ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

今年の尾瀬は異常な寡雪 4/4 ――― 山小屋関係者が続々入山。楽しみながら戸倉まで歩きました。

2016年05月15日 | 雪山/尾瀬

2016/4/18  今日は下山の日です。
今回の山行は中日に平ヶ岳ピストンを予定していたのですが、その日は悪天候予報でしたから、不完全燃焼確実な予感がありました。他にもひとつふたつの事情が重なって、平ヶ岳登頂は初日の段階で諦めざるを得なくなりました。
しかし、何が幸いするか分かりませんね。寒冷前線通過後の午後からの好天を利用した尾瀬ヶ原散策がとても感動的なものになりました。広い尾瀬ヶ原を僕たち二人で独占できたのです。

ですから、幸福な充実感を抱きながらこの日を迎えることが出来たのです。 


▲S君の作ってくれた朝食は何だったのか、忘れてしまいました。子供のころからのS家の定番食べ物だったとか、そう説明されたような記憶もありますが、それがこの朝食だったかどうかは分かりません。お餅が入っていたような。7:04ころ。


▲のんびりと出発です。ふた晩お世話になった山小屋の軒の下に感謝して元通りにしておきます。8:20ころ。


▲下山日が好天なのも心地よいものです。8:25ころ。


▲初日よりも木道の雪が消えているようです。8:55ころ。


▲シカの足跡が残されていました。でも、少し変でしょ? ふたつの蹄(偶蹄目ですから)が開いています。S君の解説では、滑りそうだったので指(蹄)を開いて踏ん張ったのだそうです。9:04ころ。

写真には撮らなかったのですが、鳩待峠へ登っている途中、山小屋の方々が続々と入山していました。その中に竜宮小屋の関係者もいたのですが、その方が言うには「こんなに雪が少ない尾瀬は初めてだ」と言います。50年近くの体験からの発言です。GWはもう予約いっぱいで、竜宮小屋はその立地ゆえに写真を撮る人が多く泊まるのだそうです。彼らは朝夕は外で撮影し、昼間は寝ているのだとか。


▲この木道に貼られたゴムの網も来た時よりも多く現われています。9:44ころ。


▲鳩待峠到着です。9:57ころ。


▲いつもならここで終了なのですが、今日はここからが大変。9:58ころ。

戸倉へ向かって車道歩きがスタートです。


▲タテハチョウの仲間です。調べてみるとエルタテハのような気がするのですが・・・・ こんな時期に飛んでいるのですから、成虫で冬を越したのでしょうか? 10:49ころ。


▲津奈木橋まで来ました。まだまだ先は長いです。ここでしばし休憩。11:25ころ。


▲津奈木橋のそばで休憩していると、「ツナギ」という小さな湿地がこの近くにあることに気づきました。そこで行ってみることに。林道を入っていくとその終点から木道がスタートしていました。11:42ころ。


▲湿原と言っても、尾瀬を見た後ではさほど湿原っぽくありませんね。乾燥化も進んでいるようで笹原になってしまっています。11:43ころ。


▲閉まっていますけれど、立派な建物がありました。「東京電力自然学校」の看板が掛けられていました。トイレもあります。ここがいちばん奥です。戻ることにしました。11:45ころ。


▲笠ヶ岳2057.5mですね。11:48ころ。



▲津奈木橋から再び歩き始めました。途中車道の横に湿地があり、ミズバショウが満開です。12:12ころ。


▲同じ湿地に写真の卵が産み付けられていました。S君が※◆♯ガエルだと、教えてくれたのですが、忘れてしまいました。ネットで調べてみました。おそらくヤマアカガエルなのではないでしょうか? 12:13ころ。


▲車道下には笠科川が流れています。その支流の小赤沢の出合が見えて来ました。笠科川流域の沢にも入渓したいものですが、小赤沢も候補のひとつです。12:20ころ。


▲中央部分に見える支流の出合。この支流は大赤沢です。市川学園山岳OB会・佐藤勉編著の『帝釈山脈の沢』には「赤沢」とだけなっていますね。12:26ころ。


▲車道すぐそばの木に洞(うろ)があり、以前の鳥の巣の跡が見えます。S君によれば、この洞はとても条件の良い場所で今年も絶対に鳥が巣を作るはず、と言っていましたね。13:23ころ。



