ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

『標準コースタイムで歩く』シリーズ№3 ――― 119% 戸倉三山の一山、臼杵山だけ登りました

2022年02月14日 | ハイキング/奥多摩

前の週に左足の大腿四頭筋をちょっとだけ傷めてしまったので、日曜日はお休みにして、水曜日に歩いて来ることにしました。まだ微かに痛みは残っていますから、標高差こそ570mですが、コースタイムは短めの3時間のコース設定でした。問題発生したらそのまま引き返すつもりでした。元郷バス停~臼杵山~荷田子峠~荷田子バス停のコースです。

 

2022年2月9日(水)

▲9:22。元郷バス停が登山口です。

 

▲9:31。最初は山の凹部を登っ行きました。尾根が見えて来ます。

 

▲9:50。尾根筋に出ました。

 

▲10:10。最初の休憩を暖かそうな場所でしました。僕の軽登山靴の底をパチリ! 踵に穴が開きかけています。

 

▲10:15。この場所で12分間の休憩をとりました。

 

▲10:29。心地よい尾根道が続きます。

 

▲10:35。これは何の施設でしょう? ドラム缶が何個かありましたけれど、中の水は全部凍っています。

 

▲10:48。さほど急登ではありませんけれど、ロープが張ってある山道が長く続きました。

 

▲11:07。FM東京の檜原予備送信所だそうです。

 

▲11:08。あれが臼杵山山頂でしょうか? 多分違うでしょうね。この尾根では何度も偽山頂ばかりを見せられました。おそらくこの登山道上からは臼杵山山頂は望めないのだと思います。臼杵山は南北の双耳峰になっていて、高いのは南峰ですから、北峰が邪魔して見えないのでしょう。

 

▲11:21。臼杵神社のようですね。小さな祠でなくて、立派な建物があると思っていましたが、そんな建物はありませんでしたから、やっぱりこれが臼杵神社です。そして、ここが臼杵山北峰のようです。標高は南峰とほぼ同じで840m+αです。

 

▲11:21。新しい狛犬が置かれていました。狼の狛犬ですね。何やら巻物を咥えています。

 

▲11:22。反対側の狛犬です。怖い顔の狼ですね。

 

▲11:22。もともとあった狛犬が祠の横に置かれていました。これの方が見慣れた狼の狛犬です。

 

▲11:23。もう一体の古い狛犬が壊れてしまったんでしょうね。それで新しくしたのでしょう。何やら他にも石の欠片がありますけれど、何だったのでしょう?

 

▲11:23。灯篭も対になって置かれていました。

 

臼杵神社の由来は調べてもよく分かりませんでした。大分県臼杵市の臼杵神社などとの繋がりがあるかどうかも分かりません。臼と杵なので男女の神だとの説もあるようですが、説得力はありませんね。

そんな中、奥多摩登山愛好者にとってはバイブルとも言える宮内敏雄著『奥多摩』に次のような記述がありました。真偽のほどは僕には分かりませんが、僕に見つかる唯一の資料なので長くなりますが載せておこうと思います。

「三角点八四二米の鹿ン丸となる。一投足でお猫さんで有名な臼杵山だ。『風土記』に《臼杵山ハ村ノ艮(うしとら)ニアリ。登五十丁許リナル嶮阻ナル高山ナリ。巓ニ臼杵権現を鎮ス・・・・》とある社は養蚕の神で、もとは南秋川柏木野の機立(はたたて)という処にあったのを、馬の足音が喧(うる)さいとの夢告があったので、永禄三年(皇紀二二二〇年)に現在の位置に遷したものだという。お蚕を養うお百姓が毎年二月初午の日にのぼって守り神たる瀬戸物の猫の像をお借りするのである。――お礼には来年二つにして納めるのだ。ウスギ山の山名由来は月の世界の兎が山頂のお猫さんと明月の夜餅をついたからと昔話みたいなのがあるようだが、それは臼杵の模写にでも思いついた後世の説話であろう。実際はウスギは薄木(うすぎ)で、川苔山のウスバ尾根などと同じに、黒木立の茂った山の呼称たる黒山とか、大黒茂ノ頭などと対立する薄木の山に与えられた呼称と推われる。」

