ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

NZ旅№5―――山小屋キャロラインハットまで

2013年12月23日 | ニュージーランド旅2013

2013/11/15  いよいよBall Ridge に取り付き、本格的登山の開始です。

075
▲Ball Shelter の少し先から Ball Ridge に取り付きます。いきなりの急登。でも、ジグザグにルートはついていますから大丈夫。15:20ころ。

076
▲こんな大きな岩がゴロゴロしている箇所もあります。15:22ころ。
後方にはタズマン氷河湖が。

080a
▲さきほどの Ball Shelter が見えています。(写真をクリックすると大きくなります)後方の矢印の場所です。15:39ころ。
この写真から何となく推測できるのですが、この小さな山小屋が建っている平坦な地が山裾に沿って100mほどの幅で続いています。そこにはかすかに車道のような跡も認められます。草も生えている平坦地の先(左)には灰色の氷河がありますけれど、氷河の氷が融け低くなって来ていますから、草の生えた平坦地と氷河との境目は崖になっているのですね。その崖が年々崩れて平坦地が狭くなっていっているのだと想像できます。山小屋が建っている場所も数十年後には崩れ去っているかもしれません。

083
▲ほんのわずかですが、こんなのどかな場所もありました。先頭はマーティン、続いてS子です。16:03ころ。
S子の右の大きな葉っぱの株はマウンテンデイジーでしょうか?

085
▲僕がカメラを向けると、ガイドのギィディアンがポーズをとってくれました。彼の前は藤井さんに華世ちゃん。16:20ころ。
華世ちゃんの左手のそばにあるのもマウンテンデイジーでしょうか? 大きな花が咲くそうですね。

086
▲後方はタズマン氷河。僕たちは写真の右から登って来たのです。16:21ころ。
このあたりから僕と華世ちゃんとの間が開き気味になって来ました。

087
▲Ball Ridge の稜線に飛び出ましたから、マウントクックの姿も目に飛び込んで来ます。この雪氷の付いた面がキャロラインフェースです。真下の氷河はボール氷河だと思います。川で例えればタズマン氷河の支流にあたります。16:22ころ。

このニュージーランド最高峰、正式名はAoraki/Mount Cook アオラキ/マウント・クックです。3754mですから、富士山より22m低いだけでほぼ同じ高さ。ですが、氷河を四囲に抱き、高峰としての風格は富士山の上を行っていますよね。
アオラキとはマウイ語で「雲を突き抜ける山」の意。マウイ語はニュージーランドの公用語にもなっていますから、マウント・クックとして世界中に知られるようになりましたけれど、あえてマウイ語との併記をしているのだそうです。ブログでは正式名ではなく「マウントクック」で統一しています。それは僕が単に面倒くさがり屋だから。すみません。

088
▲休憩です。右にガイドの二人、左に藤井さん。16:35ころ。
ガイドは二人とも短パンです。

091a
▲記念撮影です。S子とマウントクック。16:42ころ。

097
▲背後のタズマン氷河、氷河後退によって出来た山麓の縞模様、ボール尾根最下部の様子などが素晴らしく俯瞰できるようになりました。17:03ころ。
華世ちゃんの手が腰にあたるようになりました。少々息が上がって来ている様子です。自転車や長距離走で持久力はある華世ちゃんですが、重荷を背負っての登山はちょっと勝手が違うようですね。これは慣れだと思いますから、2、3度このレベルの重荷と急登の山を経験すれば、すぐ楽に歩けるようになると思います。
S子はスピードは出ませんけれど、まったく苦しい様子はありません。快適なようでした。こういう山行はしょっちゅう体験していますから。

098
▲両手を使って登るような場所も増えて来ました。17:04ころ。
ギィディアンが華世ちゃんの様子に気づいたのでしょう、最後尾から華世ちゃんの真後ろに移って来ました。

100
▲マウントクック目指して登り続ける! って感じですね! 17:06ころ。

103
▲対岸には右からNovara Peak 2299m、Malcher Peak 2469m、Mt Johnson 2682m などが見えています。氷河後退の縞模様も綺麗に見えます。17:09ころ。
華世ちゃんの足取りが遅くなっています。心配ですね。

104
▲先ほどの休憩から30分ほどですが、小休止して華世ちゃんの荷物を軽くすることに。17:12ころ。
S子の荷物は歩き始める最初から軽くしてありました。その分、僕が少し重くはなっていますが、それでも10数キロなので、山では軽い範疇です。

105
▲だんだん岩っぽい箇所が増えて来ます。17:22ころ。

どのあたりからだったでしょうか? “Concentration”だか“Focus”だか、危険なのでガイドから注意喚起が発せられる箇所が増えて来ました。それで、ギィディアンが「日本語ではどう言うの?」と聞いたようです。華世ちゃんだったでしょうか、それに答えて「シ・ユ・ウ・チ・ユ・ウ シュウチュウ(集中)!」。その時から、地域限定、期間限定の流行語になりました。
お互いに「シュウチュウ!」と声かけあって、心を引き締めたのです。

107
▲タズマン氷河に山の影が出来ていますね。17:33ころ。

114
▲岩だらけの尾根になって来ました。17:46ころ。

116
▲ボール尾根を登っている間中、何度も何度も雪崩の音を聞いています。大音響で轟いています。しかし、なかなか雪崩れている瞬間を見ることができません。キャロラインフェースのどこで雪崩れているのかが分からないのです。そのたびに、立ち止まって(歩きながらだと転落・滑落の危険性がありますから)探すのですが、見つかりません。
そのうち、藤井さんが発見して場所を教えてくれました。教わってもなかなか見つからないのですが、僕にもようやく分かって望遠で撮影したのがこれ。大きな音がする割にはその姿は沢の普通の滝くらいにしか見えません。でも、間近に見ると、大きな雪崩なのでしょうね。巨大な氷の塊が岩場にぶつかって鳴り響いている音なのでしょうし。18:05ころ。

