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ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

今年最後の沢登りを奥多摩の惣岳沢で行ないました

2023年01月18日 | 沢登り/多摩川北秋川水系

最初に、惣岳沢か惣角沢かについて記しておこうと思います。僕が初めて惣岳沢の存在を知ったのは、1992年に発行された『改訂増補 東京付近の沢』を見た時だと思います。その本では「惣岳沢」となっていました。その後、1996年に発行された『奥多摩 大菩薩 高尾の谷123ルート』では「惣角沢」となっています。あまりメジャーな沢ではありませんから、他の本ではあまり目にしていませんね。最近はそんな本は購入していませんから、どうなっているのでしょう? 2万5千図では「惣角沢」となっていますが、2万5千図の表記はあまり信用できません。間違いが多いことはよく知られていますからね。

奥多摩を歩く人のバイブルと言われている宮内敏雄氏著『奥多摩』では「惣岳沢」となっています。ですから、戦前は「惣岳沢」だったのかというと、そうでもなさそうです。東京瓦斯山岳会編『秋川の山々』では「惣角沢」と書かれています。それぞれ『奥多摩』は1944年(1943年かも)、『秋川の山々』は1940年の発行です。まあ、宮内氏のファンとしては「惣岳沢」を選びたいですね。

さらに言わせてもらえば、奥多摩に限らず沢名と山名が一致していることは多いです。川苔谷と川苔山(この山名も川乗山とも書きますね)、月夜見沢と月夜見山、雲取山と大雲取沢、鷹ノ巣山と鷹ノ巣谷のように。そんな例はいっぱいあります。それなのに、惣角沢と惣岳山では可笑しいですよね。

 

この話題は以上にして、惣岳沢の遡行報告です。この日の遡行テーマは「濡れないこと」です。濡れた方が楽なケースでも、濡れずに突破する困難なルートを選択する。まあ、それほど大袈裟には考えてはいませんが。この日の惣岳沢がいつもよりも水量が多いことと、最近の気温の急激な低下で、濡れると酷く寒いはずだからです。僕自身、基本的に濡れるのは好きではありませんから。

 

2022年10月8日(土) 惣岳沢

▲9:28。この日のメンバーです。右からSRさん、H田さん、N村さん。ガードレールの右端から入渓します。

 

▲9:31。入渓地点を振り返ると、こんな感じ。ガードレールから階段を下ると、橋が架かっています。滝見台までの道が整備されています。

 

▲9:39。入渓後すぐにゴルジュが始まります。F1-5mは水流の右が3級で登れるようです。しかし、そこに取り付くまでが深そうな釜をへつるのでしょうが、濡れそうです。

 

▲9:41。左には手摺り付きの滝見物用山道が通っているので、それを利用して高巻きました。

 

▲9:51。F2-2段4mは釜も深そうで滝に取り付くまでに全身濡れそう。しかも、水を浴びながらのクライミングになるのも必至です。当然、高巻きます。左から高巻きました。SRさんが50mザイルを引いて、高巻きます。僕も様子を見るために、10mほどザイル沿いに直上し、SRさんと残りの2名ともに見える位置まで行きました。SRさんは15mほど横に進み、それから沢床へ下降します。下降する箇所でSRさんとしては時間がかかりましたから、そこが難しそうですね。

 

▲9:51。通常はこのようなケースではラストにはN村さんなのですが、H田さんがフリクションノットを 正しく使えるかどうかを僕は知りませんでしたから、2番手はN村さんにお願いしました。ラストはH田さん。

 

▲10:03。N村さんが僕の前を通過して、先へと進みます。

 

ラストは本来はクライミング能力が優れた人が務めます(トップも同様です)。ただ、僕はH田さんのクライミング能力、沢での歩く実力を知りません。H田さんが登って来るのに応じて、僕も先に進みます。沢へ下降し始めるところまで、僕は来ました。すると、そこから先に、プロテクションがないのです! プロテクションが取れそうな灌木や岩角もありません。泥っぽい斜面なんです。(SRさんも「取りたかったんだけど、取れる所がなかった」と言っていました)こんなやばそうな場所をH田さんに下降させるわけにはいきません。ここで滑ったら沢床まで一直線です。

 

▲10:16。と言う訳で、下降し始めるポイントから懸垂下降することにしました。僕が自分のセルフビレイを取っていた灌木を利用して懸垂下降をしました。H田さんに先に降りてもらいます。最後に僕が降りました。で、高巻き終了。この日の沢登りではここが核心部でしたかね。勉強になった場所だと思います。

 

▲10:22。F3-5mはよく見ると左壁に残置のシュリンゲがありました。登れそうですね。僕がリードしました。3級+くらいですね。濡れないつもりだったのに、右腕と右肩が濡れてしまいました。

 

▲10:35。H田さんも軽やかに登って来ます。

 

▲10:38。N村さんも続きます。全員スムーズにフォロウ。

 

▲10:45。F4-5mは見るからに登れそうにありません。

 

▲10:46。高巻くしかありません。右の方が小さく巻けそうです。

 

▲10:51。ひとつ間違えると谷底に落下して、酷いことになりそうですが、ザイルを出すほどでもなさそうです。緊張感を持ちながら、慎重に高巻き終了。

 

▲11:25。しばらくは穏やかな渓相が続きました。

 

▲11:46。崩壊地もあります。

 

▲11:48。蜂の巣ですね。スズメバチの仲間の巣のようです。熊とかハチクマに食べられた残骸かもしれませんね。

 

▲12:02。久し振りの滝です。

 

▲12:05。水流の左を登りました。

 

この後は難しい滝も難しい高巻きもなく、順調に進みました。僕が記憶していた4級-くらいのスラブ滝は結局ありませんでした。どこに行っちゃったんだろう?!

