2022年1月8日(土)
前回、僕のために高水三山を計画してくれたT橋さんが湯久保尾根から御前山1405.0mを計画しました。ブランク以降では僕にとっては最長、最大標高差のプランなので、参加させてもらっていいものかどうかちょっと悩みました。T橋さんに聞いてみると、参加を歓迎するとのことでしたから、有難く参加させてもらうことにしました。
本当はもうひと方、女性が参加するはずだったのですが、直前で参加できなくなり、T橋さんと僕だけになりました。結局、その女性にまで迷惑をかけなくて済みましたから、僕の心の負担は少しだけは減りました。T橋さんは「僕は山頂には拘らないタイプなので」と言ってくれますし、「自分の歩くペースなんてないんですよ。ゆっくり歩くのも好きだし、少し速く歩くのもいいし」とも言ってくれます。実に優しい人ですね。
山行全体を通して、T橋さんに甘えているような状態になってしまいましたけれど、僕個人的には反省だらけですね。まだまだ山体力は衰えたままです。この日歩いたコースの標準コースタイムは4時間40分なのですが、僕は7時間20分(休憩込み)かかりました。何回もの長い休憩を差し引いてても、かかった時間は標準コースタイムの3割増しほどだと思います。僕もS子も歩くのはさほど速い方ではありませんでしたけれど、普通でも標準コースタイムの9割くらいの時間では歩いていました。
まずは、標準コースタイムで歩けるようになること、これが当面の目標だなと、感じられる山行になりました。
* * * * * * * * *
この日の山行でいちばん気になったのは、前々日に降った雪のことでした。これまで奥多摩の山には積雪はなかったと思いますから、前々日の雪がどの程度かが問題です。関東地方でも南岸部に多く降り、都心で積雪9cmだったようですが、少し北のさいたま市では1cmと報道されていました。僕が住むあたりでも、ほとんど積雪はありませんでしたし、気象庁のHPで御前山付近をチェックしていましたが、1mm未満の降雨(降雪ですが)が半日も続いていないようでした。
あまり降っていないな、とは分かったものの、主観的にはやはり心配です。まずは、登山靴。いつものハイキング用の軽登山靴にするか、それとも雪山用の本格登山靴にするかですね。軽登山靴は少しくらいの雪には大丈夫なのですが、もうだいぶん踵が擦り減っていて、いつ穴が開いても可笑しくない状態なんです。いつも、万が一のために運動靴も予備に持って行っているくらいなんですね。少しだけだとしても、雪の中で穴が開いたりしたら嫌ですからね。本格登山靴にしました。スパッツも持って行こうかと考えましたが、これは却下。雪を触っても大丈夫な雪山用手袋は念のために持って行くことにしました。そして、大切なアイゼン。北面を下降しますから、あった方がいいですよね。4本爪のアイゼンがあるはずなんですが、探し回っても見つかりません。仕方なくピッケルを持って行くことにしました。
▲9:19。武蔵五日市駅からバスで小沢バス停まで来ました。写真の右に見えている橋を渡ります。
▲9:22。昨年オープンした「檜原 森のおもちゃ美術館」です。ここは1984年に廃校となった旧北檜原小学校の跡地なのだそうです。
▲9:23。こんなツリーハウスもありました。美術館の内部の楽しさが伝わって来るようですね。
ただ、この美術館敷地(昔の小学校の運動場だと思います)に入って来たものの、御前山への登山口が分かりません。登山口はここよりもう少し集落を北へ向かわないとないようですね。そう思って、敷地から出ようとすると、さっきからここにいたおじさんが「御前山に登るの?」と声を掛けてくれました。そして、登山口を教えてくれます。
▲9:26。その登山口は美術館の左奥にありました。従来の登山口ではなく、ここからも登れるよ、レベルの登山口だとは思います。
▲9:27。でも、想像以上に立派な歩き易い登山道が続いていました。
▲9:33。そんな立派な登山道(と言うよりも遊歩道)がある理由が分かったような気がします。斜面にはたくさんの桜の樹が植えてあったのです。春になると、ここでお花見が出来るようですね。
▲9:38。桜の樹々の隙間からは麓の小沢集落が見渡せます。北側の風景だと思いますが、遠くに見えるピークは鋸山1109mなんでしょうか? まったく自信はありませんが。
▲9:47。尾根筋に出ると、桜の樹は減りますが、代わりにツツジやシャクナゲの若木が増えて来ました。何年か後には見事に花を咲かせるんでしょうね。
▲9:47。尾根筋も遊歩道のように整備されていますね。
▲9:49。伊勢清峯神社。この鳥居をくぐって、尾根沿いに進んだ方が良かったのでしょうかね?
▲9:58。神社から左の山道を進むと、この舗装道路に出てしまいました。
▲10:14。そのまま舗装道路を進みました。写真では左下から歩いて来たことになります。まっすぐに進んでも尾根筋には出ませんから、ここからは今いる道路を登ることにしたのです。
▲10:19。地形図にも建物記号がたくさんあったのですが、最初に出て来たのがこの別荘風建物。
▲10:24。これも別荘かな?