118
▲女性2人とも手を付いて登るほどの急斜面です。さすがに陽も傾き始めましたし、風も出て来ましたから、みな上着を着ました。ついでにスパッツも装着。マーティンは短パン(裾を巻き上げているのですが)にスパッツという妙な格好です。18:10ころ。

120
▲雪は時折見えるようになっていましたが、もう少し先へ進むと、完全に雪山状態になると分かって来ました。一段と心が引き締まります。18:12ころ。

121
▲雪山突入! いきなりのトラバースです。マーティンが丁寧にステップを作って行ってくれます。その後もずうっとそうでしたけれど、歩幅の狭いS子を考慮してくれたからなのか、ステップの間隔が比較的狭くて歩き易いものでした。18:29ころ。

125
▲ギィディアンがロープを固定して張ってくれました。先にいるギィディアンの場所から右上へ登って行くようです。急な傾斜なのでしょう。僕と藤井さんは今いる安全な場所で待機です。18:39ころ。

126
▲僕と藤井さんも進んで来ました。S子と華世ちゃんにはギィディアンが付いてくれています。おそらくS子にとっては慣れた雪の傾斜だったと思います。ガイドとしては今回最初の雪の急(?)斜面だったので安全策をとりつつ、参加メンバーの登り方を観察していたのでしょう。
それとも、それ以外の要因、例えば雪崩れ、シュルンド、落石などを考慮してのものだったのでしょうか? 18:42ころ。

130
▲ロープを張った急斜面を登りきると、なだらかな雪面になりました。Ball Pass も行く手に見えて来ました。キャロラインハットももうすぐです。18:59ころ。

132
▲先頭からマーティン、S子、華世ちゃんですが、3人のちょうど真上に見えているコルがBall Pass です。19:00ころ。
前方には小さくキャロラインハットが見えているのですが、どこだか分かりますか?答えは少しあとで。

133a
▲S子と華世ちゃん。後方右端の山はNovara Peak 2299mでしょう。この辺りが標高1750m前後でしょうから、Novara Peak ともあまり標高差を感じなくなりました。19:02ころ。

134
▲左下にはタズマン氷河湖が見えています。 19:04ころ。

132a
▲先ほどの問いの答えです。クリックして写真を拡大すれば、キャロラインハットの四角い建物が分かると思います。

135
▲広大でなだらかな雪原を登るギィディアンと藤井さん。雪山のこんな景色が僕は好きです。19:09ころ。

136
▲雪山という大自然の中での Activity って感じがひしひしと伝わって来ますね。S子も格好いいです。19:14ころ。

138
▲キャロラインハット到着直前! 山小屋の屋根も大きく見えて来ました。先頭からギィディアン、藤井さん、S子。19:39ころ。

139
▲これがキャロラインハットです。19:47ころ。

ボール尾根に取り付いてから約5時間。平均時間よりは少しかかりましたけれど、何事もなく無事にキャロラインハットに着きました。
日本の尾根に例えればどんな尾根に似ているだろうかといろいろ考えましたけれど、なかなかぴったりという例はありません。下半部の雪がなかった辺りは薄い踏み跡が途切れ途切れにある状態です。日本の本格的バリエーションルートである、北鎌尾根、剱の源次郎尾根、谷川の東尾根などの無雪期と比べても、ずっと易しいレベルです。奥多摩の一般登山道のない藪尾根レベルよりはずっと難しいですから、想像してみて下さい。
もしガイドレスで個人山行したとしても、なんとかルートファインディングは出来ると思います。しかし、何度かは嫌な場面に遭遇しそうですね。一筋の尾根ですから、大きくルートを外すことはないのですが、細かな間違いは繰り返しそうです。

上半部の雪が出て来てからの方がルートファインディングは容易です。ただし、天気良好で見晴らしがきく時に限ります。
困難度は雪の状態次第で大きく変わるのは当然ですけれど、日本のGWころの尾瀬周辺の春山と比較して、さほど難しい山ではありません。そのように感じました。

体力的には日本の山を月に1、2回ペースでコンスタントに歩いている人ならば、大丈夫だと思います。日本の山はどこの山でも急登が多いですから、ボール尾根を特別の急登と感じる人はいないでしょうね。
奥多摩なら鴨沢から雲取山、日原から稲村岩尾根を鷹ノ巣山への登山道を標準コースタイムで歩けたり、テントを背負っての縦走などを楽しんでいるような山屋さんなら、この初日のボール尾根は問題なく歩けると思います。もちろん、ガイドが付いての話ですけれど。
それに加えて、雪山は基本でいいですから経験している方がいいと思います。初日のボール尾根でガイド同行ならばの話ですが、危険度の少ない残雪期の山や冬の奥秩父程度の雪山は経験しておいた方が安心できると思いましたね。

リアルニュージーランドのHPでは「雪山初心者でも大丈夫! 雪上でのクランポンやピッケルの使い方や歩き方など、現地の優秀なガイド達が手取り足取り指導してくれて、日本の雪山デビューの予行演習にもなる!」と書いてあったのですが、せっかくの海外旅行です、現地で初体験して「やっぱり難しかった」と言うよりも、日本である程度は経験しておいてニュージーランドでも確実に実践できる方が安心だと思いますよ。


NZ旅№4―――いよいよ登山開始! Ball Shelterまで

2013年12月20日 | ニュージーランド旅2013

2013/11/15  いよいよ今日から登山活動開始です!

