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ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

白沢川支流の笹畑川を目指したのですが・・・・

2014年08月11日 | 沢登り/多摩川小菅川水系

2014/8/3  小菅川の支流の白沢川にはこれまで大白沢と奈良倉沢に入りました。ネットで調べてもまったく情報のない沢。地形図で見る限りでは困難さがなさそうな沢だとは言え、心地の良い緊張感を抱きながら遡行でき、沢自体もそれなりに綺麗でしたから満足できたのでした。
そして今日、この白沢川水系で最後の良さそうな沢、笹畑川に行くことにしたのです。前のふたつの沢に比べると、短いですし、林道も奥まで延びています。遡行部分は短そうです。でも、地形図で見る限りでは本流の流水域には広葉樹記号しかありません。これは期待できそうです!

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▲奥多摩駅で7:25発の小菅行きバスに乗り、余沢下車。向山(オマキ平)登山口には綺麗な公衆トイレがあって、いつも利用させてもらっています。8:30ころ。

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▲車道脇の側壁には苔がびっしりと生えていて、イワタバコもたくさん群生していました。まだ山ではありませんが、綺麗なので写真に撮りました。8:32ころ。

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▲多摩川源流大学です。道路沿いに新しく洒落た塀が出来ていました。ヘルメットやライフジャケットがたくさん干してありました。8:49ころ。

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▲S子の少し先に左へ分かれる道が降りています。笹畑川出合があります。8:59ころ。006
▲笹畑川橋です。出合は橋の右下。9:01ころ。
この橋の上で高度計を650mに合わせました。

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▲舗装された林道もすぐに砂利道に。9:12ころ。

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▲途中、登山口もありました。9:16ころ。

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▲この上流が水道水源地であるお知らせの看板です。この類の看板があると、いつも以上に心引き締まります。川を汚してはいけません。9:23ころ。

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▲林道の勾配が急になったからでしょうか? 再び、舗装された林道になりました。9:28ころ。

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▲右の斜面が崩れています。林道に土砂が堆積しています。でも、ここが林道の終点。ここから左下の沢へ下りました。9:29ころ。

降りたすぐのところで、朝食、そして、沢装備。高度計は765mを示しています。
ここは沢の分岐でもあります。本流は右でしょう。左の方が沢床は低いのですが、右の方が見た目で大きく、本流の印象がするからです。
ただ、地形図では流れの分岐点は標高750mと785m、このどちらかなのですが、笹畑川橋で高度計を合わせて30分しかたっていないのに、何故15mや20mもの誤差が発生したのでしょう? 気圧が変化したのでしょうか?
750m分岐だとすると、右の方が左の倍くらいの水量はあるはずです。
785m分岐だとすれば、右の水量はかなり少ないはず。
実際は、右も左も変わらないくらいの水量でしたから、この分岐は750m地点に違いないと考えたわけです。それだと、右が本流っぽいとの第一印象とも合致します。
僕たちが進むべき沢は右! 決定です!

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▲で、その右の沢がこれなんです! 10:11ころ。
分岐のすぐ上で水は伏流になっています。この巨大な堰堤を4つほど乗り越えれば、本来の渓流があるに違いないと、信じるしかありません。
この景色を見た瞬間は、僕もうめき声を発しましたが、とにもかくにも越えてみるしかない、と腹を括ったのです。

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▲最初の堰堤にはすぐ右からも左からも取り付きようがありません。手前から大きく巻く必要がありそうです。まずは沢筋から離れます。S子の後ろの流れ沿いで休憩していたのです。水量は実に少ない! 10:17ころ。  

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▲少し上がった場所から眺めた堰堤群。2段目も巻きにくそうです。10:27ころ。

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▲4つの堰堤を大高巻きするべくまずはとにかく一直線に高度を上げています。ザレた斜面を灌木やその根を掴みながら登っています。10:40ころ。

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▲ずいぶん上がってから、その先に崩壊地らしき雰囲気を感じ取りました。林道の終点に崩れた土砂が堆積していましたが、その崩壊の最上部が登っていく右手から回り込んで、これから進む上方にあるようなのです。左斜面もザレたままですし、このまま大高巻きすることにメリットが感じられなくなりました。
という訳で、スタート地点へ戻ることとし、斜面をズルズルと下ることも危険で嫌ですから、懸垂下降をすることに。
1ピッチ目のS子です。10:53ころ。

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▲2ピッチ目。11:01ころ。

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▲3ピッチ目。30mザイルですから、10数メートルずつしか下れません。11:09ころ。

