ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

尾瀬の春山初日――鳩待峠から猫又川二俣付近の天場まで

2014年05月31日 | 雪山/尾瀬

2014/5/3  恒例のGW山行になった感のある尾瀬。今年の目標は平ヶ岳と大白沢池。
平ヶ岳へは僕とS子は2005年のGWに行ったことがあるのですが、K嶋さんがまだ行ったことがないようなので、再び行くことにしました。平ヶ岳へは何度訪れても充実するとは思いますが、実は僕の真の目標は大白沢池なのです。ここでひと晩過ごすことが僕の本当にしたいこと。

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▲見なれた鳩待峠。戸倉からのバスを降りると、いつもはひんやりしたり寒かったりするのですが、今日は寒くありません。暑いくらいです。10:10ころ。

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▲左の僕のザックはおよそ25kg、右のS子のは13kgでした。S子は右足膝の大怪我をして以降、10kgを限度と考えていますけれど、どうしても12~13kgくらいになってしまうこともあります。10:11ころ。
僕もあまり歩荷力のある方ではありませんが、30代の頃にはMAX42kgくらいは背負って剱岳の三ノ窓へ登ったことがあります。その当時は25kgくらい背負っていても重いと感じずに普通に歩けたものでした。40歳くらいの時、25kg背負って北鎌尾根~槍ヶ岳~北穂高岳~奥穂高岳~西穂高岳~焼岳と縦走しました。まったく重いとは感じませんでした。
それが今では、フーフーヒーヒー言ってます。体力の低下は悲惨なレベル!

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▲至仏山の方を眺めました。雪の量は平年並みでしょうか? 平年並みの中でも少ない方だとは思いますが。10:12ころ。

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▲鳩待峠でのんびり過ごして出発しました。今年は例年よりもしっかりしたトレースが付いているように感じます。10:54ころ。

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▲いま歩いている二人の下方に木道が見えています。今年のGWはこの木道が見えている箇所の数が例年より多いと感じました。やっぱり雪解けが早いようです。10:58ころ。

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▲川上川のそばを歩くようになりました。水量は多いとは思いませんが、雪の量は少ないような・・・・ 至仏山も黒い部分が多いようです。11:46ころ。

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▲山ノ鼻直前のこの橋ですが、年によっては雪で覆われていることも珍しくありません。12:00ころ。

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▲山ノ鼻です。テントもけっこう張られています。12:04ころ。

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▲気温が高い! 風が弱い! まるで初夏のような山ノ鼻。左隅の人は短パンで腹を出して雪の上で寝ています! 12:07ころ。

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▲山ノ鼻を出発すると、広々とした尾瀬ヶ原に飛び出します。僕たちの進行方向にはススヶ峰1953mの白い山頂が見えています。12:36ころ。

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▲右(北東)を眺めると、燧ケ岳2356mの姿が。12:39ころ。

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▲雪原に赤茶けた斑点が散らばっていました。12:44ころ。
いつだったかNHKスペシャルでこの現象について放送されているのを観たことがあります。アカシボ(赤渋、赤芝?)と言われる現象なのですが、まだ完全には解明されていないようなのです。でも、どうやら複数のバクテリアが関わっているようで、とりわけジオバクターという細菌が重要なようです。この細菌は地球上にまだ酸素がほとんどなかった太古から生きていて、湿原の泥炭層に豊富に含まれる鉄分を栄養源としてしているのだとか。尾瀬の神秘のひとつですね。

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▲尾瀬ヶ原から北西方向へ。猫又川に沿って進みます。無雪期には立ち入りが制限されているエリアです。谷の幅が少し狭くなっている場所で、写真の左に見える猫又川を高巻くように通過しました。13:09ころ。

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▲柳平です。13:33ころ。

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▲この流れは猫又川左俣。少し下流に右俣と別れる二俣があります。ですから、この写真に写っているのは両俣の中間尾根。2008年のGWにはここのスノウブリッジを渡って中間尾根を末端から登りました。でも、今年は無理です。もう少し先へ行ってみることに。14:03ころ。