▲ヤドリギがたくさん生えていました。13:44ころ。


▲あのゲートを通りすぎました。今日も工事関係の車が入っていきます。13:48ころ。


▲戸倉に着きました。車を停めてある場所へ急ぎます。14:06ころ。

寄り道をしたり、休憩も充分取りながら鳩待峠から戸倉まで歩いて戻って来ました。4時間ほどかかりました。でも、それほど大変ではありませんでしたよ。
S君は出張の多い仕事ですから、明日からまたすぐに出張なのだそうです。せっかくの休みを僕と山で過ごしてくれました。せめて今晩ゆっくりと家族と過ごそうと、彼はすぐに出発することを提案します。温泉に入らないのはそれほど気にはなりませんが、今回の山行の余韻に浸りながらS君と酒を酌み交わし(あっ! それは無理か。彼は運転だ。僕だって運転助手として・・・・)打上げの食事が出来ないことは残念です。でも、仕方のないことです。息子さんの話しを本当に楽しそうに語ってくれる彼の姿を見せつけられた後では、すぐの出発は納得ですね。

S君と約束を交わしました。
GWに再び尾瀬に来ようと。
僕はGWの尾瀬には雪山を期待して毎年のごとく来ていましたから、雪が期待できない今年のGWには来ても意味がないと、最初は考えました。でも、よく考えてみるとこんなに珍しい尾瀬は人生で一度しか味わうことが出来ないはずと、考えなおしたのです。
一方、S君一家はGWを毎年家で静かに過ごす決まりだったようです。息子さんはもちろんですが、まだ山慣れていない奥さんを、おそらくミズバショウもけっこう咲き始めているはずの静かな尾瀬に連れてきてあげたいと思ったようです。例年ならばミズバショウの季節は登山者が列をなして歩いていますから。
S君は奥さんを説得して、GWの尾瀬でまた会うことを約束してくれました。

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今年の尾瀬は異常な寡雪 3/4 ――― 感動! 尾瀬ヶ原を二人占め! 本当に誰もいません

2016年05月12日 | 雪山/尾瀬

2016/4/17  尾瀬ヶ原に東京電力の小屋(東電小屋)がある理由は皆さんご存知かと思います。昔、尾瀬ヶ原はダム湖の底に沈む運命にあったからなんですね。東京電力が水力発電用のダムを建設する計画を立てていたのです。
そんな発電計画に反対したり、戦後には観光道路の延長に反対したり、尾瀬の自然を守ろうとする運動は常に日本の自然保護運動をリードし続けていたのです。

言わば、東京電力は尾瀬にとっては悪役だったわけですが、今では尾瀬の保護を考える際には東京電力の貢献を抜きにしては語ることが出来ません。現在でも尾瀬の大部分の土地は東京電力の所有です。

そんな複雑な運命を背後に抱える東電小屋を後にして、見晴らしへと向かいました。 


▲この糞はこれまでのキツネのとはずいぶん趣きが異なっています。S君が言うにはテンやイタチ(そんな風に言っていた記憶があるのですが、正確さには欠けます)なのではなかろうかと。15:33ころ。


▲東京電力尾瀬橋は欄干は外されていましたが、歩くところの板はそのままでした。問題なく渡れます。15:43ころ。


▲見晴らし到着。16:26ころ。


▲見晴らしから山ノ鼻へ向かいます。16:43ころ。


▲竜宮小屋も通過。16:56ころ。



▲中央少し上の水面に浮いた枯草が回っているのが分かるでしょうか? 右回りです。ここが竜宮。水が穴の中に吸い込まれて行っている場所です。17:06ころ。


▲こちらは竜宮の水が穴から出ている方。中央(少し左)に水が下から湧いているのですが、分かりますか? 17:14ころ。


▲これっていったい何ですか? 融けつつある雪の縁でどんな現象が起きているのでしょう? 17:18ころ。


▲景鶴山も池塘に写っています。17:20ころ。


▲ノビタキでしたか? S君。17:22ころ。

どのあたりからだったでしょう。
僕の心に大きな感動が生じて来ているのに気づきました。
それは今のこの瞬間、この尾瀬ヶ原にいるのが僕とS君だけだということ。
こんな凄いことがこの尾瀬で起きるとは!
大部分の木道が現われているこんな状況で、広い尾瀬ヶ原に二人だけ!


