ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

NZ旅№11―――クライストチャーチからネルソンへ

2014年07月29日 | ニュージーランド旅2013

2013/11/19  リアルニュージーランド主催のボールパスクロッシングのツアーは今日が最終日、終わりです。
最初のプラン段階でも、「スタッフとはここでお別れ。*リアルニュージーランドスタッフと一緒にネルソンまで一緒にドライブも大歓迎!」となっていました。
でも、僕とS子はまだしつこくニュージーランド旅行を続ける予定です。しかも、華世ちゃんの世話になりながら。・・・・と言うことは、藤井さんの世話にもなるのと同義なんですが・・・・

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▲僕たちが泊まったハートランド・ホテル・コッツウォルドです。広い敷地にこのような二階建ての棟が並んでいます。チューダー様式と言うのだそうですが、僕にはよく分かりません。16世紀ころのイングランドの建物様式だそうです。
僕たちが泊まったのは確かこの棟だったと思います。左から回り込んで反対側へ行き、階段を上った二階の部屋でした。8:38ころ。

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▲あれ~っ? 記憶が本当に薄れています! こんな素敵な飲み物をどこで飲んだのでしょう? クライストチャーチからネルソンへ向かう途中、ちょっとした町でお店に入ったような記憶があります。何かしら、美術品のような骨董品のようないろいろな品物も同じ場所に置いてあって、それらも売り物であるようなお店。・・・・だったような気がします。11:13ころ。

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▲カイコウラに近づきつつあります。海を隔てて見える陸地はカイコウラ半島なのでしょう。12:18ころ。

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▲カイコウラ半島の先端部あたりなのだと思います。駐車場の端っこに、オットセイが普通に寝転がっています。12:33ころ。
今日はネルソンまでのドライブだけとしか思っていませんから、いったい車がどこを走っているのやら、ほとんど無関心でした。キチンと情報を入手しながら、もっと知的にも楽しむべきでしたね。

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▲これがニュージーランドのオットセイ。ニュージーランド・ファーシールと呼ばれているようです。12:33ころ。

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▲こちらの草地にもファーシールが。寝てますね。12:34ころ。

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▲海岸の岩の上でも寝ているファーシールが。12:36ころ。

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▲カモメもいます。アカハシギンカモメ(赤嘴銀鴎)だと思います。ニュージーランドでは普通に見られるカモメです。12:37ころ。

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▲さっきまで草地で寝ていたファーシールが動き始めました。ちょっと五月蝿いな~ぁ、とでも思ったのでしょう。12:38ころ。

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▲右のファーシールは服を着ています。12:42ころ。

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▲こんなところを総出でのんびりと歩いているのですから野生のガンではないでしょう。家禽のガチョウでしょうか? 12:43ころ。

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▲カイコウラを離れ、少し車を走らせたところで、再びファーシールが。写真には7頭写ってますね。家族なのでしょうか? 13:17ころ。

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▲The Store Kekerengu です。カイコウラから1時間ほど車を走らせ、遅いランチにしました。13:45ころ。

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▲天気もいいので、外のテーブルでいただきます。13:57ころ。

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▲どこまでがこのお店の敷地なのかはよく分かりません。でも、このお店1軒があるだけですから、この芝生はもちろん、すぐ下に広がっている海辺もすべてこのお店のもののようなもの。僕たちは中央のテーブルに見えますね。14:00ころ。

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▲これがおそらく僕が頼んだ料理なんでしょう。料理名は忘れましたし、分かりません。これまでに食べたことのない(はずの)料理です。味も覚えていませんが、美味しかったはず。何故なら、ニュージーランドでは幸運にも不味い料理には出くわさなかったからです。14:04ころ。

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▲カイコウラにいたと同じカモメ、アカハシギンカモメでしょう。お店の屋根に止まっていました。14:07ころ。

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▲ニュージーランドにも日本ほどではないようですがスズメはいました。お客さんが帰った後のテーブルに残された食べ物をちゃっかり食べているスズメです。14:17ころ。
このスズメはオスのようですね。日本のスズメはオスメス差がありませんが、ニュージーランドのはオスの方が顔付近が黒っぽいのです。もともとはヨーロッパにいた種類だそうで、人間とともに移入されたそうです。

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▲このお店の中はこんな感じ。素朴な作りでいい感じ。14:26ころ。

このお店を出て、ブレナムへ向かいました。そして、ブレナム郊外のマカナ・チョコレート・ファクトリーへ。写真を撮ればよかったのですが、チョコレートにほとんど関心のない僕ですから、撮り忘れてしまいました。
お土産用に Macadamia Toffee と個人的好みで 72%Dark Chocolate Snaps を購入しました。ダークチョコレートは日本に帰ってからチビチビと半年くらいかけてニュージーランドを思い出しながら食べました。混ざりものの少ないピュアなチョコレートですから、心地の良い苦みがあって僕の好みの味です。ブラックコーヒーとともに味わうとオツですね。

続いて、ワイナリーへ行きました。ブレナムやネルソンあたりのマールボロ地域はワイン造りで有名な地域なのです。2軒くらいは寄ったでしょうか? 利き酒でいろいろ飲ませていただきました。説明を受けながら「なるほど、なるほど」と思いながら美味しく飲みました。説明内容はさっぱり忘れましたけれど。
ニュージーランドワインの特徴を語れるほどの知識はまったく持ちあわせていないのですが、素人なりの感想を語らせてもらえれば、白ワインが美味しいということ。
ワインと言えば赤しか飲まない僕でしたが、ニュージーランドで飲む白ワインはどれもとても飲みやすい美味しい白でした。生産量も圧倒的に白が多いそうです。
また、外見的特徴ですぐに分かる点はスクリュー栓が使われていること。コルク栓は見かけませんね。

そして、いよいよネルソンに入りました。とくにどこかへ寄った記憶はありません。ただ、FreshChoiceという名のスーパーマーケットに寄っていますね。そこでの買い物は、
・有機玉子6個入り ・サラダ野菜 ・ベーグルパン ・GREENHOUGH CHARDONNAY(白ワイン) ・ベーコン ・ヨーグルト ・トマト ・VOGELS SOY & LINSEED TOAST でした。
最後のはどんな品物だったのか不明です。パンなのでしょうね。全部で52ドル。