 

▲12:10。巨樹ですね! カツラの木かな?

 

▲12:11。水量は乏しいですが、立派なゴルジュですね。

 

▲12:13。倒木帯もありました。

 

▲12:23。分岐点では地図読みもします。僕はいい加減で、本流らしきルートを選ぶだけ。奥多摩ではその程度のルートファインディングで危険な目には遭っていません。

 

▲12:39。今年の奥多摩はが綺麗です。

 

▲12:53。この滝が少し難しい滝かもしれません。土砂で滝の下部分が埋もれてしまっていますね。

 

▲13:02。ナメ滝も現われました。

 

▲13:05。緩傾斜の滝ですが、慎重に。

 

▲13:27。次第に源流の雰囲気になって来ました。

 

▲13:40。水流もそろそろ消失しそうです。

 

▲14:08。ラストに待ち受けていた感動は湧き水でした。水も消えた最後の詰め直前、沢形の右の泥壁に岩場があって、その岩の下から水が流れていました。この湧き水は僕もほぼ毎回見ています。

 

▲14:21。さらに沢の奥壁にぶつかった時のことです。その岩場の下から1.5mほどの滝になって水が流れ落ちていました。水が枯れてしまって相当登って来ているのに、突然の小滝です。やはり、奥壁の岩場の下から水が湧き出ていました。ここを見たのは僕は初めてだと思います。いつももっと左を登っていたのだと思います。直前に三俣がありましたけれど、僕はいつも左に入っていたのでしょうかね?

 

▲14:28。奥壁を右側から巻きました。急な泥斜面です。この写真の辺りでは少し傾斜が緩み始めています。

 

▲14:41。最期を詰め上げて、無事に遡行終了。易しい沢なんですけれど、充実感はありますね。元気者のSRさんがトップで到着。僕は2番手でした。

 

▲14:44。ラストのN村さんが最後の力を振り絞って駆け上がって来ました。

 

▲14:55。ヘリが飛んでいました。僕たちの上空で2度ほどホバリングしていました。何か事故か遭難があったのでしょうか? 

 

▲14:58。装備解除する前に記念撮影。右からH田さん、僕、N村さん、SRさん。

 

御前山山頂で装備解除して下山開始しました。すると、すぐに先頭のSRさんが向こうから登って来た女性と英語で語り合っています。そして、その女性は僕たちと一緒に下山することになりました。彼女はシンガポール人で仕事で1週間ほど日本に来ていたんだそうです。来日は3回目だそうですが、この日初めて日本の山を登ったんだそう。明日、成田から帰国するんだそうです。少し不安を感じ始めていたのでしょうね。僕たちと一緒に下山するという選択は正しいと思います。この時間ですから、1回でもルートミスをすると、下山が日没後となりかねません。小さなナップザックのようなのを背負っていました。懐中電灯は持っていたのかな? 彼女は日本語も話せませんし、標識を見ても理解できるかどうか?

 

▲15:31。御前山避難小屋。

 

▲15:59。カツラの巨樹が出て来ました。ここを通るたびに目にする立派な樹です。

 

SRさんは勿論ですが、H田さんも彼女と話していましたね。若いころ、ワーキングホリデイの経験があるのだそうです。さらには、奥多摩駅での反省会にも誘ってみました。彼女は快諾。

 

▲17:11。境橋バス停に到着。

 

▲17:48。彼女にとっても日本での今回最後の夜に楽しい思い出が出来たことでしょう。そして、なんと偶然ですが、H田さんがたまに行っているクライミングジムと同じジムに来日中の彼女も行ったのだそうです。クライミング(ボルダリング)を始めて2年だそうです。 動画を見せてくれましたけれど、ランジ(次のホールドに飛びついて掴む)など交えていましたから、上手なんですね。電車で一緒に帰りました。


北秋川の月夜見沢はやっぱり佳い沢でした

2018年07月19日 | 沢登り/多摩川北秋川水系

2018/7/1  僕が月夜見沢へ初めて入ったのは1983年5月15日のこと。あまり山行記録を残さない僕が、『東京周辺の沢』(昭和54年発行)という当時としては珍しい沢のルート図集の月夜見沢のページに鉛筆書きで書き留めてありました。僕が沢登りを本格的にスタートさせたのはこの本を発見してからです。仲間もおらず、ザイルワークも出来ない僕が、このルート図を精読して「ザイルが不要な易しい沢」のみに季節をかえて、幾度も訪れたのです。

その最初は鷹ノ巣谷でした。1980年5月3日のことです。翌々日に何故だかもう一度入ってますね。この年には他にも逆川、水根沢谷、棡葉窪、石津窪、海沢も登っています。ノーザイルで登れない滝はすべて高巻いています。

上記の沢と比べると、月夜見沢は易しい沢なのに登ったのは遅いですね。交通の便が悪かったからでしょう。この本にも「小岩行バスに乗り終点下車。北秋川に沿った車道を約1時間30分歩く」とあります。多分最初は、ときおり一緒に行くこともあった知人の車で行ったのだと思います。
その後も、バスよりも人数揃えてタクシーで行った記憶の方が残っていますね。