▲燧ヶ岳が西陽に輝いています。しかも快晴! 17:27ころ。


▲小さな池塘のひとつひとつが西陽に光っています。17:48ころ。


▲混雑するのが当たり前の尾瀬ヶ原に二人だけしかいません。17:51ころ。


▲風もなく、鏡のような広い池塘に燧ヶ岳が映りこみました。18:05ころ。


▲至仏山も映りこみます。18:07ころ。


▲テント帰着。18:31ころ。


▲今晩はS君がシェフです。アスパラとウインナーのホワイトシチュー。19:28ころ。


▲残りのウインナーにミックス野菜の袋全部を入れて、炒めます。山で生野菜は贅沢ですね。19:50ころ。


▲できあがり! 19:58ころ。


▲二日目の夜は楽しく過ぎて行きました。気が付けば、真夜中を回っていました。いったい何をそんなに話したのでしょう? 楽しい時はあっという間。24:29ころ。

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今年の尾瀬は異常な寡雪 2/4 ――― 感動! 尾瀬ヶ原を二人占め! ホンドギツネと出遭う

2016年05月09日 | 雪山/尾瀬

2016/4/17  もともとの計画通りなら、今日はススヶ峰山頂近くで目覚め、平ヶ岳までピストンする予定でした。でも、今日は日本海をそれなりに強い低気圧が通過する予報です。
今日の悪天がいちばんの理由ですが、他にもひとつふたつの訳があって今朝目覚めたのは山ノ鼻です。

僕はいつものように山では割と早く目覚めます。S君は昨日ずっと運転し続けましたし、久し振りの本格的登山で疲れているようです。まだ、ぐっすり寝ています。
今日は天候が回復するまでは何もすることがありませんから、静かに寝続けさせてあげたいと思っています。 


▲そっとテントを出て、外を散歩しました。まだ雨は降っていません。6:49ころ。


▲テントから少し離れ、燧ヶ岳を眺めます。空は一面の雲。どちらかと言うと南向きの風が吹いていました。まだ、温暖前線の影響下にあるようです。暖かな朝です。高曇りではありますが、標高の高い尾根では風も強そうです。雲が飛ぶように北へと流れていました。6:54ころ。


▲空の様子が少し変わってきました。ときおり青空がのぞくのです。分厚い雨雲ではなく、積雲の集合のような雲です。ところどころに隙間があるような。疑似晴天と言うほど極端な状況ではないでしょうが、少し似ているかもしれません。昨晩、S君が予測していましたから、これから天候が悪化するなと、思います。7:40ころ。

そのうちS君も起き出し、コーヒーを飲み、朝食を作ります。雑炊です。白飯に玉子スープを混ぜて煮るつもりでしたが、白飯だと思って持って来たのは五目御飯でした。仕方なくそれで作りましたが、意外とそれがよく、美味しい雑炊になりました。


▲雨が降ってきました。気温も急激に下がります。9:26ころ。

けっこう激しく雨が降り続きました。ここは屋根の下なのですが、雨粒が飛び散って外の荷物にもかかります。S君が濡れない位置へと移動させました。フライにも少しですが水滴が付きます。
ラジオの天気予報では昼過ぎには天候が回復すると告げています。でも、ここは山。どうなるでしょう?


▲いつ天候が回復するのかと待っていました。11時になっても、12時になっても雨は降り続きました。すると、急激に雨は止むし、青空も広がってくるではありませんか。急いで外に出て、尾瀬ヶ原散策スタートです。
木道と木道の間で水芭蕉の花を見つけました。結局尾瀬ヶ原で咲いていたのはこの一輪だけでしたけれど、四月中旬に尾瀬ヶ原で水芭蕉が咲くなんて! 13:32ころ。


▲尾瀬ヶ原の西側、至仏山の麓には少ないながらもまだ雪が積もって残っています。燧ヶ岳の山頂にはまだ雲がかかっていました。13:36ころ。


▲積雪がわずかなので、木道が出ている箇所も多いのです。13:40ころ。


▲まだ新鮮(?)な獣の糞が木道上にありました。S君が言うにはおそらくキツネの糞なのだとか。自分の存在を主張するための目印でもありますから、わざと目立つ木道上でするのだそうです。白いのは何故でしょうね? 餌になった動物のせいでしょうか? 13:41ころ。