柏木野は臼杵山の西の麓の集落です。その辺りでは昔から養蚕が盛んだったようで、臼杵山の南隣りに市道山がありますが、そこへの登路はヨメトリ坂と呼ばれています。絹糸を絹産業の中心地だった八王子に運ぶ道すがら、若い男女同士、話が弾み、仲も良くなり、それが縁で結婚するに至ったことが多かったのでしょうね。いつしかその登路がヨメトリ坂と呼ばれるようになったんだそうです。

日の出山から東に延びる尾根上に琴平神社が建っていますが、そこには今でも数多くの猫の置物が奉じられています。琴平神社が養蚕の神でもあるからですね。

よく読むと、昔は臼杵神社のある北峰が臼杵山と呼ばれていて、三角点のある今の臼杵山は鹿ン丸と呼ばれていたようです。僕もその方に賛成しますね。標高もほとんど変わりませんし、臼杵神社がある方が山頂に相応しいと感じられます。

 

▲11:24。臼杵神社のすぐそばにある登山道分岐。とりあえず、三角点のある臼杵山へ行って来ます。

 

▲11:26。こちらの分岐は臼杵神社のある北峰を巻いています。

 

▲11:29。臼杵山842.1m山頂。見晴らしもよくなく、この標柱が立っているだけです。北峰も840mの等高線に囲まれていますから、この南峰とほとんど変わらないはずです。ひょっとしたら北峰の方が高い可能性だってあるかもです。三角点は必ずしもより高い地点が選ばれるとは限りませんから。

 

▲11:31。コウヤボウキ(高野箒)の仲間だと思います。果実の綿毛ですね。

 

▲11:35。山頂からはすぐにUターンして、さっきの巻き道の分岐まで戻って来ました。右の巻き道を進みます。

 

▲11:39。暖かそうな場所があったので、ここでこの日2回目の休憩をすることにしました。

 

▲11:44。温かな飲み物といつもの石窯パンのサンドイッチ。ハイキングの際、駅中のパン屋さんで買うものはいつも一緒です。発車までの時間が短い時もありますから、選ばなくてもいいように何を買うかは決めてしまっているんです。

 

▲12:12。臼杵山からは小さなアップダウンが繰り返される尾根道を歩きます。

 

▲12:18。南面が伐採されている場所に出ました。右のピークが刈寄山687.1mだと思います。左の採石場は棡葉窪(ゆずりはくぼ)出合ですね。刈寄山も臼杵山も戸倉三山の山です。もうひとつは市道山。

 

▲12:19。明るくて見晴らしのきく山道です。風もなく暖かです。

 

▲12:21。左手前から右向こうへの街並みは五日市線沿いの街々だと思います。写真右上に白い西武ドームが見えていますね。ドームの手前に左右に広がる街並みは青梅線沿線の福生市、羽村市、青梅市などではないでしょうか?

 

▲12:26。同じような明るい登山道が続きます。

 

▲12:36。空を見上げると、無風快晴の青空!

 

▲12:37。北側の山並みも枯れ木の隙間から見えて来ました。左の山は大岳山1266.4mですね。

 

▲12:45。北側が完璧に開けた場所がありました。中央に大岳山、それから延びる馬頭刈尾根が右に、左奥の山は御前山1405.0mでしょうか。

 

▲12:46。大岳山の右にはつづら岩も見えていました。少し色が白っぽい部分が岩です。高さ40~50mのクライミングゲレンデです。見えているのは南面の岩場ですが、他にも東面や西面などがあります。

 

▲12:48。大岳山と御前山の左奥には北秋川を囲む山々が見えています。写真の左も山は月夜見山1147.0mでしょうか、それとも三頭山1531mでしょうか? 写真左の山々を越えた先には奥多摩湖があるんです。

 