003
▲朝、目が覚めると、表で音がします。カーテンを開けてみるとカモがいました。昨夕も人のそばに寄って来るカモがいましたが、人から餌をもらうことを覚えてしまったカモなのでしょう。野性を失うことは、いろんな意味からカモにとっても悪いことですから、餌づけをしないでもらいたいものですね。6:41ころ。

004
▲ホテルは北向きです。ニュージーランドは南半球ですから、たいがいの家は北向きが日当たり良好なのです。すると、日本などとは反対に右側から日が昇るのですね。そして、太陽は右から左へ移動するのです。6:54ころ。

006
▲先ほどのカモの夫婦なのでしょう。6:54ころ。

昨日の朝食の残りを隣りの藤井さんの部屋で皆でいただきました。

007
▲ここはアルパインレクリエーションの事務所です。8:11ころ。
アルパインレクリエーションは山岳ガイドの会社。今回泊まる山小屋、キャロラインハットを所有しています。
昨晩、登山に必要なものとそれ以外のものとに分けておきました。登山靴、ザック、雨具などの装備が大丈夫かどうかを同行ガイドがチェックしてくれます。アイゼン、ピッケル、ハーネス、ヘルメット等はここで借りることにしていましたから、受け取ります。
意外とバタバタとし、1時間くらいで出発。ちなみにこのクライミングボード。運動靴で少しだけチャレンジしてみましたが、案外と難しかったです。僕にとっては。

008
▲リアルニュージーランドの車はアルパインレクリエーション事務所の庭に置いて、ここからはアルパインレクリエーションの車でスタートです。運転はマーティン。助手席にはギィディアン。
通常は4人に対してガイド1名が付くのですが、今回は2人です。ギィディアンが正式なガイド資格を獲得するために時間の実績を積まなければならないとのことで、加わってくれました。僕たちにとっては超ラッキーなことです。リアルニュージーランドへの好意的配慮ではなかったのかなぁとか想像しました。
マウントクック村まで車を飛ばします。100キロくらいあるそうですが、1時間くらいで到着するのだとか。やっぱり一般道路を時速100キロですっ飛ばすんですね。9:09ころ。

013_2
▲プカキ湖の南岸に着きました。テカポ湖同様、氷河の影響で形成されたモレーン湖だと思います。このLake Side View Point からはマウントクックの本当の頂上(最高峰)が見えるのだとか。他の麓からは最高峰が見えないそうです。
この日は、少し霞んでいてうっすらとしか見えませんが、見えること自体かなりラッキーなことだそうです。9:40ころ。

016a_2
▲せっかくのビューポイントですから記念撮影。右から藤井さん、華世ちゃん、S子、僕。
マウントクックは藤井さんの後方に見えています。9:42ころ。
このブログとしては例外的ですが、リアルニュージーランドの藤井さんと華世ちゃんは名前もお顔も公開しています。(あっ、そうそう。マーティンとギィディアンもですね)

018_2
▲マウントクック村に到着する手前での写真。マウントクックが大きく見えて来ました。(もちろん望遠ですが)10:08ころ。

019_2
▲ニュージーランド・アルパイン・クラブのロッジ裏庭です。マーティンが何やら打ち合わせをしている模様。10:25ころ。

020_2
▲アルパインレクリエーションの車の左には年代物のトヨタの四駆が。この四駆にザック等を積み替えました。10:25ころ。

022_2
▲再び車に乗って、すぐ近くのビジターセンターへ行きました。そこでこの写真の景色が。ニュージーランド国旗とニュージーランド最高峰マウントクックのツーショットです。10:37ころ。
館内には様々な展示物があります。マーティンが説明をしてくれます。ただ、僕はここでトイレタイム。マーティンの解説も聞きたかったですね。

025_2
▲マウントクック村の北西にはMt.Sefton3157m が聳えています。この村がおおよそ標高760mくらいだそうですから、圧倒的な存在感でそこに在りました。10:55ころ。

027
▲フッカー・バレー・トラックのスタート地点にある駐車場まで2台の車で行きました。アルパインレクリエーションの車はここに置いておきます。明後日、予定通りならばここに辿り着くのです。11:08ころ。
右からS子、藤井さん、華世ちゃん、マーティン、四駆を運転して下さる方、ギィディアン。
中央の山がマウントクックです。

028_2
▲Mt.Sefton3157m 。けっこう広い駐車場です。11:08ころ。

029
▲トヨタの四駆に全員が乗り込み、オフロードへ突入です。駐車場があったフッカー・バレーから東隣りのタズマン・バレーへ向かいます。40分くらいのドライブでしたが、前半は普通の未舗装の林道のようなものでしたが、後半は本格的なオフロード。時速も10キロ程度でしょう。
車酔いの心配があるS子を助手席に乗せ、世話役兼通訳で華世ちゃんも同席しました。11:11ころ。

032
▲四駆で入れるところまで入ってくれました。昔はもっとずうっと奥まで入れていたようです。でも、地球温暖化の影響でしょう、氷河が後退し、それまで車が通行していたルートが不安定になり、通れなくなりました。
トヨタの四駆とはここでお別れです。11:58ころ。

034
▲四駆が方向転換し、帰って行きます。11:58ころ。

035
▲ここから奥へと歩きます。11:59ころ。
左は山ですが、右のガレ場は氷河が運んで来たモレーンなのでしょう。

037
▲設置してある罠に動物がかかっていました。12:06ころ。
ニュージーランドは外来種駆除の先進国だそうです。それは裏返すと、外来種によって自然が大きなダメージを今なお受け続けているということでもあります。哺乳類がコウモリしかいなかった、哺乳類である人類がこの島に住み始めてからまだたったの1200~1300年しかたっていないと言うのに、こんな辺鄙な地域でこれほど簡単に哺乳動物が罠にかかってしまう。それはひどく異常なことです。

