YYDのY山さんが家族の都合で1ヶ月間ほど出かけられなくなりましたから、その間できるだけ僕の方で岩トレを計画することにしました。という訳で、1月23日の日曜日に日和田での岩トレをすることにしたんです。参加者は一人K野さん。
もう少し晴れ間が出るかな、と思ったのですが、 一日中ほぼ曇り続きで、岩はけっこう冷たい状況が長かったですね。 とは言え、岩の冷たさとは裏腹にK野さんのクライミングは熱気を帯びていました。
彼にとっては1年8ヶ月ぶりの岩トレです。失われているかもしれない、そのクライミング感覚を取り戻せればいいな、くらいに僕は考えていました。 ところが、1本2本彼にリードしてもらうと、その感覚は衰えておらず、 コロナ自粛中によほど体幹を鍛えていたんだなということが分かります。
トータルで彼は5本のルートをリードしました。
・男岩南面中央ルート 3級+~4級-
・男岩南面左端ルート(下部の垂壁から) 4級
・男岩西面クラックルート 4級+
・男岩南面3段フェース 4級+~5級-
・男岩南面右端カンテ~フレーク 4級+
▲10:28。1本目は男岩南面の中央ルート3級+~4級-です。晴れてさえいれば、この時間になると南面の上半分には陽が当たっているのですが、曇っていますから、なかなか岩は温まって来ません。
▲10:31。僕としては1年8ヶ月ぶりなので、南面の左側の易しいルートを登って欲しかったのですが、彼は中央のクラック目指して進みました。プロテクションの取り方の感覚は戻っていないみたいですね。ヌンチャクが短か過ぎて、ザイルが岩を擦っていますね。
▲10:36。最上部のクラックも問題なく越えてしまいました。
ところが、上に到着してから問題発生! どうやらヌンチャクだかカラビナだかシュリンゲだか、何かが足りなくなって確保支点が構築できないそうなんです。本番ならそれでも何とかしてセカンドの確保をせざるを得ませんけれど、ゲレンデですからそのまま歩いて下りて来ることにしたようです。
そして、このルートを再びリードしました。そして、僕もフォロウ。今日の僕はすべてフォロウです。
▲11:36。2本目は男岩南面左端ルート(下部の垂壁から)4級。いま下部垂壁を登っているところ。もう少し左を登ります。このルートはこの垂壁部分が核心部ですね。
▲11:43。最上部は被ってはいますが、ガバだらけで易しいです。やっぱり1ヶ所ヌンチャクが短くてザイルが岩を擦っていますね。
▲12:09。3本目は男岩西面クラックルート4級+。このルートは最下部も核心部で4級+あります。日陰で暗くていい写真が撮れなかったというのもありますが、緊張する場面ですから僕も確保に集中しているんです。写真の左上にV字の切れ込んだクラックがありますが、そこに入り込むような感じで登って行きます。K野さんは少し右過ぎる場所にいますから、この後左へと登って行きました。
▲12:13。ちょっとボケた写真しか撮れませんでした。V字のクラックを抜けて行きます。彼は自分でも言っていましたが、かなり強引に登って行きました。クラックの奥にしっかりとしたホールドが続いていて、レイバックのような体勢で登ればさほど力は要りません。
▲13:04。4本目は男岩南面3段フェース4級+~5級-です。年末にY山さんが初リードして一人前のクライマーとしてのスタート台に片足を載せたと評価されたルートです。彼が今いる辺りも決して易しくはないのですが、安定した足取りで登って行きます。
▲13:05。核心部のプロテクションを取り、これから越えて行くところです。僕はK野さんがここで苦労すると予想していましたが、あっさりと越えて行きました。凄い!
▲13:08。2段目も楽に越えて行き、今3段目。ここもしっかりと越えて行きました。
▲13:43。5本目は男岩南面右端カンテ~フレーク4級+。下部はカンテに沿って登るルートを取ってもらいました。彼は今いる場所で苦労していました。結局、カンテと言うよりフェースの右端を登って行きました。陰になっているもう少し右を登れば楽なんですけどね。この後は、黄色の矢印のルートを登ります。
▲13:52。このルートの最上部に着きました。フレーク状の岩でプロテクションを取りました。その下のプロテクションはもう少し長く取った方がいいですね。これでは上に行く時ザイルが重くなります。フレークというのは写真の白っぽい岩のように薄片状の岩のこと。実際には薄片ではなくてもそのように見える岩の場合、そう呼ぶことが多いですね。
▲13:57。左のフレーク状岩と右の岩の間のクラックを抜けて行きます。ここはいろいろな登り方が出来るようですね。どうやって登れば楽なのか、考えてしまいます。僕はフォロウした際に、ここで足を滑らせてザイルにぶら下がってしまいました。
K野さんが3本の4級+をリードしました。 最初の2本は厳密にはレッドポイントでしょうが、ちょっとトップロープで登ったことがあるだけですし、 随分昔の2年近く前のことですから、実質的にオンサイトに近いと思います。 3本目のフレークは完璧オンサイトですね。
K野さんは一人前のクライマーのスタート台に立っていますね。 今後、一人前のクライマーとしての歩を進んでくれることを期待しています。
最後は女岩で2ヶ所にトップロープを張って遊びました。
▲14:39。最初は女岩南面右端。 ここは短いですし、あまり登ることもないのですが、僕自身が久し振りにやってみたかったんです。 狭い範囲で左から3級+、4級+、5級+(多分)を登れます。 高さはそれぞれ4mくらい。 僕は5級+のルートが登れていなかったんです。 でも、K野さんがそこを頭上のホールドを掴んで登ったのを見て、それを参考にすると、僕も登れてしまいました。 こんなことが起こるのも、クライミング(これはボルダリングっぽいですけど)の楽しみ方ですね。写真は5級+のルートを登っているK野さん。
▲15:20。最後に張ったのは女岩西面の中央ルート5.10dです。 ここは僕もトップロープですらちゃんと登れたことはありません。 若いころでも1テンか2テンはかかっていました。(テンはテンションのことでザイルにぶら下がってしまうこと) 二人とも(特にK野さんはリードをしたので)指や腕が疲労していますから、ぶら下がりまくりです。 最初の核心部にやっと到達できる程度でした。写真の箇所はまだ易しい下部です。
▲15:22。この写真辺りが最初の核心部。ここからレイバックの姿勢になって登ります。僕もK野さんもそのレイバックになった辺りまでしか登れませんでした。
でも、平山ユージの動画なんかを見ると、あまりに手数少なくスイスイと登ってしまうので、 僕も彼の真似をして登れば、出来るんじゃないかと錯覚してしまいますね。
平山ユージがこの女岩西面中央ルート5.10dをリードする動画を載せますね。
https://www.youtube.com/watch?v=Zye0gL3GW90
平山ユージにとってはこの程度のルートは超簡単なルートですから、意識的にゆっくりと登っていると思いますね。観客の皆さんにじっくりと登り方を見せてあげるために。核心部の難しい箇所もわざと難しい場所だと分かるように苦労しているように登って見せているんだと思います。本気になったら数秒とか10秒ほどで登れてしまうはずです。
結局、日和田の岩場に最後までいたのは僕たちでした。 麓のうどん屋さんの玄関先で10分ほどは待ちましたが、入って打ち上げ。 とは言え、埼玉県はアルコールは提供できないんですね(涙)。 でも、食べなれたおいしい料理をいただき、最後に腰の強いうどんも食べました。 アルコールはなくても、岩トレで疲労した肉体と満腹感で、酔っているのと同様の気怠い心地よさに浸れました。
K野さんとY山さん、YYDの今後が楽しみですね。