ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

南秋川小坂志川を久し振りに遡行。その美しさを見直しました!

2018年09月05日 | 沢登り/多摩川南秋川水系

2018/7/14  沢登りが上達するにはとにかく数多くの沢へ入ること。これが僕の考えです。人はより有名で美しい沢、すなわち一般的に遡行価値が高いとされる沢に入渓したがります。
でも、僕は遡行価値が高評価でない沢でも、登ってみた価値は同等だと思います。つまり、連れて行ってもらう、お客さんなら高い対価を求めても仕方ありませんから、遡行価値が高いとされる沢へ向かうのも当然かもしれません。客なんですから。しかし、沢屋として自立したい者ならば、学ぶべき事柄はどんな沢にでも無限に転がっているのです。

まあ、そんな理屈は別にして、今回の小坂志沢ではS上さんとT橋Kさんにトップを任せ、いろいろな判断を委ねたのです。僕は沢登り初めてのK端さんと沢の経験は少しあるもののYYDでは初めてのS藤さんをフォロウすることに。ところが、翌日から越後の中ノ岳に泊りで行くことになっているK野さんが急遽参加することに。その二人の世話はK野さんに任せて、僕は遊軍的に自由に動けるようになりました。気楽です!  


▲タクシーは思いのほか林道の奥まで入ってくれました。小坂志林道をさらに奥へと歩きます。8:40ころ。


▲林道が沢から離れていくあたりが遡行スタート地点です。沢へ降り、準備していると、先行していたパーティーが先に進んでいきました。ここより下流で遡行を開始したようですね。9:38ころ。