ところでここでついでに、ニュージーランドびっくり事情その3です。
上記のこととも深いつながりがあるのですが、道路を走っていると動物の死体が次々に道路上に現われて来るのです。ポッサムやウサギが多いそうですが、相手が小さいこと、急ブレーキをかけたり急ハンドルを切ったりする方が危険なこと、さらに駆除対象の動物であることなどが重なって、多分ドライバーは轢いてしまっても罪悪感を感じなくてすんでしまうのでしょう。
僕など今回同乗していて、動物の死骸の上を自分たちの車が通ることだけでも、ものすごく抵抗感がありました。せめてその遺体を道路脇へ寄せてあげたいと感じてしまうのです。ニュージーランドではそんなこと出来ませんし必要もないことは分かるのですが、日本での感覚は短い期間では変えようがありませんでしたね。

039
▲先頭からガイドの二人、華世ちゃんと藤井さん、そしてS子です。12:10ころ。

041
▲ネットで調べましたが確信は持てません。おそらくスノーベリーSnowberry だと思います。ツツジ科であることは確かだと思います。花の形が日本のドウダンツツジなどに似ていますから。地味な花ですが、この花が今の時季、いちばん多く咲いていました。12:16ころ。

043
▲タズマン・バレーへ落ちている谷です。Ball Ridge(ボール尾根)からの支谷です。キャロラインハットはこの見えている尾根の右あたりにあるのではないでしょうか? 12:25ころ。

047
▲後方を振り返ると、幾層にも重なった巨大なレンズ雲がありました。天気予報は下り坂を示していましたから、良い予兆ではありません。12:36ころ。

048
▲左から右にタズマン氷河が流れています。12:46ころ。
タズマン氷河はニュージーランド最長の氷河です。幅4キロ、長さ27キロあります。そして、なんと! 最大深度は600mもあるのだとか! しかし近年、地球温暖化のあおりを受けてでしょう、1990年ころから氷河の後退が顕著になっているようです。
対岸の山 Novara Peak 2299m の麓に水平についている模様を見て下さい。この線がもともと最近まであった氷河の際の線だと思います。

051
▲タズマン氷河湖が見えました。これまではモレーンの壁があって見えなかったのです。12:51ころ。
前の写真もそうですが、氷河を岩や土砂が覆っていますから白い氷は見えません。

054
▲昔はこの先まで車が入っていたそうです。氷河後退によってルートが不安定になって行く様子が分かりますね。13:02ころ。

055
▲瓦礫ばかりの荒涼としたルートが続きますが、時折このような緑のオアシスが現われてホッとします。13:07ころ。

056057
058059
▲この緑のオアシスに花咲いていたのが、このマウントクックリリーMount Cook Lily。キンポウゲ科の植物ですから、日本のウマノアシガタやミヤマキンポウゲと同じ仲間です。でも、花は巨大ですし、純白の花ですし、葉っぱも大きな広い葉です。同じ科・属だとは信じられませんね。13:08~13:11ころ。
ただ、そんな解説は別に、とても印象深く豪華で美しい花ですね。

063
▲瓦礫のアップダウンには写真のようなちょっと厭らしい箇所も出て来ます。マーティンがステップを切ってくれていますが、それでも慣れていないと嫌でしょうね。13:47ころ。

065
▲道が良くなりました。昔はBall Shelterまで車で行けたというマーティンの言葉が真実だったのだと納得できますね。13:53ころ。

067
▲いい道はすぐに消えてしまい、アップダウン再開です。14:04ころ。

068
▲振り返ると、先ほどのいい道やタズマン氷河湖も見えています。14:05ころ。

071
▲Ball Shelter に到着。14:18ころ。
小屋は新しく、最近建て直したのだと思います。
ここで昼食にします。昼食は今朝、アルパインレクリエーション事務所で各自もらっているのですが、行動食も含め僕にとってもS子にとってはなおさら、すごく多い量。僕のには手を付けず、S子のサンドイッチとリンゴを僕が食べ、S子にも少し分けてあげました。

072_2
▲Ball Shelter の中の様子です。定員は3人。宿泊券を$5で購入して利用することが出来るのだと思います。トイレもありますし、雨水を屋根で受けて溜めてあるタンクもありました。14:58ころ。

四駆下車した場所から2時間20分ほどかかりました。僕自身が予想していたよりも倍ほどの時間がかかっています。四駆でさほど奥まで入れなかったからでしょうか? すでに、午後の3時ですから、日本の夏山の感覚で言えば、もう山小屋に着いていなければならない時間ですよね。ここからキャロラインハットまでかかる時間が通常で4時間だそうですから、到着は午後7時を過ぎること確実です。ニュージーランドの夏山での時間感覚に驚かされています。


NZ旅№3―――マウント・ジョンを登りました

2013年12月16日 | ニュージーランド旅2013

2013/11/14  ホテルにチェックインした後、しばしのんびり。それからテカポ湖周辺の散策へS子と二人で出かけました。夕食までの時間、あまりありませんから、湖畔の散歩くらいかなぁと思っています。

001a
▲散歩の準備をして、ホテルの自分たちの部屋から出発です。15:02ころ。(S子撮影)

037
▲ホテルを出てすぐに巨大な松ぼっくり発見! 木の名前は分かりません。15:09ころ。

005
▲たまには僕の後ろ姿も。15:10ころ。(S子撮影)

038
▲この山はマウント・ジョン1031mです。この辺りの標高が700m少しのようですから、それなりの標高差です。登ってみたいのはやまやまですが、18時にはホテルへ戻っていないといけませんから、湖周辺の散歩だけにしようと考えていました。15:12ころ。