▲12:52。「戸倉山茱萸御前」と刻された石碑がありました。ここのすぐ近くの656m標高点茱萸(ぐみ)ノ木山と呼ばれているようです。この茱萸御前にしろ、茱萸ノ木山にしろ、由来はよく分かりません。茱萸ノ木山は登山道は山腹を巻いていますから山頂を踏んだことはありません。ただ、臼杵山から北東に延びているこの尾根の名前が茱萸尾根であることは昔から知ってはいましたけれど。

 

東京瓦斯山岳會編『秋川の山々』を読んでみました。すると、茱萸御前のところで次のような記述がありました。

「雑木の山道を登って行くとやがて茱萸の大木の處に出る、戸倉山茱萸御前の標識あり」

ただ、グミの木はそれほど大木にはなりそうにありません。本当にグミの木だったかどうかよく分かりませんね。

 

▲13:08。植林の中を歩きます。

 

▲13:11。冬枯れの明るい道も歩きます。

 

▲13:14。荷田子峠に着きました。この日はここから下っていきます。

 

▲13:29。植林の向こう側に里の情景が広がって来ました。

 

▲13:39。荷田子バス停です。次のバスの時刻まで時間があったので、先のバス停まで歩くことにしました。すると、次のバス停の手前の横道からバスが出て来ました。どうやら荷田子バス停の数10m手前の道を曲がって瀬音の湯に行き、荷田子バス停には寄らずに次のバス停に出て来たみたいです。その証拠に、荷田子バス停には載っていなかった時刻のバスが次のバス停の時刻表には載っていました。それを知っていれば、ほんの30秒も急げば、そのバスに乗れたのに・・・・

 

▲14:08。結局、3つ先のバス停まで歩きました。じっと待つことが出来ない性分なんです。

 

▲武蔵五日市駅の駅舎にある売店が新しくなっていました。地元の産品も分かり易く並べてあったので、この2つを購入しました。奥多摩町の獅子口屋のイノシシカレー(税込み648円)と御岳の吉川製菓の葉わさび入青葉佃煮(税込み540円)です。

 

この日はコースタイムの119%で歩きました。休憩時間も含めると136%です。それほどゆっくり歩いた訳でなないのですが、結構かかったんですね。ただ、写真を120枚くらい撮っています。1枚撮るのにかかる時間は分かりませんが、仮に10秒だとしても1200秒、つまり20分を費やしたことになります。でも、それを考慮しても108%ですから同じですね。それに昔も僕は写真を撮っていました。ポジフィルムでしたから枚数はずっと少ないですけれど、1枚1枚を撮るのに時間は掛けていたでしょうね。それでも100%以下で歩けていました。


YYDのK野さんは確実に進歩中! S藤さんも前進しています

2022年02月02日 | 岩登りトレーニング

先週に引き続きYYDの仲間と日和田での岩トレに出かけました。1月30日(日)です。日和田は今回もクライマーが少なく、思い切りトレーニングが出来ました。 でも、最初のルートと思っていた場所にザイルがかかっていたので、K野さんが選んだルートは男岩西面。 これが大きな間違いだったことは登ってみてすぐに判明しました。 西面には陽が当たりませんから、岩が強烈に冷たいのです。

 

●1本目:男岩西面クラックルート4級+

このルートは前の週にK野さんがほぼオンサイトしたルートです。 ただ、最上部核心部ではかなり強引な力任せの登り方でした。 今回は岩が氷のようで指が痺れて使えなくなるほどです。 岩から指を離して温めなければ、再び岩を掴む力さえ出ません。 そんな状況の中で、K野さんは前回のような力任せではなく、美しい登り方を探っていたそうです。 時間をかけて、何とか登りましたが、美しかったかどうかはよく分かりませんでしたね。

 

▲10:51。このルートの取り付きです。最初のこの部分も実は核心部で4級+なんですね。K野さんの右足、右手のラインにクラックが走っています。

 

▲10:52。今回、K野さんを確保するのは全てS藤さんです。いろんな状況に早く慣れて欲しいと思います。

 