▲川に架けられた橋に渡してある板は全部外されていました。グリーンシートにくるまれています。板はなくとも橋は渡れます。13:43ころ。


▲左右の池塘も見え始めています。本当に雪が少ししか積もっていませんね! 13:50ころ。


▲この辺りの雪はすぐに消えてしまいそうですね。13:53ころ。


▲これは何の糞でしょう? 毛や産毛のような細い毛にも見えるのがありますし、細くて長い骨のようなのや、固い殻の実のようなものもあります。ちゃんと水で洗って、きちんと観察しないと分かりませんね。S君は木道上の糞をたくさん持ち帰って調べたそうでした。でも今日はその道具がないとかで断念。13:55ころ。


▲雪が周囲からどんどん消えて行きました。再びの橋を渡るころには雪は消えていました。晩秋の枯草色の尾瀬ヶ原の雰囲気です。さっきからS君は鳥の鳴き声や飛ぶ姿にひとつひとつ反応して、僕に名前を教えてくれたり、双眼鏡を貸してくれて、「あそこの木の枝に・・・・」と見せてくれます。猛禽類も3、4種類いたようですが、名前を憶えていません。覚えている鳥の名前はヒバリくらいでしょうか。ヒバリってこんな高山にもいるんですね! あとはノビタキを教えてもらったような・・・・ 何回教えてもらっても、そのたびにすぐに忘れてしまいます。14:14ころ。

このころだったかと記憶していますが、牛首のあたりの山際でホンドギツネを見ました。
僕にとっては生まれて初めてのキツネとの遭遇です。キタキツネは割と人慣れていて、姿をよく見ることがあるのだそうですが、ホンドギツネはそうはいきません。
僕たち(と言うよりS君)が気付くと、キツネさんもすぐにこちらに気付いて、そそくさと山の中へ入っていきました。写真を撮る間もなく。


▲牛首付近です。左へ東電小屋方面の木道が分岐しています。左へと入ることにしました。14:25ころ。


▲アカハライモリの遺骸が横たわっていました。どうしてこんな場所で死んでいるのでしょう? 喰われてしまったものの、毒を持っていますから、ここで吐き出されてしまったのでしょうか。14:33ころ。


▲糞の分解がかなり進んで、白っぽい毛ばかりがよく見えます。キツネの糞でしょうが、何を食べたのでしょう? 14:41ころ。


▲中央の山は景鶴山ですね。14:43ころ。


▲水に満ちているのが尾瀬らしい風景です。14:57ころ。


▲ヨッピ橋。もちろんまだ板は渡されていません。通行禁止なのですが、鉄骨を踏んで渡れますから渡ります。15:07ころ。


▲東電小屋が見えて来ました。いつの間にか燧ヶ岳上空も青空が広がっています。15:23ころ。


▲東電小屋の軒の下にスズメバチの巣がありました。そのこと自体はよくあることですが、その素に穴が開いています。どうやら鳥がこのスズメバチの巣を再利用していたようですね。S君は「アカショウビンかなぁ?」と言っていたような記憶が。間違っていたら御免なさい。奄美大島に行った際、島中どこででも聞こえていたあの特徴的な鳴き声の主がこんな場所にも棲息していたのかと思うと、不思議な感覚になりますね。
冷暖房完備のような快適な巣になるでしょうから、今年はどんな鳥が営巣するのでしょう! 15:28ころ。

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今年の尾瀬は異常な寡雪 1/4 ――― 鳩待峠には雪がなく、柳平は川だらけ!

2016年05月06日 | 雪山/尾瀬

2016/4/16  三月にS君から久し振りに電話がかかってきました。四月になったらどこか雪山へ行きましょう! と。嬉しい申し出です。
それで選んだのが尾瀬からの平ヶ岳登頂。昔、S子と一度行ったことがありますが、いつかまたもう一度行ってみたいと思っていたコースです。

前夜、車でS君が僕の家まで迎えに来てくれました。車まで一緒に来てくれたS子も久し振りにS君の顔を見て嬉しそうです。

夜中に、戸倉に到着。テントを張って寝ました。 


▲戸倉は快晴です。朝はS君が美味しいうどんを作ってくれました。写真の左に見ている白くなった山は標高1700~1900mくらいの山だと思いますが、雪が少ないですね。7:06ころ。