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▲ここは今晩と明晩お世話になるおうちの客間です。ゲスト専用の部屋があること自体、日本では稀な、豪邸という印象が付随しますが、ニュージーランドではどうなのでしょうね? 台所もあり(S子がいる場所です)、荷物専用の部屋、左のドアを出てすぐ右には広々した浴室もあります。19:58ころ。

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▲窓の外には板敷のテラスがあります。このお宅は丘の上に建っていますし、まわりは羊が放牧されている牧場ですから、景色は抜群! 19:59ころ。
ちなみにすでに夜(?)の8時なのです。明るい! 
このお宅で改めて気付かされたことがあります。ニュージーランドの家の窓ガラスですが、複層ガラスになっている窓が多いように思います。このお宅もそうでした。日本でも複層ガラスが当たり前の時代に早くならないでしょうかね。

今日の午後からはもはや完全にプライベートな旅に移行しています。と言っても、すべてが華世ちゃんにお任せの気楽な大名旅行のようなもの。華世ちゃんにお任せということは彼女のボスの藤井さんにもお世話になりっぱなし。感謝以外の言葉はありません。
今までこのブログでは何も書いては来ませんでしたけれど、実は華世ちゃんはS子の姪にあたるのです。僕にも甥っ子がいて、その子供たちがいたりしますが、子供のいない僕にとっては半分自分の子供や孫のような感覚もありますから、S子にとっても恐らくは同様なのでしょうね。

明日からは基本はのんびりと過ごすのですが、どのような体験が出来るのかとても楽しみですね。


奥多摩周遊道路建設の影響で荒廃しきっていた“落沢”が蘇生しつつある?

2014年07月16日 | 沢登り/多摩川本流

2014/7/12  今日の沢登りのメンバーはS子、A野さん、K美さんです。S子は体力、脚力ともに落ちて来ていますし、A野さんとは昨年の9月以来の沢登り。それに仕事が多忙でほとんど山にも行けてなかったようです。K美さんとは今年の1月に一緒に山を歩きましたけれど、この春からは野菜作りにはまって、山歩きは疎かになっている様子。
でも、大好きな山の仲間たちですから、一緒に山へ行くと楽しいこと請け合いです。

と言うわけで、沢選びがポイントになるのです。心地よい沢歩きが出来て、体力的にハードではない沢。しかも、僕自身が行ってみたいとも思わなければなりません。
そんな困難な条件をクリア(?)した沢が奥多摩湖南岸に注ぎ込む“落沢”でした。昭文社のMAPにも二万五千図にも名前が載っているほどの沢ですから、それなりの沢であるはず。そして重要なポイントは、出合から奥多摩周遊道路に飛び出す遡行終了地点までの標高差が300mしかないことです。傾斜もなだらかですから、快適な沢歩きが可能だと予測したのです。
しかし、ネットで検索しても沢登りに活かせる情報は皆無。唯一、渓友塾の宗像兵一さんのHPに「旧奥多摩有料道路ができる以前は、奥多摩湖岸の沢の中ではナメ滝が多く、楽しめる沢だったが、道路ができて護岸だらけの沢になってしまった。」と書いてあっただけです。個人的満足度も「物足りない」評価ですらなく、それ以下の「なし」。
「護岸だらけ」と言うのはちょっとひっかかりますけれど、沢ほど年月を経て変貌するものはありません。良い方向へ変貌していることに一縷の望みをつないで、行ってみることにしました。
もちろん参加者には「全く未知の情報も何もない沢ですから、ハズレの酷い沢だと覚悟していてください。」と念入りにメールで釘を刺しておきました。

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▲麦山の浮き橋、通称・ドラム缶橋です。9:53ころ。
小河内バス停で下車し、歩き始めがこの時刻。ちょっと遅い気がしませんか? 最初の計画ではこれより50分ほど早くスタートできるはずだったのですが、いろいろ訳ありで・・・・
でも、メンバー全員が揃って一緒に歩けるというのが最優先されるべき大切なことですね。

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▲奥多摩湖のほぼ満水状態を見るのは久し振りの気がします。たっぷりの水を湛えているとそれだけで美しい。9:57ころ。

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▲麦山の浮き橋からは山のふるさと村遊歩道が湖岸沿いに付けられています。歩き易く、夏でも涼しい道ですね。10:18ころ。

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▲山のふるさと村から小河内ダムまでは「奥多摩湖いこいの路」として整備されています。でも、道路状況の悪いことが多く、もし歩く場合も東京都水道局のHPで確認した方がいいと思います。10:35ころ。
ちなみに、この掲示板に出ている奥多摩湖南岸の沢のうち、右から水久保(窪)沢、天神沢、手沢(京道沢が正しい呼称だと思います。その支流が手沢で、僕は京道沢の支流・死人沢を遡行したことがあります)、くき沢(岫沢。その支流のヨシスキ沢・ボウメキ沢を遡行)を遡行したことがあります。
蛇沢(蛇沢とは奥多摩湖に沈む前は天神沢、手沢、この蛇沢を合わせる本流の名前。この掲示板の蛇沢は間違えで、カルギ沢とした方がいいのでは)、大むぞ沢、さなぎ沢、橋沢などは遡行したことがありません。
今日の落沢で奥多摩湖南岸の沢4本目ですが、死人沢以外はまずまずの沢でした。

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▲落沢にかかる橋が見えて来ました。10:45ころ。

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▲橋から上流を眺めると、何段にもなって堰堤が連続しています。水量は小さな沢としては十分な量が流れているようです。10:46ころ。

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▲沢装備を整え、軽く朝食も食べて、出発です。乗り越えられない高さの堰堤があるので、最初は右岸の植林の中を歩きます。橋からは見えていなかったさらに上流の堰堤も現われ、それも一緒に巻きました。11:28ころ。

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▲どんなに酷い沢であっても大丈夫なように覚悟して来ましたが、穏やかで、さほど荒れていない流れにホッとした心境です。11:34ころ。

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▲流れに転がる岩にはびっしりと緑の苔が生えていました。それなりの期間、沢が安定している証拠です。11:37ころ。

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▲いい感じで水が流れ、浅いですが釜もあります。上流から水が激しく落下する音が響いて来ました。先に目をやると、大きな滝があるではありませんか! いきなり滝の登攀か? と予想外の事態に・・・・ でもこの写真に写っていますが、その滝は支流に架かる滝でした。11:41ころ。