▲11:02。K野さんが上部核心部までやって来ました。今とろうとしているプロテクションを設置すれば、ほぼ安心ですね。

 

▲11:04。核心部に着いてから5分間ほどかけて、K野さんは登って行きました。前の週ほどは強引な登り方ではありませんでしたけれど、まだ余裕ある登り方ではなかったような・・・・

 

▲11:12。 続いて、S藤さんがフォロウします。 出だしの垂壁で、まずはぶら下がってしまいました。 K野さんは何の問題もなく通過しましたが、実はここも核心部で4級+なんです。

 

▲11:18。僕は最上部核心部真下のテラスに来ました。ここまでは左の山道から歩いて登って来れます。もちろんセルフビレイはしっかり取っています。そこへS藤さんが登って来ました。

 

▲11:21。最上部核心部の直下まで来ました。ここからは体をなるべく高くまで上げることが重要になって来ます。体を上げて、V字形のクラックの奥にあるホールドをしっかりと掴めれば後は楽勝! 体を上げられないとそのホールドに届かないのです。クラック左のフェースにも使えなくはないホールドがありますが、クラック奥のホールドほどではありません。K野さんが心配そうに上から覗きこんでいますね。

 

▲11:25。 最上部まで進み、ここでは当然すぐには登れません。T口さんもK藤さんもT橋Aさんも皆、ここでぶら下がっています。 みな、ここで悔しい想いをして、それをバネにして成長しました。 S藤さんも続いてくれることでしょう。

 

▲11:29。この日は岩場の上から懸垂下降で降りるのではなく、歩いて下りることにしました。懸垂下降の練習は大丈夫なので、歩いた方が時間の節約になるからです。ですから、S藤さんにはザイルを付けたまま安全地帯まで来てもらいます。

 

▲11:32。安全地帯に来たS藤さんはザイルを引いて、続いて来るK野さんを仮確保します。ザイルがなくても大丈夫なのですが、せっかくザイルが付いているので(このままの状態で次のルートに向かうのです)、確保っぽいことをしているんです。万が一、K野さんが転落するようなことがあっても、ザイルを離さなければ、木との摩擦で止まりますし、反時計回りで木の周りにザイルをグルグル巻きにすれば、ほぼ仮固定も出来ます。もう少し心配のある場所なら、木にシュリンゲとカラビナをセットして、ザイルをカラビナに掛けるだけでもいいでしょう。更に心配なら半マスト結びを使えばいいですし。

 

●2本目:男岩南面左端垂壁から4級

氷のように冷たい西面に懲りたK野さんは南面を登ることにしました。 でも最初は、南面と西面の境のカンテルート5.7を登ろうとしていました。 彼は以前、このルートをリードしたことがあります。 でも、このルートのフォロウはS藤さんには難しいでしょうから、却下。 2本目はS藤さんも問題なくフォロウできました。

 

▲11:53。K野さんが登っている垂壁(頭から下の部分)が4級なんです。ちょっと難しい。ここは難なく登って行きます。

 

▲11:59。最上部は少しだけハングしているのですが、ガバホールドがたくさんあって意外と簡単です。

 

▲12:07。S藤さんもこのルートは楽勝でフォロウしました。

 

▲12:15。南面の岩は太陽の日差しで温まっていて、西面の氷のような岩とは比べ物になりません。K野さんも幸せな気分なんでしょうね。

 

●3本目:男岩南面3段フェース4級+~5級-

3本目はS藤さんにリードしてもらおうと思っていたのですが、K野さんは上記ルートに向かいました。 僕も身に覚えがありますが、自分でリードしたくてたまらない時期があるんです。K野さんもそんな時期なのかな~ぁ? いいことです! K野さんは問題なくリード、凄い! 