ところで、このころ大変な事態に直面していました。7時前に鎌田のタクシー会社に電話したのです。津奈木橋から鳩待峠へはまだしばらくマイカー規制がかかっているので、車は入ることが出来ません。津奈木橋周辺に駐車スペースがないかもしれませんから、戸倉からタクシーで入れるところまで入ろうとしたのです。
ところが、タクシー会社の人が冷たく言い放った言葉! 「車なんて戸倉から入れませんよ。ゲートが閉まっていますから」と。
このひと言で、僕たちの平ヶ岳登頂の目的はほぼ達成不可能となってしまいました。

まあ、平ヶ岳登頂は本当はその前から不可能になっていたのです。と言うのも、翌日の天候がかなり悪いらしく、ススヶ峰あたりにテントを張っても風雨が強くて大変そうですし、平ヶ岳までの行動時間も充分取れそうにありません。

ただ、それでもススヶ峰付近で幕営することは景色もいいですし、雪掘り名人のS君ですから、雪洞を掘ってその中にテントを張るという初めての体験もしたくてたまらなかったのですが・・・・
でも実は、タクシーや天候どころではない、ススヶ峰までも行けなくなった本当の理由があるのです。これは内緒です。笑ってしまうような理由なんですよ。


▲根性を決めて、戸倉から重たいザックを背負って歩き始めました。しばらくすると、タクシー会社の人が言っていたゲートが見えて来ます。ゲートを端っこから過ぎた場所で休んでいると、軽トラックのおじさんがゲートを開けようとしているではありませんか! 工事関係者のようです。内心、これは千載一遇のチャンスだ! と感じました。溢れんばかりの期待感を微塵も表情に出さず、おじさんに尋ねます。「乗せていただけませんか?」
「ああ、いいよ」
何と優しい方なんでしょう!
二人は軽トラの荷台の人となりました。7:35ころ。


▲なんと、津奈木橋の少し先まで載せてくれました。写真中央に車が数台見えていますが、そのあたりが作業の現場です。7:55ころ。


▲上州武尊山。8:36ころ。


▲だいぶん前に軽トラで抜いた自転車のスキーヤーが再び僕たちを抜いて行きました。スノーボーダーふたりも自転車で来ていました。この時季、車に自転車を積んでアプローチするのもありですね。8:40ころ。


▲鳩待峠の駐車場では整備や拡張工事が進められていました。8:47ころ。


▲鳩待峠です。この写真に写っているだけでも自転車が5台ありますね。8:49ころ。


▲いつもの鳩待峠なら峠の広場の端にも2~3mの雪の壁があって当たり前なのですが・・・・
今年は全然ありません。ここまでの道路にも、否、道路の端にも雪がまったくありませんでした。除雪作業の必要性がありません。8:49ころ。


▲鳩待峠でしばらくのんびりしていました。S子にも電話がつながったので、この雪の少ない驚きを伝えます。至仏山は純白からはほど遠く、黒い模様がポツポツと見えています。9:19ころ。


▲例年ならGWでも途中で一ヶ所くらいで木道の存在が分かる場所がありますが、今日は至るところで木道が見えていました。9:33ころ。


▲山ノ鼻直前で川上川を渡る橋です。S君が川に飛び込もうとしています? 10:19ころ。


▲ススヶ峰にテントを張ることを諦めた僕たちは、山ノ鼻で過ごすことにしました。山小屋関係者もまだ誰も入山していませんから、玄関前の庇付きスペースに陣取ります。11:12ころ。


▲こんな感じ。例年なら、GW中にも建物の軒の下に積もった雪を除雪の機械を使って吹き飛ばしています。でも、今年はもうそんな必要は一切ありませんね。11:14ころ。

最終的にどのような計画に練り直したかというと、今日は山ノ鼻にテントを張り、空身でススヶ峰までのピストン、明日は天候が回復したらそれから尾瀬ヶ原散策。そういうことですね。