▲僕たちも遡行スタート。出だしは心地よい沢歩きです。9:51ころ。


イワタバコの花が美しく咲いています。9:58ころ。


▲沢登り初めてのK端さんも順調に歩いています。10:01ころ。


▲K野さんは水浴び大好き! 10:05ころ。


▲森の緑と光あふれる中を進みます。10:09ころ。


▲大きな釜と滝が出てきました。10:10ころ。


▲普通は左の二人のように釜のふちをへつって行きますが、普通じゃないK野さんは泳ぎます。10:11ころ。


▲K野さんは流水の右を登りましたが、ちょっと苦労してましたね。10:14ころ。


▲ザイルが必要な場合はS上さん(中央)とT橋Kさん(左)にこの日はやってもらいました。10:20ころ。


▲浅い流れでも、ほら! この通り! 10:22ころ。


▲小坂志川の沢床の岩はこんな縞模様のところが多いですね。10:45ころ。


▲岩盤の表面をサラサラと流れる水。10:49ころ。


▲僕はこんな穏やかな陰影に溢れる沢の風景が大好きです。10:50ころ。


▲右から簡単に登れるのに、水につかって取り付くK野さん。10:53ころ。


▲ここでも。11:21ころ。


▲S藤さんも水に飛び込みました! 11:34ころ。


▲K端さんも! 11:34ころ。


▲キノコは難しくて分かりませんね。アミスギタケとかハチノスタケとかでしょうか? 11:39ころ。


▲気持ちの良い流れが続きます。11:46ころ。


▲沢登り初心者のK端さんにT橋Kさんが助け紐を出してあげました。11:54ころ。


▲この滝でも。12:05ころ。


▲流水の芸術! 12:12ころ。


▲少し開けた場所に出ました。こんな場所で焚火にあたりながら一晩過ごしたいですね。12:17ころ。


▲小休止後すぐに、二俣っぽい場所が出てきました。地図読みが好きなT橋Kさんが熱心に現在位置の確認をしてくれています。12:50ころ。


▲上流になって、こんな感じの倒木も現れ始めました。12:58ころ。


▲この先で唯一ザイルでリードした滝。13:07ころ。


リードしているのはS上さん。確保はT橋Kさん。S上さんはこのあたりで残置のハーケンを発見しプロテクションを取りました。ナイスリード! 13:08ころ。


▲K端さんもこの滝をフォロウ。イワタバコの花も応援しています。13:21ころ。


▲源流になると、だんだんと斜面なんだかナメ滝なんだか区別がつかなくなりますね。13:30ころ。


▲もうすぐ水も消えてしまいそうです。14:01ころ。


▲もう水もありませんね。もはや沢の詰めのスタートです。14:24ころ。


ホオノキの若い果実。14:31ころ。


▲尾根が見えてきました。14:40ころ。


▲詰めの急登を頑張るK端さん。初心者にとっては沢の詰めは辛い洗礼のようなもの。これが楽しめるようになれば、一人前の沢屋でしょう。14:41ころ。


登山道に出ました。K端さんもご苦労様。彼女のザックはなぜかK野さんが。15:06ころ。


連行山山頂にて。15:07ころ。


万六尾根を下山します。15:21ころ。


▲長閑な下山道。15:54ころ。


▲前の週に軍刀利沢を遡行したK野さんたちですが、この道標を見落として、このまままっすぐ先に進んでしまったそうです。正しくは、ここから右へ。16:35ころ。


▲南秋川を渡る橋が見えてきました。17:00ころ。


柏木野バス停に到着しました。17:02ころ。

小坂志川にも数多く訪れていましたけれど、改めて佳い沢だなぁと感じました。
S上さんとT橋Kさんにはトップを歩いてもらい、お助け紐を出したり、滝をリードしたりしてもらいました。翌日から越後三山の中ノ岳に行くことになっていたK野さんにはK端さんとS藤さんのフォロウをお願いしました。S藤さんは経験者だけあって心配なし。K端さんももう何本か沢を体験すると、沢体力も養われるでしょう。


熊倉沢左俣で滝の登攀や沢の下降のミニトレーニングを実践しました

2016年07月22日 | 沢登り/多摩川南秋川水系

2016/7/3  この春、僕が入会したYYDは沢登りと雪山がメインの山岳会です。でも、決して先鋭的ではなく、無理のないレベルで楽しむ、そんな雰囲気の会です。T口さんといろいろな話をしていると、YYDではこれまで沢の下降をしたことがないと言うので、沢の下降を計画してみました。それが熊倉沢左俣東沢遡行~西沢下降です。


▲タクシーで落合橋まで入り、林道を進みます。T口さんは熊倉沢が初めてですから、遡行開始点を自分で見つけてね、と言ってあります。案の定、遡行開始点を横目に林道をどんどん歩いて行きました。I城さんが気付いて、T口さんに声をかけました。
左俣に入った場所で沢登り装備を身に付けます。8:51ころ。


▲この時季、奥多摩ではこの白い花をときおり見かけます。花の名前はなかなか分からなかったのですが、いつだったかやっと分かりました。今回もすっかり忘れていて再度名前を必死になって探したのです。ギンバイソウ(銀梅草)です。写真はまだ蕾ですが、咲くと花弁は5枚で梅の花に見立てたようです。9:04ころ。


▲いよいよスタート。トップはT口さんです。この後、木橋から続いている仕事道に入りました。9:16ころ。


▲仕事道をそのまま進み、二俣手前で沢へ戻りました。写真はその二俣。まずは左の東沢を登ります。9:21ころ。


▲まずは小手調べの易しい2段の滝から。9:22ころ。


▲K田さんが小滝を登ろうとしています。9:24ころ。


▲すべてが小規模ですが、ナメもあります。9:27ころ。


▲ちょっと嫌らしそうな小滝が出て来ました。今日は短い沢ですし、ザイルワークの練習にもなりますから、積極的にザイルを出すようです。9:33ころ。


▲リードはT口さん、確保はI城さんです。T口さんが取り付いてみると、意外と難しいようです。9:37ころ。


▲この辺りから水流の中へ入ったと思いますが、この小滝の核心ですね。9:38ころ。


▲僕が2番目に登り、その次にI手さんが登ります。彼女は運動神経がいいのか、すいすいと登って来ました。9:48ころ。


▲すぐ上の滝をノーザイルで登っているI手さんを心配しながら見ているT口さん。エイト環をATCっぽく使っています。9:51ころ。


▲I手さんの次に登って来たI城さんがすぐ上の滝を登っています。9:53ころ。


▲再び小滝が出現。見た目はさほどでもなさそうですが、念のためにザイルを出すことにしました。すると、意外に手ごわいようです。リードしたのはK田さん。10:07ころ。