 

▲12:51。3段フェースは前回にほぼオンサイトしたルートです。この日は2度目のリードになりますが、安定した雰囲気で登って行きました。

 

▲12:53。核心部も問題なく、楽勝で越えて行きました。

 

S藤さんも前回(年末)のリベンジに燃えています。 ある程度の時間はかかりましたが、登ることが出来ました。 成長していますね。

 

▲13:03。そのS藤さんが登り始めました。

 

▲13:05。核心部に到着です。僕も彼女のすぐ横まで来て、アドバイスを飛ばします。アドバイスがあるからと言って、その通りに出来る訳ではありません。この写真からのアドバイスは、体を出来るだけ上に上げること。つまりは足を上げることです。左足はいいのですが、右足を右手の下あたりまで上げなければなりません。そのためには、右手はもうひとつ上のアンダーホールドを使います。

 

▲13:07。右足がアドバイス通りの場所まで上がっていますね。右手もさらに上のホールドに届き、左足を上げる余裕が生まれました。S藤さんは見事にこのまま登って行きました。フォロウだとは言え、このルートを登れたことは凄い成長です。

 

●4本目:男岩南面凹角~クラック~フレーク4級+

このルートは前回カンテから取り付いてフレークを登りました。 今回はカンテの右にある凹角、続いて出て来るクラックをルートとして選びます。 上部のフレークを登るのなら、このコース取りが自然だと思ったからです。 K野さんにルートを説明し「登る?」と聞くと、「登ります」と。 僕は下部は登ったことがないのですが、4級の範囲内だと思われます。  

 

▲13:30。黄色の矢印は前回登ったカンテからのルートです。途中に平らな歩く箇所が出てしまいます。今回の青い矢印なら下から上まで直線状になっているので、こちらの方が自然なルートどりだと思われます。

 

▲13:34。 K野さん、凹角は問題なく、クラックに突入。 ピンが少し遠い所にありましたが、そこで無事にプロテクションを取って、僕もひと安心です。 

 

▲13:38。フレークの直下に来ました。足元のプロテクションがちょっと邪魔っけですね。やはり左足元で長めのプロテクションにした方がいいと思います。

 

▲13:49。そして、最後のフレーク。 ここでこの日1本目の最上部の時以上に時間がかかりました。 やはり前回力任せに登ったので、楽で美しい登り方を探ったのだそうです。 このフレークを突破するためだけにK野さんは25分を費やしました。 でも、楽な登り方は結局見つからなかったみたいです。

 

▲14:03。登っては降り、登っては降りを繰り返しました。この写真は最後のトライ。理想の美しいムーブは見つからなかったようです。やはり強引な登り方になってしまいました。

 

▲14:14。続いて、S藤さんがトライします。頭上のクラックは楽勝でした。ただ、クラックの上部にあるプロテクション(2つ上のプロテクション)はS藤さんにとって遠い位置にありますから、手が届きませんでした。それで、ザイルだけをヌンチャクから外し、それをクラックを通過した後に戻って回収することを指示しました。

 

▲14:20。下部のクラックは問題なく通過して、フレークの基部に立ちます。 ところがここでアクシデント発生! 何度もザイルにぶら下がっているうちに、ザイルが細い岩の割れ目に挟まってしまい、動かなくなってしまったんです。赤い矢印が、その細い割れ目(クラック)です。この写真の時にも、もうすでにクラックの中に入ってますね。ザイルはまだ動いていたようですけど。登る人はそういうザイルの状況に早く気付いて、より安全な位置にザイルを振らなければなりません。この場合なら右に振っておいた方が良かったのでしょうね。

 

▲14:41。最終的に、僕が懸垂下降してその場所まで行き、何とかザイルを岩の隙間から外すことが出来ました。 でも、本番では誰も助けに来てもらえませんから、出来ればS藤さんが自力で、 それが出来なければK野さんが手助けして問題を解決しなければなりません。 岩登りをする人には(沢登りも同様なんですが)柔軟な問題解決能力が必要なんです。 僕がS藤さんのすぐ上で協力しながら、これこそ力任せにS藤さんを登らせることに成功。 このフレークはホールドは豊かなんですが、スタンスに乏しいんです。 ここを美しく登るにはスタンスの選定が重要ですね。

 