▲これまで何度もGWに山ノ鼻には来ましたが、木道が見えていたことはありません。でも今年は4月中旬なのに・・・・ 11:23ころ。


▲川も猫又川の本流だけしか見えていませんでしたが、今年はたくさんの支流が見えています。山も真っ黒です。11:30ころ。


▲本流が西に迫って来ている箇所があるので、高巻きます。いつもと同じ場所だとは思うのですが、雰囲気が違いますね。11:46ころ。


▲柳平の中心付近でしょう。中央のなだらかな山がススヶ峰1953m。あそこまで登る予定です。11:53ころ。


▲ここまで幾つものスノウブリッジを越えたり、1回の徒渉もして、やっとススヶ峰への尾根末端に取り付くことができました。S君が登り始めています。
S子と一緒で重荷を背負っていても山ノ鼻からここまで2時間もかかっていません。ことしは空身にもかかわらず、ルートファインディングに時間を要し、2時間かかってしまいました。13:15ころ。


▲雪が少ないので低灌木がうるさくてしようがありません。13:21ころ。


▲1630m付近だと思います。左のポッコリと出たピークは景鶴山2004m、右のなだらかな山はカッパ山1822mです。カッパ山の山頂には丸い湿原がありました。もちろん積雪期ですけれど。13:57ころ。


▲左からカッパ山、八海山(背中アブリ山)1811.1m、1736mピーク。13:58ころ。


▲さすがのS君も久し振りの本格的登山、しかも山ノ鼻までは雪山幕営の重荷を背負っていたので、少々バテ気味です。いくら強い人でもブランクは大敵ですね。13:58ころ。

あと1時間も登れば、ススヶ峰には登頂できるでしょうが、時間的余裕がなくなりますから、ここで引き返すことにしました。


▲至仏山2228.1mです。手前の至仏山北尾根も登ったことがあります。14:36ころ。


▲来る時にはまだつながっていたスノウブリッジが途切れてしまっていました。15:00ころ。


▲同じ場所を来る時に写した写真。まだつながっているでしょ。12:34ころ。


▲大きなクマの足跡が付いていました。来るときにはなかった足跡です。僕たちの足跡を辿るように続いていました。我々の存在を気にしているのでしょうね。15:14ころ。


▲振り返ってススヶ峰を写しました。白いススヶ峰山頂のすぐ下の平らな辺りまで尾根を登ったのです。15:32ころ。


▲来る際にも徒渉しましたけれど、通常のGWの尾瀬では想像できないような状況です。実に雪が少ない! 15:52ころ。


▲テントに戻りました。16:13ころ。

夕方、イワツバメが山小屋の軒に興味を抱いて群れ飛んでいました。でも、山小屋は以前からイワツバメ除けの網を張っています。あのイワツバメたちはどこで営巣するのでしょう? 今晩はどんなところで体を休めるのでしょう?

アマツバメの話題に飛んだりします。アマツバメは営巣時以外はずうっと飛び続けるのだとか。寝ながら飛び続けるのだとか、S君が教えてくれます。


▲テントの様子です。男2人が狭いテントで過ごすのはけっこう大変なこと。でも、S君とは彼の話しが興味深いので楽しく過ごせます。19:52ころ。

フクロウが鳴いています。
山ノ鼻には他のテントは見当たりません。山小屋関係者も今日はいないようです。
このフクロウの鳴き声を聞いているのも僕たち二人だけです。

この日の夕食は僕が担当でした。豚肉に人参とオクラを加えた煮物だったように思います。まあまあの出来でした。他はそのまま食べられる惣菜とか、フリーズドライのパスタなど。食べることに気が行って写真を撮るのを忘れました。いつものことですが。

話題はなかなか尽きません。でも、初日の疲れもあって、就寝は22:20。

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尾瀬の春山最終日――戸倉で温泉と下山の打ち上げ

2014年06月07日 | 雪山/尾瀬

2014/5/5  前の晩に聴いた天気予報では、今日はお昼ころから雨になるかも、といった具合でした。夜中に見上げた星空は、前夜以上に満天の星でしたし、朝に明るくなってからも高曇りで、雨の降りだすような気配はありません。
悪天予報を信じて、下山を1日早めたわけですから、こんな時の心境は複雑です。基本的な想いとしては、予報通り雨が降って欲しい、というもの。でも、下山中はもちろんですが、自宅に辿り着くまでは雨は降って欲しくないというのも本音です。
最悪なのは今日はもちろんのこと、明日も天気が良くて、「最初の予定通り行動出来たじゃん!」となってしまうこと。
「天気よ、悪くなれなれ!」と「雨だけは降るなよ!」の気持ちが同居しているのです。