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▲4ピッチ目。11:17ころ。
5ピッチ目もありましたが、ブッシュの中ですから撮りませんでした。最後はクライムダウン。

後で気付いたのですが、各ピッチの時間間隔がぴったし8分になっているのですね。

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▲4つの堰堤の大高巻きを諦めましたから、本流の遡行は今日はなしです。ですから、標高750mから左へ分岐している支沢を見てみることにしました。
時間的にも稜線までは無理かもしれませんが、少しは沢歩きの雰囲気に浸ってみたいですからね。
左へ入るとすぐにヒキガエルがお出迎え。11:49ころ。

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▲左への支沢もすぐに堰堤が出現します。高巻くS子。写真では右上に堰堤が見えますね。11:52ころ。

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▲とりあえずこちらの方がずう~っと沢らしいですね! 12:06ころ。

この時間からの遡行は時間的にも厳しそうなので、少しだけ行って遅くとも2時ころまでには朝に歩いた林道へ戻ってくるつもりです。ですから、この辺りで休憩しました。のんびりと。

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▲再び歩きはじめると、大きな岩壁が近づいて来ました。数10mはあります。12:31ころ。

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▲すると、その岩壁基部に滝もあるではありませんか! 左岸に支流もあって、上流には小滝も見えています。12:34ころ。

ここで全てが理解出来ました。僕の現在位置把握が間違っていたことが。朝食をとっていた、あの分岐は標高750mではなく、785mだということが。ですから、右は支流で左が本流。今いるこの流れこそが本流なのです!

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▲滝を小さく右から巻き、滝の上に出て、またまた小休止。ここで地形図や高度の確認。そして、上記の結論に至った訳です。
上流を写していますが、ワサビ田跡の石組が見えます。12:55ころ。

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▲滝の上流を僕一人で少しだけ偵察して来ました。カメラを忘れたので、写真はありません。右からの支流があり、滝も見上げるような位置に見えています。
S子を心配させるのも可哀想なので、あまり上までは行きませんでした。戻って来て、沢を下り始めます。13:06ころ。

今度は堰堤を右岸から巻いておりました。
あの分岐で高度計を今度は785mに合わせます。
林道を戻り、笹畑川橋で高度計を確認すると、650mを指していました。やっぱり、あの分岐は標高785mで正しいようです。
でも、朝は何故765mを指したのでしょうか?

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▲途中、萩の花が咲いていました。今年初めての萩です。より詳しい種類は分かりませんが、こんな清楚な萩の方が好きです。14:19ころ。

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▲ヤマユリです。綺麗な花ですが、S子の好みではないようです。確かに少しでか過ぎる。14:34ころ。

乗るバスの時刻は余沢バス停で15:55。時間はたっぷりあります。暇なので歩くことにしました。バス停を3つくらい通過したと思います。山梨県から東京都に入って最初のバス停で乗ることにしました。

天益に寄りましたが、お客さんが少なく、こんな日もあるんだなと。少ないと言っても、座敷にいないだけで、カウンターはほぼ満員でしたが。

今回は地図読みの失敗で、遡行することが出来ませんでした。
ですから、いつかまた笹畑川に来ます。どんな沢なのか楽しみですね。


まったく情報のない沢へ、白沢川奈良倉沢

2013年07月03日 | 沢登り/多摩川小菅川水系

2013/6/30  梅雨時の寒気がときおり混ざり込む不安定な状況が続いています。土曜日も日曜日もどこか不安定。日曜日の方がまだましだろうと、日曜日にS子と二人で沢登りに出かけました。向かった沢は多摩川上流の支流で小菅川水系の沢。白沢川の奈良倉沢です。昨年遡行した大白沢のひとつ奥の沢です。ちなみに、その大白沢の記録は
http://blog.goo.ne.jp/1940sachiko/d/20120626  です。
地形図を見る限り、大白沢よりも佳い沢であるとは思えません。大白沢の方が流水域が広いですし、支沢もたくさんあります。保水力のある広葉樹の森も広がっているようです。
ですから、大きな期待はせずに出かけたのでした。

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▲小菅行きバスが早いので、奥多摩駅から7:25のに乗りました。余沢バス停には8時過ぎに着き、そこから延々と車道を歩きます。
大白沢出合の少し先で林道が右に出て来ます。「甲扇アサノ」という看板のあるところ。9:13ころ。