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▲これが支流に架かる滝。名前が付いていてもいいくらいのなかなかの滝です。支流の名前はタキノ窪のようです。流水域は狭いはずなのに、どうして水量が本流と変わらないくらいあるのでしょうか? 11:44ころ。

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▲この滝を横に見ながら・・・・ 11:49ころ。

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▲小さな流れですが、心癒してくれる風景が現われます。11:52ころ。

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▲堰堤が出て来ました。高巻きます。11:57ころ。

この後、お昼時なので休憩をとりました。

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▲宗像さんが記している多くあったナメ滝というのはこんな所のことだと思います。奥多摩周遊道路が出来ることによって、大量の岩塊や土砂が落沢に流れ込み、このようなナメ滝の大部分を埋め尽くしてしまったのでしょう。12:27ころ。

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▲右岸から合わさるふたつ目の支沢です。タカザス沢ですね。12:30ころ。
入渓地点の標高が540mくらいですが、この出合でまだ605mくらい。1時間近く歩きましたが、まだ65mしか標高が上がっていません。850mの奥多摩周遊道路が今日のゴールですから、まだこれまでの3倍近くの標高差が残っています。

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▲破壊された堰堤です。何の力でこれほどの堰堤が壊れたのでしょう? 12:45ころ。

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▲破壊された堰堤の上流でも、再び堰堤が現われました。高巻きます。この沢の堰堤の高巻きには困難な高巻きはありません。12:48ころ。

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▲沢らしい光景も現われます。左の岩に生えているのはイワタバコ。まだ花の蕾も見えません。12:53ころ。

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▲先月の南秋川矢沢でも見た花です。調べても名前が分かりません。12:55ころ。

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▲水の流れの中を歩いたり、流れの脇を歩いたり・・・・ 12:56ころ。

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▲中流域でもこのような穏やかな流れの箇所が多くありました。12:59ころ。

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▲小さな支沢が合流しました。13:08ころ。

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▲大きな木が立っていました。何の木かはよく分からないのですが、クルミの木かな? 木の名前はよく分かりません。13:13ころ。

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▲小休止した後、歩き始めると、上流に人工物が転がっているのが見えました。小屋跡かな? と最初は思ったのですが、近づくと違うようです。13:34ころ。

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▲近くで見るとこんな感じ。何なのでしょう? 水を流すための溝のような気もします。13:35ころ。

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▲シカの下顎の骨でしょう。13:37ころ。

このまま当初の予定通り標高850m付近で奥多摩周遊道路へ出ると、あと1時間くらいはかかりそうです。今日は天益へ4時前後に行くと約束(予約)していますし、実はそこでK嶋さんとも合流することになっているのです。いくら遅くとも16:08のバスには乗りたいものです。それを逃すと、16:56になってしまうのです。

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▲という訳で、標高730m付近で左岸に上がっていく支沢から早めに奥多摩周遊道路へ出ることにしました。13:43ころ。

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▲支沢の途中には、何が崩れたのでしょうか、側壁のような人工物もありました。13:53ころ。

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▲頭上に奥多摩周遊道路が見えて来ました。バイクなどのけたたましいエンジン音はさっきから聞こえていましたけれど・・・・ 13:56ころ。

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▲道路まであと少し。14:02ころ。

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▲到着です。バイクがガンガン通ります! ここの標高は810mほど。14:03ころ。

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▲急いで装備を解除して(それでも時間はかかっていますが)、少し早足に下山開始です。15:25のバスに間に合う可能性もあるのではと、期待しているからです。14:21ころ。
S子は腕時計で確認していますね。

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▲車道歩きは終了し、ここからは山道。14:29ころ。

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▲思いのほか早く、山のふるさと村に到着しました。これは期待が持てそうです。14:44ころ。

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▲山のふるさと村の入口付近の駐車場の近くでサルの群れに遭遇しました。全体で何匹くらいの群れかは分かりませんでしたが、今年生まれたような子ザルもいて、とても可愛らしかったですね。あまり人に対して敵対的でもなく、恐れてもいないようでした。14:53ころ。

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▲慌てて柵を越えようとしているサル。14:53ころ。

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▲ドラム缶橋に戻って来ました。早く下山出来たので、バスには間に合いそうです。15:21ころ。

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▲僕だけ少し早くバス停に急ぎました。すると、すでにバスがいるではありませんか! 慌てて皆に声をかけます。でも、そのバスは臨時便で「続いて来るバスに乗ってください」と言われました。15:23ころ。

15:25のバスに余裕で(?)間に合い、奥多摩駅の天益へ。
でも、三頭山へ登っていたK嶋さんからメールが入っており、どうやら予定通り下山出来なかったようです。天益へ寄るかどうか迷っています。
4時ころに天益へ入り、4人で話しが弾みます。K嶋さんもだいぶん遅れましたが、合流することができ、5人で楽しい時を過ごすことが出来ました。

最後になってしまいましたけれど、落沢は蘇生、回復しつつあると思います。奥多摩周遊道路開通が1973年、40年以上が経過しました。工事による土砂や岩塊の流入物も、多くが奥多摩湖まで流れ出てしまったか、もしくは元々あったかのように沢の自然に溶け込んでいるようです。岩塊には苔が生し、堆積した土砂の上には草が生え、樹木も茂っているのでしょう。工事以前にはあったという連続するナメ滝は消えてしまっていますけれど、新しい姿で落ち着いた沢の自然が戻って来ているようです。
そのことが典型的に現われているのが堰堤のすぐ上流の風景です。工事によって沢に落下していった大量の土砂と岩塊を奥多摩湖に流れ込まないよう造った堰堤だったと思います。思惑通り堰堤で大量の土砂と岩塊が堰き止められました。当初は草も生えていないような無機質な光景が広がっていたのだと思います。それが次第に草が生え、樹木も茂り、もとからそうであるような穏やかな沢の流れがある風景に生まれ変わったのです。
そんな変化を無条件に肯定的に是認する訳ではありませんが、人間の思惑を越えて、自然も自然本来の姿へ戻ろうとしているのでしょう。
自然本来の姿は美しい。