▲前回同様、僕、I手さんが続きます。10:13ころ。


▲左の山肌はミズの畑のようですね。10:22ころ。


▲次に出て来た小滝はザイルなしで越えて行きます。10:24ころ。


▲小さな沢ですからボサや倒木も多いです。沢は早くも源流の雰囲気。10:30ころ。


▲水はとっくに涸れてしまっています。10:55ころ。


▲まだ沢地形だけは辿っていますが、両サイドの尾根もすぐそば。11:03ころ。


▲「目の上の尾根が登山道かしら?」などと想像し始めています。11:17ころ。


▲とうとう沢地形から離れて、支尾根へ上がります。11:19ころ。


▲枯葉の下にギンリョウソウを発見! 11:23ころ。


▲いよいよ登山道間近! 11:26ころ。


▲登山道へ出て、3分ほど右へ歩くと熊倉山山頂でした。ここでひと休み。11:30ころ。


▲山頂で30分近く休憩し、今度は西沢の下降です。地形図で確認した地点から登山道を離れ、下へ下へ。11:58ころ。


▲水はまだ流れていないのですが、涸滝が出て来ました。太い木にザイルを巻き、懸垂下降します。12:19ころ。

この後だったでしょうか、この沢を登ってくるパーティーに会いました。T口さんが「水は出て来ます?」と聞いたのですが、「あんまり」との答え。その答えに違和感を覚えるのは僕だけではないと思います。


▲写真では分かりにくいのですが、けっこう急な下りなのです。枯葉で埋まった足元は底が見えないので気を付けなければなりません。でも、ここはさほど嫌な状態ではありませんでした。12:28ころ。


▲沢の下降では下方の状況がよくは把握できませんから、懸垂下降を多用することになります。この滝では40mザイルをフルに使用しました。12:38ころ。


▲小さくて見えないでしょうが、いまI手さんが懸垂下降中。写真中央ではK田さんとI城さんが待っています。その下のナメ滝はクライムダウンします。12:44ころ。


▲この滝あたりから水の流れがありますね。3mもない滝ですが、懸垂下降。僕が持って来ていた30mザイルをセットしました。13:03ころ。


▲上部で遭遇したパーティーの方が言っていた、水が「あんまり」ないとの答えの理由が中流域で分かりました。この写真の10分ほど前から沢の水が伏流して地上から消えたのです。13:24ころ。


▲ヒキガエル。水も出て来ました。13:26ころ。


▲やっぱり沢には水がなくっちゃ! 滝のクライムダウンも途中からドボ~ン! 13:35ころ。


▲この小さな隙間にも、最後はドボ~ン! 13:36ころ。


▲登ると易しい滝も、下りではけっこう気を遣います。K田さんがクライムダウン。13:41ころ。


▲沢登り2回目のI手さんには念のためのお助け紐連結で。13:43ころ。


▲東沢と西沢の合流点に戻って来ました。13:54ころ。


▲朝、沢装備を装着した場所で今度は装備解除します。14:02ころ。


▲木橋を渡って林道へ戻ります。14:27ころ。


▲今朝、タクシーで送ってもらった落合橋が見えて来ました。14:45ころ。


▲南郷バス停到着です。14:57ころ。

着替えを持って来ている人はここで着替えました。僕も上着だけを着替え、Tシャツに。パンツから全部着替えている人もいましたね。
I手さんは今日の暑さにちょっとやられたようでした。多分、暑い中での詰めが大変だったのでしょうね。

バスで武蔵五日市の五日市バス停で降りて、「音羽鮨」に向かったのですが、なんとなんと! 今日はお休み。その理由は秋川の多分何かの大きな催しなのでしょう、そこで出張料理を頼まれたのだそうです。スタッフは全員そちらへ行ってしまうのですから、仕方ありません。
別のお店を見つけなければなりません。そば屋さんに入ったのですが、料理は美味かったものの店の親父さんが何となく不機嫌そうな方で・・・・

最後にT口さんの沢の下降の印象をひと言。(会への山行報告より)
「降りられない滝は懸垂下降でおりながらの快適な沢下降でした。沢の中は涼しくて体力をさほど使う事もないですし、慣れない下降の足の運びに何度か足を滑らしましたが後半はだんだんとコツも分かってきました」


A野さん1年ぶりの沢登り――前夜祭も下山後の打ち上げも格別!