▲10:54。舗装道路が一旦途切れたところで、休憩することにしました。前の家には人が住んでいて、姿も見えましたし、犬も吠えていました。T橋さんは仕事の電話がかかって来て、長く話していました。大変ですね。
▲10:56。右の道に犬の後ろ姿が見えますが、この犬はさっき休憩した場所にいた犬です。僕たちを道案内するように、前を歩いてくれます。ここでもどちらへ行こうかと考えましたが、犬が右へ行くので、僕たちも右へ。
▲10:59。途中、柚子の果樹園がありました。
▲11:02。さっきの犬がここまで連れて来てくれました。犬にとってはお隣りさんですね。
▲11:04。その家のすぐそばにこの標識がありました。
▲11:13。再び山道を歩きます。
▲11:21。標高780m付近、地形図にある岩記号の場所にこの鑾野御前(すずのごぜん)神社があります。高さ15m以上はありそうな石灰岩の巨岩の元に小さな祠が祀られていました。
▲11:22。祠の前には狼の狛犬が。いかにも狼にぴったしな雰囲気の場所です。
▲11:22。祠のすぐ下には壊れた狛犬が4体置いてあります。
▲11:47。鑾野御前神社からは山腹の登山道を歩きました。そして、ここで尾根に合流です。写真の右に928m標高点があるのだと思います。
▲11:48。尾根に出ると立派な標識がありました。本来は右側から928m標高点を経て、ここに出て来るはずだったのだと思います。伊勢清峯神社の鳥居をくぐって尾根沿いに歩くのだと思います。
▲12:05。ずっと手入れの行き届いた杉の植林が続いています。
▲12:24。久し振りに広葉樹の森になると、明るくて暖かいので嬉しくなりますね。ひこばえのような幹の生え方をしている木が多いので、昔炭焼き用に切られたのでしょうね。
▲13:01。前々日に降った雪が現われました。日陰にたったこの程度の雪です。本格登山靴を履いて来るまでもなかったですね。
▲13:04。船底地形のような場所がありました。ここで再度休憩することにしました。20分間ほど休みました。
▲14:06。休憩後もたんたんと登って行くと、主稜線に到着しました。ここの標高は1340mくらいですね。ブランク後としては最高地点です。ここから左へ行くと御前山1405.0m山頂なんですが、T橋さんは山頂には寄らず、このまま向こう側へ下ることを決断しました。僕の歩みが遅いことと、ここから北面になるので登山道が凍結している可能性もあるからでしょう。的確な判断だと思います。それにしても気遣いが有難いですね。早く山体力を元に戻したいです!
▲14:09。御前山避難小屋です。中には男性2人がいて、食事を作っているようでした。今晩はここに泊まるようですね。一般的に避難小屋は緊急時に利用するだけで、泊り前提での利用は出来ないことになっているのですが、僕は昔奥多摩の避難小屋の管理者(東京都の公園課とかだったかな?)に問い合わせたことがあります。すると意外なことに、「どんどん自由に泊まって大丈夫ですよ」との返答でした。泊まった痕跡を残さないように、綺麗に掃除をして帰ることは当然ですけどね。避難小屋の維持管理をしてくださっているボランティアのような方々もいらっしゃるようですし。
▲14:33。避難小屋の横の水場はまだしっかりと流れていました。でも、そのすぐ下ではこんな感じで凍っています。もっと冷え続けると、水場の水も止まってしまうでしょうね。
▲15:02。下りの山道は北面ですからずうっとこんな感じでした。雪はこの程度しか降らなかったのですね。雪は融ける間もなかったでしょうから、凍結しているような場所もほとんどありませんでした。T橋さんはそのまま下りますが、僕はピッケルを出しました。僕にとってはピッケルを杖代わりに使えて良かったですね。
▲15:14。だいぶん下まで降りて来ました。写真の中央に巨木が写っていますが、カツラの木です。
▲15:19。林道が見えて来ました。この林道は歩かずにすぐに横断して山道を歩きました。それにしても真っ白な林道ですね。
▲15:31。再び林道が現われ、今度はその林道を歩きます。雪はぜんぜん積もってはいないのですが、黒い道路を雪のペンキで塗ったようになっています。
▲15:43。向こう側に西日を浴びた石尾根が見えました。T橋さんが「御前山がある尾根の名前はないんだろうか?」と言います。確かにそうですね。奥多摩三山と称される大岳山、御前山、三頭山と続く大きな尾根です。少し調べてみましたが、分かりませんでした。
▲16:41。境橋に到着です。橋の上にバス停があります。
▲16:42。月が出ていました。ちょうど日没時刻頃の下山でした。
20分ほど待ってバスが来ました。奥多摩駅に着くと、僕は天益へ行きました。T橋さんは拡大するオミクロン株のこともあって、そのまま帰宅することに。T橋さんのお客さんに高齢者が多いので心配なんだそうです。
この日の天益は地元のお客さんばかりだったようです。そんなお客さん達の会話を聞きながら、お任せで出してくれる料理をちびちびと食べ、飲みます。会話をする相手がいなくても、聞いているだけ座っているだけで幸せな気分になれる馴染みの店が天益なんですね。