海沢谷の支流にひそむ枠木大滝の登攀は面白いものでした

2014年07月13日 | 沢登り/多摩川本流

2014/7/6  U田君から「沢登りに行きませんか?」とメールが入ったのが一週間前。僕が断ろうはずもなく、彼が計画してくれた沢が海沢谷とその支流・枠木沢。
海沢谷には何回も行ったことがありますが、瀑流帯(天地沢出合~海沢園地)が2、3回で、あと数え切れないくらいは海沢園地から大滝の上流部で登山道と合流するところまで。ですから、行ったことのない枠木沢には興味津々なのです。

沢の経験はもちろん僕の方が多いのですが、U田君は急速に密度濃く経験を積み重ねつつあり、クライミング能力も僕を軽く追い越してしまっていますから、僕自身は実にお気楽な「連れて行ってもらうモード」に突入しちゃってます。

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▲白丸駅で下車し、海沢林道を海沢園地まで歩きます。男同士だと、どうしても歩くスピードが速くなってしまい、けっこう疲れます。女性など体力的に自分より弱いメンバーがいると、その人に合わせるようなペース配分を考慮するのですが、男同士だと遠慮なし。まあ、U田君から考慮すべき相手だとまだ思われていないことは嬉しいことではありますね。
海沢園地で沢装備を整え、いざ出発! 10:06ころ。

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▲すぐに三ッ釜の滝が現れます。美しい滝。U田君はそのサイズに少々ガッカリ感を漂わせていましたが。でも、僕は好きです。10:11ころ。
「いつもはどう登ってるんですか?」とU田君が聞くので、「初心者がいることが多いし、念のためにザイル出すよ」と答えます。「あ、そうですか」とU田君、ノーザイルでスタスタ。

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▲上の写真では見えていなかった滝と釜がこれ。三ッ釜の滝と呼ぶくらいですから、この釜も含めての名称だと思います。ここでは今のようにキャニオニングが盛んになる以前から、滑り台のような滝を滑って遊ぶ人がいました。10:15ころ。

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▲これはねじれの滝。10:24ころ。
左の写真の外からバンドをトラバースし、残置シュリンゲのある箇所で1歩だけクライムダウンし、下段の滝の落ち口に立ちます。続いて、上段の滝の右壁を登っていけば登攀終了。
丁度この時、上段の滝の左壁を空中懸垂する人たちがいました。懸垂して遊んでいるのでしょうか?

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▲写真中央の人がたくさんいる場所の左奥にねじれの滝があります。U田君も本当は登攀したかったのでしょうが、このたくさんのパーティーが先行していましたから、このパーティーが終了するのを待つ気にもなれなかったようです。
僕はと言えば、ねじれの滝を登らなかったことがありません。つまり、ここを高巻いたことがなかったのです。個人的には高巻きルートに興味津々! 10:27ころ。

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▲途中、こんな頑丈な鎖まで設置してあるんですね! 10:27ころ。

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▲高巻きの途中から、すぐ上流の小滝で懸垂下降の練習をしているパーティーを見ました。ネオプレーンのダイバーが着るようなウェアを身に着けているので、キャニオニングを楽しんでいるのだと思います。10:31ころ。
僕はこの小滝も一緒に高巻きましたが、U田君は横を登って行きました。左下に写っているのはU田君。

ところで、キャニオニングですが、キャーキャーと叫び声が聞こえたり、実に楽しそうです。でも、その楽しさは僕たち沢屋の楽しみ方とは根本的に違うように感じました。遊園地で絶叫系のジェットコースターなどに乗って興奮を味わっている、それと共通した楽しみ方のようです。
でも、最初はそうでも、日本の渓谷の素晴らしさに感動し、渓谷そのものを楽しむようになって欲しいと願っています。

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▲ゴルジュの中の小滝が続きます。10:35ころ。

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▲こんな小滝でもどこからどうやって登るのかを瞬時に判断するのが楽しみでもあります。10:36ころ。

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▲大滝20mです。10:39ころ。

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▲この大滝の高巻きで本日の僕の「連れて行ってもらうモード」が顕現!
海沢谷ではこれまで毎回この大滝の高巻きをしていたのです。間違えたことは一回もありません。いつも僕がリーダーとして先頭でルートファインディングしていたのです。ところが今日の「連れて行ってもらうモード」。僕の高巻きルートを読む目は完全に人任せ、真剣味はゼロ。適当に意見は言いますが、基本U田君の後に付いて行くだけ。
そして、この結果。大滝右岸のかなり上部を通っているモノレールの軌道まで上がってしまいました。
まあ、上がり過ぎても酷いことにはならないと、予測は出来ていましたから、「連れて行ってもらうモード」のままでおれたのでしょう。でも、心の持ちようがこれほど影響するとは! 反省ですね。人任せ、リーダー任せではいけません! 11:00ころ。

この軌道を先に進めば、岩茸石沢に出ることは分かっていますから、そうしました。

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▲ちょっと進むと、下方から滝の音が聞こえ、樹間から不動滝が見えました。11:01ころ。

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▲岩茸石沢の上部に出てしまっていますから、出合近くまで下降しなければなりません。11:05ころ。

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▲出合までは問題なく下れました。不動滝も近くに見えています。その落ち口に向かってトラバース。11:11ころ。

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▲不動滝の上流で沢床へ懸垂下降。11:21ころ。

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▲〇で示した木を支点に懸垂下降しました。11:27ころ。

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▲再び、コルジュが続きます。11:34ころ。

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▲これくらいの小滝が時々ある沢歩きがいいですね。11:40ころ。

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▲枠木沢出合でしばし休憩。枠木沢に入ります。12:08ころ。

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▲枠木大滝の出現です。大滝といってもそれほど高さのある滝ではありません。せいぜい8mといった程度でしょう。本当は右奥に上段の滝4mも隠れているので、2段12mといった程度の高さです。しかし、この滝の威圧感は滝両サイドの岩壁。数十メートルはあろうかという高さです。しかもほぼ垂直。
僕など、この滝が登れそうだなんて思いもよりません。最初に登った人は偉いですね。よほど大高巻きするのが嫌いだったのでしょう。12:18ころ。