今はバスが藤倉まで入りますから、便利になりました
ちなみに『改訂増補 東京付近の沢』(1992年発行)には「藤倉行バスに乗り終点下車」と書かれています。 


▲終点の藤倉バス停で下車。そこのトイレを使わせてもらってから、車道を上流へ歩きます。二つ目の橋が落合橋。その橋の脇に階段があって、それで沢へ降ります。そこで、朝食&沢準備。8:44ころ。


▲月夜見沢出合は準備をした場所からすぐ下流に見えています。沢歩きのスタート。9:15ころ。


▲いつ頃だったでしょうか? 1990年代でしょうか? 右岸の林道工事が大々的に始まったことがありました。その頃は沢も荒れてしまいました。そのせいで、しばらく月夜見沢には入らなかったこともあります。今は下流部も綺麗ですね。9:17ころ。


▲今日は僕も含めて3人パーティー。I田さんは今日が沢登り2回目。この写真の直後、水流沿いに登ったI田さんは滑ってドボ~ン!「濡れたくない!」って言ってたのに全身ずぶ濡れになってしまいました。9:23ころ。


▲ここは姫淵ですかね。SS木さんが喜々として水の中に。彼女は「水に濡れたい派」なんです。9:29ころ。


▲SS木さんが泳ぎ始めました。9:29ころ。


マタタビの花が満開です。9:42ころ。


▲堰堤も続けて2つ出現。どちらも右(左岸)から越えました。9:52ころ。


▲月夜見沢は南向きの沢ですから太陽の日差しがたっぷりと入ります。水面もこんな感じ。9:58ころ。


▲簡単に高巻ける瀞にもSS木さんはごく自然に突入! 10:03ころ。


▲僕はどっちを巻いたかなぁ? 10:04ころ。


▲ここではSS木さんも諦めて、巻いていますね。10:07ころ。


▲岩盤の上を水が流れていきます。10:14ころ。


釜淵でしょうか。SS木さん、チャレンジング! 10:19ころ。


▲滝まで辿り着いて、水流に逆らって登って行きます。10:20ころ。


▲ちょっと苦労していましたが、登り切りました。僕とI田さんは右岸を簡単に高巻き。10:21ころ。


▲最初の休憩です。10:32ころ。


▲水面に陽の光がたくさん当たって、水の様子が沢ではないみたい。明るい! 10:55ころ。


▲右岸の高いところを通っていた林道が沢と変わらない高さまで接近してきました。この林道の終点も間近です。水遊びだけならこの林道で出合に戻ることも出来ます。11:11ころ。


▲右岸の林道もそろそろ終点です。立派な橋が出て来ました。車も停まっていました。猿江の集落につながっている山道なんでしょうか? 初めて月夜見沢を遡行した際は二俣付近から猿江集落経由で下山したんだと思います。11:17ころ。


▲マタタビがちょうど花盛り。沢の岩の上にも落花の風情。11:20ころ。


▲木橋があって、山道も沢沿いに上流に延びていましたから、そちらを歩いてみました。昔はもっと歩かれていたんでしょうね。涼しくなったらS子と歩いてみたいと思います。途中からSS木さんもこの山道に上がってきました。11:27ころ。


▲SS木さんが鹿の角を見つけました。右手に持っています。持って帰ろうとしたんですけれど、思いのほか、生臭くて諦めました。で、記念にパチッ! 11:32ころ。


▲ここが二俣でしょう。11:36ころ。


▲右俣のヒイラギ沢に入りました。本流は左俣なんですが、あまり滝がありません。右俣には結構小滝があります。11:44ころ。


▲SS木さんは水につかって小滝に取り付きます。11:47ころ。


▲I田さんは倒木の上を渡ります。11:48ころ。


▲続く小さな瀞にも飛び込んでいくSS木さん。11:49ころ。


▲I田さんはへつります。11:50ころ。


▲大きなミミズに驚かされます。11:53ころ。


▲小滝を登るI田さん。11:59ころ。


▲右俣でいちばん高差のある6m滝。12:06ころ。


▲二度目の休憩。奥の二俣付近でしょうか。12:16ころ。


▲奥の二俣からは左俣に入りました。これまでは右俣から小河内峠に直接出ていたんです。倒木が多くなりました。12:38ころ。


▲小滝も続きます。12:50ころ。


▲水流も減り、源流ですね。13:04ころ。


▲水の流れも消えてしまいました。13:11ころ。


▲見上げると森の窓から青空が綺麗です。13:14ころ。


▲沢から離れ、右の斜面を登り始めます。急登! 13:21ころ。


▲SS木さんがI田さんをしっかりと守ってあげています。13:35ころ。


▲傾斜が緩くなり、登山道までもう少し。13:42ころ。


▲登山道到着! 13:52ころ。


▲装備を解除し、小河内峠へ向かいます。1分ほどですぐに小河内峠でした。14:16ころ。


▲小河内峠からは清八新道を下ります。14:17ころ。


▲清八新道は歩きやすい山道です。14:29ころ。


▲ジグザグに山道が付ていますから、なだらかです。14:31ころ。


▲ここから更に尾根筋を下ってもいいのですが、僕たちはここから右へ下ることにしました。急ですが、ちょっと近道。14:36ころ。


▲奥多摩湖岸の道に降りて来ました。蛇沢(水久保沢)を渡る橋です。14:54ころ。


▲「15:55のバスで行く? それとも15:23?」と聞くと、ふたりとも「15:23」と。僕はのんびりでも構わなかったんですが、急遽、休憩なしに速足で行くことに。15:07ころ。