ちなみに、2008年は初日に外田代で幕営、二日目はカッパ山1822m~大白沢山1942.0m~ススヶ峰1953m~岳ヶ倉山1816.1m~稜線上で幕営。三日目は至仏山北尾根を登り至仏山2228.1mへ~笠ヶ岳2057.5m~咲倉沢頭避難小屋で幕営。四日目は湯ノ小屋温泉へ下山。と言った行程でした。この年はカッパ山と至仏山北尾根が目的だったのです。

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▲案の定、少し上流で猫又川左俣を渡ることが出来ました。まだ数日はもちそうなスノウブリッジです。14:08ころ。

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▲初日の幕営地に到着です。写真左に猫又川左俣が流れ、右の斜面を登って行くと先ほどの中間尾根に合流出来ます。14:24ころ。

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▲テントの設営終了です。14:48ころ。

S子は年を追って体力が落ちて来ていますし(僕も同様ですが)、今年は準備山行があまり出来ていません。それ以上にK嶋さんはこの一年間あまり山に登れていなかったようです。それでも、この山行に向けて出来る限りの準備をし、来たいという想いも強かったのです。
ですから、初日の幕営地はこの辺りと決めていました。ここまでなら、鳩待峠からほぼ下りだけです。ゆっくり歩いても、早い時刻に着きます。それに、大白沢池で幕営するのが目的ですから、この先まで上がっても、翌日の行程が短くなりすぎて都合が悪いのです。

テントを設営し終えたら、次は水。もちろん雪を溶かしてもいいのですが、せっかく猫又川がそばを流れているのですから、その水を汲めれば水作りの手間も省けますし、燃料も節約できます。
ここまで見た限りでは安全に水を汲める場所はありませんでした。さらに上流へと歩いてみました。200mくらい先だったでしょうか? 川岸に生えている木に沿って岸辺に降りられる箇所を見つけました。こんなに遠くまで来る予定ではなかったので、ポリタンは1個しか持って来ていません。1個だけ汲んで、もう1回残りのポリタン全部持って汲みに戻りました。

今晩の食当はK嶋さんです。毎回、美味しい食事を作ってくれています。
その美味しさと食欲が今回もずっと勝ってしまって、写真は一枚も撮れませんでした。夕食はもちろんですが、つまみとして持って来てくれたサラミとかが抜群に美味しかったです。贅沢気分!

コメント (1)
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GWのトレーニング―――鷹ノ巣山稲村岩尾根~榧ノ木尾根は残雪と春の花

2014年05月09日 | ハイキング/奥多摩

2014/4/25  GWに尾瀬を歩く予定にしていますから、S子のトレーニングにちょっと歩きでのあるコースを選んでみました。コースタイムは約6時間なのですが、稲村岩尾根の標高差はおよそ1200mあるのです。これで十分とは言えませんが、尾瀬に向けて少しは良いトレーニングになるでしょう。

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▲平日ですから、バスは日原鍾乳洞まで入ります。僕たちは中日原で下車。この「萬寿の水」があります。僕はいつもこの水でのどを潤すのですが、実はこの水、日原川をはさんで対岸の山腹からここへ引いて来ている水なのです!?
もともとこの水は役の行者が入山した折に名づけられたと伝えられる清水で、どんな時にも涸れることがなかったそうです。しかし、湧いている場所は対岸。せっかくの水ですが、集落の人々の日常の用水にはなりえなかったのです。それが解決されたのは明治41年のこと。対岸から水を運ぶことに成功したのです。8:41ころ。

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▲その水を運ぶ手段がこれ! 空高く中央にあるのがパイプです。対岸からパイプで流しています。ここのすぐ裏手の斜面に引いて来て、水場まで水を流すのです。8:43ころ。