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▲朝食を食べ、テントの撤収も終わって、出発です。8:19ころ。
今日は下山だけですから、基本はのんびりでいいのですが、途中で雨に降られたくはありませんし、少しだけ急いだのでこの時間です。

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▲初日に渡ることの出来た猫又川左俣に架かるスノーブリッジがこれ。まだまだ大丈夫。8:24ころ。

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▲来る時にはなかったテントが張ってありました。スキーを楽しんでいるようですね。8:28ころ。

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▲柳平で小休止です。来た方角を振り返ると、ススヶ峰にはまだ雲がかかっていませんでした。8:55ころ。

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▲柳平から尾瀬ヶ原に抜けるあたりで谷幅が狭くなっている箇所があります。9:08ころ。

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▲ミズバショウが咲いていました。一昨日はひとつも咲いていなかったのです。雪解け直後なので、まだまだ純白の艶やかさからはほど遠いですが。9:25ころ。

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▲尾瀬ヶ原から燧ケ岳を望みます。でも、雲に覆われて見えません。9:37ころ。

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▲ススヶ峰方面はまだ雲には覆われていません。9:44ころ。
この辺りの雪面は雪解けによって凸凹具合が激しくて、小さなS子は歩き辛そうでした。時々、こけてましたね。

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▲至仏山です。山頂に雲がかかっています。そんな様子を見ると、何故かホッとしますね。9:45ころ。
こんな状況なのに、至仏山への登山を開始している登山者もいます。何が楽しくてこんな悪天の山に登るのでしょうね。

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▲またミズバショウです。GWに尾瀬ヶ原でミズバショウを見たのは初めてのことです。10:30ころ。

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▲山ノ鼻から鳩待峠へ向かいます。途中の雪解けも一昨日より進んだ気がしました。11:23ころ。

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▲鳩待峠の入山口に着きました。11:45ころ。
見ると、戸倉行きのマイクロバスが待ってます。出発は11:50、ひと足先に着いていた僕は3人分の切符を買って、S子と小嶋さんの到着を待ちました。

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▲戸倉のバス停の切符売り場です。重いザックを右の待ち合い場所に置いて、いざ温泉へ! 12:14ころ。

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▲尾瀬ぷらり館へ向かいます。入浴料は500円。12:28ころ。
しかし、いまお客さんが大勢入っている、との理由で断られました。さすがに公の施設のようですから、商売っ気がないですね。で、勧められた温泉へ。

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▲バス停切符売場からも見えていましたが、ここ。「関所の湯 湯元 ホテル玉城屋」です。12:35ころ。

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▲正面に回るとこんな感じです。12:36ころ。

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▲お風呂はこんな感じ。尾瀬ぷらり館より広いのです。確か一人700円だったかと。12:41ころ。

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▲お風呂に入ってさっぱりした後は、打ち上げです。下山祝い! ここのところ戸倉で入るお店はこの「健太」さん。13:44ころ。

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▲またしても美味しかった山菜天麩羅は残りわずかですね。このヤマメの塩焼きも絶品! 14:26ころ。
他にもいろいろ食べたはずなんですが・・・・

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▲残りわずかになってしまったお漬物。これが一番の美味しさだったかも。行者ニンニクとフキノトウと茄子ですね。また行きたくなるお店です。14:27ころ。

沼田駅行きバスの時間直前まで「健太」さんでねばっていました。高崎駅でK嶋さんとは別れます。僕とS子は八高線で帰路に。
今年のGWは終わりました。

この間、結局ずう~っと雨は降りませんでした。
山の稜線は雲の中でしょうから、霧雨は降り続いていたに違いないとは思うのですが、「ひょっとしたら平ヶ岳へ行けたかもしれないなぁ」と考えないでもありません。
ところが、翌日からのニュースです。北アルプスでは5日の日にも遭難事故が相次いだのです。多くの登山者が悪天候故に早めの下山をした中で、登山続行した登山者たちが遭難したようです。
やっぱり慎重な行動をとって良かったようです。体力も若いころに比べると格段に低下していますから、なおさら慎重にすべきですね。

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