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▲左下を奈良倉沢が流れていますが、林道の終点まで歩いて、そこで遡行準備しました。もうすぐ出発の時間です。10:04ころ。

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▲スタート地点からこの小滝です。なかなか良さそう・・・・ 10:05ころ。

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▲落ち着いた雰囲気の佳い沢です。いい沢歩きが出来そう! 10:10ころ。

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▲でも、完璧な沢なんてありません。ワサビ田もありますし、植林も広がっています。10:17ころ。

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▲小さなゴルジュもときおり出現します。10:34ころ。

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▲こんな狭い流れでは両岸からのボサがうるさくなりがちですが、ここはそんなことはありません。快適です! 10:36ころ。

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▲庭園として観賞したくなるようなミニゴルジュが続きました。苔の付き具合もなかなかです。10:37ころ。
太ももや腰まで濡らしたくなければ、微妙なへつりを楽しむことも出来ます。

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▲ミニゴルジュを堪能した後には、再びワサビ田です。10:56ころ。

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▲ワサビ田が終わると、また渓流美が蘇えるのは嬉しいですね。11:05ころ。

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▲沢の中にも陽射しが入り込むようになって来ました。11:06ころ。

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▲支沢沿いにワサビ田が続いていました。11:10ころ。

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▲すぐそばを通る山道も時々歩きます。この山道は遡行をスタートした地点からずう~っと沢沿いに続いています。11:11ころ。
このあと11:20ころから、標高930mあたりで20分間の休憩を取りました。

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▲ワサビ田跡の石積み上を歩くS子。11:42ころ。

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どっか~~ん! 大滝だあ~~っ!
まったくもって、全然、こんな滝の出現は予想だにしていませんでした。こんな裏切られ方は、本当に嬉しく、痛快ですね! 
やった~あ~っ!
高さは少なくとも15mはありそうです。20mはないでしょうが、「奈良倉沢の大滝」と呼んでも名前負けしない滝としての風格も十分備えています。11:45ころ。

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▲高巻くのなら左斜面です。容易に高巻けそうです。実際には、山道がちょうど通っていることが後で確認されましたから、山道を使って簡単に高巻けるのです。
でも、それではつまりません。滝を直登しましょう! でも、今日はシャワークライミングはちょっと勘弁です。濡れるような準備をして来ていませんし、何よりもS子は濡れるのが大嫌い。
と言う訳で、水流際でないルートを探しますが、左から簡単に登れそうです。3本の黄色い矢印で表したのが登攀ルート。見た感じでは3級程度と思われます。
実際登ってみて、下から1本目と3本目の黄色線部分は2級程度。2本目辺りが3級でした。ただ、プロテクションが2と3本目の黄色線の間に立つ灌木でしか取れませんから、3級と言っても緊張感はあります。脆い岩、草、枯れ葉など、対処法を誤ると手痛いしっぺ返しを喰うモノもありますし。

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▲プロテクションを取る灌木が生えているテラスから横を眺めました。水流に近いあたりを、ハーケンを打ち込んでプロテクションを取りながら、登攀するのも楽しそうですね。僕にでも、登れそうに見えます。11:57ころ。

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▲滝の下で僕を確保してくれているS子。後方にはワサビ田跡も見えています。11:57ころ。

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▲途中のテラスの灌木からプロテクションを外しているS子。12:08ころ。
ザイルは8ミリ×30mですが、上の確保支点(灌木)までギリギリ30mでした。下で確保していたS子には2、3歩前に出てもらいました。

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▲大滝を登りきったS子です。いい表情をしています。顔はつぶしちゃってますけれど。12:10ころ。

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▲大滝の上はまたまたワサビ田跡が続きます。12:19ころ。

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▲現役のワサビ田もあります。12:22ころ。

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▲二俣です。12:24ころ。
どちらへ行ってもさほどの違いはないと思います。ただ、左俣の方が少し傾斜が緩やかですし、下山コースに近いので、左俣を選択しました。そして、2回目の休憩を12:25~12:45まで取ります。
山道は右俣の方へ入って行っています。地形図によると、少し先で西の主稜線へ上がっていっているようです。

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▲休憩した僕たちのすぐ横にヒキガエルがいました。ちょっとつつくと、奥の穴に身を隠してしまいました。12:26ころ。

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▲二俣から先にはあまり水流はありません。水の代りに多くなったのは枯れ葉です。写真に撮ったこの枯れ葉は指の指紋のような模様を作っていました。12:58ころ。