040
▲ルピナスのお花畑! パープルの微妙なグラデーションが美しいですね。15:14ころ。

042
▲ルピナスばかりではなく、ポピーのような花も咲いています。ただ、これも庭の花が野生化したのでしょうね。15:35ころ。

010
▲またまた登場! 僕の歩く姿です。この写真ではよく分かりますけれど、テカポ湖の水の色は空の色よりもずっと空色ですね! 山はマウント・ジョン。15:36ころ。(S子撮影)

044
▲テカポ湖の東から北に連なる山々。山座同定は僕には出来ませんが、2000mから左奥の山々になると3000mに近い山もあるようです。15:37ころ。

045
▲テカポ湖にはほとんど水鳥の姿がありませんでした。でもこの時は全身真っ黒の、嘴まで黒い水鳥が泳いでいました。15:39ころ。

047
▲エニシダの花です。これも外来種だそうで、ドライブ途中でも全山黄色と言ったところもあったくらいですから、猛烈な勢いで増え広がっているようです。ヨーロッパ原産の鬼エニシダであるとか、花粉症の原因にもなっているとか書かれていますが、どうなのでしょうね? 15:50ころ。
そうそう、こんな花もありました。ただし、花の時季がとっくに過ぎてしまっていたようで、花は咲いていませんでしたけれど。僕のブログで以前のせています。
http://blog.goo.ne.jp/1940sachiko/d/20130612
多分これも外来種なんでしょうね? ニュージーランドはまだまだ余力というか隙間をたくさん抱えた自然なのでしょうね。侵入され易い自然のようですから、心配してしまいます。

048
▲『地球の歩き方』にはマウント・ジョンの往復に2時間30分から3時間かかると記載されていました。でも、登山口そばに来ると、山頂まで1時間とあります。ですから、登ってみることにしました。ここまではぶらりぶらりと来ましたが、ここからは少し真面目に歩きます。15:58ころ。

049
▲これがテカポ・スプリングスなんでしょうか? 温水プールだと思います。下山してからここに来るオプションもあるのですが、温泉ではないので、いまいち気は進みません。ホテルのバスタブに長い時間浸かっている方が好みですね。(華世ちゃん、せっかくの提案なのにご免ね)16:00ころ。

050
▲マウント・ジョン前半はこのような針葉樹の林を歩きます。緩やかな傾斜なので、疲れません。16:11ころ。

051a
▲テカポ湖の水の色は上から見るとさらに際立っていました。氷河から流れ出す水は白く濁っているのが通常です。それは氷が削り出している岩石の細かな粒が混ざっているからなのですが、テカポ湖のこの色は水と砂粒との絶妙なバランスで生じた色なんでしょうね。
写真中央に赤い矢印(写真をクリックすると拡大されます)で示された場所が、僕たちのホテルです。16:14ころ。

052
▲針葉樹の森を抜けだすと、こんな草原になりました。16:28ころ。

054
▲下からも見えていた天文台がすぐそばに見えるようになりました。ここまで、けっこう多くの人に会っています。気軽に登れる山なんですね。16:33ころ。

056
▲マウント・ジョンのなだらかに南北に流れている尾根に乗ると、これまで見えなかった西の山々が見えて来ます。中央少し右に見えている山はマウント・スティーブンソン2330mだとか。
雲は羊雲ですから、天気は下り坂のようです。明日は大丈夫でしょうか? 16:33ころ。

058
▲マウント・ジョン南峰から北峰を眺めます。下からはひとつしか見えなかった天文台がこんなにもあるのですね。よほど観測条件が良い場所なのでしょう。16:39ころ。
調べてみると、テカポ湖周辺はニュージーランド国内でも晴天率が高く、周辺に大きな町がないので夜空が暗く保てるのだそうです。2012年6月には国際ダークスカイ・リザーブから星空保護区のゴールドステイタスを与えられたそうです。テカポ湖周辺の星空を世界遺産に登録しようという動きもあるそうですから、本当にすごい夜空が望めるのでしょうね。

061
▲テカポ湖側をトラバースしながら、北峰へ向かいます。16:47ころ。

064
▲マウント・ジョンの北にあるアレクサンドリナ湖も見えて来ました。16:49ころ。

067
▲マウント・ジョン山頂に到着しました。
さっそく、マウント・スティーブンソン2330mを望遠で捉えてみました。今回の登山で越えるボールパスBall Passが2121mですから、気が引き締まりますね。16:54ころ。

069
▲何色と表現すればいいのでしょうね? 波はないのでしょうか? それとも、波も同じ色なんでしょうか? 17:04ころ。

071
▲登山口からのんびりと歩いて50分くらいで山頂に着きました。下りも40分くらいだったのでしょうか。来る時は湖岸沿いに歩きましたが、帰りはこの整備された遊歩道を歩いてみました。17:51ころ。
確かこの直前くらいだったと思いますが、ジョギングする藤井さんに遭遇、毎日トレーニングしているのでしょうね。

073076
▲ホテルに到着する少し前17:53ころと、夕食を終えた20:38に出会ったウサギです。
もともと哺乳類に関してはコウモリがいた程度のニュージーランドにウサギを持ちこんだのはヨーロッパ人。狩猟用に放したようですね。それが増えに増えて、大変なことになっているようです。キツネもオオカミもイタチもいないのですから当然ですよね。