▲こんな写真もちょっとだけ立ち止まって急いでパチッ! 15:13ころ。


▲左端の建物あたりがバス停。ダムの上を歩くんですが、結構距離はあります。このままでは間に合わないかもしれないので、この直後くらいからさらに速足で急ぎました。その甲斐あってか、バス停に着く直前にバスが到着。ギリギリで間に合いました。15:17ころ。

今回月夜見沢を遡行してみて、あらためて佳い沢だなぁと感じました。
林道工事で荒れた時期もありましたが、今はほぼ自然にもどっているようです。


月夜見沢上流を初めて遡行しました

2014年08月06日 | 沢登り/多摩川北秋川水系

2014/7/24  月夜見沢へは幾度となく入ったことがあります。最初にこの沢を遡行したのは1983年5月15日のようですから(昭和54年5月発行の『東京周辺の沢』草文社の初版本を持っているのですが、その月夜見沢のページにその日付がメモされていました)、10回近くは入ったことでしょう。
しかし、不思議なことにそのすべてで二俣から上流は右俣のヒイラギ沢しか遡行していないのです。という訳で、左俣の月夜見沢本流をS子と二人で遡行してみることにしました。

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▲武蔵五日市駅で7:43発の藤倉行バスに乗りました。50分ほどで終点の藤倉です。写真のここが藤倉バス停。8:57ころ。
すぐ近くには公衆トイレもあります。

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▲バス停の横を流れる沢は惣岳沢ですから、いったん本流の北秋川に戻り、上流へ進み、この落合橋を渡らなくてはなりません。橋を渡ると、右へ月夜見沢林道が分かれています。9:11ころ。

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▲林道上ではヒキガエルが出迎えていてくれました。9:37ころ。

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▲月夜見沢林道は舗装された歩き易い林道でした。前半は急な登りが多いですが、後半は平坦で、下りも出て来るほどになります。かつてはこの工事の影響で、月夜見沢へ大量の土砂が流れ込み、沢登りが詰まらなくなった時期もあったのです。9:37ころ。

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▲林道終点です。ここで泊まって火を燃やしたのでしょう。燃えカスが散乱していました。綺麗に使用して欲しいものですね。9:53ころ。
この先が二俣ですから、山道を探しましたが、草が生い茂っていて見つかりません。少し手前に、河原へ降りられる場所がありましたので、そこへ戻りました。

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▲その河原がここ。沢装備を身に付けます。10:24ころ。

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▲これです! これ! 名前が分からなかったあの花が開いています。10:34ころ。
ちなみに以前、矢沢と落沢でまだつぼみだった時の花はこちら。

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▲これは矢沢で。

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▲これは落沢で。

花の名前はギンバイソウ。銀梅草です。昔の分類ではユキノシタ科、最新の分類ではアジサイ科に属するようですね。

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▲そのギンバイソウに虫が付いていました。帰って調べると、ヨツスジハナカミキリのようです。しかも、交尾中。背中に乗っかっている(下)のが♂でしょう。写真をクリックして拡大して見て下さい。オスのお尻から交尾器が伸びていて♀と繋がっています。メスは花の花粉を食べるのに一生懸命なんだそうです。

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▲月夜見沢もこの辺りでは沢というよりも普通の川といった感じです。河畔には木が生い茂り、岸は草で覆われています。最近のS子は沢登りでは現地調達の木の棒が必需品です。10:42ころ。

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▲切り取って写し込むと、こんな美しい光景も多くあるのです。10:49ころ。

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▲流木もそれなりに多かったのですが、沢岸がこんな状況になっていたのですね。10:59ころ。

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▲二俣です。右がヒイラギ沢で小河内峠へ突き上げています。これまではいつも右へ入っていたのですが、今日は本流の左へ行きます。11:00ころ。

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▲一段と流木や倒木が多くなって来ました。11:12ころ。

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▲それでも水は澄みわたっています。11:15ころ。

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▲沢そのものはなかなか良い造形なのですが・・・・ 11:19ころ。

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▲しばらく楽しいゴルジュが続いています。11:24ころ。

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▲2mほどの小滝なのですが、Ⅳ級くらいのムーブはありそうです。S子は濡れるのを嫌がりますから・・・・ 11:28ころ。

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▲右岸を高巻きました。11:31ころ。

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▲ここより下流の方では、まだ蕾でした。ところが、ここは咲いています。確かに日当りの好い岩場ではあるのですが、不思議です。今年初めてのイワタバコの花。11:38ころ。

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▲S子は怖がりで、こんな木の上を歩くのも嫌がります。11:41ころ。

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▲体重の軽いS子はこの程度の水流でも足をさらわれてしまいます。結局、もう一歩下がって太い木の折れている辺りから渡りました。11:45ころ。

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▲ゴルジュはまだ続いています。11:53ころ。

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▲こんな風にくぐったり跨いだりを続けると、けっこう疲れるものです。腰や背中の筋肉が疲れますね。11:59ころ。

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▲ゴルジュなのに左右の山から倒木が落ち込んで来ています。原因は何なのでしょうか? 11:59ころ。

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▲綺麗なゴルジュのはずなんですが、灌木の枝や木っ端、山から落ちて来ている角張った石などが散乱しています。後方では山肌が崩れていますね。12:02ころ。

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▲少し落ち着いた風情になって来ました。12:19ころ。

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▲雰囲気のいいところでお昼休みをとって、再スタートしたら、またこんなことに。12:47ころ。

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▲沢岸の岩場でヤマユリが咲いていました。12:52ころ。