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▲素晴らしい森です。12:59ころ。

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▲巨樹が現われました。幹回り5mはあるでしょう。ただし、残念なことにこの樹はもう死んでいます。菌類や昆虫などによって何年もかけて分解され、姿を消していくのでしょう。13:07ころ。

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▲根をクネクネと四方に張った巨樹が立っていました。「ここにお坐りなさい」と誘ってくれているようです。長く生き続けている樹とは静かに語らい合える心持ちがするのは僕だけでしょうか? 13:20ころ。

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▲枯れ葉で隠れていた水の流れが最後の姿を見せてくれました。13:25ころ。085
▲枯れ葉にうずもれるようになりながら、S子が急傾斜な詰めを喘ぎながら登って来ます。13:30ころ。
このころまでは、眩しい光が谷間にまだ侵入して来ていました。

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▲眼前の稜線に登山道があるに違いありません。もうすぐです。13:40ころ。

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▲ところが、その稜線は支尾根に過ぎませんでした。登山道のある稜線はまだまだずうっと上方です。13:56ころ。

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▲登山道に飛び出したS子です。稜線の山腹をずいぶん下で巻いている登山道だったので助かりました。14:02ころ。
装備解除すると、いつもホッとします。

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▲装備解除も含めて30分間の休憩をとりました。歩き始めてすぐ、雨が降り出します。予報ではにわか雨が降るということでしたが、遡行終了後で実にラッキーです。僕は傘を差し、S子は雨具を着ます。14:47ころ。

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▲いろいろな下山コースを考えていましたが、雨も降って来たので、いちばん安全確実な登山道から鶴峠のコースを選択しました。雨も小一時間で止みました。
ここが鶴峠。これからバス停までは嫌な車道歩きです。15:38ころ。

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▲大白沢出合付近でマタタビの花が咲いていました。実も甘くて美味しいですけれど、花もとっても綺麗です。葉が白くなるのは昆虫を引き寄せるためなんでしょうかね? 16:18ころ。
白い葉になる理由をネットで調べてみましたが、分かっていないようです。園芸界で珍重される斑入りの葉の場合は葉緑素がそこだけ欠落する突然変異の場合が多いようですが、マタタビのケースでは白い葉にも葉緑素は存在しているようです。葉に空気の層などがあって、光を乱反射して白く見えるのではという説も。葉が白くなる時季と花の時季が比較的重なり合うので、葉の下に隠れるように咲いている花に昆虫が来てもらうための作戦とも考えられるようです。

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▲15:55のバスには間に合いそうにないので、のんびりと歩いて来ました。17:18ころ。
ここは余沢バス停です。次のバスは17:40なのです。一日に4本しかバスはありませんから、仕方がありません。
定刻通りバスが来ました。臨時バスも含めて2台も来ました。その理由は次のバス停ですぐに判明。東部森林公園キャンプ場でたくさんの若者がバスに乗ったのです。バス会社に連絡をしておいたのでしょうね。

今日も予定通り『天益』へ。お座敷では何か宴会が催されているようです。途中からコンパニオンも登場。コンパニオンって青梅あたりから来るのでしょうかね? 奥多摩には居そうにありませんからね。カウンター席は見慣れた顔触れの地元の方々ばかり。僕たちもしょっちゅう来ますから、顔だけは知られているようでした。

今日の奈良倉沢にはまったくの期待なしに来たのです。手前の大白沢よりもいい沢だという感触はありませんでしたから。でも、来てみたら実に佳い沢でした。今日は稜線まで駆け上がりましたけれど、時間がなかったり、初心者を連れて来ていたりの際には、大滝の上から沢沿いの山道を利用して林道まで戻れるのですから、比較的気楽に来れる沢でもあります。


素晴らしい癒し系の沢でした。が、……最後に……

2012年06月26日 | 沢登り/多摩川小菅川水系

2012/6/24  この土日はO橋君とどこかそれなりのルートへ行く予定だったのですが、彼に仕事が入り中止。その代わりS子とまたまたのんびりな沢へ行くことに。

僕自身はハードでもイージーでもどちらでも楽しく遊べるので全然構いません。そののんびり山行も最初は沢中一泊とかを考えていたのです。でも、一泊するとなると何かとパワーが必要。結局、日帰りの沢登りに落ち着いてしまいました。

