当然のこと。
でも、王命が出たら、いくら司憲府が頑張ってもどうしようもありません。
ただ、この時点で義禁府もグムを世弟と心底認めているわけじゃありませんからね。取り調べに手加減を加えることは考えられません
パク・ムンスとヨジたちの姿を見たグムは、少し時間を・・・と、言いました。
今度は信じてください・・・と、パク・ムンス。必ず濡れ衣だということを証明してみせますと。
彼らが怪我をしているのを見たグムは、済まない気持ちになりました。
次の瞬間、グムがヨジを抱き寄せました。その場にいた皆が唖然としました。
ヨジも驚いたのですが、それには理由があったのです。
義禁府、司憲府の面々が居並ぶ前で、手がかりを口にすることが出来なかったからです。抱き寄せたヨジの耳元で、グムは囁いたのです。
“殺主”という入れ墨が体にあったこと、そして犯人は幼い少女だったということを。
グムが犯人について何も言わなかったのには理由がありました。
粛宗の治世に、“殺主契”と言う使用人が主人を殺すための組織が暗躍した時代がありました。その殺主契が復活したとグムは思いました。
そして、幼い子供に殺人をさせているのではないかと。
それだけでなく、前回の捜査に於いて、組織の者だけだけでなく無関係な者まで処刑されてしまったのです。悲惨な事件でした。
だからこそ、グムは口をつぐんだのです。慎重にならざるを得なかったのです。
景宗はグムが何も供述しないと聞き、自らグムの元を訪れて事情を聞きました。
景宗にもなかなか話をしないグム。
私がそなたを信じているほどには私を信じてはいないのか?・・・と景宗。
力になりたいのだ・・・と。
グムは口を開きました。
殺主契という入れ墨をした犯人の幼い少女が、剣を握って人殺しをしたことを。
「司憲府が乗り出せば以前のように国中が混乱します。世弟は国政に介入できず国政に言及もできません。王のみに与えられた権限ゆえ脅かしてはならないと。罰は受ける覚悟です。沈黙を貫いたのは、幼い娘が殺人を犯さざるを得なかった理由を知りたいからです。己の出自を考えると他人事とは思えません。その娘が何に苦しみ何故刀を握ることになったのか、その娘に罪を問う前に知りたかったのです。」
グムの言葉は景宗の胸を打ちました。
その頃、司憲府では、グムの取り調べを義禁府に奪われた格好なのが我慢出来ずにいました。
だから、全員で辞表を提出し、抗議することに決定。景宗に直談判しようとしました。
それに反対したのは、ユン・ヒョクとパク・ムンスの二人だけでした。
司憲府の役人たちから決意を訴えられた景宗は、思いの外あっさりとグムを司憲府に引き渡すと言いました。
でもね、それには条件があると。
3日間の猶予をグムに与えよと。
つまり、景宗はグムに3日の間に事件の解決をしろと言うことです。
イ・グァンジャは、景宗に撤回した方が良いと言いました。
グムが事件を解明できなければ、景宗にまで影響が及ぶのは必至ですからね。
王である私も、犯人の娘の心情を知るべきではなかろうか・・・と景宗は言いました。
世子の時とは確実に違ってきている景宗です。もう、びくびくとした自信無げな様子は殆ど見られませんし、自分で考え、それを口に出す事も出来るようになっています。
元々、真面目で純粋な景宗なんでしょう。
そこに、グムの気概が良い影響を与えているように思えます。
そして、その変化と成長を、イ・グァンジャは感じていました。
ところで、殺主契とト・ジグァンとは関係が無いようです。
ト・ジグァンは人身売買の方ですね。
しかし、こちらの方が手強そうです。それに、なんと彼らと手を組む者が!
ミルプン君ですよ。
このところ、蟄居処分を下されて、大人しくお寺に通ったりしていたようですが。
性根が変わったわけじゃなく。
ただ残虐さを覆い隠すことを覚えただけのようで、不気味さが増したように感じます。
猶予を与えられたグムは、パク・ムンスたち、タルムンたちと協力して殺主契について調べ始めました。
すると、以前の組織とは様子が変わっていると分かりました。殺人をするのは、主に幼い子供だと考えられました。民から盗みをすることもなく子供たちだけで貧しい暮らしをしていたのです。
アジトを突き止めたパク・ムンスとタルムンは、切なくて悲しくて、どこに怒りをぶつければ良いのか・・・と言う表情になりました。
貧しい民だけが苦しんでいると言うのに、両班や役人の中には私腹を肥やそうとばかりする者が多いわけで。国を滅ぼそうとしているのは、そんな奴らだ・・・と。
一方で、凶器の刀が宮中で使われていたものと酷似していると気づいたグム。
ヨジと共に宮中を探っていると、あの少女を発見したのです。
少女は王の寝床を温めるオンドルの灰を掃除する仕事をしていました。
逃げようとした少女を捕まえたグムは、助けたいと少女に言いました。だから事情を聞きたいと。
少女は小作料が払えない父親によって売られそうになったようです。姉は既に清に売られてしまったようで。
少女は言いました。飢えに苦しんでもこの国で暮らしたかったと。家族と暮らしたかったと。
そこに、見張りの兵が来たので、少女を逃がしたグム。
匿えば良かったのに。あんなに暗いんだから、ちょいと物陰に潜んだら見つからないと思うのですが。
ここで人身売買と繋がりました。
グムは景宗に報告しました。
殺人の罪は見逃せないが、子供たちに刀を握らせたこの国の病弊を正してください・・・と。
「民を満足に守る事もできぬ私が、かような所に座っていたのか。子供たちによって温かく保たれた部屋に。」
景宗は深く深く感じ入り、反省しました。
イ・グァンジャは、景宗とグムの様子を見て、彼もまた国の有り様を考えさせられたようです。そして、グムの王としての器を見た気がしました。
約束の日、グムは司憲府に自ら赴きました。
ウィ・ビョンジュは、意気揚々とグムを迎え、何やら余裕を見せました。
彼は、ミン・ジンホンに協力を依頼していたのです。漢城府に移った今でも、やはり彼の能力は利用価値がありますからね。
ミン・ジンホンがその場に現れました。
その後ろには、あの犯人の少女が。
グムの計画が狂ったようです。
パク・ムンスは、ユン・ヒョクと共に、ト・ジグァンの妓楼に押し入っていました。
彼らの前に現れたのは、ミルプン君。
こちらも計画が狂ったみたい。