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▲写真中央を左から右へ幾つかの矢印が記されています。これが僕たちの辿った登攀ルートです。多分、ほぼガイドブック通り。〇印のある木は確保に使用した木です。分かりにくいかと思いますから、写真をクリックして拡大してご覧ください。12:19ころ。

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▲1ピッチ目です。滝の左手前の凹角から登攀しました。U田君ももちろん初めてのルートですから慎重に進みます。途中、3箇所でカム(昔はフレンズと呼んでいたギア)を噛ませて、安全を期します。この写真のU田くんの位置よりもう少し進んだ樹林の中で1ピッチ目を切りました。12:31ころ。

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▲今日のリードは全部U田君にお任せですが、2ピッチ目はちょっとだけの泥斜面のトラバースでしたから、僕がそのままトップで進みました。写真はフォロウしてくるU田君。12:53ころ。

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▲3ピッチ目をリードしているU田君。13:11ころ。
今僕がいる確保している場所はテラスと呼んでいいほどの安定した場所です。しっかりした木が3本生えています。
このテラスでしばらく、U田君とあ~でもないこ~でもないと登攀ルートを検討し合いました。話し合っているうちに次第にルートの弱点も見えて来ます。写真左上の木にはプロテクションとしてのシュリンゲ以外に4本の長めのシュリンゲをつないだのが下がっています。これはクライムダウンする時の補助用のもの。この補助がなくてもクライムダウンできるのではと思いますが、あった方が安心ですね。
ガイドブックには「3m下のバンドへゴボウで下降」とか「別のザイルを掛け、3mほど懸垂して仮固定」とかありますけれど、この長めのシュリンゲを設置した箇所でせいぜい1.5mほど下降しただけで、3mも下降するケースはありませんでした。岩自体も思いのほかしっかりしています。

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▲前の写真より右に少しトラバースしたところです。U田君の頭上の木の右へ出るように登るのです。13:12ころ。
ガイドブックにはこの辺りに関しても「向かいの露岩に飛び移り、連結スリングを投げ縄で上部バンドの始まりの立木に掛ける。ゴボウで上がり」とあります。
ガイドブックの解説者が遡行したのは2007年のことです。当時とはこの辺りの状況がだいぶん変ってしまったのでしょうか?

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▲いまU田君のいる場所もしっかりしたテラスです。残置ハーケンとカムで確保していました。13:16ころ。

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▲3本の木が生えているテラスにいたころ、6、7人のパーティーが滝下に到着しました。ねじれの滝で登ろうとしていたあのパーティーのようです。13:28ころ。

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▲上段の滝下に懸垂下降します。降りてからは滝の流れの左側を簡単に登れます。13:32ころ。

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▲上段の滝も登りきった後、後ろのパーティーの様子を見ました。全員それなりに沢慣れているパーティーのようです。どこかの山岳会でしょう。3本の木のテラスにもう4人ほどの姿が見えます。1ピッチでテラスまで来ているので、この大滝の経験者がリーダーなのでしょうね。13:46ころ。

結局、僕たちはこの枠木大滝登攀に1時間以上かかったことになります。登攀自体よりも、どこをどう登るかを考え、決断するために時間を多く費やしたようです。なかなか面白い登攀でしたね。

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▲大滝の上流部は平凡な流れになりますが、唯一アクセントになるのがこのモノレール軌道です。このまま軌道を左へ辿れば、早く下山できるようですね。13:59ころ。

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▲支沢も多く現われますが、迷うようなところでは右を選べば間違いありません。14:06ころ。

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▲連瀑が現れました。奥ノ大滝なのでしょうか。14:41ころ。

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▲前の写真の一番下の段を登るU田君。14:43ころ。

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▲2段目も簡単に登り、3段目の滝の真下に立ちました。どうやらこの滝は無理なようです。14:47ころ。

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▲滝の左斜面を高巻きスタートです。14:51ころ。

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▲巻き終わって、沢に戻ると再び2段の滝が現われました。上の滝はチョックストン滝です。14:58ころ。

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▲下の滝はこのようなトイ状の滝。15:04ころ。
上の滝を見てから、降りて来る途中で撮りましたから、時間的には逆転しています。

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▲上の滝の近くまで来て、登攀可能ルートを見つけようとしているU田君。右壁のクラック沿いのルートに可能性を見たようですが、今日は諦めました。見えている薄茶色の木肌の木でプロテクションが取れれば何とかなると考えたのだと思います。
確かに、登れるかもしれませんね。14:59ころ。

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▲結局この滝も2段まとめて高巻くことになりました。写真はチョックストン滝の落ち口です。
この写真を撮りに行った際、本当はもっと前に出たかったのですが、足元のチョックストンの隙間に枯れ木や枯れ葉や小石が詰まっていて、隙間だったのでしょう。踏んだら隙間の奥の方で崩れる音がしました。ビクッとして急いで離れてこの写真を撮ったというわけです。15:11ころ。
石や流木が溜まっていて、その下に空間があるような場所は気を付けなければなりません。昔、そんな場所を踏みぬいて、肝を冷やしたことがありましたから。15:11ころ。

どの滝のことを「奥ノ大滝」と呼ぶのでしょうか? おそらくこの名前は地元で昔から呼ばれていた名前ではないような気がします。おそらく沢屋さんや釣師が便宜的に付けた呼び名なのではないでしょうか? そうであるならば、どの1段も「奥ノ大滝」と呼ぶほどのさほど飛び抜けた滝ではありませんから、5段全部で「奥ノ大滝」と呼ぶのがふさわしいと感じますが、どうでしょうね?