2013年08月04日 | 沢登り/多摩川南秋川水系

2013/8/2  山の仲間は僕にとって宝のような存在。いつまでもずうっと一緒に山へ行けることを望んでいます。でも、みんなそれぞれに事情を抱えた社会人ですから、なかなかそういう訳にはいかないものです。卒業、就職、結婚、出産、転職、引越しなど人生の転機・境遇の変貌で山から離れて行かざるを得ないことがあります。病気や怪我なども影響します。加齢による体力の低下も影響することがあります。山から離れないまでも、山へ行ける回数が減少してしまう理由は次から次へと無尽蔵に出現します。

今回久し振りに沢登りを一緒にすることになったA野さんもそういう一人。山を愛する気持ちだけは失うことはありません。彼女とは1年ぶりの沢登りです。1年前の山行がこちら。
http://blog.goo.ne.jp/1940sachiko/d/20120802

A野さんは前夜から我が家に泊まることになりました。拝島駅前の九州料理「かさ」で黒糖焼酎「長雲」など飲んで積もる話を始めたのが夜の8時ころ。仕事疲れがあるA野さんのことを思って、早めに切り上げ早めに寝る予定でしたが。気が付いてみれば余裕で10時を回ってしまっていました。

翌朝は6時に起床、電車に乗り、7:58武蔵五日市駅到着。タクシーで小坂志林道へ入ります。林道を少しだけ入ると、タクシーはそれ以上入れません。林道歩きになりますが、ちょうどいいウォーミングアップです。

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▲湯場ノ沢出合です。林道が湯場ノ沢を渡っているのです。下の写真は林道の橋の上から眺めた湯場ノ沢。穏やかな流れです。9:44ころ。

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▲沢へ入るとすぐに写真のようなコンクリート槽が出て来ました。9:58ころ。
これが鉱泉跡でしょう。その水を舐めてみると、ほんのりと硫黄(硫化水素)の味がします。香っても同様です。『俚人は外傷によいと古来より利用している』(「奥多摩」宮内敏雄著)と出ていますが、どのような活用法だったのでしょう? 夏ならこの場での水風呂も心地良さそうですが、寒くなると無理です。ここに風呂場を建てて、薪で焚くのも大事(おおごと)になります。源泉を汲んで運ぶのも出来そうにありません。それはともかく、どこから鉱泉が湧きだしているのでしょうね。コンクリート槽の上の斜面でしょうか? コンクリート槽の底の地面からでしょうか?
この鉱泉があるために湯場ノ沢と呼ばれるようになったのです。もともとは沢の源頭の山・万六(ばんろく)ノ頭が沢名となり、分かれた3つを下流からトバノ万六、ナカノ万六、オキノ万六と呼んでいたのです。今日遡行するのはオキノ万六沢。湯場ノ沢の本流です。

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▲小滝が出現しました。10:07ころ。

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▲3~4mの小滝です。水流沿いが易しそうですが、左右のどちらからでも登れます。10:08ころ。

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▲この滝をA野さんは水流左から登りました。もともとバランスクライミングの上手い人ですが、1年のブランクがあっても、それを感じさせない安定感のある登り方でした。10:10ころ。

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▲ヒキガエルです。腰から下は沢水の中。10:10ころ。

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▲イワタバコです。沢のプリンセスのような花。10:21ころ。

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▲僕はこんな平凡な沢の光景が大好きです。手前の瀞の水の透明度は抜群で、奥に続く穏やかな流れはどんな名庭にも負けません。10:23ころ。

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▲左からの流れが湯場ノ沢本流。奥からこちらに流れるのはトバノ万六沢です。10:25ころ。

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▲トバノ万六沢出合を過ぎ、最初の滝がこの4m幅広の滝です。左から巻きました。10:28ころ。

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▲続いて、3m、2m、2mの連瀑が現われました。10:29ころ。

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▲連瀑最初の滝は水流右を登ります。10:32ころ。

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▲こんな所に座っておられると、ヒキガエルは立派に沢のマスコットですね。10:38ころ。

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▲いろんな景色の中を全身の筋肉を動かして登っていきます。10:43ころ。

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▲平坦地があったので休憩をとりました。今日は急ぐ理由がひとつもないので、ゆっくりと遡行しています。10:48ころから20分ほど休んだと思います。
そこで生えていた草の葉っぱです。虫が食べたのでしょうが、どこかで必ず繋がるように食べ進むのは芸術的とさえ言えますよね! 11:01ころ。