僕のホームグラウンドは奥多摩です。沢登りとしての奥多摩とは多摩川水系全域と考えていますから、山域としては奥秩父や大菩薩として扱われることが多い沢もあります。多摩川支流の小菅川本谷は大菩薩峠へと突き上げる沢ですから、大菩薩山域の沢でもあります。今回の沢はその小菅川の支流・白沢川のさらに支流になります。大白沢と言いますが、鶴寝山や松姫峠へ突き上げるわけですから微妙に大菩薩山域寄りですね。

でも心配ご無用(何が無用なのやら?)! 僕にとってはこの沢は奥多摩なのです。

それはさておき、僕はいつも地形図を眺めながら「いい沢はないかなぁ?」と探しているのですが、この小菅川白沢川大白沢は以前からこのようにして目をつけていた沢だったのです。流水域がまずまず広く、ほとんどが広葉樹に覆われた山域なのです。傾斜はさほどありませんから、穏やかな沢だろうと想像できます。

ただ、ちょっと遠いのが難点で、バスに40分ほど揺られ、さらに1時間ほど出合まで車道を歩かなくてはなりません。そうまでして出かけて行って「つまらない沢だった」では申し訳ありませんから、S子と2人だけの時に実行することになった次第です。

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▲歩いていると川向こうに竪穴式住居のような家が並んでいました。「原始村」です。宿泊やらバーベキューやらが出来る施設のようです。8:40ころ。

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▲廃校になった小学校に「多摩川源流大学」と看板が掛かっていました。名前だけは知っていたので「ああここなんだ」と思いましたが、詳しい内容は全く知りません。8:50ころ。

下山して家で調べたら、「大学」という名前は単なる遊び心のネーミングではなく、本格的なものだと分かりました。東京農業大学の実習やセミナーを小菅村というフィールドを活かして実践する施設なのだそうです。当然、単位も取得できるのだとか。

しかも、村民講師が80人もいるのだそうです。山や森や川での仕事、文化などを体験を通じて教えているようです。

ところで、本当に驚くべきことはこの多摩川源流大学は小菅村のイニシアチブで出来たということ。村興しの一環として、まずは村を「源流の村」と位置づけ、村役場に「源流振興課」まで設置して実践しているというのですから、その本気度も良く分かります。

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▲蕎麦の花です。小菅村の蕎麦は美味しいそうです。9:00ころ。

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▲大白沢の入渓点はすぐそこです。この観光案内地図の看板が目印。9:07ころ。

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▲看板脇のスペースで遡行前の腹ごしらえと沢支度をしました。いよいよ遡行開始です。9:46ころ。

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▲大白沢の初印象は予想通りの好印象! 癒し系です。9:47ころ。

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▲入渓してすぐに釣り師と遭遇しました。穏やかな紳士風の方でしたのでホッとしましたが、変な奴だと大変です。以前、文句を言われ、追いかけられ、石を投げつけられそうになったこともありました。同じフィールドで遊ぶ者同士、理解しあい、遠慮しあわねばと考えています。釣り師の方には申し訳ないと思いながら、せめて見えている間は水の中を歩かないようにして遠く上流へと離れました。

釣り師の方が見えなくなって、水の中へと戻りしばらくすると、堰堤が出現。堰堤は沢屋の敵(大袈裟ですね)ですから、出現するとちょっと警戒します。その上流は大丈夫だろうかと心配してしまうのです。9:54ころ。

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▲続いてこんな倒木まで出て来ました。ますますもって心配ですね。10:02ころ。

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▲堰堤とか倒木とかの心配を吹き飛ばしてくれる2段の滝が出て来ました。10:12ころ。

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▲この週は台風やらで雨が多く降りました。大白沢もいつもより水量があるのではと想像します。水が嫌いなS子にはこの程度浸かるのも嫌なようです。10:18ころ。

水の中の方が楽な場合も多いのですけれどね。

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▲「いい沢だなあ」と安心していたら、川砂利採取場のような場所が突然現れました。林道の延伸工事でもしているのでしょうか? 沢の流れは右端に追いやられています。10:23ころ。

13分後のこと、右岸に林道終点が現れました。こことは関係あるのですかね?