18:10ころにホテルに戻った僕たちは、藤井さんと華世ちゃんお勧めの日本料理店へ。外国に来てまで日本料理店はどうかと思ってしまいますけれど、この店の「サーモン丼」は別格だとか。実際に食べてみると、脂がたっぷりとのっているニュージーランド産のサーモンが本当に美味しいのです。
僕の悪い癖ですが、食事になるとついつい食べることに夢中になってしまって写真を撮るのを忘れてしまいます。で、お見せすることができません。

078
▲この時刻(20:45ころ)でこの薄暮! いくら夏時間だからと言っても、本当に遅くまで明るいのです。ホテル自室の前庭とマウント・ジョン。

079
▲テカポ湖上空に輝くお月さま。華世ちゃんから星空ツアーへ行こうと誘われていたのですが、明日から登山ですし、朝早く起きなければなりません。21時からの星空ツアーに参加して、寝不足になるのが心配なので参加は遠慮しました。
それに、この月明かりの空と広がっている雲、観測にはあまり好条件ではありませんし・・・・  20:47ころ。

一人参加した華世ちゃんから翌朝聞きました。やはり雲が多くて条件は良くなかったとか。この近くで集合し、天文台まで車で行ったそうです。
僕も再びテカポ湖へ来ることがあれば、そしてその夜、雲が少なく月夜でもなければ、是非とも星空ツアーに参加したいと思いますね。


青梅の里山へ秋の残りを探しに行きました―――二ツ塚峠~浅間岳~羽村大橋

2013年12月10日 | ハイキング/奥多摩

2013/12/5  ニュージーランドへ出発する前、自宅の窓から眺められる二本のモミジの木はわずかに色づき始めたばかりでした。山の紅葉は進んでいたことでしょうが、準備に追われてそれどころではありません。
ところで、帰国するとあのモミジの紅葉の盛りがとっくに過ぎ去っているではありませんか! 街には風で落ち葉が舞っています。あ~あ! 僕は今年の日本の秋を知らないで過ごしてしまった! 後悔とも、無念ともつかぬ心持ち・・・・
わずかなりとも、日本の秋を感じたい。それで出かけたのが青梅の里山です。標高はせいぜい300mくらい。ひょっとしたらまだ秋が残っているのでは・・・・ 淡い期待を胸に歩いて来ました。

001
▲遅い出発がさらに遅れ、青梅に着いたのはこんな時間です。10:51ころ。
調布橋で多摩川を渡ります。写真左に見えている低い山並みが今日歩くところ。

005
▲天祖神社の階段がハイキングのスタート。11:04ころ。

009
▲天祖神社です。この社の右側から山道が始まっていました。11:09ころ。

011
▲まずは二ツ塚峠を目指します。11:55ころ。

012
▲山道にはずう~っと枯れ葉が敷き詰められています。すでに冬の姿。でも、秋や冬に関係なく心地よい雰囲気で、僕は大好きなんです。11:55ころ。
前を歩くのはS子。

013
▲二ツ塚峠に到着しました。12:21ころ。
これから馬引沢峠、天狗岩を目指します。

014
▲「野の坂の 春の木立の 葉がくれに 古き宿見ゆ 武蔵の青梅」 若山牧水
日本全国を旅しながら歌を詠んだ牧水ですから、ここへも来たのかもしれません。昔の人にとって峠を越える山道は現代人よりずっと生活に密着した道だったでしょうから。12:22ころ。

015
▲「四季変り 世の憂 忘らる 二ツ坂」 久作
久作とは夢野久作のことだとは思いますが、確信は持てません。ここは二ツ塚峠ですし、二ツ坂とは違います。この峠と何かの関わりがある句なのでしょうか? 疑問ですね。12:23ころ。

016
▲二ツ塚峠はこんな感じの場所です。今は近くを自動車道路が越えていますから、そちらが新・二ツ塚峠で、ここは旧・二ツ塚峠になっていますけれど、僕にとってはこここそがただひとつの二ツ塚峠。12:23ころ。
S子の視線の先に白い棒が立っていますが、そこには二ツ塚峠にまつわる悲話が記されていたのです。今回はその看板は壊れて外れてしまっていました。内容はこんなお話し。
「峠の麓に年老いた母と、親思いの娘が住んでいました。ある頃から母は不治の病に伏せるようになり、娘の必死の看護も虚しいばかりでした。母はこのまま山に埋めてもらうことを願い、娘も母と一緒に埋めてくれと村人に頼んだのです。村人たちは断り切れずその願いを聞き入れ、山へ二人を運びました。二人を山へ埋めた村人たちは、その後も供養、掃除を欠かさず、土盛りもしました。そのようにして峠には二つの塚ができたのです。人々はその峠を二ツ塚峠と呼ぶようになりました」

017
▲二ツ塚峠からしばらく進むと、こんな標識が出現! 満地峠も草花も知っている地名です。当初、目的地と考えていた馬引沢峠や天狗岩とは180°方向が逆です。どうやら、二ツ塚峠あたりで進むルートを間違えたみたい。まあ、仕方ありません。草花へ続く山道ならば2、3度歩いたことのある道ですから、だいたいの様子は覚えています。今日は気楽な里山歩きですから、こんなこともアリでしょう。13:12ころ。

019
▲やっと日当りがよくて心地よい場所があったので、お昼にしました。座ったところから撮った林です。広葉樹林で、すでにほとんどの葉っぱは落葉した後。13:28ころ。

021
▲昼食も食べて、再び元気に歩き始めました。13:49ころ。

022026028
▲山道に沿って、こんな像があることは知っていました。それが機動隊のものであることも。第五機動隊、第六機動隊、第七機動隊、それぞれの記念像です。
でも、なぜこの山道にこのような像を立てることになったのでしょう? どういう必要性があったのでしょう? 機動隊の訓練コースだったのでしょうか? 13:53~14:04ころ。