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▲沢岸の山肌が崩壊しています。原因がよく分かりません。強いて言えば、鹿害のような気もします。低灌木や下草が食べられて少なくなっていますから、植物による土壌の保持力が低下しているのではないでしょうか? 12:53ころ。

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▲アワムシの巣? でしょうか? シロオビアワフキという名のヨコバイに近い昆虫の幼虫が入っているのだとか。12:54ころ。

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▲ここも崩れてますね~ぇ。13:11ころ。

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▲時折は沢らしい雰囲気の良い場所も現われるのですが・・・・ 13:29ころ。

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▲まずまずの雰囲気ですね。13:36ころ。

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▲そう思っていたらこの惨状! 13:39ころ。

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▲再び良い雰囲気が続き、この沢、最大のナメが現われました! 今日の白眉です! 14:00ころ。

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▲10mほどの長さのある上段のナメです。美しい! 14:01ころ。

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▲流木の詰まったゴルジュです。14:07ころ。

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▲深い水のなかを歩くか? それとも、怖い丸太の上を歩くか? S子にとっては厳しい選択でした。14:08ころ。

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▲源流のはずなのに、まだまだ水量がありますね。14:16ころ。

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▲苔生した景色になりました。14:18ころ。

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▲しばらく見かけなかった木の橋が現われました。仕事道も沢沿いに通っているのが見えます。時間も押して来ていますから、利用することにしました。14:29ころ。

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▲沢沿いにこのような仕事道が続いています。14:47ころ。

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▲山道が沢から離れて行くと沢筋を歩きますが、またその道が沢沿いに戻って来ています。ですから、結局またこの山道を利用することに。それほど新しい仕事道ではないようですから、架けられた木の橋もこの写真の橋のように真ん中で折れていたりします。15:09ころ。

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▲しばらく山道も不明瞭で、沢筋を歩いていましたが、再び立派な木の橋が! しかし、この仕事道は沢沿いではなく、左上方へ沢から離れていくようです。
高度計を見ると、標高970mくらい。どうやらこの仕事道はこの沢筋と並行して東にある尾根へ上がっているようです。
結局、ここから沢を離れ、尾根へ向かうことにしました。15:29ころ。

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▲仕事道は尾根を巻いてもっと東へ行っていました。写真のこの尾根が僕たちが登るべき尾根。なだらかな尾根です。15:41ころ。

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▲途中、イグチが生えていました。かなり傘が開いていましたので、採集はしませんでしたが、以前食べたことがあるイグチの仲間だと思います。15:51ころ。
家のキノコ図鑑で調べると、アカヤマドリのようです。そうなら、美味しいキノコのようですね。

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▲気になる植物があったので、写真に撮りました。花は咲き終わっていましたが。15:55ころ。
家にある学生時代に購入した『新改訂学生版 牧野日本植物図鑑』で調べます。だいたいいつも、この本であたりをつけ、ネットで確認するのです。
今回はスムースに発見! イチヤクソウでした。昔はイチヤクソウ科に分類されていたそうですが、今はツツジ科イチヤクソウ属なのだそうです。常緑の多年草なのに、ツツジ科なんですね。

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▲1160mほどのピークを越えて、風張峠に出て来ました。16:13ころ。
この道路は奥多摩周遊道路ではなく、藤倉とつながっている風張林道なのです。道路上で寛いで、装備解除しました。

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▲左のゲートで閉ざされている先の道が風張林道。S子が歩いているのが奥多摩周遊道路です。16:49ころ。
本当はこの写真の写っていない右にある駐車場から山のふるさと村へ下山する登山道入り口あったのですが、気付かずに北へ歩いています。10分はタイムロスしました。

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▲正しい登山道へ入れましたが、昭文社の地図とは変わってしまったルートもあります。17:05ころ。

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▲先日の落沢遡行後に歩いた奥多摩周遊道路に出ました。17:56ころ。

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▲山のふるさと村に到着です。18:16ころ。

このころはまだ18:43のバスに間に合うのではと考えていました。でも、ここからバス停までは40分近くかかっていたのですね。
山のふるさと村を通過したあたりから、S子の調子が悪くなりました。腰に痛みが走ったのです。ともかくまずはゆっくり休み、19:16のバスに気持ちを切り替え、S子のザックも僕が持って、ゆっくりと歩きました。

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▲麦山の浮橋からの奥多摩湖の夕景。19:03ころ。
登山としては良くないことなのですが、個人的には早い時間の下山よりも夕景色を味わいながらの下山の方が好きです。山里が夕焼けに染まる中、バス停や駅へ急ぐ。大好きです。

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▲小河内神社バス停到着です。19:10ころ。

天益へも遅い時間の到着です。今日は何も言われませんでしたけれど、遅い下山を叱られても仕方ありませんね。反省。
前回の落沢に比べると、今日の月夜見沢上流部は水平距離が倍くらいありますから、S子にとってはいきなりのジャンプアップだったのかもしれません。それに、倒木を跨いだりくぐったりする動作が延々と続くのはけっこう疲れるものですから。
腰に痛みが走ったのも、そんな負担が大きかったからでしょう。腰の痛み自体は2、3日で和らいだようです。

月夜見沢上流部があまり遡行されていない理由ですが、ヒイラギ沢で小河内峠へ向かった方が奥多摩湖方面に降りるにしても檜原村へ降りるにしても近いからだと思います。それに、本流が思いの外長く時間がかかるからでしょうね。月夜見沢の下流部を楽しんだ後ですから、早く下山したい気持ちが働くのでしょう。


知られても、注目されてもいない北秋川の御林沢へ、期待を胸に

2012年06月19日 | 沢登り/多摩川北秋川水系

2012/6/17  日曜日は雨だとばかり思っていたので、家で大人しくしているつもりでした。ところが、土曜日夕方の天気予報、「午後は晴れて暑くなるでしょう」なんて言っているじゃぁありませんか!