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▲ガイドブックには奥ノ大滝上流には滝の表示がありません。時間も時間ですし、これ以上の遡行は諦めて左岸の尾根に逃げ上がることにしました。標高1060mあたりです。左岸の尾根の標高は1070~1080mですから、すぐそこに見えている尾根なのです。簡単に登り、左へ進むとすぐに標識が出て来ました。海沢探勝路です。15:31ころ。

海沢探勝路を下り、海沢本流に出ると、僕の希望でしばらく若宮沢の白糸の滝を探しました。おそらくはもっと下流だったのでしょう。今日は見つかりませんでした。
以前、2000年の夏に海沢谷を遡行し、時間に余裕があったせいでしょうか、海沢探勝路と交わってからもさらに上流を遡行した際に見つけたことがありました。出合にかかる7、8mの滝をザイル使用で越えると、数十メートルにも見える大きな幅広の滝があったのです。下部を少しだけ登ってみましたが、それ以上登る準備もしていませんでしたし、初心者も一緒でしたから、その日は諦めたのです。フリーで登れそうな、傾斜もさほどない大きな滝でした。

10m以上は常に前を歩くU田君を追いかけるようにしながら、下山の道を急ぎました。海沢園地にはあの枠木大滝のパーティーが先に到着していました。枠木大滝上流のモノレール軌道から下山したのでしょう。彼らはここから車で下山です。
僕たちは海沢林道を歩きます。多摩川本流右岸の車道に出てからも天益への道を急ぎます。U田君も僕も途中で歩きながら各自の下山報告を携帯で済ませました。

天益へも電話してみました。どうやら満席のよう。着いて見ると、ドアの外にはたくさんのザックが、そしてカウンターには地元の人々の顔ぶれで満席以上です。
僕たち二人には外で飲み食いできるように席をセットしていただきました。
U田君は遠いので7時台の電車で帰ることに一旦はしたのですが、地元の方々の引き留めで8時台の電車に変更。席も空いたのでカウンターに座らせてもらいました。
天益ではこのような地元の方々との交流が楽しみのひとつでもあります。山のことをよくご存知の警察や消防署関係の方もよく来られます。お世話になることがあってはならない山岳救助隊の関係者なのです。

前回の葛葉川本谷の後では、筋肉痛に苦しめられましたが、それを一度体験しているので、今回は何ともありませんでした。時々はこのレベルで肉体を使わないといけませんね。


22歳学生の沢登り初体験を丹沢の葛葉川本谷で

2014年07月07日 | 沢登り/金目川葛葉川水系

2014/6/29  多忙な時期が続いていたO橋君とは昨年9月の滝谷での登攀以来の山行です。今日は、彼が務める大学の学生・H野君に初めての沢登りを体験してもらう目的もあるのです。と言うわけで、O橋君がリーダー、僕はサブリーダーとして参加しています。

下車するバス停もいつもとは違います。僕は菩提原で降りますが、O橋君は菩提です。これまでとは違うので、何かしら別の沢へ行くような感じがします。

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▲葛葉川本谷の遡行スタート地点の広場です。ここでO橋君がH野君(右)の装備チェックをしたり、セルフビレイの取り方を教えたりしました。9:53ころ。

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▲スタートすると、すぐに小滝が連続します。先頭はO橋君、真ん中がH野君、ラストが僕です。9:59ころ。

O橋君とて30歳になったばかりですから、前の二人はどんどん進みます。スピード自体は僕にとって別に負担にはなりません。でも、登る行為以外の自然観賞も楽しみたいですね。

それではと、この際、小滝のすべてを写真に収めておこうと考えました。
葛葉川本谷は沢登りの初心者練習には実に最適な沢です。写真を見ると分かりますが、本当にたくさんの小滝があるんですね!

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▲O橋君に言われているのか、H野君が自分でそう判断しているのだか、O橋君が登りきるまでH野君は下で待っています。O橋君も上で様子を見てくれています。10:06ころ。

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▲小滝とは言え、身長より高い滝だけを載せますね。10:08ころ。

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▲特にコメントはありません。10:09ころ。

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▲フラッシュを焚いて写してみました。滝の水滴が光ってしまいますし、遠くが暗くしか写りません。10:14ころ。

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▲O橋君です。10:16ころ。
フラッシュを焚いてみましたが、やはり焚かない方が写りがいいので、やめました。

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▲同じ滝を登るH野君。探せばスタンスがあるのですが、大股になってしまうのは、初心者の証しでしょうか。ホールドがしっかりしているので、いいのですが。でも、H野君のクライミングは安心して見ておれました。10:16ころ。

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▲ナメ滝です。10:21ころ。

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▲10:23ころ。

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▲10:46ころ。
写真に撮るのは忘れましたが、この手前で1回念のためにザイルを出したと思います。H野君にとっての初ザイルなので、僕も緊張して写真を撮り忘れたようです。

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▲たまたま僕が先に登ってしまって、上からH野君をパチリ。10:50ころ。

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▲10:51ころ。

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▲板立の滝です。単独行者が左端をノーザイルで登って行きました。年輩の方です。どんな感じだろうと、見てみましたが、外傾して濡れており、嫌らしい感じでした。
僕たちは通常ルートをザイルを出して登ることに。10:54ころ。

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▲O橋君がリードし、H野君が中間でフォロウします。H野君にとって中間のプロテクションを回収するのも初体験。11:05ころ。

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▲たまには滝のない風景も。11:16ころ。

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▲11:17ころ。

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▲すぐ先に横切っている林道が見えました。11:23ころ。
その林道の下でしばし小休止。

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▲11:34ころ。

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▲11:39ころ。

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▲11:40ころ。

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▲11:45ころ。

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▲富士型の滝です。2段8mだとか。11:53ころ。
ここでちょっとだけH野君のトレーニングをします。

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▲まずはO橋君がリードして、H野君が中間でフォロウ。12:03ころ。

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▲富士型の滝から下流方向に白い木の花が見えました。ヤマボウシです。秋になると薄桃色のほの甘い実をつけます。12:22ころ。

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▲ボルダリングは半年くらい前から時折やっていたというH野君ですが、懸垂下降は初めて。左の赤いザイルで彼を確保したうえで、懸垂下降の実践練習です。まだ、膝が曲がっていて、腰が落ちているようですね。12:39ころ。

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▲赤いザイルで確保してあげた状態で2回練習しました。3回目の前に「確保なしでも出来そう?」と聞くと、「はい」と返事。写真は3回目の懸垂下降です。
赤いザイルで確保はしていませんが、O橋君が下でザイルを手にしています。万が一の場合は、O橋君がザイルを強く引けばH野君が落ちることはありません。12:46ころ。
これでH野君も懸垂下降マスターですね。今後、易しい基本的な懸垂下降を繰り返し行ない、徐々に応用力も付くようにすればいいのだと思います。

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▲12:55ころ。

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▲この直前に小休止。13:11ころ。

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▲源頭に近づくにつれ、沢自体の傾斜が増してきます。13:13ころ。

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▲稜線に近づいているので、ガスの中です。13:14ころ。