029
▲西日がモミジを輝かせています。赤みは色褪せて、葉の枯れゆく色の方が勝り始めていますけれど、陽光の煌めきが補ってくれています。14:06ころ。

033035
▲この鉄条網で守られたフェンスが続くことも覚えていました。警察官の訓練所とか、警察学校みたいのがあるのかなあと、想像していました。フェンス内には獰猛な(?)警察犬が放されて(?)いるようですし、一定距離で監視カメラも多数配置されていますから、やたらと警備が厳重だなあと感じてもいました。14:10と14:13ころ。
今回、ネットで調べてみました。するとビックリ! ここは警察庁の弾薬製造所(警察庁秋川工場)なんだそうです。ですから、この工場の入り口には福生警察署秋多警備派出所が置かれています。警備派出所は空港や大使館、要人の私邸などの警備をするのだとか。
調べてみるものですね~ぇ。

039
▲浅間岳とか大澄山など、通い慣れた山の名前が出て来ました。満地峠へは行かずに大澄山方向へ進みます。14:53ころ。

041
▲まずは浅間岳235m。15:06ころ。

042
▲今日は一日中同じようなのどかな風景が続きました。陽はもうすでに傾いてしまっています。15:19ころ。

043
▲北にひらけた場所に立つと、眼下には多摩川の流れ、その先に広々と続く関東平野が見渡せます。空気の澄んだ日なら上越や奥日光の山々も見えるのではないでしょうか。15:27ころ。

046
▲途中、立川国際CCの縁を山道は通ります。昔歩いた際には、ゴルフ場とからみながら適当に石壁の上とかを歩いた記憶があります。今日歩くと、きちんとハイキングコースとして整備されていました。
そして、この朝日山妙見堂です。説明板を読んでもよく理解出来ません。摩訶不思議な神様のようです。どうやら北極星にちなんだ神様のようで、天上にあって不動の存在としての霊験あらたかなのだとか。ますます分かりにくくなってしまいますね。15:50ころ。

049
▲朝日山妙見堂の鳥居の前にこのカエデが色づいたまま残っていました。これぞ、この神社の霊験ですね! 陽もカエデの葉の下から弱々しく射す日暮れ近くですから、こんな感じでくすんだ赤にしか撮れませんでした。でも、美しかったですよ。日没直前に綺麗な紅葉を見ることができました。15:52ころ。

050
▲ヤツデの花が咲いていました。昔はよく見る庭木でしたが、最近はあまり見かけませんよね。人気がないのでしょうか? 子供の頃、天狗の団扇だ~っと、大きな葉っぱで遊んだものです。15:53ころ。
ところで、ネットでヤツデの花を調べてみると、興味深いことが分かりました。晩秋から初冬にかけて咲くのですが、虫媒花ですから暖かい日には意外と多くの虫が集まるのだそうです。他に咲く花が少ないですから、独占状態に近いのでしょうかね? 
さらに不思議な記述も。この写真の細く出ているのは雄しべなのですが、ひとつの花ではまず雄しべから現われるのだとか。虫を呼ぶために蜜も出すのです。雄しべが終わってから、今度は雌しべが現われ、この時にも蜜を出します。こんなふうに時間差で雄しべ雌しべを出すことで自家受粉を避けているのですね。

いったん車道に出て、大澄山へ行く山道を探しましたが、以前と変わってしまっていて、見つけることができません。すでに16時を過ぎていましたから、30分もしないうちに日没です。
大澄山は諦め、羽村大橋を渡って羽村の駅まで行くことにしました。

053
▲青梅線の線路わきで枯れているエノコログサです。猫じゃらしと言った方が分かりますかね。穂が犬の尻尾に似ていることから「犬っころくさ」と呼ばれてこの名前になったのだとか。
若い葉やこの穂は食糧にもなるのだそうですよ。16:40ころ。

羽村の駅のそばの和食チェーン店で日本酒を飲みながらS子と二人で打ち上げ。
ニュージーランドからの帰国後初めての日本の山は、奥多摩の山へのただいまの挨拶のような気分でした。ネパールへ行った時もそうでしたが、長く離れれば離れるほどに日本の山が恋しくなるのです。長年慣れ親しんだ山の自然ですから、そこに居ることで最も安心でき深く癒されるのですね。どれほどヒマラヤの山々がニュージーランドの山々が素晴らしくても、日本の山が与えてくれる故郷の包容感のようなものは超えることが出来ないようです。それは自らの母への想いのようなものですから。


NZ旅 №2―――いよいよ、テカポ湖へ!

2013年12月08日 | ニュージーランド旅2013

2013/11/14  この日の朝食はホテルの藤井さんの部屋(僕たちのお隣り)で自炊です。自炊と言っても、ポットでお湯を沸かし、インスタントのコーヒーや紅茶、そして昨日購入して下さっていたパンにハムやチーズを挟んで食べる、いたって簡素な朝食。

001
▲なにしろ約20年ぶりの海外旅行なので、海外事情に疎い点はご容赦のほどを。
コンセントの形が日本と異なっていることは知っていますから問題ないのですが、コンセントの左に必ず付いているスウィッチには感心しました。プラグを差し込んだだけでは駄目で、左のスウィッチをonにして初めて通電するのです。安全上、効果的だと思います。スウィッチを切った状態でプラグを差し込む訳ですから、そういう際の感電事故も減少するはずです。9:12ころ。