S子に「行く?」と、同行の確認をとり、一挙に沢モード突入。

前日夕方の急な決定ですし、明朝の天気次第では中止になってしまうかもしれませんから、山仲間には声を掛けられません。S子と二人だけとあって、のんびり、癒し系の沢歩きの沢を選びます。

夜7~9時、野暮用でちょっと外出しなければならず、帰宅後夕食。それから山行計画を練ったという次第。ですから、先月白岩(しらや)沢を実行した際に気になっていた御林(おはやし)沢へ行くことにしました。雨も10時前後までは残るかもしれませんから、バスも9:27と、前回と同じです。沢が違うだけで、電車やバスはみんな白岩沢の時と一緒です。

御林沢は白岩沢最大の支流。ネットで調べてもまったくヒットしません。全然です。地形図を見る限り、傾斜もなだらかな穏やかな沢のようです。広葉樹記号も半分ほど占めており、特に上流は広葉樹だけですから、それほど荒れてはいないはず。まあ、もちろん、それは僕の楽観的すぎる毎度の希望的観測なんですが………。

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▲白岩沢の水を利用した浄水場が建っています。沢登りが「水を汚染させる恐れのある行為」だとは思いませんし、思いたくもありませんが、心して入渓しなければと心を引き締めました。10:41ころ。

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▲御林沢出合には11時頃には到着しました。腹ごしらえと沢支度をして、いよいよ遡行開始です。11:32ころ。目の前、右から左へ本流の白岩沢が流れています。御林沢は向こうから手前に流れている沢。

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▲入渓後すぐの沢の印象は重要です。11:34ころですが、とてもいい雰囲気ですね。期待が持てます。

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▲と思っていたら、すぐに人家が見えて来ました。無粋な石垣、そして前方にはコンクリの堰堤までありました。11:38ころ。

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▲堰堤を過ぎると、沢も落ち着き、まずまずの渓相です。11:48ころ。

沢での歩き始めは、その沢の岩のフリクションをはかることが大切になってきます。滑り易い岩もあれば、ザラザラして滑りにくい岩もあります。表面に生えている苔によっても左右されます。御林沢では赤茶色の苔が要注意でした。いまS子の右足がかかっている岩などがそうですね。ヌルッとしているので、不用意に足を置くと滑ります。

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▲御林沢の特徴の一つは緑にむしている苔が多いことです。下流から中流域まで左岸はずうっと植林帯だったのですが、さほど荒れた感じはありませんでした。写真のように倒木にすらびっしりと苔が生えています。11:51ころ。

でも、今後もし伐採が入ってしまうと、沢は荒れに荒れてしまうのでしょうね。

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▲待望の滝が出て来ました! 奥の滝は高さは3mほどしかありませんけれど、雰囲気のある滝です。11:55ころ。

でも、結局この滝が御林沢最大の滝でした。

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▲3m滝を観察して、登攀ルートを探ります。水流左の凹角を登ることにしました。11:56ころ。

今日はハーケン、ハンマーは持って来ていませんし、途中にピンも灌木もありませんから、プロテクションは取れません。僕がノーザイルで登って、上からS子のためにザイルを投げます。グレードですが、Ⅲ+~Ⅳ-くらいだと思いました。

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▲3m滝の上流ではこれまで以上に穏やかな渓相が続きました。相変わらず、左岸には植林があるのですが。12:13ころ。

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▲この程度の小滝ばかりが連続します。倒木もありますけれど、さほど気にはなりません。13:00ころ。

この写真に写っている白っぽい直線ですが、多分フラッシュに光ったクモの糸だと思います。先頭は小枝を手に、クモの巣を払いながら歩きます。

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▲標高750m地点で林道が沢を横切りました。それ以前から左岸上方に、その後右岸にも見えていたのです。植林作業では出ないようなゴミが多くなってきたので、「何かあるな」とは思っていましたが、林道だったのですね。地形図にはもちろん、昭文社の地図にもまだまったく載っていません。13:04ころ。

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▲再び穏やかな渓相が続きます。13:09ころ。

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▲佳い沢です。御林沢への評価はこの頃にはもう確定していたと思います。「佳き沢歩きの沢」。13:21ころ。

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▲佳い沢でも、倒木はあります。何度も何度もくぐったりまたがったりしなければなりません。沢登りを楽しむにはそんなことさえも楽しむ度量が必要ですね。13:41ころ。

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▲沢沿いによく咲いていました。ガクアジサイの仲間でガクウツギだそうです。13:54ころ。

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▲二俣です。標高900mくらいです。このすぐ手前くらいまで、左岸の植林地は続いていました。ここから上流は左俣に関する限り、植林には出遭いません。

ここでは15分間ほど休憩しました。そろそろ出発です。14:24ころ。

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▲二俣を過ぎると、これまでよりは少し傾斜が増します。岩床だとそれだけでナメ滝状態。14:32ころ。

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▲小滝も連続します。14:35ころ。

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▲沢に立つ巨木ですが、妙なことになっていました。根元のウロに根っこが見えるのです。どうやら、少し上部の木の股に根付いた他の木の根のようでした。14:49ころ。