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▲再スタートするとすぐにナカノ万六沢出合でした。いつか、ナカノ万六沢を遡行してトバノ万六沢を下降してみたいと思っています。11:12ころ。

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▲4mほどの小滝がふたつ連続していました。下段の滝は少し難しい(3級+くらい)ので、高さもあり念のためザイルを出すことに。ちょうどいい場所にまだ新しいボルトが打ち込んでありました。有り難く使わせてもらいましたが、本当に必要なボルトかどうか、ちょっと複雑な感想も抱きますね。
S子が登って来ます。慎重にスタンスやホールドを探しながらの登攀。11:42ころ。
後に続いたA野さんはとてもスピーディー、腕は衰えていませんね。

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▲この沢一番のゴルジュがここです。難しい滝はなく、快適に高度を上げられます。上は11:52ころ、下は11:57ころです。

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▲僕のコンパクトデジカメ(オリンパス‐タフ TG‐615)でここまでフラッシュを焚いたり焚かなかったり適当に決めて来ましたが、だんだんと薄い霧が出始めました。肉眼では判別できないほどなのですが、フラッシュを焚くと一目瞭然! 霧の微細な粒がフラッシュの光で白く光って、こんな感じになってしまいます。12:00ころ。

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▲それで、フラッシュは焚かないことに。すると、こんな感じです。12:01ころ。
美しいナメ滝です。滝の落ち口左の巨樹は桂の木でしょうか? 

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▲桂の巨樹の根っ子だと思います。沢水を求めてこんなに伸ばして来ています。ちょっと赤みを帯びていますね。12:02ころ。
沢登りの途中で様々な樹が沢水を吸収するための根を伸ばしている姿に出会いました。いちばん面白かったのは人の腕ほどの太さに成長した藤の蔓。蔓の途中が沢の流れのすぐ上を通っているので、いきなり蔓から房のような根っ子を沢へ降ろすように伸ばしているのです。植物にも強い想いがあるとしか考えられません。
この10数分後、2度目の休憩をとりました。

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▲この花も名前を覚え易い花のひとつ。蕾が球形で丸いのでタマアジサイ。ここまでもたくさん咲いていましたが、この辺りはとりわけ多く、沢がタマアジサイで覆われるほどでした。12:51ころ。

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▲沢がタマアジサイなど低木に覆われることが多くなったので、傾斜の急な右の支尾根に逃げることにしました。人の踏み跡らしきものもあったからです。
この写真で分かるように沢は緑に覆われてしまっています。13:03ころ。

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▲植林の下層には低灌木が密生していました。その中にはサンショウや木イチゴの仲間など、棘のある木も多かったので慎重に避けながら登りました。13:07ころ。

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▲やっと密藪から脱出! 13:24ころ。

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▲その支尾根を登りつめると登山道が現われるとばかり考えていましたが、登山道から伸びて来ている別の支尾根(13:33ころ到着)でした。それでもとりあえず装備解除し、その支尾根を登り、登山道に合流したのがこの写真です。14:07ころ。
間に合いそうなバスの時刻は15:20。それに乗り遅れると1時間17分後までバスはありません。僕が持っていたルート図には下山タイムが1時間10分となっていました。でも、それは沢屋のコースタイムですから、僕はS子にこう告げました。「急げる場所では少し急いで歩くよ」と。

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▲柏木野のバス停に到着しました。ちょうど1時間で歩きました。15:08ころ。
家に帰って下山に要する時間を再度調べてみました。僕の持っていたルート図は『改訂増補 東京付近の沢』(白山書房 1992年発行)でした。関本快哉さんが執筆しています。関本さんは比較的余裕のある山行タイムをとる人という印象があります。1時間10分ですから、僕たちが普通に下山するくらいのコースタイム。
他のルート図も調べてみました。『奥多摩・大菩薩・高尾の谷123ルート』(山と渓谷社 1996年発行)では1時間になっています。普通の沢屋の普通のタイムでしょう。
『東京周辺の沢』(白山書房 2000年発行)では、な、な、なんと! 45分になっています。これは沢屋の中でも若くて元気な連中のタイムでしょうね。このコピーを持って行っていなくて正解でしたね。「45分で行けるのか。まだ1時間13分もあるからのんびり下山して楽に間に合うぞ」と考えたに相違ありません。