002
▲湯沸かしポット、冷蔵庫があるのは日本と同じです。紅茶のティーバックやインスタントコーヒーが置いてあるのも同じ。ただ違っているのは、カップ以外にお皿があったり、トースターがあったりすることですね。これは他のホテルでもそうでした。アイロンとアイロン台も必ず置いてあります。9:14ころ。
日本と違ってないものと言えば、部屋履き用のサンダルとか、歯ブラシに練り歯磨き、浴衣などでしょうか。歯ブラシや浴衣がないのは構いませんが、サンダルとかスリッパは置いてあって欲しいものでした。日本人ですから結局、靴は脱いでしまうんですよね。ソックスや裸足でも不潔感は感じなくてすむのですが、やはりあった方が心地よい。
ところで、ニュージーランドで湯沸かしポットはたびたび使用しましたけれど、スウィッチを入れてすぐに水が湧き始める、ボボボ・・・・という音がし始めるのには驚きました。沸騰するまでの時間が短いこと! 時間は測りませんでしたけれど、日本の湯沸かしポットよりも数倍も早い気がします。
それもそのはずで、ニュージーランドでは230/240ボルトなのだそうです。調べてみると、日本の100ボルトの方が世界では珍しいのだとか。日本でもより高い電圧に移行させようという動きが昔あったみたいですが、民間主導ですでに100ボルトが普及してしまっていたので、変えられなかったようです。これは今回初めて知った日本びっくり事情その1ですね。
ついでながらテレビですが、韓国製でした。これから泊まることになるホテル、どこでも韓国製でした。韓国、実に頑張っていますよね! 日本、どうした! そう思っていましたが、最後のオークランドのホテルではソニーでした。ちょっとだけホッとするのは、やはり日本人なんでしょうね。

005
▲クライストチャーチをあとにして、今宵の宿泊地テカポ湖へドライブです。運転は藤井さん。
さっそくここで、ニュージーランドびっくり事情その2です。
それは車のスピード。時速100km以上を出して、対向車もすれ違う分離帯のない2車線道路なのにこのスピード! これで一般道路なのです。ニュージーランドにも自動車専用道路があるそうですが、いわゆる有料の高速道路なるものはないのだとか。
一般道路が100km出せるといっても、けっこう事細かに85km、60km、45kmなどとカーブや他の道路との合流点などでは制限速度が指定されていて、それに従う限りはまあまあ安全にかっ飛ばせそうですね。12:05ころ。

007
▲途中、眺めの良い所でちょっと停車。道路以外は360°牧草地が広がっています。西にはまだ雪が残っている山並が続いています。
このカンタベリー平野はそのほとんどが牧草地になっているようですね。12:15ころ。

010
▲どこのトイレの写真やら? おそらく途中の休憩で立ち寄ったお店のでしょうね。
なぜこの写真をお見せするかというと、ニュージーランドのトイレの水はトレペが載っている貯水タンクの上部にあるボタンを押すと流れる、それを知って欲しかっただけです。日本とは違うので、最初は戸惑いましたけれど、いったん知るとボタンの形状の違いはありますが、ほとんどがこのパターン。日本のように多種多様なパターンはありません。日本では英語表記がない場合も多いので、「外国人の方々がどこをどうすれば水が流れるか分かるのかなぁ?」と心配になってしまうケースもよくありますよね。
ちなみに左のボタンは小で、右は大です。13:32ころ。

011
▲ニュージーランドトイレ事情をもうひとつ。
トレペの設置方法ですが、写真のようないたってシンプルなパターンが主流でした。これも好感が持てますね。日本のように様々な工夫を凝らす、というのも面白いものですが、国全体(もちろん今回の体験範囲内でしかありませんが)がシンプルさでほぼ統一されていることはなかなかに好ましいものです。13:32ころ。

014
▲助手席には華世ちゃん。前方の白い峰々はサザンアルプスでしょう。13:57ころ。

017
▲テカポ湖到着です。
この犬の像はバウンダリー犬と言って、開拓時代の放牧地にはまだ柵がなく、バウンダリー(境界線)を越えて羊が散らばらないように守ってくれていた牧羊犬の像です。テカポ湖のマスコットですね。14:06ころ。

019
▲テカポ湖畔にはルピナスの花が群生しています。テカポ湖の不思議な空色に濁った明るい水の色とよく調和しています。14:11ころ。
華世ちゃんに教えてもらいましたが、このルピナス、外来種なのだそうです。庭の花として植えられていたものが広がったのでしょうか? それにしてもこの辺りの土地や気候が気に入ったみたいで、ルピナスの一人勝ちのような状況でした。

021
▲ルピナスばかりが注目されますが、こんな可愛らしいタンポポのような花も咲いています。14:14ころ。

024
▲サザンアルプスとテカポ湖、そして、人、ルピナス。14:16ころ。

025
▲1935年、ヨーロッパからの開拓民が建設した『善き羊飼いの教会』。14:16ころ。

026
▲教会の祭壇には広々と窓があり、テカポ湖がステンドグラスの聖画のように輝いている。14:18ころ。

030
▲ツグミに似ていますよね。14:22ころ。
ちなみにニュージーランドにはカラスはいないそうです。スズメやツバメはいました。カモメもいました。ムクドリはいませんでしたが、日本では珍しくなったヒバリが上空でホバリングしながら囀っていましたよ。(このコメントはあくまでも似ている鳥に関してです)

034
▲ホテルはLake Tekapo Scenic Resort 。僕たちの部屋の前庭です。名前通りの景色ですね。14:38ころ。

035
▲今宵の宿はこんな感じ。14:38ころ。

036
▲1階の右からふたつ目の部屋です。15:05ころ。

リアルニュージーランドの藤井さんと華世ちゃんの案内でここまでは大名旅行です。クライストチャーチで1泊せず、そのままテカポ湖へ来る計画もあり得るようですが、クライストチャーチでひと呼吸置くことで、心身ともに万全の状態で明日からの登山へ向かえそうです。