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▲傾斜はどんどん強まります。右岸が崩壊しているガレ場が出て来ました。こういう場所は急いで通過です。14:56ころ。

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▲突然眼前に巨大なコンクリート壁出現! 奥多摩周遊道路直下では見たことはありますが、道路はまだずっと先です。何のための壁でしょうか? 15:00ころ。

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▲壁を左から越えると、右方向の微かに尾根状を呈しているコースを登ります。もう沢地形からはおさらばです。15:08ころ。

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▲飛び出してくる場所はちょうど浅間尾根駐車場です。15:14ころ。

ここで装備解除。都民の森まで周遊道路を歩いて30分くらいでしょう。15:28のバスには間に合いませんから、今日も16:45で帰ります。

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▲周遊道路を歩いていると、こんな丸まった葉っぱがたくさん落ちていました。

昔の人はこれを「不如帰の落とし文」とか「鶯の落とし文」だとか風流に表現していました。中にはオトシブミという名前の甲虫の卵が産みつけられています。

            *   *   *   *   *

16:45のバスは武蔵五日市駅への直行便なので、手前のバス停前にある馴染みの店には今回も寄れません。またまたH島の九州料理の店です。今日は気温も高かったはずなのに、店ではなぜか二人とも焼酎のお湯割りを飲む気分。黒糖焼酎「長雲」はロックがお勧めですが、お湯割りも悪くはありません。「長雲」のあとは芋焼酎のお湯割りを2種類飲んで終了。


沢登りでは今年初めて北秋川の白岩沢でザイルを使用しました

2012年05月30日 | 沢登り/多摩川北秋川水系

2012/5/27  S子の足の調子も先週の沢では問題がありませんでした。というわけで、先週よりは5割増しの長さの沢を目指します。北秋川最奥の白岩(しらや)沢です。ネットで調べても2、3件しかヒットしない、情報がほとんどない沢です。『奥多摩』の著者・宮内敏雄さんも「目星い滝もない沢である」としか記していません。

でも、昔からとても気になる沢で、いつか行ってみたいと思っていました。北秋川の源流は月夜見沢だと言われていますが、入渓点の落合橋から眺めると白岩沢の方が本流に思えて仕方がないのです。白岩沢は沢と接して沢のほぼ中間まで立派な道路がひっついていますから、遡行対象はその上流部だけになってしまいます。出合から遡行可能な月夜見沢に比べるとちょっと残念ですけれど、気楽に楽しめる距離なのでまあいいこととしましょう。

公共交通機関でのアプローチは武蔵五日市駅からのバスですが、これが6:32と9:27しかありません。いつもはもっと仲間がいますし、タクシーを利用して8時前後に駅をスタートするのですが、今日は二人だけなのでそうもいきません。本当は6:32発のバスで行きたいのですが、前夜用事があって帰宅が10時過ぎになり、それから夕食を食べたりしたので、9:27のバスにしたという次第。終点藤倉までは50分近くかかります。

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▲藤倉バス停は惣角沢へ少し入った道路にありますから、北秋川本流に戻ってから上流へ向かって歩きます。以前、そこらへんを間違えてタイムロスしたことがありました。月夜見沢遡行のスタート地点になる落合橋を過ぎたら、白岩沢です。道路から眺める限り、単なる沢歩きにしかならない渓相です。さらに進むと、右へ登って行く道路が別れる地点に着きました。10:53ころ。写真は振り返ってみた様子です。

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▲やがて土の林道になりました。11:00ころ。

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▲さらに山道に変わります。11:02ころ。

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▲山道が沢から離れそうになったので、沢へ下りました。標高720mあたりです。今日は遅いスタートになったので、いつもほどはのんびりと出来ません。11:10ころ。

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▲早い昼食と装備の装着で30分以上はかかります。まずまず佳い雰囲気の沢です。期待を抱きながら歩いていますから、こんな滝の連続に出遭うと喜びも一入ですね。11:55ころ。最初に見た感じでは3段の滝かなと思いましたが、実際に進んで見ると下が2段の滝で上の滝とは離れていました。2段の滝は1mと2mです。2m滝は流れの右の岩が脆くて直登出来ません。左を小さく巻くのですが、これも少々いやらしかったです。

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▲上流に見えていた滝がこれです。5m。12:04ころ。岩をチェックしてみましたが、すぐ下の滝のようにボロボロと岩が剥がれるようなことはありません。流れの右を登ることにします。S子にはザイルを出すこととし、僕がザイルを引きながら登ります。見た目でⅢ級-くらいだろうと思いました。実際に登ってみてもそのくらいなのですが、若干の岩の脆さと落ち口の滑り易さとがあって、主観的にはⅢ+くらいはあるでしょうか?