●5本目:女岩西面中央ルート5.10d(トップロープ)

最後はトップロープです。 前回のリベンジとしてK野さんがロープを設置しました。 リベンジと言ってもすぐに登れるようになるわけでもなく、前回より少しでも上へ行ければというだけですね。 K野さんも僕もほんのほんの少しだけでしょうが、前回よりもましになったような気がします。 

 

▲15:24。最初にK野さんがチャレンジ。前回到達点まではスムーズに登れました。そのままもっと上まで登れるかな、と思いましたが甘くはなかったようです。

 

▲15:37。次は僕がチャレンジ。お気付きでしょうが、この日初めてのクライミングです。K野さんとS藤さんに十分な練習をしてもらいたかったですから、僕はアドバイス役に徹していたんです。ですから、僕はこの日の岩の冷たさに慣れていません。壁が前傾し始める辺りで、指が冷たすぎてあえなく落下。

 

▲15:40。再度チャレンジし直して、岩の冷たさにも慣れて来ました。前傾壁に入ってからも何度も落ちて、ザイルにぶら下がりましたけれど、前回よりはほんの少しだけですが、ましな登りが出来たような気がします。

 

▲16:01。S藤さんは初めての経験ですから、ルートが前傾し始める場所まで登って、ザイルにぶら下がりました。 最初はみんなそんなもんです。 今後、登ることがあれば頑張りましょう!

 

▲16:02。こんなぶら下がり方を経験することもあまりありませんよね。前傾壁ですから。

 

最後にもう一回K野さんがチャレンジして、この日の岩トレは終了しました。

 

下山後は前回同様、麓のうどん屋さんへ。 先週は客は僕たち2人だけでしたが、今週は6人でした。 埼玉県ですからアルコールはなし。

 

S藤さんに「行きたい山、登りたいルートとかあるの?」と聞くと、「源次郎尾根に行きたい」と話してくれました。剱岳へ突き上げている楽しい尾根ですよね。僕はS子と二人で下部はルンゼ通しに登ったことがあります。また、S子の大怪我後、S子も含めて山仲間6人で登ったこともあります。その時はルンゼの左の尾根通しでした。僕自身も山体力を戻して、YYDの仲間と行ければいいなと思います。

2回目に登った時の6人は男は僕と若者2名、女はS子とS子に近い年齢の2人でした。そして6人とも4級+をリード出来る能力を持っていて(厳密にはS子だけは元ですけれど)、信頼できるメンバーでしたね。(S子の他の女性ふたりはすでに亡くなり、若者二人は結婚して小学生のお子さんもいて、本人は危険な山行は止めています)


『標準コースタイムで歩く』シリーズ№2 ――― 105% 麻生山を登り、金比羅尾根を下りました

2022年02月01日 | ハイキング/奥多摩

前回の青梅丘陵から、標準コースタイムで歩けるようになることを具体的な目標にすることを決めました。前回は標高差250m、コースタイム3時間20分でした。それで今回は、少しだけ高く長くして、標高差480m、コースタイム3時間55分のコースを設定しました。武蔵五日市駅からつるつる温泉行バスに乗って、白岩滝下車。そこから歩き、麻生山~金比羅神社~武蔵五日市駅というコースです。

 

2022年1月27日(木)

▲9:01。武蔵五日市駅です。ここからつるつる温泉行バスに乗ります。SLの外見をしたバスに乗れるかな、と思っていましたが、残念ながら普通のバスでした。

 

▲9:25。白岩滝バス停で下車すると、すぐに標識がありました。ここから950m先のようですが、昭文社の地図では30分もかかることになっています。せいぜい20分ですよね。実際、僕は18分で着きました。

 

▲9:37。林道終点です。ここからは真正面の山道に入って行きます。

 

▲9:39。白岩滝までは遊歩道が整備されていました。左の階段を上って行きます。

 

▲9:43。麻生山への登山道は右なんですが、左の橋を渡ると白岩滝の真正面に立つことが出来ます。観瀑台ですね。

 