五日市バス停で下車し、いつもの「音羽鮨」へ。ちょうど暖簾を掛けようとしている時で、夕方からの営業再開にぴったし間に合いました。ここでは僕の大好きな芋焼酎『三岳』をボトルキープしています。
下山後の打ち上げ、ただでさえ酒も旨く、料理も美味く感じるのに、1年ぶりのA野さんです。楽しく美味しい打ち上げでした。


ザイルに絡む反省点と焼酎に絡む反省点

2012年08月08日 | 沢登り/多摩川南秋川水系

2012/8/5  最初は小坂志川の本流へ行こうと考えていました。何年前だったか、10年ほど前になるでしょうか、本流を遡行した時、中流部周辺の植林が大量に伐採された影響で沢は倒木だらけ、それより上の遡行を諦めて、支尾根に逃げたことがありました。

もうそろそろ沢も元の姿に戻っているだろうと、久し振りに行ってみようと思ったわけです。そんな時、ふと、「ちょっと待てよ」と思いついたのがキットウ谷沢です。僕が持っている『奥多摩の谷123』ではすでに僕が行ったことのある沢、という印が付いています。でも、まったく記憶がありません。それはともかく、沢沿いに付けられた林道の工事によって、沢がすごく荒れてしまったという情報を貰って以来、僕にとっての遡行対象から外れてしまっていたのです。

キットウ谷沢もそろそろ昔の姿に近づいているのでは、一度そう思い始めると、記憶に残っていない沢ですから、初めての沢と同じです。期待も高まり、楽しくなって来るのでした。

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▲武蔵五日市駅からタクシーで小坂志林道の途中まで入ります。少し歩いて、この写真の場所から小坂志川本流遡行スタートです。9:37ころ。林道工事はまだ続いているようでした。

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▲遡行スタート! 9:38ころ。今日は2人で遡行です。N澤さんが水根沢以来の参加。2人だけですから、先頭を歩いてもらいました。

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▲さっそくイワタバコです。花をたくさん付けています。9:43ころ。

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▲アズマヒキガエルでしょうか? 真名井沢のと違って赤みはありません。9:51ころ。

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▲本流の3m滝です。大きな釜があります。9:51ころ。

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▲沢床の岩の縞模様が綺麗でした。9:53ころ。

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▲キットウ谷沢の出合です。左が本流。N澤さんがルート図で現在地の確認をしています。10:04ころ。

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▲キットウ谷沢入渓後すぐ、小さな沢の小さなゴルジュです。10:07ころ。

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▲イワタバコはやっぱり綺麗ですね。10:09ころ。

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▲F2-6mでしょうか。易しそうなので、ザイルは使いません。10:16ころ。

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▲ミニ瀞です。10:21ころ。

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▲だんだん同定がこんがらがってきます。これはF3-6mのナメ滝なのでしょうか? 2条ナメとでも表現してくれると確実に同定できるのですが。10:31ころ。

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▲この沢もカエルは多かったですね。10:34ころ。

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▲イワタバコの群生、イワタバコのお花畑と呼んでもいいほどにたくさん咲いています。10:35ころ。

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▲4:1の水量比で支沢を分けてすぐ出て来る4m滝。この滝もN澤さんには大丈夫だと判断して、ザイルは出しませんでした。10:36ころ。

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▲『奥多摩の谷123』に記載されている3段3m滝がこれなのでしょうか? 10:46ころ。

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▲先に二俣が見えています。右俣にはほとんど水は流れていません。左俣にはF4-6mの滝が。N澤さんは現在地の確認です。10:55ころ。

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▲右岸の岩壁はイワタバコのお花畑です。カメラで写せる範囲には限りがあるので、お花畑の広さは分かってもらえそうにありません。11:00ころ。

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▲F4-6mです。念のためにハンマー、ハーケンは持って来ていたのですが、使いませんでした。グレードは3級+くらいでしょうか。ピンは1本もありません。この写真で受ける印象よりもずっと垂直に近い傾斜です。