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▲鹿の骨だと思います。今年の大雪の影響だったのでしょうか? 13:17ころ。

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▲スタンスが少し小さめです。H野君はまだほんの少しへっぴり腰でしょうか? 13:23ころ。

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▲水流も消え、源頭のガレ状になってきましたから、沢筋から離れ、小尾根に付いている踏み跡を登って来ると、登山道に着きます。13:39ころ。
僕はいつもここからは下へ降って、大倉へ向かいます。でも、今日はO橋君がリーダーですから、彼の計画通り三ノ塔山頂へ。いつもと違ったルートから下山します。

ここから登り始めてすぐ、雨具の忘れ物が登山道脇にありました。
こういう時は困りますよね。このまま置いておくべきか、持って下山し警察に届けるべきか。持って降りることにしたのですが、ちょうどそこに大倉へ下山する二人組が通りかかりました。話すと、二人も葛葉を遡行したのだとか。この二人に雨具を託すことにしました。
と言うのも、この雨具の持ち主が大倉へ下山している可能性が高そうだからです。稜線をおおっているガスのことを思うと、稜線上で雨具を着ていた登山者が下る途中で脱いで、そのまま忘れたと考える方が自然だからです。

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▲三ノ塔休憩所です。14:20ころ。

あまり読みたくないはずの情報をここで。
山頂で装備を外し、沢靴を脱ぎました。そこで、ヒルです! 3人ともに付いていました! 僕には4匹。ズボンに3匹と靴に1匹です。キチンと締めていましたから、肌は大丈夫でしたけれど、ズボンに強く吸いついていて剥がすのが大変でした。

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▲二ノ塔から二ノ塔尾根を下ります。途中、下界を眺めると、晴れているようです。15:10ころ。

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▲今日の遡行開始点に戻って来ました。この車は葛葉ノ泉の水を汲みに来ている人たちのです。15:25ころ。

ここでもO橋君にはまたまたヒルが付いたようです。丹沢は本当にヒルが増えましたね。奥多摩がそうならないよう、願うばかりです。
ちなみに、ここの広場脇に、ヒル用の食塩が置いてありました。

今日の打ち上げは秦野です。僕自身は秦野駅に下山して来ることは初めてだと思います。当然、打ち上げのお店情報は皆無。駅ビルの中にチェーンの居酒屋さんがあったので、そこで飲み食い。H野君はアルコールがいっさい駄目なんですね。羨まし~い! 酒の飲めない今日の主役のH野君を尻目に僕とO橋君は気持ちよく飲み続けました。

H野君にも時々声をかけたいと思います。一緒に沢へ行きましょう!

翌日から・・・・
筋肉痛です。久しぶりに若者ペースで歩いたので、とりわけ脚の筋肉痛がひどい!
翌々日まで続きました。それなりの負荷がかかるような山行を続けないと、筋肉も衰えるのだと思います。


南秋川の矢沢本流でウォーターウォーキング

2014年07月03日 | 沢歩き

2014/6/26  今年の沢初めはなんと! 6月下旬にまでずれこんでしまいました。これまで通常4月には沢登りスタートするものでした。今年は土日に仕事が入ったり、休みに雨が降ったり、ザイルパートナーのO橋君が多忙だったりで、こんなに遅くなってしまいました。
これから頑張るぞ~っ!

僕が沢初めですから、S子ももちろん沢初め。易しい沢歩き、最近は洒落てウォーターウォーキング(略してWW)と呼ぶようですが、まずはそこらへんから。それで選んだのが、山仲間のN澤さんがつい最近行ったという南秋川矢沢本流です。

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▲南郷バス停で下車すると、矢沢出合はすぐです。本当は出合から遡行したかったのですが、建物が建っていて人臭さがあるのでどうも入り辛いのです。先に進むと、村の施設があったり、民家があったりするので、やはり入り辛い。2軒の民家の先でやっと入渓しました。
沢がΩの字形にくねっている場所です。写真上部に林道が見えていますが、写真の左上部から植林に付いている踏み跡を下って来ました。10:36ころ。

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▲のんびりと沢準備を終了させるS子。沢は大きく右にカーブを描いています。10:37ころ。

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▲WWのつもりで来ているのに、いきなりの凄い滝です。腰以上だか胸くらいだか水に浸かって滝の流れのすぐ左まで行けば、登れそうです。あるいは、左側の草が生えている壁も写真の外側から取り付けば、行けそうな気もします。
でも、初っ端から全身ずぶ濡れになるのは嫌ですし、ザイルを出してトラバースするにも、今日はハーケン、ハンマーを持って来ていません。
と言うわけで、あっさりと撤退。林道まで戻ることにしました。10:41ころ。

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▲林道へ上がり、Ωの形の沢が戻って来たところで再び入渓しようとすると、左岸の山肌が崩れていました。その土砂が沢を堰き止めています。10:55ころ。

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▲土砂で堰き止められたすぐ上流には一時的な堰止湖が生まれていました。その深さは何メートルでしょうか? 見た目でも2~3m以上はありそうです。10:56ころ。

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▲崩壊箇所と堰止湖の様子がこの写真でよく分かります。10:57ころ。

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▲すぐに落合橋が見えて来ました。ここに熊倉沢出合があるのです。11:01ころ。

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▲沢歩き(WWよりもこの方が馴染みますね)も意外と侮れません。流水を通して見る沢床の石ころを踏みしめながら、バランス良く歩くのはけっこう微妙なもの。久し振りの感覚なので、S子は時折ちょっとよろけたりします。そこで手頃な枝を拾って杖にしました。11:09ころ。

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▲水は思いの外冷たかったです。この写真でも何となく沢の上流を見ると靄っているように見えると思います。 暖かく湿った空気が冷たい沢水に触れたことによって霧状になっているのでしょう。11:12ころ。

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▲沢歩きには緊張を強いられたり、頭をフル回転させたり、肉体能力を総動員したり、持てる技術・経験を最大限に発揮したりする場面はほとんどありません。
沢歩きは「沢沿いの散策」なのです。いろいろなものに目をやりながら、のんびりと穏やかな心持ちで歩くのです。11:13ころ。

022
▲写真ではこの美しさは伝わるでしょうか? 沢床の石っころの上を流れる水の煌き。11:15ころ。

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▲トリアシショウマだと思います。僕の好きな花。11:21ころ。