▲9:49。その観瀑台からの白岩滝。2段に落ちているのですね。解説板には下段の滝は8.5m、上段の滝は12mとなっています。この2段の滝を見上げるような位置で、雨乞いの儀式が行われたそうです。

 

▲9:53。ここから沢沿いに遊歩道が続いているのですが、この先で山道が崩壊していて、通行禁止になっていました。

 

▲9:55。右の小尾根通しに遊歩道の巻き道が付いています。ピンクのテープがたくさんぶら下がっています。よく踏まれた道のようでしたから、遊歩道よりも昔から歩かれていた山道なんだと思います。

 

▲9:58。その証拠にも祀られていました。人々がよく歩いていた場所なんでしょうね。

 

▲10:03。通行止めになった遊歩道の反対側に出ました。この柵の向こう側から左下の沢に下りるしっかりした道がありました。

 

▲10:10。階段を上って、林道へと出ます。

 

▲10:11。林道を左へ少し歩くと、このガードレール(橋なんです)の右から下へ降りるんです。この林道を左へ進むと、麻生山東尾根の登山口があるようですね。日の出山の会が設置した道標ですが、東尾根のことを「困難な急坂」と書いてあります。そっちを歩きたいのは山々なんですが、今日はコースタイムの分かっている一般登山道を歩きます。

 

▲10:18。先ほどの日の出山の会の道標によるとこちらの一般登山道は「割となだらかな道」なんだそうです。確かにそうですね。

 

▲10:28。白岩滝の解説看板にも巨岩Big Rockと書かれていました。おそらくこの岩のことでしょう。10m近くありそうな巨岩ですね。近所の公園にこのくらいの巨岩がデ~ンとあったらいいですね。

 

▲10:39。植林の先に明るい場所が見えますね。峠でしょうか?

 

▲10:43。峠と言うか、広い場所に出ました。麻生平です。眼の前には1ヶ月前に歩いた日の出山から東に延びる尾根が見えています。

 

▲10:45。麻生平は林道なんですが、ここだけ広場のようになっています。左の道標のところに登って来たのです。ここからは写真の中央から右上に登っている登山道を歩きます。

 

▲10:51。見覚えのある電波塔が見えました。梅野木峠のそばにありました。

 

▲10:52。1ヶ月前三室山から向こう側へ降りました。御嶽駅から高峰に登る高峰北尾根もS子と二人で登ったことがあります。

 

▲10:56。麻生平から麻生山へ登り始めます。

 

▲11:00。葉が落ちた枯れ木の山ですから、明るくて暖かでした。

 

▲11:06。麻生山794m山頂です。登山者がひとり休んでいました。

 

▲11:25。山頂で大休止しました。この日初めての大休止です。休んだ最後に山頂から見える景色を撮りました。三室山から続く登山道を降りて行くと、琴平神社に至ります。送電鉄塔のすぐ右側だと思います。青梅市街地の左側に見える丘陵地が青梅丘陵ですね。前の週に歩いた場所です。

 

▲11:26。の景色も望遠で撮ってみました。左端の白く光っているのは西武ドームだと思います。中央に薄茶色の線が横に広がっていますが、これは横田基地なんだと思います。もっと空気が澄んでいればよく見えるんでしょうけどね。

 

▲11:27。麻生山の山頂を僕は初めて踏みました。金比羅尾根は何度も歩いているんですが、その尾根からは少し離れて聳えている山なので、いつも登らずに通過してたんですよね。いい山ですね。

 

▲11:34。麻生山を下っています。急な下りです。振り返って写真を撮りました。

 

▲11:37。麻生山から降りて来て、このまままっすぐ進めば東尾根です。日の出山の会の標識にあった東尾根ですね。いつか歩いてみたいと思います。この日は右に向かいます。

 

▲11:41。金毘羅尾根の登山道と合流しました。金毘羅尾根を縦走するのなら、本来は麻生山経由が正しいのでしょうが、これまで僕も麻生山は省略して、日の出山への巻き道を歩いていました。麻生山は不遇の山ですね。