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▲その後は美しい流れに戻りました。ひと安心です。写真に見える大きくて高い木はカツラの樹でしょう。丸っこい葉っぱが特徴です。なんとも心なごむ情景ですよね。10:29ころ。

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▲ときおり、小滝やらナメが現われます。水の色も綺麗です。10:47ころ。

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▲標高775m付近の支沢出合で10分ほど休憩。そこからも見えていた滝がこの滝です。遠目にはザイルが必要かなと見えましたが、近づいて見ると傾斜の緩いナメ滝でした。長さは10mほどでしょうか。11:06ころ。

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▲もっと写真を撮る技術があれば、もっと美しく撮ることができるのに! 11:11ころ。

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▲ナメが続きます。沢床の岩の色が明るいので、水も透明感のある明るい色に見えます。11:15ころ。

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▲まだまだナメが続きます。11:21ころ。

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▲水を怖がるS子はこの程度でもビビってしまいます。いま丸太に乗っているのですが、丸太が動かないかと心配しているのです。丸太に乗らなくてもそんなに深くはないのですがね。11:24ころ。

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▲大白沢のちょうど中間点あたりからワサビ田跡が出て来るようになりました。11:38ころ。

整地された面も消えていますし、こぼれワサビも一切ありませんから、相当前に廃田となったのでしょう。

この石垣は適当に積んでいるだけですから、崩れやすいので要注意です。

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▲強い日差しが沢の中へ届くようになりました。やっぱり気分も高揚しますね。11:50ころ。

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▲まだまだ豊富な水量が続きます。もちろん、小さな沢にしては、ですが。11:54ころ。

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▲標高915mあたりの支流との出合です。左が本流。11:57ころ。ここで、10分ちょっと休憩しました。

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▲美しい流れが続きます。12:11ころ。

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▲ワサビ田跡の石垣が続くことが多くなりました。12:17ころ。

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▲大きな岩を大きな木の根が包むように囲んで掴まえています。12:20ころ。

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▲明るく見えるあたりが標高950mあたりの二俣です。通過後に振り返って眺めています。どうやらここには作業小屋があったようですね。錆びて朽ちたトタンがありました。12:22ころ。

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▲ほんの少しだけ沢全体の傾斜が増して来ています。まだ小滝も時々出て来ます。12:25ころ。

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▲標高1035m付近です。左の水の流れている支沢は松姫峠へ詰め上げています。右が本流で鶴寝山方面へ行くのですが、伏流しているのか、水流が乏しいのです。12:37ころ。

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▲相変わらず美しい森は続いています。もはや水の流れは消えましたけれど。12:47ころ。

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▲12:55~13:10ころでした。沢の様子が悲しいことになっています。ゴミ、ゴミ、ゴミ。すぐ上方の道路から誰かが不法投棄したのでしょう。

せっかく美しく、心癒される大白沢が悲しい沢になってしまいました。

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▲ラストの詰めです。上方の白線は道路のガードレール。終了点です。最後の急登を喘ぐS子。13:13ころ。

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▲先週は柵を今週はガードレールを乗り越えての終了点です。13:19ころ。

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▲道路脇の水路に山の水が流れていたので、最後の急登で泥に汚れた渓流シューズを洗いながら歩きました。13:38ころ。

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▲時間次第では小菅の湯に入ろうと思っていたのですが、15:50の奥多摩駅行きバスにちょうど間に合う時間だったので、入れませんでした。田元橋バス停。15:27ころ。

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小菅から臨時バスも出て2台でしたが、すぐに2台とも満員となり、駅近くのバス停ではたくさんの登山者を積み残す有り様。ただ、途中のバス停でハイカー10人弱を見送っていた山野井妙子さんの姿を久し振りに見ました。僕の勝手な想像ですが、日本女性のアルパインクライマーの中では最強の方だと思っています。もちろん現在は指も凍傷で失っていますから、昔とは比べようもありませんが。もっともっともっと一般の方からも評価されるべき女性でしょう。

奥多摩駅ではまたまた天益です。当然天益です。ここのところ満席で入れないことが続いたのですが、今日は二人だけですし、入ることができました。カウンターに折り畳み椅子を入れてくれて、お客さんに少し詰めていただいての着席です。

僕の左隣りでは雲取の小屋のK岡さんが可愛らしい“罵詈雑言”を吐いています。しばらくすると山岳救助隊のH本さんも来られて、ときおり渋い発言をされます。

山屋の社交場としての「天益」は奥多摩では最高の舞台です。ベテランの山屋、最近登山を始めた山ガールたち、地元の住民の方々、多様な顔ぶれが集う場所。

この日も7月に初めて富士山に登るのだと、ご夫婦と息子さんが来られていましたが、周りの皆さんでアドバイスや情報を与えてあげていました。

そして、今年初めてのサクランボをお裾分けして頂きました。ご馳走様でした。