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▲S子のフォロウです。ザイルは8ミリ×30m。12:19ころ。今年初めて沢でのザイル使用です。ザイルを使うと少し充実感が生まれますね。

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▲ザイルセットの方法に満点の正解はないと思っています。この5m滝では、いちばん近くにあった大きな木の幹に支点を取り、まずは長めに伸ばしてセルフビレイを取りました。セルフビレイ側(左)のザイルの途中にフォロワー用の確保支点を作って確保します。

大きな木を支点にしていますから、ボディビレイにこだわらなくてもいいと思います。それに、セカンドのビレイですし。

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▲この辺りの山林も里に近い訳ですから、ご多分にもれず植林帯が多くあります。したがって、倒木もあり、沢も荒れます。倒木がうるさい箇所ではこの写真のように仕事道がすぐそばにあったりして、利用させてもらいました。12:33ころ。

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▲標高770m付近で北からの大神宮ノ沢を合わせてから再び滝が連続するようになります。12:38ころ。

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▲5m滝です。流れのすぐ右を登りました。12:39ころ。

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▲続いて現れた滝です。6mほどでしょうか。12:42ころ。

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▲上の写真4枚のナメは12:44~12:49ころのもの。ナメが連続していて、白岩沢でいちばん美しい流れだと思います。

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▲ここは標高825m付近の二俣です。12:52ころ。右に見えている流れは狢岩(むじなや)沢、左が本流の呼び名を変えて仏岩沢です。ここでしばらく小休止です。

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▲まだ佳い渓相は続くようです。ナメ小滝が現れます。13:07ころ。

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▲ホウ!ホウ!ホウ! と、文字にし難い歓声が僕の唇から弾き出ました。大滝の出現です。この滝の存在だけはネットで知っていましたから、まさに期待通りの姿です。13:09ころ。

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▲大滝前衛の小滝です。13:11ころ。大滝の真下まで進みましたが、結局戻ることになりました。この小滝群の下降もちょっとだけいやらしい。

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▲大滝です。13:14ころ。15mはあると思います。大滝が登攀出来そうなら、登攀するつもりで来たので、ハーケンとハンマーも持って来ています。流れの左がルートになるのでしょうが、案の定、ハーケンの姿なんかまったく見えません。

少し遠目から眺めた時には、登れそうに見えていました。すぐそばまで来てよ~く見ても、やっぱり登れそうに見えます。ところが、周囲の地層を見ると、奥に高く、手前に低くなっているようです。つまり、逆層です。

オ、オ、オ、と、今度はシビアな目で再び岩を眺めました。小テラスに見えていた場所が今度は外傾し安定して留まれない場所に見えて来ます。少し離れて、再度見直すと、上部の小テラスらしき場所もヤバそうな場所に見えて来ました。

この滝を登るのならば、ハーケンももっとたくさん持って来なければ駄目でしょう。ザイルも9ミリザイルが必要のようです。

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▲大滝の登攀はあっさりと諦め、高巻きを開始しました。小滝を3つほど下降し、左岸に取り付いて高巻きます。写真は高巻きし終えて、沢床に戻るところ。13:31ころ。

沢の流れが途絶えている個所が、大滝の落ち口です。

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▲大滝の上流では植林帯が沢に接近するようになりました。倒木も多くなり、沢身を歩けなくなることも多くなります。13:38ころ。

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▲作業小屋も現れたりします。14:09ころ。

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▲巨大な岩が出現しました。水流は岩の左側ですが、沢とは関係なく、ただゴロンと存在しています。14:15ころ。

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▲この大岩を右から越して、裏側の大岩の姿にまた驚かせられました。14:21ころ。波のように水平な重なり合う模様や、人が入り込んで座禅修行でも出来そうな穴が開いています。

家に帰って宮内敏雄さんの『奥多摩』を読むと、出ていました。この岩は仏岩と呼ばれているのだそうです。「仏岩は沢の真中にある巨岩で、俚人がこの岩の上で小石を何気なく蹴転がしたら、斜面を上部に転がったなどの怪譚があるのである」

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▲ウツギです。14:25ころ。茎の芯が中空になっているので空木(うつぎ)と呼ばれるのだそうです。また、旧暦の卯月(4月)に咲くので「卯の花」とも呼ばれます。

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▲チゴユリ(稚児百合)です。花言葉は「恥ずかしがりや」「純潔」だとか。14:31ころ。

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▲沢の倒木やボサも増えてきて、沢底を歩くメリットが少なくなってきました。左岸の急登を登ることにしました。14:45ころ。

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▲倉掛尾根に沿って走る風張林道に飛び出しました。15:04ころ。この先に風張峠があります。予定通りの場所に出たので満足です。

利用できるバスの本数が少ないですから、最悪でも16:00までにはここに到着するつもりでした。休憩時間も少なめに歩きましたから、余裕の到着。

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▲最初はマイヅルソウ(舞鶴草)かなと考えていたのですが、マイヅルソウは葉の形がハート形でそれこそ鶴が舞うような形だとのこと。

これはユキザサ(雪笹)なのだそうです。葉っぱが笹の葉のようですね。15:57ころ。

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都民の森からのバスが16:45に出ます。まだまだ時間的には余裕。でも、ゆっくり歩き過ぎたのか16:30頃になっても建物が見えて来ません。すると、大きな音量で放送が聞こえてきて、閉園時刻が16:30であることと、バスの発車時刻が16:40!!だと言うじゃありませんか!?

建物も見えて来て、16:45なら余裕だと思っていたのに、この放送です。ゆっくりと歩いていたのでは間に合いません。急ぎ足で、最後になると僕だけ先行して走ってバス停に向かいました。

本当に罪作りな放送ですよね。やっぱり16:45じゃあないですか! 最後に少しだけですが走って損をしました。

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武蔵五日市駅へ直行するバスだったので、打ち上げはH島でしました。九州の料理と酒が出る店です。少~し高いのですが、気に入っている店です。ここには奄美大島の黒糖焼酎ではお勧めかつ稀少な「長雲」が置いてあるのです。ロックで飲むと、黒糖独特の素朴で甘いような香りと味が広がります。この日は数量限定でキビナゴのから揚げもあり、美味しく頂きました。