滝の上で確保支点を探しましたが、何もありません。ちょっと上流に倒木があって、これを使うことにしましたが、強く引っ張ると動きます。その数m上流には支点として使える岩があったのですが、ザイルの長さが足りなくなります。結局、滝の落ち口近くに垂らされていた高巻き用の残置ロープをもうひとつの確保支点として使わせてもらいました。11:16ころ。

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▲この沢はミズ(ウワバミソウ)も豊富でした。とりわけ中流域では写真のように畑のような群生がありました。11:29ころ。

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▲F5-5mの滝です。イワタバコが綺麗だったので、写真を撮る間、N澤さんには登るのを待っていてもらいました。フラッシュの使い方がうまくできないので、写真はよくありませんね。イワタバコの花は光っちゃってますし、滝の方は暗く沈んでますし……… 11:41ころ。

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▲F5-5mの滝をソロで登攀するN澤さん。11:45ころ。

ここで今日一番のミスを僕は犯してしまいました。それは、ザイルを出さなかったこと。N澤さんはちょっと不安げな発言をしていたのですが、僕の目にはこの滝がホールド、スタンスともに豊富な易しい滝にしか見えなかったのです。下部3分の1くらいを登れば、あとは至極簡単に見えたのです。

ですが、N澤さんに続いて自分で実際に登ってみると、上部でもいささか緊張します。上部も3級はあります。高さもある滝なので、N澤さんにはザイルを出してあげるべきでした。

本では「少し手こずるかもしれない」となっていました。やはり、ザイルは出すべきでしたね。でも、N澤さんはよく登ってくれました。………反省………

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▲F5を登った後で、やっと小広い場所に出たので、初めての休憩を取りました。再び歩き始めると、すぐに奥の二俣が。本では右俣に入って行くことになっています。でも、左俣が明らかに本流のようですし、倒木でよく分かりませんけれど、少なくとも5m以上の高さのナメ滝があります。N澤さんが左を選択したので、僕も反対する理由がありません。

分かりにくいですが、写真はそのナメ滝です。12:25ころ。

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▲ナメ滝を登ると、すぐに沢は土管の中に消えて行ってしまいました。林道が横切っているのです。こんなにすぐに林道が現われるとは思ってもいませんでした。

N澤さんが林道に姿を現す直前です。12:31ころ。

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▲林道を歩いていると、サルナシが落ちていました。まだ熟す季節ではありませんから甘みはありません。中央の黒いものは虫か何かが付いたのでしょうか? サルナシはキウイと同じ仲間で味もまったく同じです。12:58ころ。

2万5千地形図を詳細に読んで来なかったものですから、林道に出てからの現在位置の把握が出来なくなってしまいました。適当な予測のままに、林道終点は万六尾根の927標高点とその南東側の853標高点との間にあるコルだと勝手に決め付けていました。

ですから、尾根を登りつめたところに万六尾根の登山道が出て来るものと信じていたのです。ところが、登りつめた場所には登山道がないばかりか、尾根が下がって行っているのです。予測と異なる現実に直面すると、人は混乱します。いろいろ考えて、やっとのことで最初の予測が間違っていることに気づくのです。

修正した予測に基づき尾根を下るとコルがありました。そのまま今度は尾根を登ればいいのです。しかし、予期せぬ事態が。そのコルにも林道が出来ていたのです。緩やかな林道の誘惑に負けて、林道を利用してしまいました。結果的にこれがかなりの遠回りとなり、14:48のバスは諦めざるを得なくなったのです。

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▲次のバスは16:05なので、のんびりと下山しました。途中、新宿だと思いますが、高層ビル群も見えましたから、真夏にしては珍しく空気の澄んだ日です。谷から吹き上げて来る風も涼しくて心地よく、標高が低いにもかかわらず、暑くありません。

この万六尾根は写真のような背丈の低い笹(僕は勝手に小笹と呼んでいます)が多く、気持ちの良い尾根ですね。14:28ころ。

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▲休憩もたびたび取りながら、ゆっくりと下山。南秋川に辿り着きました。15:46ころ。

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▲柏木野バス停です。15:49ころ。

打ち上げは久し振りの「音羽鮨」です。いつもお世話になっている店で、去年の7月の芋焼酎『三岳』をちゃんとキープしておいてくれています。感謝! N澤さんとの会話も尽きず、飲みながら、食べながら、結局、3時間ほども長居してしまいました。

当然、帰宅後はS子にお小言。またまた、反省………