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▲ヒトリシズカの花が咲いていました。9:39ころ。
埴沙萠さんのホームページを毎日読んでいるのですが、その絵日記の2014.4.19と20を読んでヒトリシズカのびっくりを教えてもらいました。同じヒトリシズカについて2006.4.25にも出ていますから、そちらを引用しておきますね。http://ciabou.com/ciabou/diary/0604/25/text.htm
読んでみてください。

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▲皆さんご存知のハシリドコロ、毒草です。9:51ころ。
ナス科なんですね。地下茎に猛毒があるそうです。僕はクロユリやアオキの花など、黒花系の花が何故か好きなのですが、ハシリドコロの花もそう言った理由で心ひかれますね。

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▲巳ノ戸沢沿いの登山道へ入ると、雪が出て来ました。9:56ころ。

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▲巳ノ戸沢から離れ登山道を急登します。足元に白い花びら模様が広がっていました。見上げて探すと、山桜。10:07ころ。

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▲稲村岩尾根の尾根筋に到着しました。登山者二人が左から降りて来ました。左へ行くと、稲村岩の天辺へ行けるのです。僕たちは行きません。10:16ころ。

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▲ミツバツツジ。10:19ころ。

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▲アセビ。これも有毒植物です。10:42ころ。
ネットで調べてみると、面白いことが書いてありました。草食哺乳動物がこれを食べないことは当然ですから、このアセビが不自然に多い地域は草食獣による食害が多いことを疑ってみた方がいいのだそうです。
話しは違いますが、個人的には今年の奥多摩であまり豊かに咲いたアセビの花を見ていないような気がします。地域差は当然あるのでしょうが、アセビの裏年なのでしょうか?

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▲古木(と言うよりは朽木)の脇に木屑がたくさん落ちていました。キツツキなのでしょうか? 10:58ころ。

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▲枯死した笹です。鹿害のひとつ。11:21ころ。
笹は鹿にとっては餌のない冬の重要な食料です。しかし、個体数の増加によってそんな食料を食べ尽くしてしまっています。すべて笹を食べ尽くすので、再び生えて来ることもありません。十数年前だったと思います。この近辺の支尾根を歩いた際にはまだまだ笹が青々としていました。それが今では全山こんな有り様です。

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▲こんな木が倒れてしまうことも、鹿害なのかどうかは分かりません。でも、可能性は否定できないのでは? 奥多摩の山では笹などの下草が消え、地肌がむき出しになってしまったところばかりです。表土からは湿り気も失せ、木々は直接外界に晒されます。土の力、根の力が弱まり、このような結果になるのやもしれません。11:38ころ。

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▲またしても倒木。無責任なことは言えませんが、倒木の白く剥かれた木肌、これは鹿が食べた跡なのでは? 12:05ころ。

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▲今日のコースは奥多摩でも標高の高い方ですし、北斜面ですから、残雪もおおいに期待していました。それが出て来ました! 12:20ころ。

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▲思いがけず、満開のアセビの木がありました。でも、ここだけ。12:27ころ。

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▲頂上のすぐ近くです。ほんの少しですが雪山気分! 12:57ころ。

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▲鷹ノ巣山1736.6m山頂到着! 13:03ころ。

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▲左から大岳山1266.5m、御前山1405.0m。いちばん右は榧ノ木山1485mだと思うのですが・・・・ 13:04ころ。

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▲左に榧ノ木山があります。中央は三頭山1531mですね。13:04ころ。

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▲手前に浅間尾根や赤指尾根が見えています。遠く平らに続いている尾根は大菩薩連嶺でしょう。13:04ころ。

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▲石尾根を東へ下って行きました。稜線なのにまだ雪も残っています。13:41ころ。

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▲水根山1620mの手前で稜線の登山道から石尾根を巻いている登山道へ移りました。
この写真、登山道の両脇に生えているのは笹です。すべて枯死しています。13:52ころ。