 

▲11:53。金毘羅尾根は歩き易い登山道が続きます。ところどころ、陽当たりの良い暖かい場所も多いですね。

 

▲11:58。北側が開けたので写真を撮りました。右側の山は三室山ですね。

 

▲11:59。その北側が開けた場所です。この場所の景色で、昔のことを強烈に思い出しました。こんな奥多摩の低山が本格的雪山になったことがあったのです。

 

2014年2月10日。上の写真と同じ場所です。この日のことはよく覚えています。

上の写真の時のブログがこれです。

奥多摩の低山が完璧雪山に変貌! 雪山遭難に接近遭遇した金毘羅尾根ハイキング?

関心ある方は読んでみてください。

 

▲12:00。振り返ると、麻生山が見えました。

 

▲12:05。右の道が金比羅尾根、左の道は真藤ノ峰543mや勝峰山454.3mを経て、幸神へと下る山道です。

 

▲12:36。こういう感じの登山道がよくありますけれど、かなり人が手を加えた登山道に思えますね。

 

▲12:37。桜の幹だとは分かるのですが、何桜なんでしょうね? 多分、ヤマザクラだとは思いますが。

 

▲12:38。楢の木の仲間だとは分かりますが、何楢なのかは分かりません。とにかく、ドングリの木ですね。

 

▲12:40。宇江敏勝氏の本で読んだような気がしますが、檜を急斜面に植えるのは良くないそうです。この写真の中に檜の枯葉がいっぱいこぼれています。檜は葉が枯れると、米粒ほどの大きさにパラパラと細かく分かれてしまいます。急斜面だと、雨が降るとその米粒大の枯葉が全部流されてしまって、斜面の土壌を保持できないのだそうです。

 

▲12:42。それに対して杉の枯葉はバラバラにはなりません。

 

▲12:48。低山ですから、杉や檜の植林だらけです。手入れが行き届いていると、綺麗ですよね。

 

▲13:09。右の斜面は伐採も終わり、植林も終了したようです。若木を鹿に喰われないよう、で囲っています。

 

▲13:15。いつものこの場所に来ました。橋の下には林道が通っているんです。左へ降りて行くと、アジサイ山に出ると思います。

 

▲13:19。昭文社の地図でも、468m標高点を金比羅山としています。でも、金比羅という名前はインドの王舎城の守護神クンビーラが日本の四国に降り立った際、仏法守護の神「金比羅大権現」と称したことに由来しているそうです。この写真から左上に登ったところにある山頂にも行ったことはありますが、そんな宗教的な雰囲気は一切ありませんでした。僕はこの標高点は金比羅山ではないと思っています。

 

▲13:25。じゃあどこが金比羅山かということですが、この岩場の上あたりが金比羅山だと思っています。琴平神社のすぐ裏です。

 

▲13:28。琴平神社です。この裏が岩場になっています。

 

▲13:45。この東屋でこの日2度目の大休止。眼下には五日市の街並みが見えています。

 

▲13:50。琴平神社周辺は公園のように整備されています。春から初夏にかけては様々な木の花が咲くようですね。

 

▲14:06。里に降りて来ました。

 

▲14:18。萩原タケ(1873~1936)五日市に生まれ、看護婦となる。日露戦争などに従軍し、1910年には日本赤十字社病院看護婦監督に就任。1920年には第1回フローレンス・ナイチンゲール記章を受賞。彼女の生涯を称えて「日本のナイチンゲール」と呼ばれています。

 

▲14:31。武蔵五日市駅に戻って来ました。

 

この日はコースタイムの105%かかりました。青梅丘陵の時と比べると、かなり良いパーセンテージです。でも、このコースタイム表記の厳密性はさほどないでしょうから、今回割と良かったからと言って、喜べるわけではありません。それに、休憩時間込みでは130%かかっていて、青梅丘陵の131%と同じでした。昔はS子と二人で歩いていても、休憩込みでほぼコースタイムで歩いていましたから、まだまだ遅いです。