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▲矢沢にはこんな縞模様の岩の沢床が多く見られます。11:22ころ。

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▲ところどころでこのような流木だまりが現われます。流木の多い理由は上流に行って分かりました。左上には林道が並行しています。11:25ころ。

028
▲調べても名前が分かりませんでした。11:30ころ。
この花のすぐ前で腰を下ろして休憩しました。

032
▲小滝の出現です。沢歩きでも滝が出て来るとやっぱり少し興奮します。12:01ころ。

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▲もっと滝身に近づいて登ることも出来るでしょうが、出来るだけ濡れたくないS子は手前で林道へ上がります。それなら僕も・・・・。12:03ころ。

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▲マタタビに蕾がたくさんぶら下がっていました。12:10ころ。

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▲長閑な沢歩きです。12:10ころ。

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▲と思っていたら、再びの小滝。12:22ころ。

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▲この小滝、見た目はなだらかでしたが、近づいて見ると意外と立っています。ホールドがしっかりしているので、Ⅱ級でしょうが。12:24ころ。

044
▲またまた、再び、マタタビの蕾。12:35ころ。

045
▲林道の下が人工的な壁になってしまいました。溝を歩かされているようで気分良くありません。12:36ころ。

046
▲堰が現われました。右も左も登ることは出来ません。100m以上戻って林道に上がるか、だいぶん手前から右を高巻くかです。
右からの高巻きが可能そうです。ザイルはなくても大丈夫とは思ったのですが、斜面の土が湿って泥っぽくなっていますし、せっかくザイルを持って来ていますから、念のために使うことにしました。12:41ころ。

047
▲堰堤の20mほど手前から右の斜面をザイルを出して高巻きました。S子のためにザイルを出して正解でしたね。見た目より嫌らしい。この写真の場所からは左下へ降りて高巻き終了なのですが、ここでS子の確保をします。左はセルフビレイ用、右の8環でS子を確保します。12:57ころ。
ここから沢床への下降ですが、3mほどしかないのですが、S子にはこのままザイルで確保しながら降りてもらいました。僕はビレイに使っているこの木で懸垂下降しました。

048
▲S子が登って来ました。今いるあたりも意外と嫌らしいところです。写真の右に堰堤が写っていますね。12:58ころ。

051
▲桂(かつら)の木です。13:40ころ。
少し手前でのんびりと休憩を取っていました。

054
▲心地の良い沢歩きが続きます。13:50ころ。

056
▲と思っていたら、突然のこの光景! 伐採跡です。流木だまりの原因はこれだったのですね。13:51ころ。

057
▲伐採されている山の斜面を過ぎると、再び普通の沢の光景に戻りました。13:53ころ。

063
▲ガクアジサイだと思います。14:08ころ。

064
▲またまた伐採跡です。14:10ころ。

068
▲写真上部に堰堤が見えると思います。近くに高巻けそうな場所がなかったので、ここから林道へ出ました。14:21ころ。

069a
▲林道へ上がりました。巻いた堰堤が左にありますね。14:23ころ。

076
▲軍刀利沢出合へ降りる踏み跡から沢へ再び戻りました。5年前に軍刀利沢には来ていますが、山肌の伐採跡の記憶はありません。沢は再びいい感じです。14:35ころ。

077
▲沢の両岸から籔が流れにはみ出して来ることが多くなりました。いわゆる、ボサが多い、と言った状況に。ま、実際はさほど酷くはなかったのですが、時間的にも手ごろなので、この辺りで沢歩きを打ち切ることにしました。14:49ころ。

078
▲結果論ですが、もう少し先で林道に上がった方が良かった! 
僕はもう先に林道へ上がって、上からS子に指示を出しているところです。S子はこのまま僕の方へ上がって来て、林道の壁を左へトラバースし、壁が低くなった箇所から上がるのです。
失敗と言うわけではないのですが、この写真に写っている草の中にイラクサがた~くさん混ざっているのです! 14:55ころ。
最初の一撃は強烈にチクリとしました。蟻酸ですから、数ヶ所を同時に蟻に咬まれた感じです。その後の二撃三撃はそれほどではありません。
問題はその後です。僕もS子も翌々日まで棘にやられた辺りがジンジンと痺れていたのです。

079
▲林道に上がって来たところです。15:02ころ。
最後は念のために、長めのシュリンゲで確保しました。

080
▲沢を見下ろすとこんな感じ。中央写真から少しはみ出したあたりから沢を離れ、右へ登り、手前に壁沿いに来たのです。15:02ころ。

081
▲右岸の支沢の水があるところで、沢靴を脱ぎ、簡単に洗いました。ハーネスを外し、ヘルメットを脱ぎます。15:45に林道歩きのスタート。バスは16:34なので、バス停まで50分で着かなければなりません。大丈夫だろうとは思いつつも、少し早足で歩きました。16:00ころ。

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▲振り返っての写真。左の林道から来たのです。右の林道は熊倉沢沿いの林道です。橋は落合橋。16:14ころ。

083
▲林道沿いにNPO法人フジの森の施設があります。檜原村の青年有志がここで村の活性化のために様々な活動をしている、ということは聞いたことがありました。今では昔以上に幅広く活動しているようです。活動メンバーの幅も広がっているようですね。16:17ころ。

084
▲矢沢最下流部のナメ滝です。いつか本当の出合から遡行してみようと思います。16:20ころ。

085
▲南郷バス停です。40分で到着しました。16:24ころ。

武蔵五日市の町では馴染みの「音羽鮨」で打ち上げ。前回来たのは何ヶ月前だか、半年以上前だったような気がしますが、『三岳』の五合瓶をキープしていてくれました。しかも、何勺かくらいしか残っていなかったのに。

沢歩きも心地よいですね。S子と一緒ですから、周囲の景色はもちろんですが、水の流れや石の美しさ、苔や花を愛でたり、自然と様々に交流できます。写真もたくさん撮れます。

ただ、ひとつ物足りないことが。それは肉体がさほど悦んでいないこと。
肉体の悦びとは、心地の良い疲労感です。沢歩きにはその疲労感がありません。
まあ、ときおり散策気分で沢歩きをするのは楽しいですね。