僕の初めての沢登りはこの写真の斜面の反対側、水根山北面の鷹ノ巣谷でした。沢登りをただ体験したくて、本を読んだだけの単独での入渓でした。ザイル、ハーネス、ヘルメットも持たず、地下足袋と草鞋だけの装備しかありません。滝は高巻き、最後はいつ果てるとも分からない藪漕ぎだったのです。その藪漕ぎがこの笹藪漕ぎ。当時は強靭な青い笹を両手で力いっぱい掻き分けながらの藪漕ぎでした。頭を越す笹の中での1時間を超す苦闘! 永遠に脱出できないのでは? 不安に押し潰されそうでした。
ところが今は、その笹藪もありません。枯れた笹はポキポキと簡単に折れますの藪漕ぎまったくなしで稜線に出ることが出来てしまうのです。藪漕ぎ好きの僕にとってはつまらない状況になってしまっているのです。

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▲S子ですが、日傘をさしているわけではありません。天気雨なのです。予報では「山沿いはにわか雨」と言っていましたから、予報的中ですね。雷鳴も遠くで轟いています。14:22ころ。

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▲その後雨はいったん止みましたが、榧ノ木山を通り過ぎて再び降り出しました。しかも、風も強く。横から吹き付けます。14:50ころ。

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▲倉戸山1169.3m到着。15:25ころ。

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▲倉戸山の広々とした山頂の一角に小振りな桜の木があり、ちょうど満開でした。15:43ころ。

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▲樹高は低く、花も小振りで、下向きに咲いています。それでマメザクラなのではと。

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▲スミレの名前は分かりません。先ほどの雨のしずくが綺麗でした。15:45ころ。

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▲ヤドリギがたくさんありました。15:50ころ。

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▲落葉樹の中には新緑よりも花が先に咲いたり、同時に咲いたりする樹が少なくありません。この木もそうなのですが、いったい何の木なのだか分かりません。ネットで調べてみましたが、カエデの仲間のような気がするだけです。難し~い! 15:53ころ。

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▲しばらく見なかったミツバツツジが再び増えだしました。山の斜面に桃色の雲が棚引くように咲いていました。16:02ころ。

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▲山道の近くで咲いていました。16:03ころ。

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▲鳥がいました! じっとして動きません。S子が見つけた鳥です。16:04ころ。

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▲山の森に透けて、奥多摩湖の水面が見えて来ました。 16:06ころ。

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▲道端でドングリの芽生えが。16:20ころ。

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▲登山道を下っていると、数十メートル先にニホンザルがいました。立派な毛並みのオスのサルのようです。これがあの畑を荒らすサルなのかもしれません。16:27ころ。

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▲スミレの仲間の正式名を調べることはずっと昔から放棄しています。でも、好きな花ですし、知りたい! 16:34ころ。

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▲マムシグサが咲いていました。16:45ころ。

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▲小河内ダムが見えて来ました。16:56ころ。

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▲Y氏の畑に立つK氏製作の案山子。16:57ころ。

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▲詳しくは『岳人』2014年5月号176ページを読んでみてください。先ほどの単独ザルも関わっているのです。16:57ころ。

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▲バス停の前には穏やかな湖面が広がっていました。こんなひと時に、柔らかく橙色の落陽が射していると僕にとっては最高のエンディングなんですけれどね。17:11ころ。
ただし、それでは下山時刻としては遅すぎるのです。もっとも、3時ころまでには下山した方がよいとする教科書的な下山設定はあまりにも味気なさすぎます。
登山活動における「安全」と「情緒」の間にもけっこう相克があるものです。

バスで奥多摩駅へ向かい、すぐに天益へ。ところが、本日天益は貸し切り! 一般客はお断りですから、暖簾も下がっていません。でも、女将さんの温情でカウンターにそおっと座らせていただけました。女性ばかり十数人の貸し切りだそうで、料理を多種類作らなければならないので、超多忙なのだそうです。同じ人数でも酒飲み客は楽なんだとか。僕もS子も酒飲み客ですから(それにしてはよく食べますが)、ときおりつまみを出してくれるのでした。満足、満足。

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